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051:突然の死亡フラグ
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ディオスダードが火ノ神を引き付けているおかげでノリとイチゴは火ノ神からかなりの距離ができた。2人はこのままスタート地点にいる白い案内兎のゴロウの元へと向かっているのだ。
ゴロウの元へ向かうというアイディアはキンタロウのものだ。ゴロウなら脱出ゲームの謎のヒントがもらえるかもしれないと踏んでいる。
しかし運よく目指している場所と脱出ゲームの謎の答えが一致している。このまま順調にたどり着ければいいのだが、足取りの遅いノリとイチゴは火ノ神よりも燃え盛るジャングルから逃げなくてはならない状況になっていたのだった。
「はぁ……はぁ……っ……ぅ、」
息を荒くしながら必死に歩くノリ。少しでも休みたいが休んでいる時間など神様は与えてはくれない。
ノリは緑ヘビとの戦いで背中に大きな内出血、胸に打撲傷を負っている。火ノ神との死闘が始まってからも動きっぱなしで、ノリの限界は着々と近付いてきていた。おそらくイチゴが肩を貸してくれていなければ倒れていたかもしれない。
ノリの集中力は凄まじい。集中が切れれば火の鳥の攻撃を避けることは難しいだろう。それほどノリはギリギリの状態だ。
すると切羽詰まった表情をしながらキンタロウが走ってきた。猛ダッシュだ。これ以上ないほど全速力で走っている。何にも追われていないキンタロウはなぜ横一線に走ってきているのだろうか。進むなら普通前だろう。
「よけろォォオオオオ!」
キンタロウは叫んだ。そしてそのままがノリとイチゴにタックルを喰らわした。
訳のわからないまま重症のノリとか弱い少女イチゴがキンタロウの押して方へ倒れた。
「キャッ」とイチゴの可愛らしい悲鳴が響いた瞬間、音がかき消されるくらい大きな物音がした。
「ぇ……」
衝撃的なものを見たイチゴは声がこぼれた。それはもともと歩いていた場所に燃える大木が倒れていたのだ。そして大きな物音の原因も倒れている燃える大木が出した音であるのがその光景から見て取れる。
キンタロウがタックルしなければこの大木の下敷きになっていただろう。ノリとイチゴは間一髪。ギリギリのところキンタロウに助けられたのだ。
倒れ込んでいる3人。その横で燃える大木。
「熱い熱い熱い熱い熱い」
キンタロウの背中が燃え始めた。
「キンタロウくん!」
「キンタロウ!」
イチゴとノリはキンタロウの名前を同時に叫んだ。そしてキンタロウを助けるべくすぐに立ち上がり燃える大木のそばにいるキンタロウを引っ張った。
下敷きにはなっていないものの燃える大木から伸びている枝がちょうどキンタロウの背中に触れて火が引火してしまったのだった。
「熱いぃいいうおぃ、熱い熱い熱い、」
暴れるキンタロウを自慢の筋肉で抑え付け無理やりキンタロの着ているパーカーを脱がした。そして燃えているパーカー投げ捨てる。中に着ている黒いTシャツは丸く焼けてしまっているがすぐに火を消火することができた。
消火したからこそわかるがキンタロウの背中はTシャツの燃えている部分と同じ形で火傷の痕になっていた。
「キンタロウくん大丈夫?」
「痛い、背中、めっちゃ痛い、やばい、すごい痛い」
丸焦げにならずに済んだキンタロウは立ち上がり自分の背中の状態を確認しようと首を回した。しかし人間の体の構造上どんなに首を捻っても背中を見ることができない。それほど火傷のダメージがキンタロウの判断力を低下させているのだ。
キンタロウに代わってイチゴがキンタロウの背中を見た。皮膚は赤くただれ焦げたシャツが張り付いている。
「どうしよう、火傷が酷い」
