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023:ノリのスキル判明?
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妹ウサギは召喚獣についての説明を始めた。
「6面ダイスを1つ振ってもらうわよ~。出た目によってもらえる召喚獣が変化するわ。1はウサギ、2は2ウサギ、3はウサギ、4もウサギ、5もウサギ、6もウサギ!」
「全部ウサギじゃんかよー!」
もらえる召喚獣の説明をした妹ウサギに対してキンタロウがツッコミながら飛びついた。
「なんで全部ウサギなんだよー! 召喚獣じゃないのかよー!」
妹ウサギをもふもふしながら激しく抗議するキンタロウ。
「ま、待て話を……そ、そこ、話を最後ま、アハッハ、そこはダメ……うぃいい……」
自称キングオブモフリストのもふりを喰らい気持ち良くなったりくすぐったくなったり様々な表情に変わる妹ウサギ。
そんな妹ウサギとキンタロウを羨ましそうにイチゴは見ていた。
「いいなぁ……じゅるりぃ……」
イチゴはヨダレが垂れそうになりすすった。その姿はウサギを獲物に定めた肉食動物のようだ。
しかしイチゴはウサギを食べたりなんかしない。もふりたくてヨダレが出てしまっただけだ。
「1から6のウサギって全て違うウサギなんですよね? そうじゃなければサイコロを振る意味がない……」
モリゾウは手に顎を乗せながら静かに問いかけた。
その問いかけを聞いたキンタロウはもふるのをやめて妹ウサギの返答を待つ。
「も、もちろんですわ~。す、数字が高ければ高いほど、つ、強い子が召喚獣として仲間になりますわ~」
もふられていた余韻が残りながらも妹ウサギは補足情報を伝える。
召喚獣に関する情報をまとめても『召喚獣』ではなく『召喚兎』と呼んだ方が正しいのではないかと一同、心の中で思った。
召喚獣という紛らわしい名前のせいで変な期待をしてしまったと全員が後悔している。
「それじゃ、またサイコロを振るのはキンちゃんにしましょう」
「いや、待て……」
モリゾウはサイコロを振るのをキンタロウに任せようとしたがキンタロウは真剣な表情で待ったをかけた。
「ここはノリが振ってくれよ。さっきのサイコロバトルでわかったことがある」
「わかったことですか!?」
キンタロウの言葉に首を傾げるモリゾウ。ノリの何がわかったのだというのだろうか?
筋肉男のノリはマッチョポーズをとりキンタロウの言葉の意味を待っている。
「前回の俺の記憶だとノリが振ったサイコロで6が出た。しかもゾロ目だ。それでドラゴンのマスに飛んだ」
「それは聞きましたが、何がわかったんですか……って、まさか……」
「そう。気付いたみたいだな」
モリゾウも何かに気付いた様子だ。イチゴとノリはまだ気が付かずにいる様子なのでキンタロウは言葉を続けた。
「今回のサイコロバトルも6の目が出ただろ。6がこんなに出るのっておかしくないか? 出ないってことはないだろうけど何かカラクリがあると思うんだよ」
「それがノリちゃんの……」
「ああ、スキルかもしれないな」
キンタロウはノリのスキルの影響で6の目が出るのではないかと予想した。あり得なくない話だ。むしろ6の目が連続出る確率よりもあり得る話だ。
モリゾウもキンタロウが予想した答えにたどり着き納得した表情をしている。
これはボドゲ部が一度、ドラゴンと戦うルートに行っていなければたどり着かなかった答えだろう。
否、いずれノリのスキルは判明していたかもしれない。だが、こんなに早く判明する事はない。
これも全てキンタロウが過去に戻ってきたおかげだ。ただでは過去には戻っていない。キンタロウは仲間の命を救うために戻ったのだから。
少しでも役に立つ情報なら小さな頭でもフル回転させる。それくらいの勢いでなければ今後のマスでも戦っていけないのだ。
「試してみよう」
ノリはマッチョポーズをリズミカルに変えながら歩き出し、ぶくぶく太っている妹ウサギの前に立った。そしてサイドチェストをして自分が振るとアピールをする。
「間近で見るとすごい筋肉だわね……で、では『ウサギダイスき』と唱えてください!」
