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006:状況整理
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落ち着きを取り戻したモリゾウは立ち上がった。
「と、とりあえず……状況を整理しましょう」
モリゾウは青ざめた表情をしている。状況を整理しようとしているがモリゾウ自身すでに頭の中で状況が整理してあり絶望している。
「このボドゲ空間とかいう、ふざけた空間に僕たち1万人のプレイヤーが移動させられた。そして脳に流れ込んできたルールによるとゲームをクリアしないと現実世界には戻れないみたいですね」
モリゾウの説明を筋肉男のノリと小柄の美少女イチゴが集中しながら聞いている。キンタロウはまだ気絶したままだ。
「ボドゲとしてのルールは2つの6面ダイスを振ってマスを進む双六ゲームのようですね。赤いサイコロは1~6層ある層の場所を決める。青いサイコロは前に進むマスの数を決める。マスは層ごとに100マス。6層あるので全部で600マス存在しますね。ゴールはどの層でも100マス目にたどり着けばいいみたいです」
手に顎を乗せながらゆっくりと倒れているキンタロウの周りを歩き出したモリゾウ。キンタロウを踏まないように注意しながら歩くが、その行動に意味はあるのだろうか。
「赤いサイコロと青いサイコロ、一振りで36パターンですね。どれか一つのマスに止まり、止まったマスでゲームを行う。勝利すると次に進めるらしいです。どんな仕掛けがあるのやら」
モリゾウは説明を終えると歩くのをやめた。
キンタロウ達ボドゲ部は『神様が作った盤上遊戯』の世界に閉じ込められてしまったのだ。この世界を『ボドゲ空間』と言う。
現実世界に戻るには『神様が作った盤上遊戯』をクリアするしか方法がない。
「昔から知っていたかのように頭の中にルールがあるな」
ノリは不思議そうな表情でマッチョポーズをとっている。ポーズと表情が全く噛み合っていない。
「でも頭の中のルールに載っていない情報もありますね。先ほどのピエロについてなんて一切情報がありません」
モリゾウは険しい表情で頭の中の情報を読み返すがどこを見てもピエロについての情報はない。
それは現実世界で『神様が作った盤上遊戯』の製造会社の情報がなかった時と同じように。
「もしかして神様……とかぁ?」
モリゾウよりも先にイチゴが甘い声で最もらしい答えに辿り着いた。
誰もがあのピエロをこのゲームを作った神様だと思うだろう。だが、モリゾウは違和感を感じている。
ピエロがスピーチをしていた時、誰かに話させられているように見えたのだ。
それは主催者側が司会者を用意したイベントのように。それが関係者なのか部外者なのか置いておいてモリゾウはピエロが神様だとは思ってはいない。
『ピロピロリ~ン』
突然頭の中に謎のメロディが流れた。モリゾウとノリとイチゴはお互いに顔を見合わせた。そして他のプレイヤーたちもざわつき始めた。
どうやら全員の頭の中に一斉にメロディが流れたらしい。
このメロディに関してなにも情報はない。頭の中のルールにも載っていない。
しかしこのメロディを聞いた全員が直感した。これはスタートを知らせるメロディだと言うことに。
ピエロが言った1時間が経過したのだ。
「は、始まっちゃった……キ、キンタロウくん起きてぇ」
キンタロウの肩を優しく揺らすイチゴ。そんな優しく揺らしても起きない。心地よいゆりかごのようになってしまい逆効果だ。
「キンタロウ起きろ」
イチゴに代わり筋肉男のノリがキンタロウを揺らした。いきなり激しくは揺らさずに徐々に徐々に激しく揺らしていく。
「じ、地震!」
キンタロウ寝起きの第一声だ。激しく揺らされたことによって地震が起きたのだと勘違いしている。
「みんな……ウッ……あ、頭が痛ぇ……な、なんだこれは……ウヴォェ」
意識覚醒後に頭の中の情報が処理しきれずに頭痛に変わった。そして吐き気と目眩を襲われ再び吐くキンタロウ。
「ハァ……ハァ……」
「よしよしぃ」
キンタロウの背中を優しくさするイチゴ。背中をさすられて、すらすらと嘔吐する。
吐き出された吐瀉物は白い床から綺麗に消えていく。
「キンちゃん大丈夫ですか?」
焦りながら声をかけるモリゾウ。そんなモリゾウに対して「大丈夫だ……」と強がるキンタロウ。
「クリアしないと現実世界に帰れないみたいですよ……キンちゃんどうしますか?」
意識を覚醒してすぐのキンタロウに判断を委ねるモリゾウ。
不安そうなな表情を浮かべて栗色の瞳でキンタロウを見つめるイチゴ。
マッチョポーズをとりながらキンタロウの返答を待つノリ。
3人の表情をゆっくりと見たキンタロウは濡れた子ウサギのように震えた。
そして青ざめた表情でモリゾウの問いに返答をする。
「こ、このゲームってさ……死んだりしないよね……?」