キンタロウの火傷した背中を見てイチゴはひどく心配をしている。背中に張り付いている焦げたシャツを剥がそうか迷ったが痛がるキンタロウの様子を見て剥がすのをやめた。
「背中ぁ焼かれたー、チクショー、全部焼き鳥のせいだー! というか神様のせいだわ、クソクソクソー!」
命に別状はなかったが背中に火傷を負ってしまったキンタロウは火ノ神、そしてこのゲームを作った神様という人物に憤怒し騒いでいる。
「キンタロウくん……ノリくん……」
苦しむ仲間の姿を見てイチゴはキンタロウの火傷もノリの内出血も今すぐに治してあげたい、自分が代わってあげたいと本気で思っている。もしも自分のスキルが治癒能力や回復魔法だったらと何もすることができない自分にかすかな苛立ちも覚えるほどだった。
イチゴのスキルは身体能力向上スキルで火傷や内出血を治すことはできない。そしてイチゴのスキルの能力も未だによくわかっていないのだ。
「だったら、私が火の鳥を……」
イチゴは離れた距離でディオスダードと戦っている火ノ神とを睨むように見た。そしてイチゴは火ノ神がいる方へ一歩足を踏み出そうとした。
しかしその一歩はキンタロウの声に止められた。
「イチゴ、まだ動けるか?」
「え、ぁ、うん。動けるよぉ」
「だったらノリを連れてこのままスタート地点に向かってくれ」
目的を変更せずにこのままスタート地点へ向かうようにキンタロウが指示した。偶然なのだろうか。イチゴが火ノ神に向かおうとしたタイミングと全く同じだ。
このままイチゴが火ノ神の方へ行っても何も役に立たない。むしろ死ぬだけだ。それをキンタロウは無意識に止めたのだった。
「ノリももう少し踏ん張ってくれ、今モリゾウとソラが作戦会議中だからよ」
「ソラちゃんが来てるの!?」
驚くイチゴとサムズアップをしてまだ頑張れるとアピールするノリ。2人の反応はそれぞれ違えど目的は一緒。スタート地点に無事に行くだけ。
「ここももうヤバい。あつッ、燃えて、アツアツ、燃えてきてる。早く行ってくれ」
「キンタロウくんはどうするの?」
「もう少しだけ焼き鳥を引きつけようと思う。引きつけるって言っても石を投げて逃げまくるしかできないけど少しでも時間稼ぎになるだろうし、アツアッツ、今カッコつけてるところだったのに、クソ熱いって! 俺にばっかり落ちてきてないか!? 熱いッ!」
燃えている葉がキンタロウの背中や頭、顔に落ちてきてなかなかスムーズにセリフが言えないでいた。そんなキンタロウを不安そうな瞳で見つめるイチゴ。
イチゴ自身も火ノ神の方へ向かおうとしていた。もちろん勝つためではなく仲間の生存率を少しでも上げるためにだ。おそらくキンタロウも同じ考えだろう。
一度死んだ仲間が生き返ってその仲間を今度こそは守ると心に誓ったキンタロウだ。自分が最前線に立って仲間を守らないと意味がいない。
「熱いッ」
足を止めていたイチゴにも燃えている葉がうなじに落ちてくる。何度もうなじを触り火が引火していないことを確認した。先に痛覚が反応し反射的に燃えている葉を振り払ったので火傷はしていなかった。
そしてその燃えている火が落ちてきたおかげで止まっていた足を強制的に動かさなければいけない状況だと知らされる。
もう燃えるジャングルは目の前にまで来ているのだ。業火。この炎に飲み込まれたら一瞬で消し済みになるほどの業火だ。
「キンタロウくん死なないでね」
「ああ、俺は死なないよ……って突然の死亡フラグ!?」
キンタロウはノリツッコミをしてそのまま来た方向へ横一直線に戻っていった。それと同時にイチゴとノリも走り出した。走った先に焦げた自分のパーカーがあったので足を止めずに拾う。
イチゴの肩を借りずに走り出したノリは足を止めていたおかげで少しだけ体力が戻ったのだろう。ほんの少しだけ。内出血の痛みに耐えながら燃えるジャングルに飲み込まれないように走る。
