32 / 97
032:モグラ人間
しおりを挟む
場面は変わりモリゾウとイチゴの前にモグラが現れたところに戻る。
「危ないですっ!」
イチゴを守ろうと飛び込んだモリゾウ。モリゾウが飛び込んだおかげでモグラとの衝突を免れた。しかし飛び込んだ反動で2人は転がった。
そしてすぐさま立ち上がりモグラに警戒を強める。モグラはただのモグラではない。服を着ているのだ。Tシャツは土で汚れていてぐちゃぐちゃに伸びている。おそらく柄物のTシャツだっただろう。もう何の柄のシャツなのか判別ができないほど汚れているのだ。
その姿からモグラ人間と言ってもおかしくはないだろう。
「悪い悪い驚かしちまったな。この姿にまだ慣れてないもんでな」
服を着ているモグラは話すこともできるようだ。両手を上げ敵意のない話し方をしているモグラ人間にモリゾウとイチゴの警戒は薄れる。
「モ、モグラが喋ったぁ」
喋るモグラに驚くイチゴ。喋るウサギで慣れているはずだが新鮮な驚きだ。
「女性の足音がしたんで妹たちが入っちまったんだと思って来たってわけよ。妹じゃなくてよかったわ。それじゃ待たなっ!」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
モグラ人間は飛び出してきた穴に戻ろうとしたがモリゾウの声がそれを止めた。
「妹たちってまさかダイチさんですか? ウミちゃんとソラさんのお兄さんの!
「ああ、そうだ。ということはスタート地点で妹たちに会ったんだな? ちゃんと待っててくれてるんだな?」
このモグラだと思われた男性はウミとソラが探している兄だった。
モグラ人間の姿だが全身の毛皮の色はウミの髪色と同じ栗色をしている。身長はキンタロウよりも少し低いくらいだろうか。モグラ人間の姿をしているのでハッキリとした身長や年齢などはわからない。
「ちょうど良かったです。ダイチさんを探していたんですよ」
「お、俺を? 俺は宝箱じゃねえぞ? そっちのミッションは俺を探すことなのか?」
「いいえ。宝探しは同じなんですがウミちゃんたちにダイチさんを無事に連れてくると約束したんです。もちろんミッションをクリアしてからですけど」
そのままモリゾウはモグラ人間のダイチに向かって右手を差し出す。
その時の表情はあまりにも希望に満ちた表情だった。その表情をみたダイチは次になにを言われるのかをモリゾウの言葉が出る前に頭の中で理解した。
「僕たちと協力して一緒にクリアしませんか?」
やっぱりな、とダイチは想像していた言葉が飛んできて思わずニヤけてしまった。
「ふっ。協力か……」
「だ、ダメですか?」
「いいや。願ったり叶ったりだ。協力者が現れるとは思ってなかったんでな」
ダイチはモリゾウが差し出している右手をモグラになった大きな手で触った。握手できるような関節は持ち合わせていなかったのでこれがモグラ人間なりの握手ということだろう。
そして手と手が触れて協力関係を結んだ瞬間にダイチがモリゾウとイチゴの顔をゆっくりと見てから口を開いた。
「協力関係を結んだ後で悪いんだが、実は俺だけじゃクリアできない壁にブチ当たってたところだったんだ。んでどっちか2人、頭はいいか?」
「私たちの中だとモリゾウくんが一番頭良いよぉ」
「私・た・ち・ってことは他にも仲間がいるのか?」
イチゴの言葉だけで他に仲間がいるということに気が付いたダイチ。ダイチも相当頭が切れるタイプらしい。
「鋭いですね。僕たちは4人で行動してます。僕はモリゾウです。こちらは……
「イチゴですぅ」
「それで他の2人は逸れてしまいました。騒がしい金髪頭のキンタロウと筋肉男のノリの4人で行動してます」
自己紹介がまだだったことに気付きモリゾウは改めてボドゲ部のメンバーの自己紹介をした。
自己紹介をすることによって逸れてしまった2人の手がかりを探ろうとしていたがダイチは「残念ながら見かけていない」と首を横に振った。
「ところでクリアできない壁とはなんなんですか?」
キンタロウたちの行方について手がかりがないことを知ったモリゾウは話を戻した。
先ほどのダイチの質問でイチゴが答えたように勉学においての成績は現状モリゾウが学年1位を独走中だ。ボドゲ部の中でも圧倒的にモリゾウの頭は良い。
次に頭が良いのはイチゴだろう。かといって一般的な学力と言えるだろう。平均な学力と言えばわかりやすいかもしれない。
そして筋肉男のノリ。スポーツ万能の筋肉バカで学力よりも筋肉だ。学力においてはイチゴよりも下と言えるだろう。
最後にキンタロウ。学力だけにおいてはボドゲ部の中では最下位だろう。頭の悪そうな顔つきは見た目通りだ。ただボドゲや賭け事などにおいてはモリゾウ以上の実力を発揮する。
『神様が作った盤上遊戯ボードゲーム』の世界においてはモリゾウ以上に期待できるのはキンタロウかもしれない。
