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第4章:恋愛『兎人ちゃんと湖で遊んでみた編』
216 多数決
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ビエルネスが提案した相性診断騒動から二週間が経過した日の朝。マサキが異世界転移して二百九十五日目の朝だ。
いつも通りの朝が始まり、いつも通りのメンバーで、いつも通りに食卓を囲んでいる。そんないつも通りの一日が始まろうとしていたのだが、今日はそんないつも通りの日常は送れそうになった。
なぜなら――
「マスター! 皆様! おはようございます!」
「ビ、ビエルネス!?」
家の天井にある妖精族専用の扉からビエルネスがやって来たからだ。ただ、やって来ただけなら問題ない。しかし、部屋に入って来たビエルネスは、すでにニヤニヤと何かを企んでいる顔をしていたのである。
「ちょうど朝食の時間ですか。私お腹ペコペコですよ~。だって朝起きてすぐにここまで飛んできましたから!」
ビエルネスは、半透明の羽をパタパタとさせながら空中で様々なセクシーポーズを取っていた。
そんなビエルネスを黒瞳に映したマサキは、セクシーポーズを取る意味についてツッコミたくなったが必死に堪えた。相手にすればするほど話が長くなると悟ったからである。
そんなマサキに代わって口を開いたのは、白銀色の髪と垂れたウサ耳が特徴的な兎人族の美少女ネージュだ。
「ビエルネスちゃんお腹空かしているところ申し訳ないんですが、もうニンジンさん一本しか残ってないです……」
「えぇー!?」
マサキたちが経営している『無人販売所イースターパーティー』は、思ったように売り上げを伸ばせておらず、赤字状態が続いていた。そのため、ここ最近のマサキたちは貧乏生活を続けていたのだ。
「ビエルネスちゃん。今度からは朝ごはん食べてから来た方がいいぞー」
右手に半分のニンジン、左手に半分のバナナを持ちながら、可愛い女の子らしい声でビエルネスに言ったのは、薄桃色の髪と顔の右半分を覆い隠すほど大きなウサ耳が特徴的な兎人族の美少女クレールだ。
そんなクレールの言葉に便乗してウッドテーブルの上で上半身をだらりとしながら、空腹で野垂れ死にそうにしているオレンジ色の髪と小さなウサ耳が特徴的な兎人族の美少女ダールが口を開いた。
「そ、そうッスよ……アタシたちは、明日の……ご飯が……いや、昼ご飯が、食べられないかも、しれないッスからね……ガックシ……」
「お姉ちゃんが気絶したー!」
「お姉ちゃんが気絶したー!」
ダールの気絶に驚き、声を揃えて同時に叫んだのは、オレンジ色の髪と小さなウサ耳が特徴的な双子の姉妹デールとドールだ。
双子のシンクロ率は高く、驚きで同時に叫んだのはもちろんのこと、お皿の上に残っている食べかけのニンジンの大きさと形までもが同じだった。
白銀色の髪をした美少女から双子の姉妹までの一連の流れを見たビエルネスは、状況の深刻さを知り気の毒に思っていた。
「そ、それじゃ私は、朝食にクダモノハサミ買いますねー」
今、無人販売所イースターパーティーは閉店中だ。しかし、クダモノハサミやニンジングラッセなどの商品は商品棚に並んでいる。
氷結珠と呼ばれる魔法で作られた氷のキューブのおかげで、普通の棚がオープン型の冷蔵庫のようになり、食品が腐らずに保存できる。なので閉店中でも商品はそのまま置いてあるのだ。
魔法で冷やされた食品ほど、鮮度を保ち長持ちする。冷蔵庫よりも最適な保存方法とも言える。これはこの世界の常識とも言えることだ。
「そ、それは助かる! で、でも悪い気もする……」
ビエルネスの言葉についに反応したマサキだったが、複雑な気持ちでいっぱいだった。
商品が一つでも売れることは嬉しいことだ。しかし、それが身内からの買い物だと、やや複雑な気持ちになる。