火ノ神をその身を削って引き付けているディオスダード。
ディオスダードに加勢するために走るキンタロウ。
戦線離脱するためにスタート地点に向かうイチゴとノリ。
そして作戦会議を終わらせたモリゾウとソラ。
ボドゲ部と火ノ神との戦いは最終局面に差し掛かった。
ゴロウの元へ向かうというアイディアはキンタロウのものだ。ゴロウなら脱出ゲームの謎のヒントがもらえるかもしれないと踏んでいる。
しかし運よく目指している場所と脱出ゲームの謎の答えが一致している。このまま順調にたどり着ければいいのだが、足取りの遅いノリとイチゴは火ノ神よりも燃え盛るジャングルから逃げなくてはならない状況になっていたのだった。
「はぁ……はぁ……っ……ぅ、」
息を荒くしながら必死に歩くノリ。少しでも休みたいが休んでいる時間など神様は与えてはくれない。
ノリは緑ヘビとの戦いで背中に大きな内出血、胸に打撲傷を負っている。火ノ神との死闘が始まってからも動きっぱなしで、ノリの限界は着々と近付いてきていた。おそらくイチゴが肩を貸してくれていなければ倒れていたかもしれない。
ノリの集中力は凄まじい。集中が切れれば火の鳥の攻撃を避けることは難しいだろう。それほどノリはギリギリの状態だ。
すると切羽詰まった表情をしながらキンタロウが走ってきた。猛ダッシュだ。これ以上ないほど全速力で走っている。何にも追われていないキンタロウはなぜ横一線に走ってきているのだろうか。進むなら普通前だろう。
「よけろォォオオオオ!」
キンタロウは叫んだ。そしてそのままがノリとイチゴにタックルを喰らわした。
訳のわからないまま重症のノリとか弱い少女イチゴがキンタロウの押して方へ倒れた。
「キャッ」とイチゴの可愛らしい悲鳴が響いた瞬間、音がかき消されるくらい大きな物音がした。
「ぇ……」
衝撃的なものを見たイチゴは声がこぼれた。それはもともと歩いていた場所に燃える大木が倒れていたのだ。そして大きな物音の原因も倒れている燃える大木が出した音であるのがその光景から見て取れる。
キンタロウがタックルしなければこの大木の下敷きになっていただろう。ノリとイチゴは間一髪。ギリギリのところキンタロウに助けられたのだ。
倒れ込んでいる3人。その横で燃える大木。
「熱い熱い熱い熱い熱い」
キンタロウの背中が燃え始めた。
「キンタロウくん!」
「キンタロウ!」
イチゴとノリはキンタロウの名前を同時に叫んだ。そしてキンタロウを助けるべくすぐに立ち上がり燃える大木のそばにいるキンタロウを引っ張った。
下敷きにはなっていないものの燃える大木から伸びている枝がちょうどキンタロウの背中に触れて火が引火してしまったのだった。
「熱いぃいいうおぃ、熱い熱い熱い、」
暴れるキンタロウを自慢の筋肉で抑え付け無理やりキンタロの着ているパーカーを脱がした。そして燃えているパーカー投げ捨てる。中に着ている黒いTシャツは丸く焼けてしまっているがすぐに火を消火することができた。
消火したからこそわかるがキンタロウの背中はTシャツの燃えている部分と同じ形で火傷の痕になっていた。
「キンタロウくん大丈夫?」
「痛い、背中、めっちゃ痛い、やばい、すごい痛い」
丸焦げにならずに済んだキンタロウは立ち上がり自分の背中の状態を確認しようと首を回した。しかし人間の体の構造上どんなに首を捻っても背中を見ることができない。それほど火傷のダメージがキンタロウの判断力を低下させているのだ。
キンタロウに代わってイチゴがキンタロウの背中を見た。皮膚は赤くただれ焦げたシャツが張り付いている。
「どうしよう、火傷が酷い」
キンタロウの火傷した背中を見てイチゴはひどく心配をしている。背中に張り付いている焦げたシャツを剥がそうか迷ったが痛がるキンタロウの様子を見て剥がすのをやめた。