「見せた方が早い。とりあえずついてきてくれ。俺がブチ当たった壁まで案内する」
「どこに向かうんでしょうか?」
当然の質問だ。見せた方が早いと言われても目的地や目的などを知っておいた方がモリゾウたちも気持ちの整理がしやすい。むしろ問題に直面しているのなら情報はいくらでも欲しいところだ。
「目的地は右耳だ!」
モリゾウたちが向かう目的地は地図上で宝箱が置いてあるウサギの顔の地形の右耳だとダイチは言った。
「危ないですっ!」
イチゴを守ろうと飛び込んだモリゾウ。モリゾウが飛び込んだおかげでモグラとの衝突を免れた。しかし飛び込んだ反動で2人は転がった。
そしてすぐさま立ち上がりモグラに警戒を強める。モグラはただのモグラではない。服を着ているのだ。Tシャツは土で汚れていてぐちゃぐちゃに伸びている。おそらく柄物のTシャツだっただろう。もう何の柄のシャツなのか判別ができないほど汚れているのだ。
その姿からモグラ人間と言ってもおかしくはないだろう。
「悪い悪い驚かしちまったな。この姿にまだ慣れてないもんでな」
服を着ているモグラは話すこともできるようだ。両手を上げ敵意のない話し方をしているモグラ人間にモリゾウとイチゴの警戒は薄れる。
「モ、モグラが喋ったぁ」
喋るモグラに驚くイチゴ。喋るウサギで慣れているはずだが新鮮な驚きだ。
「女性の足音がしたんで妹たちが入っちまったんだと思って来たってわけよ。妹じゃなくてよかったわ。それじゃ待たなっ!」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
モグラ人間は飛び出してきた穴に戻ろうとしたがモリゾウの声がそれを止めた。
「妹たちってまさかダイチさんですか? ウミちゃんとソラさんのお兄さんの!
「ああ、そうだ。ということはスタート地点で妹たちに会ったんだな? ちゃんと待っててくれてるんだな?」
このモグラだと思われた男性はウミとソラが探している兄だった。
モグラ人間の姿だが全身の毛皮の色はウミの髪色と同じ栗色をしている。身長はキンタロウよりも少し低いくらいだろうか。モグラ人間の姿をしているのでハッキリとした身長や年齢などはわからない。
「ちょうど良かったです。ダイチさんを探していたんですよ」
「お、俺を? 俺は宝箱じゃねえぞ? そっちのミッションは俺を探すことなのか?」
「いいえ。宝探しは同じなんですがウミちゃんたちにダイチさんを無事に連れてくると約束したんです。もちろんミッションをクリアしてからですけど」
そのままモリゾウはモグラ人間のダイチに向かって右手を差し出す。
その時の表情はあまりにも希望に満ちた表情だった。その表情をみたダイチは次になにを言われるのかをモリゾウの言葉が出る前に頭の中で理解した。
「僕たちと協力して一緒にクリアしませんか?」
やっぱりな、とダイチは想像していた言葉が飛んできて思わずニヤけてしまった。
「ふっ。協力か……」
「だ、ダメですか?」
「いいや。願ったり叶ったりだ。協力者が現れるとは思ってなかったんでな」
ダイチはモリゾウが差し出している右手をモグラになった大きな手で触った。握手できるような関節は持ち合わせていなかったのでこれがモグラ人間なりの握手ということだろう。
そして手と手が触れて協力関係を結んだ瞬間にダイチがモリゾウとイチゴの顔をゆっくりと見てから口を開いた。
「協力関係を結んだ後で悪いんだが、実は俺だけじゃクリアできない壁にブチ当たってたところだったんだ。んでどっちか2人、頭はいいか?」
「私たちの中だとモリゾウくんが一番頭良いよぉ」
「私・た・ち・ってことは他にも仲間がいるのか?」
イチゴの言葉だけで他に仲間がいるということに気が付いたダイチ。ダイチも相当頭が切れるタイプらしい。
「鋭いですね。僕たちは4人で行動してます。僕はモリゾウです。こちらは……
「イチゴですぅ」
「それで他の2人は逸れてしまいました。騒がしい金髪頭のキンタロウと筋肉男のノリの4人で行動してます」
自己紹介がまだだったことに気付きモリゾウは改めてボドゲ部のメンバーの自己紹介をした。
自己紹介をすることによって逸れてしまった2人の手がかりを探ろうとしていたがダイチは「残念ながら見かけていない」と首を横に振った。
「ところでクリアできない壁とはなんなんですか?」
キンタロウたちの行方について手がかりがないことを知ったモリゾウは話を戻した。
先ほどのダイチの質問でイチゴが答えたように勉学においての成績は現状モリゾウが学年1位を独走中だ。ボドゲ部の中でも圧倒的にモリゾウの頭は良い。
次に頭が良いのはイチゴだろう。かといって一般的な学力と言えるだろう。平均な学力と言えばわかりやすいかもしれない。
