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056:脱出ゲームの報酬
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白鳥に変身したソラの飛行能力のおかげでイチゴとノリはスタート地点した。そしてダイチとウミと合流を果たすことができた。
「無事……ではなさそうだな」
ダイチはボロボロの体の筋肉男の状態を見て無事ではないことに気が付く。
「マッチョのお兄さんだ、だいじょうぶなの?」
小学生の少女ウミはノリの背中の内出血がチラッと見えて震える声で声をかけた。心配そうな表情を見たノリは不安にさせまいとマッチョポーズをとる。
「ソラちゃんとキンタロウくんとモリゾウくんがここに戻ってきたらすぐに次のマスに移動するんだってぇ」
「ああ、了解した。ダイスを出したいがチーム全員がいないと出せないみたいだからな。みんな到着するまで待機するとしようか」
すぐに飛んでいってしまったソラに代わり、スタート地点に連れてこられているときに作戦内容を少し聞いたイチゴがダイチにその内容を伝えた。
チーム全員がスタート地点にいなければダイスを出現させることができない。ダイスを出せないということは次のマスに進めないのだ。どちらにせよ全員の到着を待つしか他ない。
「お主らのチームは制限時間内に全員がここに戻ってこれたら報酬を授けるぞ」
案内兎のゴロウは白くて長い髭を触りながらイチゴとノリに向かって言った。
宝箱の中に書かれていた脱出ゲームの脱出場所『白ク輝ク土地』とはここスタート地点『ウサギの歯』のこと。
ボドゲ部全員が到着することで最終ミッションの報酬を受け取ることができるのだ。
「俺たちはもうクリアしてるから先に報酬を見てもいいんだよな?」
「もちろんじゃよ」
三兄妹チームは最終ミッションが始まって以降、ダイチがスタート地点に戻ってきたことによって最終ミッションをクリアしたことになっている。なので報酬を受け取ることが可能だったが、火ノ神からボドゲ部たちを助けるために報酬を後回しにしていたのだ。
その報酬をこの待機時間で受け取ろうとしている。あらかじめどんな報酬なのか確認していた方が火ノ神への対策にもつながるかもしれないとダイチが考えたのだ。
「ではこれが報酬じゃ。受け取るとよい」
ゴロウは杖の先をダイチに向けた。すると杖の先から光が放出される。そこから報酬が出てくるのだと聞かれなくてもわかる。
杖の先の光は杖から離れダイチの方へ飛んでいく。そしてダイチの目の前で止まり光は輝きを失う。輝きが失ったことによって報酬が出現。
「こ、これは」
報酬を目の前で確認したダイチは驚きを隠せなかった。しかしそんなダイチよりも反応しているのはノリだ。
「サイコロ……」
マッチョポーズを忘れ目を丸くしたノリが小さな声でつぶやいた。その声は誰の耳にも届かないほど小さな声だった。それほど自然に言葉が出たのだ。
ダイチの目の前にはノリがつぶやいたようにサイコロがある。しかしそれはただのサイコロではない。青く光り輝いている6面ダイスだ。淡い青の炎のように輝いている。
そして面に書かれている数字は0が多い。10、20、30、40、50、60が書かれているのだ。つまり通常の6面ダイスの数字の10倍なのだ。
「これは報酬じゃ。今回限りの特別な青いサイコロでも言っておこうか。使い方はもちろんわかっておるじゃろ?」
ゴロウが当たり前のように言った通りサイコロの使い方をこの場にいる全員が知っている。知っているからこそノリが1番に反応したのだ。
「ノ、ノリくん。これって」
イチゴもすぐに理解し衝撃を受けたような慌てた声でノリの名前を呼ぶ。
そんな驚く様子の2人を見てダイチが不自然に思った。
「どうしたんだ2人とも。そりゃすごい報酬だけど、ちょっと驚きすぎじゃないか?」
「えーっとね。ノリくんのスキルってサイコロだと1番数字が大きいのが出るみたいなんだよぉ」
「え!? それってまさか……」
ダイチの疑問に希望に満ちた顔に変わっていたイチゴが答えた。イチゴが答えたようにノリのスキルは『最大値スキル』サイコロやトランプのように数字の書かれたランダム性のある物の最大値を引き当てるというスキルだ。
そして青いサイコロは進む数を決めるサイコロである。