妹ウサギの指示に従いノリは「ウサギダイスき」と唱えた。
すると兄ウサギのボンの時とは違いニンジン料理の写真がプリントされたサイコロが出てきた。
サイコロの目を好きなものに変えている兄妹ウサギ。血は争えないとはこのことだ。
「戦った後ですし、お腹空いてきちゃいましたわ~」と妹ウサギは、出現したサイコロを見て呟いた。
サイコロの目はニンジン料理の写真がプリントされているだけでどの写真がどの数字なのか全くわからない。
「どれがどの目なんだ?」
「あたちの好きなニンジン料理ベスト6よ。1位が1の数になるわ」
ノリの問いかけに当たり前のように答えた妹ウサギだったがそれだけを聞いてもどれがどの数の目なのかわからない。
1位が1の数なら6位は6の数。ランクが低い方がサイコロとしての数が大きい。なんともややこしいことになっている。
「6が出ればキンタロウが言った通り俺のスキルが確定するな。6だけ教えてくれ」
「6はこれよ」
妹ウサギは6の目をノリに教えた。
6の目にプリントされているニンジン料理は『ニンジンしりしり』だ。千切りしたニンジンを卵と炒める簡単な料理。
「よし。それじゃ振るぞー!」
ノリはサイコロを天高く思いっきり投げ飛ばした。サイコロが宙に浮き落下するまでの浮遊時間、ノリはマッチョポーズをとった。
ノリなりに神様にでも祈っているのだろう。
サイコロが落ちた瞬間にポージングを変えるノリ。そして転がり続けるサイコロを見届ける。
ゆっくりとゆっくりと。まるで決められた面に向かってゆっくりと転がるように。
サイコロは勢いが失われ停止する。サイコロの面の写真はキンタロウが予想した通り『ニンジンしりしり』つまり6の目だ。
「やっぱりノリのスキルってサイコロが6しか出ないようになっているみたいだな」
「そうみたいだな」とキンタロウの言葉に珍しく言葉で返した筋肉男のノリ。
そんな中モリゾウは「サイコロだけじゃないかもしれませんよ」と声をあげた。
「ここからは僕の考えなんですが、ノリちゃんのサイコロの目が6になるスキルってもしかしたらトランプとかガラガラ抽選やくじの類とかでも自動的に発動するんじゃないかと僕は思います」
サイコロの場合は1番数字の大きい面が出る。6面ダイスなら6。3面ダイスなら3。といったところだろう。
トランプの場合、ランダムに配られたトランプを1枚引いた時に1番数字の大きいキングのカードを引いたりできる。
くじの場合では、数字が書かれた紙が入っている箱から1枚取った時に1番数字が大きいものを引き当てることができる。
これがモリゾウの話すノリのスキルの可能性だ。
しかしモリゾウの考えはあくまで憶測に過ぎない。だが、あながち間違いでもなさそうに思える。
トランプやくじがこの場にない以上それを確認する方法はない。
「つまりノリのスキルは最大の数値が確実に出るってことか?」
「はい。そうだと思いますよ。最大値スキルとでも呼びましょうかね」
キンタロウの問いにモリゾウが人差し指を立てながら答えた。そしてノリのスキル名も勝手に名付けた。
「最大値スキルか」とノリが、名付けられたばかりの自分のスキル名を小さな声で呟いた。
筋肉男のノリと最大値スキルの相性は未知数だ。そんな未知数のスキルにノリはマッチョポーズで喜びを表現した。
そしてキンタロウはキラキラと希望が見えたかのような表情になっている。
「じゃあさ、進むマスを決める青いサイコロはノリの担当になるよな! 必ず6が出て6マス進むことになるからさ! 最短で100マスのゴールにたどり着くことができるかもしれない!」
「でも層を決める赤いサイコロは絶対ダメですね。第6層には死のゲームが待ち受けてます。ノリちゃんが振れば確実に死のゲームに直行です」
「赤いサイコロだけは絶対に触るなよ!」
キンタロウとモリゾウはノリのスキルのメリットとデメリットを話し合った。その話からノリは青いサイコロ担当という役割が決定した。
この間、イチゴは妹ウサギを思う存分もふりまくっていた。何かに取り憑かれたかのようにもふり続けている。
「ウサギさんッウサギさんッ!」
「あふ……なかなか……そこ、いい、そこ、もっと……あふっ!」