果たしてこの売り上げは、売り上げと呼べるものなのか。そもそも無料で提供するべきなのではないのだろうか。などマサキの脳内ではこの刹那の一瞬であらゆることを思考していたのだった。
「大丈夫ですよ。だってマスターが私のために丹精込めて作ったクダモノハサミですもの~ハァハァ……」
「いや、お客さんのためだけどな」
「も~う、マスターったら照れなくていいんですよ~」
「どっからどう見たら照れてるように見えるんだよ」
「私にはわかるんですよ~」
ビエルネスはニヤニヤと笑いながら、半透明の羽を羽ばたかせ、クダモノハサミが置いてある店内へと向かった。
そんなビエルネスの後ろ姿を漆黒の瞳に映したルナは、エサを口からボロボロと溢しながら「ンッンッ」と、声を漏らした。
ルナは食べるのが下手くそなのである。
マサキは、店内へと向かって行ったビエルネスの姿が見えなくなるまで、ルナのもふもふな背中を撫でた。そして、ビエルネスの姿が見えなくなるのと同時に口を開いた。
「あいつ、何しに来たんだ?」
その素朴な疑問に答えるのが、マサキの横に座っているネージュだ。
「一緒に朝ごはんを食べたいんですよ。きっと。ビエルネスちゃんは寂しがり屋さんですから」
「寂しがり屋には見えないんだが……あと違う理由もなんかありそうなんだよな」
「勘ですか?」
「そうだな。勘だな」
根拠はないが、嫌な予感がする。そんな感覚をマサキは感じていたのだ。
(嫌な予感は大体当たるからな。今回だけは外れてくれよ。ネージュが言ったように朝食を食べに来ただけ。ただそれだけでいいから。嫌な予感だけは的中しないでくれ。頼む)
店内へと繋がる通路があるカーテンを黒瞳に映しながらマサキは強く願った。すると、カーテンが大きく揺れた。ビエルネスがクダモノハサミを選び戻って来たのである。
ビエルネスが部屋に戻って来たのと同時に、強く願っていたマサキの願いが粉々に砕けた。
「皆様、今日は湖に行って水遊びしましょうよー」
マサキの嫌な予感が的中したのである。
「お前な、水遊びって、さっきまでの話忘れたのかよ。うちは今不景気なんだよ。遊んでる場合じゃない」
「いいえ。このどんよりとした空気を変えて景気回復するためには、遊んだ方がいいですよ」
ビエルネスはクダモノハサミをウッドテーブルの上に置いた後、半透明の羽をパタパタと羽ばたかせ宙を舞いながら、泳いでいるようなジェスチャーをした。
平泳ぎやクロール、バタフライ、背泳ぎなどあらゆる泳ぎをマサキの目の前でやったのである。
そんな空中で泳ぎ続けるビエルネスをマサキは摘んで、商品棚から持って来たクダモノハサミの横に置いた。
「それじゃ多数決取ろうぜ。俺は反対だな。大体俺は、海よりも山派だし。というかそもそもインドア派で外に出たくない。あと、俺泳げない」
「わ、私も……マサキさんと同じ意見です。私たち以外の人がいたら恥ずかしいですし……泳いだこととかないので泳げるかどうかも不安ですし……」
マサキとネージュは反対派だ。
他のメンバーはというと――
「クーはどっちでもいいぞー。他の人がいたら透明になればいいし、泳げなくてもおにーちゃんたちと一緒なら楽しいと思うぞ。でもお部屋でゴロゴロしてお仕事するのも悪くないぞ」
クレールはどちらでもいい派だ。
反対派、どちらでもいい派が出たが、もちろんまだ出ていない賛成派の意見が残っている。
「デールは遊びたーい」
「ドールは遊びたーい」
双子の姉妹デールとドールは二人して賛成派だった。
これでビエルネスを含めると賛成派が三人、反対派が二人、どちらでもいい派が一人。まだ発言していないダールの意見によって、多数決の結果が決まる。
「あ、アタシは……お腹が……空いて、動け、な、いッス……」
ダールの意見では多数決に参加しているようには見えないが、動けないという状況は反対派に近いものがあり、反対派に一票となる。
