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045:反撃開始
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ディオスダードは宙を舞う火の鳥、否、火ノ神の周りを物凄いスピードで走り回って翻弄している。人工的に台風が現れるのではないかと思うくらい火ノ神の周りに砂嵐ができている。そのおかげでキンタロウたちへの攻撃は止んだ。
キンタロウは川の中にある濡れた石を火ノ神に向かって投げ続けている。
そんな原始的な攻撃とは対照的にモリゾウは着ている白いワイシャツを脱ぎ始めた。ワイシャツの中には清潔感のある白いシャツを着ていた。
「こういう時は知恵を使って戦うんですよ!」
モリゾウは白いワイシャツを川に浸けて水を染み込ませている。そしてビショビショに濡れたシャツに石を7個ほど入れ飛び出さないように包み込み結んだ。これでモリゾウの知恵から生まれた武器の完成だ。
濡れたシャツに少し小さめの7個の石。ブンブン振り回すだけで遠心力が十分にかかり大ダメージが期待できそうだ。
7個しか石を入れなかったのは自分自身の筋力を計算に入れているからだ。石を入れすぎた場合、思うように攻撃ができない。少なすぎる場合は大ダメージを期待できない。なので7個の石を適量と考えたのだった。
もしもこの武器を扱う人物が筋肉男のノリだった場合、石を30個ほど包み込んでいただろう。それ以上包み込んでもいいのだが、その場合ワイシャツが石を包み込めなくなってしまう。
「近付いてきたら顔面に1撃を喰らわせます」
モリゾウは、いつ襲いかかってくるかわからない火ノ神から目をそらさない。そしてワイシャツと石の武器が乾かないように適度に川に沈めて濡らしている。
「オラァ! オラァ! オラァァア!」
キンタロウは川に落ちている石を全て投げるくらいの勢いで火ノ神目掛けて投げ続けている。原始的な攻撃だが火ノ神にとってはどんな攻撃よりも鬱陶しいだろう。
その結果、火ノ神は砂嵐を撒き散らすディオスダードを無視しキンタロウとモリゾウがいる川へ猛スピードで急降下した。
全身を燃やしながら急降下する姿はまるで隕石だ。
「怒らせすぎたー!」
キンタロウには近距離攻撃の方法がない。そして隕石を受け止める方法もない。なのでキンタロウは走った。
火ノ神はキンタロウを追うことなく真っ直ぐに急降下していく。
「方向を変えないのなら狙いやすいです!」
モリゾウは急降下する火ノ神を見ながらにワイシャツと石で作った武器をブンブンと振り回し構えた。そしてタイミングを合わせて火ノ神の頭目掛けて思いっきり振りかざした。脳天からの強烈な1撃だ。
「クァアアアアアアアァ」
火ノ神は叫びながら川の中へ無残に散っていった。全身の炎は川の中に入ったことによって消火された。火ノ神の体は3メートルほどあり川の流れには乗らずその場で倒れている。
誰もが火ノ神を倒したと思った瞬間だった。モリゾウが叫んだ。
「ア、ァッツゥイィイ!」
火ノ神が川の中に入ったことによって沸騰するほど川の水が熱くなったのだ。急いで川から抜け出したモリゾウだったがズボンは脚の皮膚に張り付きそうになってしまっている。
すかさずズボンを脱ぎ皮膚に張り付くのを防いだモリゾウだったが川に浸かっていた太腿までの脚の皮膚は赤く腫れており軽い火傷状態だ。
「モリゾウ、大丈夫か!?」
叫びモリゾウを気に掛けるキンタロウはすでに陸に上がっていたので火傷をすることはなかった。
そんなキンタロウの叫び声の方へ目を向けると火ノ神は川の中で燃え始めた。水と火の関係性が逆転している。
水が火を消すのではなく、火が水を蒸発させて消し去っている。最大の弱点だと思われていた水が無惨に枯れていく。
上流から流れてくる水も火ノ神に近付くにつれて蒸発。あっという間に川には流れる水がなくなった。そこは、川だった場所へと変わり果てた。
そんな時2人を呼ぶ声がジャングルの方から飛んできた。
「キンタロウくん! モリゾウくん!」
その声はノリに肩を貸しているか弱い少女、イチゴの大きな声だった。
緑ヘビとの戦いで致命傷を負っていたノリはジャングルの中で走っている途中に限界を超えてしまっていたのだ。幸い火ノ神はキンタロウに夢中だったのでノリが狙われることはなかったのだ。