この最大値スキルを持っているノリが報酬の特別な青いサイコロを振れば次のマスへ進む数は一番大きい数字の60が出ることは確定となる。ノリのスキルの最大の見せ所がきたのだ。
「ふんぬっ!」
当の本人は気合が入り、腰の内出血や胸の打撲傷の痛みを忘れたかのように、力一杯全力でマッチョポーズをとった。
その姿にウミは戦隊モノのヒーローの変身シーンを見ているかのようにテンションが上がっている。否、ウミは女の子だ。魔法少女の変身シーンと言った方が正しいだろう。その魔法少女が筋肉男なのは話がややこしくなるが。
「ここは17マスじゃから60の目が出れば、次は77マスじゃな」
ゴロウは驚くこともなくあっさりとその事実を口にする。
77マスということはゴールの100マスにかなり近付けるのということだ。これはすぐにキンタロウとモリゾウに伝えたいほどの朗報だ。
「キンタロウたちに早く伝えたいな」
「うん。そうだよねぇ」
ノリとイチゴはキンタロウとモリゾウの喜ぶ姿を想像し顔がニヤけてしまっている。2人ともキンタロウに至っては飛び跳ねて喜んでいる姿が想像されている。猿みたいに飛び跳ねて喜ぶ姿はキンタロウのイメージなのだろう。
そんな時、叫び声とうめき声が上空から聞こえてきた。なんとも騒がしい声にスタート地点にいる一同が空を見上げる。
雲のそのまた上に太陽とは別の赤く燃える炎が映し出された。その炎は地上に急激に近付きそしてまた戻る。上空を行ったり来たりしているのだ。
赤い炎が追いかける先には真っ白の鳥と檸檬色の髪の少年の姿がある。ソラとキンタロウだ。
「イヤァアアアアアアアアー! 死ぬぅううううううううー! ウボヴェェエエエエエエー! ソラァアアアアアアアアアアア!」
「はい。キーくぅん。アタシの名前を呼びましたか~?」
「イヤァァッッッァァアァァアアアー! スピィィイイイドォオオおとしてぇえええええ」
火ノ神から逃げるために急降下急上昇を繰り返すソラ。その速さに耐えきれず涙を流しながら叫ぶキンタロウ。
火ノ神に追われているのにも関わらずソラは大好きなキンタロウを抱きかかえ楽しそうにしている。ジェットコースターを楽しむ若者のように。
「このままどこまでも飛べちゃいそうッ!」
「かんべんしてぇえええええええええ」
キンタロウとソラ。スタート地点の上空に到着。
「無事……ではなさそうだな」
ダイチはボロボロの体の筋肉男の状態を見て無事ではないことに気が付く。
「マッチョのお兄さんだ、だいじょうぶなの?」
小学生の少女ウミはノリの背中の内出血がチラッと見えて震える声で声をかけた。心配そうな表情を見たノリは不安にさせまいとマッチョポーズをとる。
「ソラちゃんとキンタロウくんとモリゾウくんがここに戻ってきたらすぐに次のマスに移動するんだってぇ」
「ああ、了解した。ダイスを出したいがチーム全員がいないと出せないみたいだからな。みんな到着するまで待機するとしようか」
すぐに飛んでいってしまったソラに代わり、スタート地点に連れてこられているときに作戦内容を少し聞いたイチゴがダイチにその内容を伝えた。
チーム全員がスタート地点にいなければダイスを出現させることができない。ダイスを出せないということは次のマスに進めないのだ。どちらにせよ全員の到着を待つしか他ない。
「お主らのチームは制限時間内に全員がここに戻ってこれたら報酬を授けるぞ」
案内兎のゴロウは白くて長い髭を触りながらイチゴとノリに向かって言った。
宝箱の中に書かれていた脱出ゲームの脱出場所『白ク輝ク土地』とはここスタート地点『ウサギの歯』のこと。
ボドゲ部全員が到着することで最終ミッションの報酬を受け取ることができるのだ。
「俺たちはもうクリアしてるから先に報酬を見てもいいんだよな?」
「もちろんじゃよ」
三兄妹チームは最終ミッションが始まって以降、ダイチがスタート地点に戻ってきたことによって最終ミッションをクリアしたことになっている。なので報酬を受け取ることが可能だったが、火ノ神からボドゲ部たちを助けるために報酬を後回しにしていたのだ。
その報酬をこの待機時間で受け取ろうとしている。あらかじめどんな報酬なのか確認していた方が火ノ神への対策にもつながるかもしれないとダイチが考えたのだ。
「ではこれが報酬じゃ。受け取るとよい」
ゴロウは杖の先をダイチに向けた。すると杖の先から光が放出される。そこから報酬が出てくるのだと聞かれなくてもわかる。