「賛成派が三人と反対派が三人、そんでどっちでもいい派が一人か。サドンデスだな。賢いウサギのルナちゃんにも聞きたいところだが、ここは真面目にいくということで、どっちでもいい派のクレールは、どちらかというとどっちがいい?」
全てはどちらでもいいと発言したクレールの回答に委ねられた。
「う~ん」
もうどちらでもいいという選択肢は残されていない。賛成か反対かのどちらか二択だ。
クレールは、小首を傾げながら手に顎を乗せて真剣に悩み始めた。
そんなクレールの正面にまでビエルネスは飛んで行った。そしてクレールの小さな左ウサ耳に向かって囁くように口を開いた。
「クレール様は、マスターと遊びたいですよね。もちろん私やデール様ドール様とも。湖に行けばたくさん楽しいことが待ってますよ~」
「おい、ビエルネス! そういうのずるいぞ! クレール惑わされるな。いつも通りお家でゴロゴロしながら仕事しようぜ。ほら、ルナちゃんのこともふもふし放題だぞ! 湖に行ったら濡れてもふれないぞ!」
「マスターこそずるいです。ルナ様を使うだなんて」
「お前が言うな! デールとドールのこと言ってたろ! 聞こえたんだからな」
「さすがマスターです。私の囁き声も一言一句逃さないなんてハァハァ……」
「興奮すんな! というか喧嘩の流れどこ行ったー!」
マサキとビエルネスの息の合った漫才のような喧嘩が始まってしまったが、それを気にすることなくクレールは悩み続ける。
「う~ん」
「マサキさんたちのことや仕事のこと、お金のことなどは気にせずに、クレールがしたいと思った方を選んでください」
「うん。わかった。わかったよ、おねーちゃん」
「はい」
ネージュの助言のおかげでクレールの考えがまとまる。
クレールが選んだのは――
「お家でもふもふゴロゴロがしたいぞ!」
反対派が四票、賛成派が三票となり、ビエルネスの湖で水遊びするという案は不採用で幕を閉じた。
悩みに悩んだクレールを反対派に動かしたのは、マサキの一言。否、ルナのもふもふボディーだ。人は誰しもウサギのもふもふには敵わないのである。
いつも通りの朝が始まり、いつも通りのメンバーで、いつも通りに食卓を囲んでいる。そんないつも通りの一日が始まろうとしていたのだが、今日はそんないつも通りの日常は送れそうになった。
なぜなら――
「マスター! 皆様! おはようございます!」
「ビ、ビエルネス!?」
家の天井にある妖精族専用の扉からビエルネスがやって来たからだ。ただ、やって来ただけなら問題ない。しかし、部屋に入って来たビエルネスは、すでにニヤニヤと何かを企んでいる顔をしていたのである。
「ちょうど朝食の時間ですか。私お腹ペコペコですよ~。だって朝起きてすぐにここまで飛んできましたから!」
ビエルネスは、半透明の羽をパタパタとさせながら空中で様々なセクシーポーズを取っていた。
そんなビエルネスを黒瞳に映したマサキは、セクシーポーズを取る意味についてツッコミたくなったが必死に堪えた。相手にすればするほど話が長くなると悟ったからである。
そんなマサキに代わって口を開いたのは、白銀色の髪と垂れたウサ耳が特徴的な兎人族の美少女ネージュだ。
「ビエルネスちゃんお腹空かしているところ申し訳ないんですが、もうニンジンさん一本しか残ってないです……」
「えぇー!?」
マサキたちが経営している『無人販売所イースターパーティー』は、思ったように売り上げを伸ばせておらず、赤字状態が続いていた。そのため、ここ最近のマサキたちは貧乏生活を続けていたのだ。
「ビエルネスちゃん。今度からは朝ごはん食べてから来た方がいいぞー」
右手に半分のニンジン、左手に半分のバナナを持ちながら、可愛い女の子らしい声でビエルネスに言ったのは、薄桃色の髪と顔の右半分を覆い隠すほど大きなウサ耳が特徴的な兎人族の美少女クレールだ。