そしてイチゴとノリの後ろには黒い煙が上がっていた。
「ジャングルがぁ」
イチゴの不安で叫ぶ声とその背後を見れば一目瞭然だ。ジャングルは火ノ神の全身の炎と熱風攻撃によって引火してしまっていたのだった。森林火災寸前の光景だ。
このままジャングルが燃えてしまえば逃げ道がどんどんとなくなってしまう。
そもそもジャングルという燃えやすい環境のラスボスに火の鳥を配置するこのゲームの神様は頭がイかれているとしか思えない。
「クォオオオオオォオ」
川を枯らした火ノ神はズボンを履き直しているモリゾウ目掛けて低空飛行で飛んできた。否、脚力のみで飛んだ。
「ぁ……」
モリゾウの情けない声が口の中からこぼれ落ちてしまった。
しかしその声を置き去りにするかのように召喚兎のディオスダードがモリゾウを右腕で掴みギリギリのところで火ノ神の攻撃から回避した。
火ノ神と同じくディオスダードも脚力のみで跳び込んだのだ。
標的を失った火ノ神はそのまま直線に進んでいく。その直線上にはイチゴとノリがいる。
「ノリ殿ォオ」
ディオスダードの叫び声に反応したノリは肩を貸しているイチゴの背中に抱きついた。大きなノリが小さなイチゴの背中を抱きしめる姿はまるで小動物を抱っこする姿に見える。
ノリはイチゴを守るために自分の背中を火ノ神に向けた。背筋を膨らませているその背中を火ノ神は標準に定める。
しかしノリは捨て身の行動をするためにイチゴを抱きしめ守ろうとしたのではない。
火ノ神がノリの背中に到達する直前、ディオスダードの腕の方が先に届いた。ディオスダードはすでにモリゾウを安全な場所に避難させている。この場に安全な場所があるかどうかは不明だが、その中で安全だと思った人が隠れることができるほど大きな岩のそばに避難させたのだ。
そして届いた腕でノリの背中を掴んだ。跳んできた勢いを殺すことなくディオスダードはさらに踏み込んでから跳んだ。
ディオスダードがノリの背中を掴み、ノリはイチゴを抱き抱えている状態だ。この状態でなければディオスダードは2人同時に助けることができなかったであろう。ディオスダードの一言を聞いて判断したノリの直感が活きた瞬間だ。
刹那の一瞬、ギリギリのところでディオスダードがノリとイチゴを救ったのだった。
標的を失いジャングルの中へと突っ込んでいく火ノ神。すると燃え始めていたジャングルが本格的に燃え始めた。
緑が生茂る静かなジャングルから赤く燃える炎のジャングルへと姿を変えた。
キンタロウは川の中にある濡れた石を火ノ神に向かって投げ続けている。
そんな原始的な攻撃とは対照的にモリゾウは着ている白いワイシャツを脱ぎ始めた。ワイシャツの中には清潔感のある白いシャツを着ていた。
「こういう時は知恵を使って戦うんですよ!」
モリゾウは白いワイシャツを川に浸けて水を染み込ませている。そしてビショビショに濡れたシャツに石を7個ほど入れ飛び出さないように包み込み結んだ。これでモリゾウの知恵から生まれた武器の完成だ。
濡れたシャツに少し小さめの7個の石。ブンブン振り回すだけで遠心力が十分にかかり大ダメージが期待できそうだ。
7個しか石を入れなかったのは自分自身の筋力を計算に入れているからだ。石を入れすぎた場合、思うように攻撃ができない。少なすぎる場合は大ダメージを期待できない。なので7個の石を適量と考えたのだった。
もしもこの武器を扱う人物が筋肉男のノリだった場合、石を30個ほど包み込んでいただろう。それ以上包み込んでもいいのだが、その場合ワイシャツが石を包み込めなくなってしまう。
「近付いてきたら顔面に1撃を喰らわせます」
モリゾウは、いつ襲いかかってくるかわからない火ノ神から目をそらさない。そしてワイシャツと石の武器が乾かないように適度に川に沈めて濡らしている。
「オラァ! オラァ! オラァァア!」
キンタロウは川に落ちている石を全て投げるくらいの勢いで火ノ神目掛けて投げ続けている。原始的な攻撃だが火ノ神にとってはどんな攻撃よりも鬱陶しいだろう。
その結果、火ノ神は砂嵐を撒き散らすディオスダードを無視しキンタロウとモリゾウがいる川へ猛スピードで急降下した。
全身を燃やしながら急降下する姿はまるで隕石だ。
「怒らせすぎたー!」
キンタロウには近距離攻撃の方法がない。そして隕石を受け止める方法もない。なのでキンタロウは走った。
火ノ神はキンタロウを追うことなく真っ直ぐに急降下していく。
