10 / 25
information:10 お見舞いと差し入れ
しおりを挟む
ルフモ連合国・ホランド中央区ホランド総合病院――
「シールくん。差し入れだよ」
セリシールの見舞いにやってきたネーヴェル。病室に入ってすぐの言葉だ。
ちなみにネーヴェルと一緒に見舞いにきたクロロは受付に預けられており、一緒には病室に来ていない。
病室に入れる動物は盲導犬だけ。盲導兎やぬいぐるみのフリをしたが、さすがに無理があり受付に預けられている状態なのである。
「ネーヴェルさん! 今日もありがとうございます! 今日の差し入れはなんですか?」
「今日はココアパウダーだよ。買い物する時間が無かったから、事務所に残ってる古いものだけどね」
ネーヴェルはココアパウダーをメディカルベットの横に置いてある小さなテーブルの上に置いた。
「ココアパウダー!! うれしいです! ちょうど昨日の夜に溢してしまい切らしていたところでしたので!」
どうやらネーヴェルの読みは当たったらしく、セリシールはココアパウダーを溢してしまっていたらしい。
病室の床がいつもより汚れていたのはそのせいだ。
ココアの匂いも充満している。一人部屋なので問題はないが、退院時には匂いが消えていると助かる。
「キミならそろそろ溢すと思ってね。一応キミの愛用のマグカップも持ってきてある。愛用と言っても21代目の相棒だったかな?」
「マグカップまで!? さすがネーヴェルさんですね。私のことはなんでもお見通しってわけですね! あっ! それならアレも持ってきてくれましたかね?」
「ん? アレとは?」
さすがのネーヴェルも“アレ”と言われてすぐに思い浮かぶものは出てこなかった。
「着替えです!」
なぜかキメ顔で答えるセリシール。
そんな答えを聞いたネーヴェルは小首を傾げた。
「なぜ着替えが必要なんだ? 残りの日数分はちゃんと用意してあるはずだろ? ああ、ココアを溢して多く着替えてしまったとかか。それともシャワーを浴びたことを忘れて二回浴びてしまったとかか」
「いいえ違います。ぜんっぜん違います! 今来てる服以外、間違えて全部捨てちゃったのですよ! いや~、うっかりしてました~」
予想を遥かに上回る回答。舌をぺろっと出してテヘペロの表情をネーヴェルに向けている。
ネーヴェルは思わずため息を吐き、呆れた顔となった。
「シールくん。キミのポンコツぶりには毎回驚かされるよ」
「えっへん! 超絶有能な助手ですからね。ネーヴェルさんを驚かして当然です!」
「皮肉も通じないのはキミの長所だね。それで何をどうやって間違えてしまい着替えを全て捨ててしまったのか教えてくれ」
セリシールはネーヴェルの疑問を解消するために事の経緯を全て話す。
要約すると、洗濯カゴとゴミ箱を間違えたとのこと。
本当に脳に異常がないか疑うレベルのポンコツぶりだ。
しかしこのセリシールのポンコツぶりも慣れたもので、ネーヴェルはすぐに受け入れる。
「頭の方は大丈夫そうだね。いつも通りのキミで安心したよ」
ネーヴェルにとってはポンコツじゃないセリシールの方が異常なのだ。
「いつも通り元気です! ところで、その膨らみはなんですか?」
セリシールは豊満な胸の前で小さくガッツポーズを取ったあと、ネーヴェルの体の一部で気になる部分に指を差す。
そこはちょうど胸のあたり。正確には胸ポケットの膨らみだ。
「これは――」
「わっかりましたー!!!!」
答えようとしたネーヴェルをセリシールの大きな声が遮った。
ここが病院だということをすっかり忘れているようだ。
「おっぱいですね! セクシーな女性に、いや、私に憧れて、私がいないうちにおっぱいを入れる豊胸手術をやったのですね! そんなことしなくてもネーヴェルさんはウサギさんみたいに十分可愛いですよ! ネーヴェルさんにはネーヴェルさんの魅力が! 私には私の魅力がありますからね!」
