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050:恋の病
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ソラの翼をもふり続けるキンタロウの耳に疲弊しているモリゾウの声が届いた。
「はぁはぁ……ソ、ソラさんですかね? ダイチさんと、ご、合流、で、できましたか?」
鳥人間の姿に驚くモリゾウだったがすぐにソラだと理解し話を進める。
もふられているソラはモリゾウが来たことに気付いていない。幸せそうな表情のままよだれを垂らしている。
「あ、あの、ソラさん……ソラさん、おーい、ソラさん」
何度もモリゾウが呼びかけるがソラは呼びかけには答えない。ソラはもうキンタロウしか見えてないのだ。
「キンちゃん、もふるのやめてください!」
「お、そうだな、ちょっと夢中になりすぎたわ」
モリゾウの言葉でもふるのに夢中になっていたキンタロウはもふるのを辞めた。それからゆっくりと正常に戻っていくソラ。
ソラは「ぁふーぅ」と一言声が漏れてからモリゾウの存在に気が付く。
「い、いつからいたんだよ、は、恥ずかしい……」
翼を隠し恥ずかしがるソラ。顔は赤くなっていて鳥の足はガクガク気持ち良さに耐えきれず倒れそうになっていた。
「ダイチさんと合流できたんですか?」
「あ、うん。おかげさまで合流できたぞ。それで兄貴に代わってアタシが助けに来たってわけよ。問題の答えもわかったんだぜ。なぁ、知りたいか~? 知りたいよな~?」
恥ずかしがってたソラはいつもの調子に戻り自信満々な表情で言った。問題の答えを知っているソラにとって答えを知らないであろうモリゾウに対して態度はデカくなる。
「答えは白いウサ爺さんだろ。さっき俺が解き明かしたぜ」
キンタロウはソラの翼を指でなぞりながら自身ありげに答えた。
「ぁっ、ち、ちがう、キンタロウ……答えは、ちがぁあッ」
体がガクガクとし快感を味わっているソラ。翼を指でなぞられただけでこの反応だ。
「マジかよ。答えって何だ」
「答えはスタート地点だ!」
ソラの解答に驚くキンタロウとモリゾウ。そしてモリゾウは頭の中にあるウサギの地形の地図を確認する。
「確かに、スタート地点はウサギの歯の位置ですね。白い場所って歯を現してたんですね」
「アタシは何のことかさっぱりわからんけど、それが答えらしいぞ」
「でもどうしましょう。答えは、わかりましたがスタート地点に戻っても火の鳥はずっと追いかけて来ますよ。それに火の鳥を倒せるとは思えませんし……」
答えが分かっても火ノ神が邪魔してスタート地点に戻れない。そして火ノ神を倒す方法も見つかっていない。モリゾウは手に顎を乗せて打開策はないかと思考を巡らせる。
「アタシに考えがあるんだけど」
ソラは何かを企んでいるかのように悪い顔をして言った。
「考えとは……ぜひ聞かせてください」
モリゾウはソラの考えに興味津々だ。
「ア、アタシはそ、その、キ、キンタロウと話がし、したい」
もじもじとしながらモリゾウに背を向けてキンタロウの方を見るソラ。キンタロウと少しでも長く一緒にいたいみたいだ。なのでモリゾウとの作戦会議を遠回しに断ったことになる。
しかしキンタロウはそんなソラのふわふわもふもふの翼を握った。
「俺に話されてもわかんねぇからここはモリゾウに話してくれ。みんなが生きる方法を導き出してくれるはずだからさ」
「あ、ぅ、ぁ、は、はい!」
息が届きそうなくらい顔を近付けてキンタロウは言った。そのせいでソラは再び顔を真っ赤に染めている。白鳥ではなく赤鳥だ。
キンタロウ自身、自分の頭では作戦会議を持ちかけられても勝率が上がるとは思っていない。少しでも勝率を上げるために作戦会議などは頭脳派のモリゾウに任せようと考えているのだ。
「キンタロウの頼みだから仕方ない。話をしようか」
キンタロウの言葉を素直に聞いたソラはモリゾウに向き直った。
「あはは……そ、そうしましょう」
モリゾウは、ソラのあからさまな変化に呆れた表情を浮かべ愛想笑いをした。
「それじゃ俺は焼き鳥野郎の足止めしてくっから早めに作戦会議終わらせてくれよな」
近くに落ちてた石と木の枝を拾いキンタロウは火ノ神とディオスダードが戦う方へと向かって走って行った。
「あ~ん、キンタロウも一緒に……」
翼になっている手をキンタロウの背中に向けて精一杯伸ばすソラ。キンタロウが離れていく姿に悲しげな表情になっていく。そして膝から崩れ落ち涙を流す。この現象は恋の病だろう。
「キ、キンタロウ……うぅ、行かないで……も、戻ってきてぇええ」
「ソ、ソラさん。しっかりしてくださいよ。ほら、キンちゃんのためにもソラさんの考えを教えてください」
モリゾウはキンタロウの名前を使いソラを巧みに誘導する。
「今、キンタロウのことをキンちゃんって言ったのか?」
「は、はい。そ、そうですが……」
膝をついて泣いていたソラは涙が止まりモリゾウを見上げて言った。何事かとモリゾウは身を構えたが同時に嫌な予感がした。
「キンちゃんって呼び方いいな。それならアタシはキンくん。いや、キーくん。それともキーちゃん?」
「もう勘弁してくださいよ。ソラさん。一旦落ち着いてください。キンちゃんのことは忘れて、というかキンちゃんのために作戦会議を始めましょうよ」