「方向を変えないのなら狙いやすいです!」
モリゾウは急降下する火ノ神を見ながらにワイシャツと石で作った武器をブンブンと振り回し構えた。そしてタイミングを合わせて火ノ神の頭目掛けて思いっきり振りかざした。脳天からの強烈な1撃だ。
「クァアアアアアアアァ」
火ノ神は叫びながら川の中へ無残に散っていった。全身の炎は川の中に入ったことによって消火された。火ノ神の体は3メートルほどあり川の流れには乗らずその場で倒れている。
誰もが火ノ神を倒したと思った瞬間だった。モリゾウが叫んだ。
「ア、ァッツゥイィイ!」
火ノ神が川の中に入ったことによって沸騰するほど川の水が熱くなったのだ。急いで川から抜け出したモリゾウだったがズボンは脚の皮膚に張り付きそうになってしまっている。
すかさずズボンを脱ぎ皮膚に張り付くのを防いだモリゾウだったが川に浸かっていた太腿までの脚の皮膚は赤く腫れており軽い火傷状態だ。
「モリゾウ、大丈夫か!?」
叫びモリゾウを気に掛けるキンタロウはすでに陸に上がっていたので火傷をすることはなかった。
そんなキンタロウの叫び声の方へ目を向けると火ノ神は川の中で燃え始めた。水と火の関係性が逆転している。
水が火を消すのではなく、火が水を蒸発させて消し去っている。最大の弱点だと思われていた水が無惨に枯れていく。
上流から流れてくる水も火ノ神に近付くにつれて蒸発。あっという間に川には流れる水がなくなった。そこは、川だった場所へと変わり果てた。
そんな時2人を呼ぶ声がジャングルの方から飛んできた。
「キンタロウくん! モリゾウくん!」
その声はノリに肩を貸しているか弱い少女、イチゴの大きな声だった。
緑ヘビとの戦いで致命傷を負っていたノリはジャングルの中で走っている途中に限界を超えてしまっていたのだ。幸い火ノ神はキンタロウに夢中だったのでノリが狙われることはなかったのだ。
そしてイチゴとノリの後ろには黒い煙が上がっていた。
「ジャングルがぁ」
イチゴの不安で叫ぶ声とその背後を見れば一目瞭然だ。ジャングルは火ノ神の全身の炎と熱風攻撃によって引火してしまっていたのだった。森林火災寸前の光景だ。
このままジャングルが燃えてしまえば逃げ道がどんどんとなくなってしまう。
そもそもジャングルという燃えやすい環境のラスボスに火の鳥を配置するこのゲームの神様は頭がイかれているとしか思えない。
「クォオオオオオォオ」
川を枯らした火ノ神はズボンを履き直しているモリゾウ目掛けて低空飛行で飛んできた。否、脚力のみで飛んだ。
「ぁ……」
モリゾウの情けない声が口の中からこぼれ落ちてしまった。
しかしその声を置き去りにするかのように召喚兎のディオスダードがモリゾウを右腕で掴みギリギリのところで火ノ神の攻撃から回避した。
火ノ神と同じくディオスダードも脚力のみで跳び込んだのだ。
標的を失った火ノ神はそのまま直線に進んでいく。その直線上にはイチゴとノリがいる。
「ノリ殿ォオ」
ディオスダードの叫び声に反応したノリは肩を貸しているイチゴの背中に抱きついた。大きなノリが小さなイチゴの背中を抱きしめる姿はまるで小動物を抱っこする姿に見える。
ノリはイチゴを守るために自分の背中を火ノ神に向けた。背筋を膨らませているその背中を火ノ神は標準に定める。
しかしノリは捨て身の行動をするためにイチゴを抱きしめ守ろうとしたのではない。
火ノ神がノリの背中に到達する直前、ディオスダードの腕の方が先に届いた。ディオスダードはすでにモリゾウを安全な場所に避難させている。この場に安全な場所があるかどうかは不明だが、その中で安全だと思った人が隠れることができるほど大きな岩のそばに避難させたのだ。
そして届いた腕でノリの背中を掴んだ。跳んできた勢いを殺すことなくディオスダードはさらに踏み込んでから跳んだ。
ディオスダードがノリの背中を掴み、ノリはイチゴを抱き抱えている状態だ。この状態でなければディオスダードは2人同時に助けることができなかったであろう。ディオスダードの一言を聞いて判断したノリの直感が活きた瞬間だ。
刹那の一瞬、ギリギリのところでディオスダードがノリとイチゴを救ったのだった。
標的を失いジャングルの中へと突っ込んでいく火ノ神。すると燃え始めていたジャングルが本格的に燃え始めた。
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