「背中ぁ焼かれたー、チクショー、全部焼き鳥のせいだー! というか神様のせいだわ、クソクソクソー!」
命に別状はなかったが背中に火傷を負ってしまったキンタロウは火ノ神、そしてこのゲームを作った神様という人物に憤怒し騒いでいる。
「キンタロウくん……ノリくん……」
苦しむ仲間の姿を見てイチゴはキンタロウの火傷もノリの内出血も今すぐに治してあげたい、自分が代わってあげたいと本気で思っている。もしも自分のスキルが治癒能力や回復魔法だったらと何もすることができない自分にかすかな苛立ちも覚えるほどだった。
イチゴのスキルは身体能力向上スキルで火傷や内出血を治すことはできない。そしてイチゴのスキルの能力も未だによくわかっていないのだ。
「だったら、私が火の鳥を……」
イチゴは離れた距離でディオスダードと戦っている火ノ神とを睨むように見た。そしてイチゴは火ノ神がいる方へ一歩足を踏み出そうとした。
しかしその一歩はキンタロウの声に止められた。
「イチゴ、まだ動けるか?」
「え、ぁ、うん。動けるよぉ」
「だったらノリを連れてこのままスタート地点に向かってくれ」
目的を変更せずにこのままスタート地点へ向かうようにキンタロウが指示した。偶然なのだろうか。イチゴが火ノ神に向かおうとしたタイミングと全く同じだ。
このままイチゴが火ノ神の方へ行っても何も役に立たない。むしろ死ぬだけだ。それをキンタロウは無意識に止めたのだった。
「ノリももう少し踏ん張ってくれ、今モリゾウとソラが作戦会議中だからよ」
「ソラちゃんが来てるの!?」
驚くイチゴとサムズアップをしてまだ頑張れるとアピールするノリ。2人の反応はそれぞれ違えど目的は一緒。スタート地点に無事に行くだけ。
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「キンタロウくんはどうするの?」
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燃えている葉がキンタロウの背中や頭、顔に落ちてきてなかなかスムーズにセリフが言えないでいた。そんなキンタロウを不安そうな瞳で見つめるイチゴ。
イチゴ自身も火ノ神の方へ向かおうとしていた。もちろん勝つためではなく仲間の生存率を少しでも上げるためにだ。おそらくキンタロウも同じ考えだろう。
一度死んだ仲間が生き返ってその仲間を今度こそは守ると心に誓ったキンタロウだ。自分が最前線に立って仲間を守らないと意味がいない。
「熱いッ」
足を止めていたイチゴにも燃えている葉がうなじに落ちてくる。何度もうなじを触り火が引火していないことを確認した。先に痛覚が反応し反射的に燃えている葉を振り払ったので火傷はしていなかった。
そしてその燃えている火が落ちてきたおかげで止まっていた足を強制的に動かさなければいけない状況だと知らされる。
もう燃えるジャングルは目の前にまで来ているのだ。業火。この炎に飲み込まれたら一瞬で消し済みになるほどの業火だ。
「キンタロウくん死なないでね」
「ああ、俺は死なないよ……って突然の死亡フラグ!?」
キンタロウはノリツッコミをしてそのまま来た方向へ横一直線に戻っていった。それと同時にイチゴとノリも走り出した。走った先に焦げた自分のパーカーがあったので足を止めずに拾う。
イチゴの肩を借りずに走り出したノリは足を止めていたおかげで少しだけ体力が戻ったのだろう。ほんの少しだけ。内出血の痛みに耐えながら燃えるジャングルに飲み込まれないように走る。
火ノ神をその身を削って引き付けているディオスダード。
ディオスダードに加勢するために走るキンタロウ。
戦線離脱するためにスタート地点に向かうイチゴとノリ。
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