そして筋肉男のノリ。スポーツ万能の筋肉バカで学力よりも筋肉だ。学力においてはイチゴよりも下と言えるだろう。
最後にキンタロウ。学力だけにおいてはボドゲ部の中では最下位だろう。頭の悪そうな顔つきは見た目通りだ。ただボドゲや賭け事などにおいてはモリゾウ以上の実力を発揮する。
『神様が作った盤上遊戯ボードゲーム』の世界においてはモリゾウ以上に期待できるのはキンタロウかもしれない。
「見せた方が早い。とりあえずついてきてくれ。俺がブチ当たった壁まで案内する」
「どこに向かうんでしょうか?」
当然の質問だ。見せた方が早いと言われても目的地や目的などを知っておいた方がモリゾウたちも気持ちの整理がしやすい。むしろ問題に直面しているのなら情報はいくらでも欲しいところだ。
「目的地は右耳だ!」
モリゾウたちが向かう目的地は地図上で宝箱が置いてあるウサギの顔の地形の右耳だとダイチは言った。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
戦場立志伝
居眠り
SF
荒廃した地球を捨てた人類は宇宙へと飛び立つ。
運良く見つけた惑星で人類は民主国家ゾラ連合を
建国する。だが独裁を主張する一部の革命家たちがゾラ連合を脱出し、ガンダー帝国を築いてしまった。さらにその中でも過激な思想を持った過激派が宇宙海賊アビスを立ち上げた。それを抑える目的でゾラ連合からハル平和民主連合が結成されるなど宇宙は混沌の一途を辿る。
主人公のアルベルトは愛機に乗ってゾラ連合のエースパイロットとして戦場を駆ける。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
ロボット旅行記
阿頼耶識(あらやしき)
SF
人類が滅亡し新人類となったAIは地球に蔓延る大気汚染や環境整備にをする為に動いていた。
旧式AIのラニーは1つのメモリーチップを拾い人類の記憶を読み取った。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
毒素擬人化小説『ウミヘビのスープ』 〜十の賢者と百の猛毒が、寄生菌バイオハザード鎮圧を目指すSFファンタジー〜
天海二色
SF
西暦2320年、世界は寄生菌『珊瑚』がもたらす不治の病、『珊瑚症』に蝕まれていた。
珊瑚症に罹患した者はステージの進行と共に異形となり凶暴化し、生物災害【バイオハザード】を各地で引き起こす。
その珊瑚症の感染者が引き起こす生物災害を鎮める切り札は、毒素を宿す有毒人種《ウミヘビ》。
彼らは一人につき一つの毒素を持つ。
医師モーズは、その《ウミヘビ》を管理する研究所に奇縁によって入所する事となった。
彼はそこで《ウミヘビ》の手を借り、生物災害鎮圧及び珊瑚症の治療薬を探究することになる。
これはモーズが、治療薬『テリアカ』を作るまでの物語である。
……そして個性豊か過ぎるウミヘビと、同僚となる癖の強いクスシに振り回される物語でもある。
※《ウミヘビ》は毒劇や危険物、元素を擬人化した男子になります
※研究所に所属している職員《クスシヘビ》は全員モデルとなる化学者がいます
※この小説は国家資格である『毒物劇物取扱責任者』を覚える為に考えた話なので、日本の法律や規約を世界観に採用していたりします。
参考文献
松井奈美子 一発合格! 毒物劇物取扱者試験テキスト&問題集
船山信次 史上最強カラー図解 毒の科学 毒と人間のかかわり
齋藤勝裕 毒の科学 身近にある毒から人間がつくりだした化学物質まで
鈴木勉 毒と薬 (大人のための図鑑)
特別展「毒」 公式図録
くられ、姫川たけお 毒物ずかん: キュートであぶない毒キャラの世界へ
ジェームス・M・ラッセル著 森 寛敏監修 118元素全百科
その他広辞苑、Wikipediaなど
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

博士の女性優位社会
色白ゆうじろう
SF
ショートショート。SFかな…
急進的な女性社会の到来を望む遺伝学の博士が、長年の遺伝子操作により真の「女性優位社会」の実現を目論みますが…
※特定の主義主張を揶揄したものではありません。創作です。

現代ダンジョンで成り上がり!
カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる!
現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。
舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。
四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる