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038:ターザンロープからの救世主
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慎重すぎる性格のモリゾウ。大きな失敗は少ないが勝機を逃すことも多々ある。
今回の青ワニとの戦いでは、瞬時に青ワニの攻略法を判断し勝利を掴んだと思っていたが甘かった。慎重さが欠けてしまえばより一層、勝機を逃してしまうのだ。
少しの判断ミスがこの世界では死へと繋がる。
「アァァア、アァァァアー!」
モリゾウとイチゴは死を確信した瞬間、川の奥の森のから大きなマヌケな低い声が響き渡った。
その声は物凄いスピードでこちらに近付いて来ている。死の牙よりも先にモリゾウたちの元へと到達するかの勢いだ。
「ァアア、ウヴェェエエエ」
マヌケの声の主は吐き気を我慢しながら両手でしっかりと持った丈夫そうな木のを青ワニの目に向かって刺叩きつけた。青ワニはその衝撃に耐えられず陸に上がった魚のようにもがき苦しむ。
そんな青ワニに強烈な1撃を喰らわしたのは、ロープのようなものに巻き付かれている檸檬色の髪が特徴の少年。金宮キンタロウだった。
「キンタロウくん!」
「間に合ったッ! ヴォェェエエ」
イチゴの声に応えるようにツルにぶら下がっているキンタロウは歯を光らせてサムズアップをした。しかし浮遊感が苦手なキンタロウはすぐさま吐き気を催す。
キンタロウの腰にしっかりと巻きついているロープのようなものは、キンタロウとノリが倒した約25メートルほどある緑ヘビの体だ。その体を木とキンタロウの腰にしっかりと巻き付けてターザンロープのように使い崖の上のジャングルから川の方まで飛んできのだった。
しかしただターザンのように飛んだだけではない。筋肉男のノリがキンタロウを投げ飛ばし速さと威力を何倍にも増幅させたのだ。おかげでキンタロウの顔色は悪い。
「ど、どうだ……ワニ野郎……」
ぶらんぶらんと緑ヘビの体にぶら下がりながら青ワニに人差し指を差して言った。
キンタロウの体に巻き付いている緑ヘビの体は、外れないように頑丈に結びすぎている。なのでキンタロウは着地することができずにただぶら下がり続ける。そして勢いが速すぎたせいでそのまま来た方へと戻っていく。
来た方向にはそびえ立つ崖の壁だ。
「か、壁ぇえ! ヤベぇえ」
何も考えてなかったのだろうか。振り子のように戻るのは当然だろう。
しかし運良く草木が生えている場所に当たったので壁に激突せずに済んだ。
「ぶはッ! 助かった」
壁に激突しなかったことに安堵するキンタロウ。その姿を見てヒヤヒヤしていたモリゾウとイチゴ、そしてノリ。
「ノリ! 引っ張ってくれ~! 苦しいぃいい! 吐きそう! 強く結びすぎだこれぇえ」
騒がしいキンタロウはノリに引っ張ってもらうように要求する。その声を聞いたノリはマッチョポーズをとった。
「ポーズはいいから引っ張ってくれ~」
ノリはマッチョポーズを止め、ゆっくりとキンタロウを引き上げる。
キンタロウとノリの無事を確認することができたモリゾウとイチゴ。
そしてキンタロウの1撃のおかげでもがき苦しむ青ワニ。
もう何も迷うことはないだろう。あとは閉じた喉が開きあの言葉を唱えるだけだ。
絶好のチャンス。
「ディオスダード! お願いします!」
モリゾウは右手をかざし召喚兎のディオスダードを召喚した。
今回の青ワニとの戦いでは、瞬時に青ワニの攻略法を判断し勝利を掴んだと思っていたが甘かった。慎重さが欠けてしまえばより一層、勝機を逃してしまうのだ。
少しの判断ミスがこの世界では死へと繋がる。
「アァァア、アァァァアー!」
モリゾウとイチゴは死を確信した瞬間、川の奥の森のから大きなマヌケな低い声が響き渡った。
その声は物凄いスピードでこちらに近付いて来ている。死の牙よりも先にモリゾウたちの元へと到達するかの勢いだ。
「ァアア、ウヴェェエエエ」
マヌケの声の主は吐き気を我慢しながら両手でしっかりと持った丈夫そうな木のを青ワニの目に向かって刺叩きつけた。青ワニはその衝撃に耐えられず陸に上がった魚のようにもがき苦しむ。
そんな青ワニに強烈な1撃を喰らわしたのは、ロープのようなものに巻き付かれている檸檬色の髪が特徴の少年。金宮キンタロウだった。
「キンタロウくん!」
「間に合ったッ! ヴォェェエエ」
イチゴの声に応えるようにツルにぶら下がっているキンタロウは歯を光らせてサムズアップをした。しかし浮遊感が苦手なキンタロウはすぐさま吐き気を催す。
キンタロウの腰にしっかりと巻きついているロープのようなものは、キンタロウとノリが倒した約25メートルほどある緑ヘビの体だ。その体を木とキンタロウの腰にしっかりと巻き付けてターザンロープのように使い崖の上のジャングルから川の方まで飛んできのだった。
しかしただターザンのように飛んだだけではない。筋肉男のノリがキンタロウを投げ飛ばし速さと威力を何倍にも増幅させたのだ。おかげでキンタロウの顔色は悪い。
「ど、どうだ……ワニ野郎……」
ぶらんぶらんと緑ヘビの体にぶら下がりながら青ワニに人差し指を差して言った。
キンタロウの体に巻き付いている緑ヘビの体は、外れないように頑丈に結びすぎている。なのでキンタロウは着地することができずにただぶら下がり続ける。そして勢いが速すぎたせいでそのまま来た方へと戻っていく。
来た方向にはそびえ立つ崖の壁だ。
「か、壁ぇえ! ヤベぇえ」
何も考えてなかったのだろうか。振り子のように戻るのは当然だろう。
しかし運良く草木が生えている場所に当たったので壁に激突せずに済んだ。
「ぶはッ! 助かった」
壁に激突しなかったことに安堵するキンタロウ。その姿を見てヒヤヒヤしていたモリゾウとイチゴ、そしてノリ。
「ノリ! 引っ張ってくれ~! 苦しいぃいい! 吐きそう! 強く結びすぎだこれぇえ」
騒がしいキンタロウはノリに引っ張ってもらうように要求する。その声を聞いたノリはマッチョポーズをとった。
「ポーズはいいから引っ張ってくれ~」
ノリはマッチョポーズを止め、ゆっくりとキンタロウを引き上げる。
キンタロウとノリの無事を確認することができたモリゾウとイチゴ。
そしてキンタロウの1撃のおかげでもがき苦しむ青ワニ。
もう何も迷うことはないだろう。あとは閉じた喉が開きあの言葉を唱えるだけだ。
絶好のチャンス。
「ディオスダード! お願いします!」
モリゾウは右手をかざし召喚兎のディオスダードを召喚した。
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