杖の先の光は杖から離れダイチの方へ飛んでいく。そしてダイチの目の前で止まり光は輝きを失う。輝きが失ったことによって報酬が出現。
「こ、これは」
報酬を目の前で確認したダイチは驚きを隠せなかった。しかしそんなダイチよりも反応しているのはノリだ。
「サイコロ……」
マッチョポーズを忘れ目を丸くしたノリが小さな声でつぶやいた。その声は誰の耳にも届かないほど小さな声だった。それほど自然に言葉が出たのだ。
ダイチの目の前にはノリがつぶやいたようにサイコロがある。しかしそれはただのサイコロではない。青く光り輝いている6面ダイスだ。淡い青の炎のように輝いている。
そして面に書かれている数字は0が多い。10、20、30、40、50、60が書かれているのだ。つまり通常の6面ダイスの数字の10倍なのだ。
「これは報酬じゃ。今回限りの特別な青いサイコロでも言っておこうか。使い方はもちろんわかっておるじゃろ?」
ゴロウが当たり前のように言った通りサイコロの使い方をこの場にいる全員が知っている。知っているからこそノリが1番に反応したのだ。
「ノ、ノリくん。これって」
イチゴもすぐに理解し衝撃を受けたような慌てた声でノリの名前を呼ぶ。
そんな驚く様子の2人を見てダイチが不自然に思った。
「どうしたんだ2人とも。そりゃすごい報酬だけど、ちょっと驚きすぎじゃないか?」
「えーっとね。ノリくんのスキルってサイコロだと1番数字が大きいのが出るみたいなんだよぉ」
「え!? それってまさか……」
ダイチの疑問に希望に満ちた顔に変わっていたイチゴが答えた。イチゴが答えたようにノリのスキルは『最大値スキル』サイコロやトランプのように数字の書かれたランダム性のある物の最大値を引き当てるというスキルだ。
そして青いサイコロは進む数を決めるサイコロである。
この最大値スキルを持っているノリが報酬の特別な青いサイコロを振れば次のマスへ進む数は一番大きい数字の60が出ることは確定となる。ノリのスキルの最大の見せ所がきたのだ。
「ふんぬっ!」
当の本人は気合が入り、腰の内出血や胸の打撲傷の痛みを忘れたかのように、力一杯全力でマッチョポーズをとった。
その姿にウミは戦隊モノのヒーローの変身シーンを見ているかのようにテンションが上がっている。否、ウミは女の子だ。魔法少女の変身シーンと言った方が正しいだろう。その魔法少女が筋肉男なのは話がややこしくなるが。
「ここは17マスじゃから60の目が出れば、次は77マスじゃな」
ゴロウは驚くこともなくあっさりとその事実を口にする。
77マスということはゴールの100マスにかなり近付けるのということだ。これはすぐにキンタロウとモリゾウに伝えたいほどの朗報だ。
「キンタロウたちに早く伝えたいな」
「うん。そうだよねぇ」
ノリとイチゴはキンタロウとモリゾウの喜ぶ姿を想像し顔がニヤけてしまっている。2人ともキンタロウに至っては飛び跳ねて喜んでいる姿が想像されている。猿みたいに飛び跳ねて喜ぶ姿はキンタロウのイメージなのだろう。
そんな時、叫び声とうめき声が上空から聞こえてきた。なんとも騒がしい声にスタート地点にいる一同が空を見上げる。
雲のそのまた上に太陽とは別の赤く燃える炎が映し出された。その炎は地上に急激に近付きそしてまた戻る。上空を行ったり来たりしているのだ。
赤い炎が追いかける先には真っ白の鳥と檸檬色の髪の少年の姿がある。ソラとキンタロウだ。
「イヤァアアアアアアアアー! 死ぬぅううううううううー! ウボヴェェエエエエエエー! ソラァアアアアアアアアアアア!」
「はい。キーくぅん。アタシの名前を呼びましたか~?」
「イヤァァッッッァァアァァアアアー! スピィィイイイドォオオおとしてぇえええええ」
火ノ神から逃げるために急降下急上昇を繰り返すソラ。その速さに耐えきれず涙を流しながら叫ぶキンタロウ。
火ノ神に追われているのにも関わらずソラは大好きなキンタロウを抱きかかえ楽しそうにしている。ジェットコースターを楽しむ若者のように。
「このままどこまでも飛べちゃいそうッ!」
「かんべんしてぇえええええええええ」
キンタロウとソラ。スタート地点の上空に到着。
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