そんなクレールの言葉に便乗してウッドテーブルの上で上半身をだらりとしながら、空腹で野垂れ死にそうにしているオレンジ色の髪と小さなウサ耳が特徴的な兎人族の美少女ダールが口を開いた。
「そ、そうッスよ……アタシたちは、明日の……ご飯が……いや、昼ご飯が、食べられないかも、しれないッスからね……ガックシ……」
「お姉ちゃんが気絶したー!」
「お姉ちゃんが気絶したー!」
ダールの気絶に驚き、声を揃えて同時に叫んだのは、オレンジ色の髪と小さなウサ耳が特徴的な双子の姉妹デールとドールだ。
双子のシンクロ率は高く、驚きで同時に叫んだのはもちろんのこと、お皿の上に残っている食べかけのニンジンの大きさと形までもが同じだった。
白銀色の髪をした美少女から双子の姉妹までの一連の流れを見たビエルネスは、状況の深刻さを知り気の毒に思っていた。
「そ、それじゃ私は、朝食にクダモノハサミ買いますねー」
今、無人販売所イースターパーティーは閉店中だ。しかし、クダモノハサミやニンジングラッセなどの商品は商品棚に並んでいる。
氷結珠と呼ばれる魔法で作られた氷のキューブのおかげで、普通の棚がオープン型の冷蔵庫のようになり、食品が腐らずに保存できる。なので閉店中でも商品はそのまま置いてあるのだ。
魔法で冷やされた食品ほど、鮮度を保ち長持ちする。冷蔵庫よりも最適な保存方法とも言える。これはこの世界の常識とも言えることだ。
「そ、それは助かる! で、でも悪い気もする……」
ビエルネスの言葉についに反応したマサキだったが、複雑な気持ちでいっぱいだった。
商品が一つでも売れることは嬉しいことだ。しかし、それが身内からの買い物だと、やや複雑な気持ちになる。
果たしてこの売り上げは、売り上げと呼べるものなのか。そもそも無料で提供するべきなのではないのだろうか。などマサキの脳内ではこの刹那の一瞬であらゆることを思考していたのだった。
「大丈夫ですよ。だってマスターが私のために丹精込めて作ったクダモノハサミですもの~ハァハァ……」
「いや、お客さんのためだけどな」
「も~う、マスターったら照れなくていいんですよ~」
「どっからどう見たら照れてるように見えるんだよ」
「私にはわかるんですよ~」
ビエルネスはニヤニヤと笑いながら、半透明の羽を羽ばたかせ、クダモノハサミが置いてある店内へと向かった。
そんなビエルネスの後ろ姿を漆黒の瞳に映したルナは、エサを口からボロボロと溢しながら「ンッンッ」と、声を漏らした。
ルナは食べるのが下手くそなのである。
マサキは、店内へと向かって行ったビエルネスの姿が見えなくなるまで、ルナのもふもふな背中を撫でた。そして、ビエルネスの姿が見えなくなるのと同時に口を開いた。
「あいつ、何しに来たんだ?」
その素朴な疑問に答えるのが、マサキの横に座っているネージュだ。
「一緒に朝ごはんを食べたいんですよ。きっと。ビエルネスちゃんは寂しがり屋さんですから」
「寂しがり屋には見えないんだが……あと違う理由もなんかありそうなんだよな」
「勘ですか?」
「そうだな。勘だな」
根拠はないが、嫌な予感がする。そんな感覚をマサキは感じていたのだ。
(嫌な予感は大体当たるからな。今回だけは外れてくれよ。ネージュが言ったように朝食を食べに来ただけ。ただそれだけでいいから。嫌な予感だけは的中しないでくれ。頼む)
店内へと繋がる通路があるカーテンを黒瞳に映しながらマサキは強く願った。すると、カーテンが大きく揺れた。ビエルネスがクダモノハサミを選び戻って来たのである。
ビエルネスが部屋に戻って来たのと同時に、強く願っていたマサキの願いが粉々に砕けた。
「皆様、今日は湖に行って水遊びしましょうよー」
マサキの嫌な予感が的中したのである。
「お前な、水遊びって、さっきまでの話忘れたのかよ。うちは今不景気なんだよ。遊んでる場合じゃない」
「いいえ。このどんよりとした空気を変えて景気回復するためには、遊んだ方がいいですよ」