誰も口にしなかった恐怖の言葉をキンタロウは怯えながら言った。
「と、とりあえず……状況を整理しましょう」
モリゾウは青ざめた表情をしている。状況を整理しようとしているがモリゾウ自身すでに頭の中で状況が整理してあり絶望している。
「このボドゲ空間とかいう、ふざけた空間に僕たち1万人のプレイヤーが移動させられた。そして脳に流れ込んできたルールによるとゲームをクリアしないと現実世界には戻れないみたいですね」
モリゾウの説明を筋肉男のノリと小柄の美少女イチゴが集中しながら聞いている。キンタロウはまだ気絶したままだ。
「ボドゲとしてのルールは2つの6面ダイスを振ってマスを進む双六ゲームのようですね。赤いサイコロは1~6層ある層の場所を決める。青いサイコロは前に進むマスの数を決める。マスは層ごとに100マス。6層あるので全部で600マス存在しますね。ゴールはどの層でも100マス目にたどり着けばいいみたいです」
手に顎を乗せながらゆっくりと倒れているキンタロウの周りを歩き出したモリゾウ。キンタロウを踏まないように注意しながら歩くが、その行動に意味はあるのだろうか。
「赤いサイコロと青いサイコロ、一振りで36パターンですね。どれか一つのマスに止まり、止まったマスでゲームを行う。勝利すると次に進めるらしいです。どんな仕掛けがあるのやら」
モリゾウは説明を終えると歩くのをやめた。
キンタロウ達ボドゲ部は『神様が作った盤上遊戯』の世界に閉じ込められてしまったのだ。この世界を『ボドゲ空間』と言う。
現実世界に戻るには『神様が作った盤上遊戯』をクリアするしか方法がない。
「昔から知っていたかのように頭の中にルールがあるな」
ノリは不思議そうな表情でマッチョポーズをとっている。ポーズと表情が全く噛み合っていない。
「でも頭の中のルールに載っていない情報もありますね。先ほどのピエロについてなんて一切情報がありません」
モリゾウは険しい表情で頭の中の情報を読み返すがどこを見てもピエロについての情報はない。
それは現実世界で『神様が作った盤上遊戯』の製造会社の情報がなかった時と同じように。
「もしかして神様……とかぁ?」
モリゾウよりも先にイチゴが甘い声で最もらしい答えに辿り着いた。
誰もがあのピエロをこのゲームを作った神様だと思うだろう。だが、モリゾウは違和感を感じている。
ピエロがスピーチをしていた時、誰かに話させられているように見えたのだ。
それは主催者側が司会者を用意したイベントのように。それが関係者なのか部外者なのか置いておいてモリゾウはピエロが神様だとは思ってはいない。
『ピロピロリ~ン』
突然頭の中に謎のメロディが流れた。モリゾウとノリとイチゴはお互いに顔を見合わせた。そして他のプレイヤーたちもざわつき始めた。
どうやら全員の頭の中に一斉にメロディが流れたらしい。
このメロディに関してなにも情報はない。頭の中のルールにも載っていない。
しかしこのメロディを聞いた全員が直感した。これはスタートを知らせるメロディだと言うことに。
ピエロが言った1時間が経過したのだ。
「は、始まっちゃった……キ、キンタロウくん起きてぇ」
キンタロウの肩を優しく揺らすイチゴ。そんな優しく揺らしても起きない。心地よいゆりかごのようになってしまい逆効果だ。
「キンタロウ起きろ」
イチゴに代わり筋肉男のノリがキンタロウを揺らした。いきなり激しくは揺らさずに徐々に徐々に激しく揺らしていく。
「じ、地震!」
キンタロウ寝起きの第一声だ。激しく揺らされたことによって地震が起きたのだと勘違いしている。
「みんな……ウッ……あ、頭が痛ぇ……な、なんだこれは……ウヴォェ」
意識覚醒後に頭の中の情報が処理しきれずに頭痛に変わった。そして吐き気と目眩を襲われ再び吐くキンタロウ。
「ハァ……ハァ……」
「よしよしぃ」
キンタロウの背中を優しくさするイチゴ。背中をさすられて、すらすらと嘔吐する。
吐き出された吐瀉物は白い床から綺麗に消えていく。
「キンちゃん大丈夫ですか?」
焦りながら声をかけるモリゾウ。そんなモリゾウに対して「大丈夫だ……」と強がるキンタロウ。
「クリアしないと現実世界に帰れないみたいですよ……キンちゃんどうしますか?」
意識を覚醒してすぐのキンタロウに判断を委ねるモリゾウ。
不安そうなな表情を浮かべて栗色の瞳でキンタロウを見つめるイチゴ。
マッチョポーズをとりながらキンタロウの返答を待つノリ。
3人の表情をゆっくりと見たキンタロウは濡れた子ウサギのように震えた。
そして青ざめた表情でモリゾウの問いに返答をする。
「こ、このゲームってさ……死んだりしないよね……?」
誰も口にしなかった恐怖の言葉をキンタロウは怯えながら言った。
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