実りに実ったたわわを突き出すセリシール。意識的に突き出したことによって服がはち切れそうになる。
「キミは鋭いようで鋭くないんだね。これもキミらしいところではある」
胸ポケットの膨らみに気付いたのは探偵でも称賛できるほどの鋭さと言えよう。しかし推理があまりにもポンコツすぎる。それがセリシールなのだ。
「当然です。私は超絶有能な助手なんですから。ネーヴェルさんの小さな変化に気付くことができるのです。で、やっぱりおっぱいなんですか? ちょっとだけ触らせてください! 助手として触る権利があるはずです!」
「キミの推理は外れてるよ。だから触らないでくれ。あとそんな権利は助手にはない」
「えー、違うんですか。残念です……」
なぜか残念そうに俯くセリシール。俯いた時に映る視界の半分は、圧倒的存在感の豊満な胸だ。
セリシールの感情は、単純に豊胸への好奇心、と言うよりも純粋にネーヴェルの胸を触りたかった、という感情の方が強い。むしろそっちである。
「それじゃ、その膨らみはなんなんですか? もしかして私の着替えが入ってるとかですか? 私を驚かせるためのサプライズってやつですか?」
「衣服はこんなに小さくまとまらないだろ。これはキミ以外の人のために用意した差し入れだよ」
「えぇえええ!!!! ネーヴェルさんってウサギさん以外に差し入れを渡すような友達がいたんですか!?」
失礼な発言とともに衝撃を受けるセリシール。
もしセリシールの発言通りに驚かせるために用意したものだったのなら、大成功だ。
「失礼だな」
ネーヴェルは的確なツッコミを入れた。
その後も天才とポンコツによる談笑は数十分間続いた。
結局のところ国家保安局局長シアンからの伝言をネーヴェルが伝えることはなかった。忘れていたのではなく伝えるまでのことではないのだと判断したのである。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「それじゃボクはそろそろ行くよ」
「クロロちゃんも待ってますもんね。またナースさんたちにモフモフされまくってボサボサになってそうですね」
「ああ、見舞いの度にブラッシングが大変だよ」
クロロはどこに行っても人気なのである。ウサギの魅力というものは恐ろしい。
「ネーヴェルさん。今日も見舞いありがとうございました」
「うん。それじゃまた明日。もうココアを溢さないようにね」
ネーヴェルは立ち上がった。そして帰るために一つしかない扉に手を付けた。
その瞬間、セリシールが声を上げる。
「あ、あの、ネーヴェルさん!!!」
大きな声で帰ろうとしていたネーヴェルを呼んだ。
ネーヴェルは何事かと振り向く。
水晶のようなクリスタル色の瞳と宝石のようなパール色の瞳が交差する。
「私がいない間は、無茶なことだけは絶対にしないでくださいね」
セリシールは唐突に心配の言葉をかけた。本当に唐突だった。
「シールくん。キミは鋭いのか鋭くないのか、本当にわからない人だね」
「え? 聞こえなかったです。なんて言いましたか?」
ボソッと呟かれたネーヴェルの言葉をセリシールは聞き取れなかった。
聞き取れなかった時のセリシールの反応は、耳に手を添えて頭を思いっきり傾けるという漫画のような大袈裟な反応だ。
「キミこそ無茶をしないように、ナースに迷惑をかけないように。って言ったんだよ。それじゃ」
ネーヴェルは聞こえなかったのを言いことに嘘をついた。
心配をかけないための優しい嘘だ。
そのままネーヴェルは止めていた手を動かして扉を開け病室から出た。
◆◇◆◇◆◇◆◇
ネーヴェルはクロロとともにホランド総合病院を出た。そしてある場所へと向かっていた。
ナースたちにモフモフにされたクロロは案の定ボサボサになっていた。
「ンッンッ。ンッンッ」
「ああ、大丈夫だよ。きっと差し入れを喜んで受け取ってくれるさ」
先ほどセリシールに話をしていた差し入れを渡しに向かっているのである。
そして幼女の小さな一歩を何度も繰り返していくうちに目的地に到着する。
「ここだね」
「ンッンッ」
到着した場所は通路だ。
それはただの通路ではない。いかにも人気の少ない路地裏に続くであろう通路だ。
目には見えない禍々しいオーラが――嫌な雰囲気が路地裏から漂っていた。
「シールくん。差し入れだよ」
セリシールの見舞いにやってきたネーヴェル。病室に入ってすぐの言葉だ。
ちなみにネーヴェルと一緒に見舞いにきたクロロは受付に預けられており、一緒には病室に来ていない。
病室に入れる動物は盲導犬だけ。盲導兎やぬいぐるみのフリをしたが、さすがに無理があり受付に預けられている状態なのである。
「ネーヴェルさん! 今日もありがとうございます! 今日の差し入れはなんですか?」
「今日はココアパウダーだよ。買い物する時間が無かったから、事務所に残ってる古いものだけどね」
ネーヴェルはココアパウダーをメディカルベットの横に置いてある小さなテーブルの上に置いた。
「ココアパウダー!! うれしいです! ちょうど昨日の夜に溢してしまい切らしていたところでしたので!」
どうやらネーヴェルの読みは当たったらしく、セリシールはココアパウダーを溢してしまっていたらしい。
病室の床がいつもより汚れていたのはそのせいだ。
ココアの匂いも充満している。一人部屋なので問題はないが、退院時には匂いが消えていると助かる。
「キミならそろそろ溢すと思ってね。一応キミの愛用のマグカップも持ってきてある。愛用と言っても21代目の相棒だったかな?」
「マグカップまで!? さすがネーヴェルさんですね。私のことはなんでもお見通しってわけですね! あっ! それならアレも持ってきてくれましたかね?」
「ん? アレとは?」
さすがのネーヴェルも“アレ”と言われてすぐに思い浮かぶものは出てこなかった。
「着替えです!」
なぜかキメ顔で答えるセリシール。
そんな答えを聞いたネーヴェルは小首を傾げた。
「なぜ着替えが必要なんだ? 残りの日数分はちゃんと用意してあるはずだろ? ああ、ココアを溢して多く着替えてしまったとかか。それともシャワーを浴びたことを忘れて二回浴びてしまったとかか」
「いいえ違います。ぜんっぜん違います! 今来てる服以外、間違えて全部捨てちゃったのですよ! いや~、うっかりしてました~」
予想を遥かに上回る回答。舌をぺろっと出してテヘペロの表情をネーヴェルに向けている。
ネーヴェルは思わずため息を吐き、呆れた顔となった。
「シールくん。キミのポンコツぶりには毎回驚かされるよ」
「えっへん! 超絶有能な助手ですからね。ネーヴェルさんを驚かして当然です!」
「皮肉も通じないのはキミの長所だね。それで何をどうやって間違えてしまい着替えを全て捨ててしまったのか教えてくれ」
セリシールはネーヴェルの疑問を解消するために事の経緯を全て話す。
要約すると、洗濯カゴとゴミ箱を間違えたとのこと。
本当に脳に異常がないか疑うレベルのポンコツぶりだ。
しかしこのセリシールのポンコツぶりも慣れたもので、ネーヴェルはすぐに受け入れる。
「頭の方は大丈夫そうだね。いつも通りのキミで安心したよ」
ネーヴェルにとってはポンコツじゃないセリシールの方が異常なのだ。
「いつも通り元気です! ところで、その膨らみはなんですか?」
セリシールは豊満な胸の前で小さくガッツポーズを取ったあと、ネーヴェルの体の一部で気になる部分に指を差す。
そこはちょうど胸のあたり。正確には胸ポケットの膨らみだ。
「これは――」
「わっかりましたー!!!!」
答えようとしたネーヴェルをセリシールの大きな声が遮った。
ここが病院だということをすっかり忘れているようだ。
「おっぱいですね! セクシーな女性に、いや、私に憧れて、私がいないうちにおっぱいを入れる豊胸手術をやったのですね! そんなことしなくてもネーヴェルさんはウサギさんみたいに十分可愛いですよ! ネーヴェルさんにはネーヴェルさんの魅力が! 私には私の魅力がありますからね!」