そう。この場にいる全員が召喚獣のことを忘れていたのだった。
「6面ダイスを1つ振ってもらうわよ~。出た目によってもらえる召喚獣が変化するわ。1はウサギ、2は2ウサギ、3はウサギ、4もウサギ、5もウサギ、6もウサギ!」
「全部ウサギじゃんかよー!」
もらえる召喚獣の説明をした妹ウサギに対してキンタロウがツッコミながら飛びついた。
「なんで全部ウサギなんだよー! 召喚獣じゃないのかよー!」
妹ウサギをもふもふしながら激しく抗議するキンタロウ。
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自称キングオブモフリストのもふりを喰らい気持ち良くなったりくすぐったくなったり様々な表情に変わる妹ウサギ。
そんな妹ウサギとキンタロウを羨ましそうにイチゴは見ていた。
「いいなぁ……じゅるりぃ……」
イチゴはヨダレが垂れそうになりすすった。その姿はウサギを獲物に定めた肉食動物のようだ。
しかしイチゴはウサギを食べたりなんかしない。もふりたくてヨダレが出てしまっただけだ。
「1から6のウサギって全て違うウサギなんですよね? そうじゃなければサイコロを振る意味がない……」
モリゾウは手に顎を乗せながら静かに問いかけた。
その問いかけを聞いたキンタロウはもふるのをやめて妹ウサギの返答を待つ。
「も、もちろんですわ~。す、数字が高ければ高いほど、つ、強い子が召喚獣として仲間になりますわ~」
もふられていた余韻が残りながらも妹ウサギは補足情報を伝える。
召喚獣に関する情報をまとめても『召喚獣』ではなく『召喚兎』と呼んだ方が正しいのではないかと一同、心の中で思った。
召喚獣という紛らわしい名前のせいで変な期待をしてしまったと全員が後悔している。
「それじゃ、またサイコロを振るのはキンちゃんにしましょう」
「いや、待て……」
モリゾウはサイコロを振るのをキンタロウに任せようとしたがキンタロウは真剣な表情で待ったをかけた。
「ここはノリが振ってくれよ。さっきのサイコロバトルでわかったことがある」
「わかったことですか!?」
キンタロウの言葉に首を傾げるモリゾウ。ノリの何がわかったのだというのだろうか?
筋肉男のノリはマッチョポーズをとりキンタロウの言葉の意味を待っている。
「前回の俺の記憶だとノリが振ったサイコロで6が出た。しかもゾロ目だ。それでドラゴンのマスに飛んだ」
「それは聞きましたが、何がわかったんですか……って、まさか……」
「そう。気付いたみたいだな」
モリゾウも何かに気付いた様子だ。イチゴとノリはまだ気が付かずにいる様子なのでキンタロウは言葉を続けた。
「今回のサイコロバトルも6の目が出ただろ。6がこんなに出るのっておかしくないか? 出ないってことはないだろうけど何かカラクリがあると思うんだよ」
「それがノリちゃんの……」
「ああ、スキルかもしれないな」
キンタロウはノリのスキルの影響で6の目が出るのではないかと予想した。あり得なくない話だ。むしろ6の目が連続出る確率よりもあり得る話だ。
モリゾウもキンタロウが予想した答えにたどり着き納得した表情をしている。
これはボドゲ部が一度、ドラゴンと戦うルートに行っていなければたどり着かなかった答えだろう。
否、いずれノリのスキルは判明していたかもしれない。だが、こんなに早く判明する事はない。
これも全てキンタロウが過去に戻ってきたおかげだ。ただでは過去には戻っていない。キンタロウは仲間の命を救うために戻ったのだから。
少しでも役に立つ情報なら小さな頭でもフル回転させる。それくらいの勢いでなければ今後のマスでも戦っていけないのだ。
「試してみよう」
ノリはマッチョポーズをリズミカルに変えながら歩き出し、ぶくぶく太っている妹ウサギの前に立った。そしてサイドチェストをして自分が振るとアピールをする。
「間近で見るとすごい筋肉だわね……で、では『ウサギダイスき』と唱えてください!」
妹ウサギの指示に従いノリは「ウサギダイスき」と唱えた。
すると兄ウサギのボンの時とは違いニンジン料理の写真がプリントされたサイコロが出てきた。