ビエルネスはクダモノハサミをウッドテーブルの上に置いた後、半透明の羽をパタパタと羽ばたかせ宙を舞いながら、泳いでいるようなジェスチャーをした。
平泳ぎやクロール、バタフライ、背泳ぎなどあらゆる泳ぎをマサキの目の前でやったのである。
そんな空中で泳ぎ続けるビエルネスをマサキは摘んで、商品棚から持って来たクダモノハサミの横に置いた。
「それじゃ多数決取ろうぜ。俺は反対だな。大体俺は、海よりも山派だし。というかそもそもインドア派で外に出たくない。あと、俺泳げない」
「わ、私も……マサキさんと同じ意見です。私たち以外の人がいたら恥ずかしいですし……泳いだこととかないので泳げるかどうかも不安ですし……」
マサキとネージュは反対派だ。
他のメンバーはというと――
「クーはどっちでもいいぞー。他の人がいたら透明になればいいし、泳げなくてもおにーちゃんたちと一緒なら楽しいと思うぞ。でもお部屋でゴロゴロしてお仕事するのも悪くないぞ」
クレールはどちらでもいい派だ。
反対派、どちらでもいい派が出たが、もちろんまだ出ていない賛成派の意見が残っている。
「デールは遊びたーい」
「ドールは遊びたーい」
双子の姉妹デールとドールは二人して賛成派だった。
これでビエルネスを含めると賛成派が三人、反対派が二人、どちらでもいい派が一人。まだ発言していないダールの意見によって、多数決の結果が決まる。
「あ、アタシは……お腹が……空いて、動け、な、いッス……」
ダールの意見では多数決に参加しているようには見えないが、動けないという状況は反対派に近いものがあり、反対派に一票となる。
「賛成派が三人と反対派が三人、そんでどっちでもいい派が一人か。サドンデスだな。賢いウサギのルナちゃんにも聞きたいところだが、ここは真面目にいくということで、どっちでもいい派のクレールは、どちらかというとどっちがいい?」
全てはどちらでもいいと発言したクレールの回答に委ねられた。
「う~ん」
もうどちらでもいいという選択肢は残されていない。賛成か反対かのどちらか二択だ。
クレールは、小首を傾げながら手に顎を乗せて真剣に悩み始めた。
そんなクレールの正面にまでビエルネスは飛んで行った。そしてクレールの小さな左ウサ耳に向かって囁くように口を開いた。
「クレール様は、マスターと遊びたいですよね。もちろん私やデール様ドール様とも。湖に行けばたくさん楽しいことが待ってますよ~」
「おい、ビエルネス! そういうのずるいぞ! クレール惑わされるな。いつも通りお家でゴロゴロしながら仕事しようぜ。ほら、ルナちゃんのこともふもふし放題だぞ! 湖に行ったら濡れてもふれないぞ!」
「マスターこそずるいです。ルナ様を使うだなんて」
「お前が言うな! デールとドールのこと言ってたろ! 聞こえたんだからな」
「さすがマスターです。私の囁き声も一言一句逃さないなんてハァハァ……」
「興奮すんな! というか喧嘩の流れどこ行ったー!」
マサキとビエルネスの息の合った漫才のような喧嘩が始まってしまったが、それを気にすることなくクレールは悩み続ける。
「う~ん」
「マサキさんたちのことや仕事のこと、お金のことなどは気にせずに、クレールがしたいと思った方を選んでください」
「うん。わかった。わかったよ、おねーちゃん」
「はい」
ネージュの助言のおかげでクレールの考えがまとまる。
クレールが選んだのは――
「お家でもふもふゴロゴロがしたいぞ!」
反対派が四票、賛成派が三票となり、ビエルネスの湖で水遊びするという案は不採用で幕を閉じた。
悩みに悩んだクレールを反対派に動かしたのは、マサキの一言。否、ルナのもふもふボディーだ。人は誰しもウサギのもふもふには敵わないのである。
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