実りに実ったたわわを突き出すセリシール。意識的に突き出したことによって服がはち切れそうになる。
「キミは鋭いようで鋭くないんだね。これもキミらしいところではある」
胸ポケットの膨らみに気付いたのは探偵でも称賛できるほどの鋭さと言えよう。しかし推理があまりにもポンコツすぎる。それがセリシールなのだ。
「当然です。私は超絶有能な助手なんですから。ネーヴェルさんの小さな変化に気付くことができるのです。で、やっぱりおっぱいなんですか? ちょっとだけ触らせてください! 助手として触る権利があるはずです!」
「キミの推理は外れてるよ。だから触らないでくれ。あとそんな権利は助手にはない」
「えー、違うんですか。残念です……」
なぜか残念そうに俯くセリシール。俯いた時に映る視界の半分は、圧倒的存在感の豊満な胸だ。
セリシールの感情は、単純に豊胸への好奇心、と言うよりも純粋にネーヴェルの胸を触りたかった、という感情の方が強い。むしろそっちである。
「それじゃ、その膨らみはなんなんですか? もしかして私の着替えが入ってるとかですか? 私を驚かせるためのサプライズってやつですか?」
「衣服はこんなに小さくまとまらないだろ。これはキミ以外の人のために用意した差し入れだよ」
「えぇえええ!!!! ネーヴェルさんってウサギさん以外に差し入れを渡すような友達がいたんですか!?」
失礼な発言とともに衝撃を受けるセリシール。
もしセリシールの発言通りに驚かせるために用意したものだったのなら、大成功だ。
「失礼だな」
ネーヴェルは的確なツッコミを入れた。
その後も天才とポンコツによる談笑は数十分間続いた。
結局のところ国家保安局局長シアンからの伝言をネーヴェルが伝えることはなかった。忘れていたのではなく伝えるまでのことではないのだと判断したのである。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「それじゃボクはそろそろ行くよ」
「クロロちゃんも待ってますもんね。またナースさんたちにモフモフされまくってボサボサになってそうですね」
「ああ、見舞いの度にブラッシングが大変だよ」
クロロはどこに行っても人気なのである。ウサギの魅力というものは恐ろしい。
「ネーヴェルさん。今日も見舞いありがとうございました」
「うん。それじゃまた明日。もうココアを溢さないようにね」
ネーヴェルは立ち上がった。そして帰るために一つしかない扉に手を付けた。
その瞬間、セリシールが声を上げる。
「あ、あの、ネーヴェルさん!!!」
大きな声で帰ろうとしていたネーヴェルを呼んだ。
ネーヴェルは何事かと振り向く。
水晶のようなクリスタル色の瞳と宝石のようなパール色の瞳が交差する。
「私がいない間は、無茶なことだけは絶対にしないでくださいね」
セリシールは唐突に心配の言葉をかけた。本当に唐突だった。
「シールくん。キミは鋭いのか鋭くないのか、本当にわからない人だね」
「え? 聞こえなかったです。なんて言いましたか?」
ボソッと呟かれたネーヴェルの言葉をセリシールは聞き取れなかった。
聞き取れなかった時のセリシールの反応は、耳に手を添えて頭を思いっきり傾けるという漫画のような大袈裟な反応だ。
「キミこそ無茶をしないように、ナースに迷惑をかけないように。って言ったんだよ。それじゃ」
ネーヴェルは聞こえなかったのを言いことに嘘をついた。
心配をかけないための優しい嘘だ。
そのままネーヴェルは止めていた手を動かして扉を開け病室から出た。
◆◇◆◇◆◇◆◇
ネーヴェルはクロロとともにホランド総合病院を出た。そしてある場所へと向かっていた。
ナースたちにモフモフにされたクロロは案の定ボサボサになっていた。
「ンッンッ。ンッンッ」