恋の病で壊れるソラに、呆れた様子で困りまくるモリゾウ。そんな2人の作戦会議が始まろうとしている。
「はぁはぁ……ソ、ソラさんですかね? ダイチさんと、ご、合流、で、できましたか?」
鳥人間の姿に驚くモリゾウだったがすぐにソラだと理解し話を進める。
もふられているソラはモリゾウが来たことに気付いていない。幸せそうな表情のままよだれを垂らしている。
「あ、あの、ソラさん……ソラさん、おーい、ソラさん」
何度もモリゾウが呼びかけるがソラは呼びかけには答えない。ソラはもうキンタロウしか見えてないのだ。
「キンちゃん、もふるのやめてください!」
「お、そうだな、ちょっと夢中になりすぎたわ」
モリゾウの言葉でもふるのに夢中になっていたキンタロウはもふるのを辞めた。それからゆっくりと正常に戻っていくソラ。
ソラは「ぁふーぅ」と一言声が漏れてからモリゾウの存在に気が付く。
「い、いつからいたんだよ、は、恥ずかしい……」
翼を隠し恥ずかしがるソラ。顔は赤くなっていて鳥の足はガクガク気持ち良さに耐えきれず倒れそうになっていた。
「ダイチさんと合流できたんですか?」
「あ、うん。おかげさまで合流できたぞ。それで兄貴に代わってアタシが助けに来たってわけよ。問題の答えもわかったんだぜ。なぁ、知りたいか~? 知りたいよな~?」
恥ずかしがってたソラはいつもの調子に戻り自信満々な表情で言った。問題の答えを知っているソラにとって答えを知らないであろうモリゾウに対して態度はデカくなる。
「答えは白いウサ爺さんだろ。さっき俺が解き明かしたぜ」
キンタロウはソラの翼を指でなぞりながら自身ありげに答えた。
「ぁっ、ち、ちがう、キンタロウ……答えは、ちがぁあッ」
体がガクガクとし快感を味わっているソラ。翼を指でなぞられただけでこの反応だ。
「マジかよ。答えって何だ」
「答えはスタート地点だ!」
ソラの解答に驚くキンタロウとモリゾウ。そしてモリゾウは頭の中にあるウサギの地形の地図を確認する。
「確かに、スタート地点はウサギの歯の位置ですね。白い場所って歯を現してたんですね」
「アタシは何のことかさっぱりわからんけど、それが答えらしいぞ」
「でもどうしましょう。答えは、わかりましたがスタート地点に戻っても火の鳥はずっと追いかけて来ますよ。それに火の鳥を倒せるとは思えませんし……」
答えが分かっても火ノ神が邪魔してスタート地点に戻れない。そして火ノ神を倒す方法も見つかっていない。モリゾウは手に顎を乗せて打開策はないかと思考を巡らせる。
「アタシに考えがあるんだけど」
ソラは何かを企んでいるかのように悪い顔をして言った。
「考えとは……ぜひ聞かせてください」
モリゾウはソラの考えに興味津々だ。
「ア、アタシはそ、その、キ、キンタロウと話がし、したい」
もじもじとしながらモリゾウに背を向けてキンタロウの方を見るソラ。キンタロウと少しでも長く一緒にいたいみたいだ。なのでモリゾウとの作戦会議を遠回しに断ったことになる。
しかしキンタロウはそんなソラのふわふわもふもふの翼を握った。
「俺に話されてもわかんねぇからここはモリゾウに話してくれ。みんなが生きる方法を導き出してくれるはずだからさ」
「あ、ぅ、ぁ、は、はい!」
息が届きそうなくらい顔を近付けてキンタロウは言った。そのせいでソラは再び顔を真っ赤に染めている。白鳥ではなく赤鳥だ。
キンタロウ自身、自分の頭では作戦会議を持ちかけられても勝率が上がるとは思っていない。少しでも勝率を上げるために作戦会議などは頭脳派のモリゾウに任せようと考えているのだ。
「キンタロウの頼みだから仕方ない。話をしようか」
キンタロウの言葉を素直に聞いたソラはモリゾウに向き直った。
「あはは……そ、そうしましょう」
モリゾウは、ソラのあからさまな変化に呆れた表情を浮かべ愛想笑いをした。
「それじゃ俺は焼き鳥野郎の足止めしてくっから早めに作戦会議終わらせてくれよな」
近くに落ちてた石と木の枝を拾いキンタロウは火ノ神とディオスダードが戦う方へと向かって走って行った。
「あ~ん、キンタロウも一緒に……」
翼になっている手をキンタロウの背中に向けて精一杯伸ばすソラ。キンタロウが離れていく姿に悲しげな表情になっていく。そして膝から崩れ落ち涙を流す。この現象は恋の病だろう。
「キ、キンタロウ……うぅ、行かないで……も、戻ってきてぇええ」
「ソ、ソラさん。しっかりしてくださいよ。ほら、キンちゃんのためにもソラさんの考えを教えてください」
モリゾウはキンタロウの名前を使いソラを巧みに誘導する。
「今、キンタロウのことをキンちゃんって言ったのか?」
「は、はい。そ、そうですが……」
膝をついて泣いていたソラは涙が止まりモリゾウを見上げて言った。何事かとモリゾウは身を構えたが同時に嫌な予感がした。
「キンちゃんって呼び方いいな。それならアタシはキンくん。いや、キーくん。それともキーちゃん?」
「もう勘弁してくださいよ。ソラさん。一旦落ち着いてください。キンちゃんのことは忘れて、というかキンちゃんのために作戦会議を始めましょうよ」
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