サイコロの目を好きなものに変えている兄妹ウサギ。血は争えないとはこのことだ。
「戦った後ですし、お腹空いてきちゃいましたわ~」と妹ウサギは、出現したサイコロを見て呟いた。
サイコロの目はニンジン料理の写真がプリントされているだけでどの写真がどの数字なのか全くわからない。
「どれがどの目なんだ?」
「あたちの好きなニンジン料理ベスト6よ。1位が1の数になるわ」
ノリの問いかけに当たり前のように答えた妹ウサギだったがそれだけを聞いてもどれがどの数の目なのかわからない。
1位が1の数なら6位は6の数。ランクが低い方がサイコロとしての数が大きい。なんともややこしいことになっている。
「6が出ればキンタロウが言った通り俺のスキルが確定するな。6だけ教えてくれ」
「6はこれよ」
妹ウサギは6の目をノリに教えた。
6の目にプリントされているニンジン料理は『ニンジンしりしり』だ。千切りしたニンジンを卵と炒める簡単な料理。
「よし。それじゃ振るぞー!」
ノリはサイコロを天高く思いっきり投げ飛ばした。サイコロが宙に浮き落下するまでの浮遊時間、ノリはマッチョポーズをとった。
ノリなりに神様にでも祈っているのだろう。
サイコロが落ちた瞬間にポージングを変えるノリ。そして転がり続けるサイコロを見届ける。
ゆっくりとゆっくりと。まるで決められた面に向かってゆっくりと転がるように。
サイコロは勢いが失われ停止する。サイコロの面の写真はキンタロウが予想した通り『ニンジンしりしり』つまり6の目だ。
「やっぱりノリのスキルってサイコロが6しか出ないようになっているみたいだな」
「そうみたいだな」とキンタロウの言葉に珍しく言葉で返した筋肉男のノリ。
そんな中モリゾウは「サイコロだけじゃないかもしれませんよ」と声をあげた。
「ここからは僕の考えなんですが、ノリちゃんのサイコロの目が6になるスキルってもしかしたらトランプとかガラガラ抽選やくじの類とかでも自動的に発動するんじゃないかと僕は思います」
サイコロの場合は1番数字の大きい面が出る。6面ダイスなら6。3面ダイスなら3。といったところだろう。
トランプの場合、ランダムに配られたトランプを1枚引いた時に1番数字の大きいキングのカードを引いたりできる。
くじの場合では、数字が書かれた紙が入っている箱から1枚取った時に1番数字が大きいものを引き当てることができる。
これがモリゾウの話すノリのスキルの可能性だ。
しかしモリゾウの考えはあくまで憶測に過ぎない。だが、あながち間違いでもなさそうに思える。
トランプやくじがこの場にない以上それを確認する方法はない。
「つまりノリのスキルは最大の数値が確実に出るってことか?」
「はい。そうだと思いますよ。最大値スキルとでも呼びましょうかね」
キンタロウの問いにモリゾウが人差し指を立てながら答えた。そしてノリのスキル名も勝手に名付けた。
「最大値スキルか」とノリが、名付けられたばかりの自分のスキル名を小さな声で呟いた。
筋肉男のノリと最大値スキルの相性は未知数だ。そんな未知数のスキルにノリはマッチョポーズで喜びを表現した。
そしてキンタロウはキラキラと希望が見えたかのような表情になっている。
「じゃあさ、進むマスを決める青いサイコロはノリの担当になるよな! 必ず6が出て6マス進むことになるからさ! 最短で100マスのゴールにたどり着くことができるかもしれない!」
「でも層を決める赤いサイコロは絶対ダメですね。第6層には死のゲームが待ち受けてます。ノリちゃんが振れば確実に死のゲームに直行です」
「赤いサイコロだけは絶対に触るなよ!」
キンタロウとモリゾウはノリのスキルのメリットとデメリットを話し合った。その話からノリは青いサイコロ担当という役割が決定した。
この間、イチゴは妹ウサギを思う存分もふりまくっていた。何かに取り憑かれたかのようにもふり続けている。
「ウサギさんッウサギさんッ!」
「あふ……なかなか……そこ、いい、そこ、もっと……あふっ!」
そう。この場にいる全員が召喚獣のことを忘れていたのだった。
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