「ああ、大丈夫だよ。きっと差し入れを喜んで受け取ってくれるさ」
先ほどセリシールに話をしていた差し入れを渡しに向かっているのである。
そして幼女の小さな一歩を何度も繰り返していくうちに目的地に到着する。
「ここだね」
「ンッンッ」
到着した場所は通路だ。
それはただの通路ではない。いかにも人気の少ない路地裏に続くであろう通路だ。
目には見えない禍々しいオーラが――嫌な雰囲気が路地裏から漂っていた。
0
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説
支配するなにか
結城時朗
ミステリー
ある日突然、乖離性同一性障害を併発した女性・麻衣
麻衣の性格の他に、凶悪な男がいた(カイ)と名乗る別人格。
アイドルグループに所属している麻衣は、仕事を休み始める。
不思議に思ったマネージャーの村尾宏太は気になり
麻衣の家に尋ねるが・・・
麻衣:とあるアイドルグループの代表とも言える人物。
突然、別の人格が支配しようとしてくる。
病名「解離性同一性障害」 わかっている性格は、
凶悪な男のみ。
西野:元国民的アイドルグループのメンバー。
麻衣とは、プライベートでも親しい仲。
麻衣の別人格をたまたま目撃する
村尾宏太:麻衣のマネージャー
麻衣の別人格である、凶悪な男:カイに
殺されてしまう。
治療に行こうと麻衣を病院へ送る最中だった
西田〇〇:村尾宏太殺害事件の捜査に当たる捜一の刑事。
犯人は、麻衣という所まで突き止めるが
確定的なものに出会わなく、頭を抱えて
いる。
カイ :麻衣の中にいる別人格の人
性別は男。一連の事件も全てカイによる犯行。
堀:麻衣の所属するアイドルグループの人気メンバー。
麻衣の様子に怪しさを感じ、事件へと首を突っ込んでいく・・・
※刑事の西田〇〇は、読者のあなたが演じている気分で読んで頂ければ幸いです。
どうしても浮かばなければ、下記を参照してください。
物語の登場人物のイメージ的なのは
麻衣=白石麻衣さん
西野=西野七瀬さん
村尾宏太=石黒英雄さん
西田〇〇=安田顕さん
管理官=緋田康人さん(半沢直樹で机バンバン叩く人)
名前の後ろに来るアルファベットの意味は以下の通りです。
M=モノローグ (心の声など)
N=ナレーション
ARIA(アリア)
残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
旧校舎のフーディーニ
澤田慎梧
ミステリー
【「死体の写った写真」から始まる、人の死なないミステリー】
時は1993年。神奈川県立「比企谷(ひきがやつ)高校」一年生の藤本は、担任教師からクラス内で起こった盗難事件の解決を命じられてしまう。
困り果てた彼が頼ったのは、知る人ぞ知る「名探偵」である、奇術部の真白部長だった。
けれども、奇術部部室を訪ねてみると、そこには美少女の死体が転がっていて――。
奇術師にして名探偵、真白部長が学校の些細な謎や心霊現象を鮮やかに解決。
「タネも仕掛けもございます」
★毎週月水金の12時くらいに更新予定
※本作品は連作短編です。出来るだけ話数通りにお読みいただけると幸いです。
※本作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。
※本作品の主な舞台は1993年(平成五年)ですが、当時の知識が無くてもお楽しみいただけます。
※本作品はカクヨム様にて連載していたものを加筆修正したものとなります。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
悲隠島の真実
琳
ミステリー
無人島に集められた人々。その誰もが秘密を抱えていた。その秘密とは――
都立の大学に通う高坂流月は、『楢咲陽子』という名で送られてきた、無人島に建つ館への招待状を貰った。しかし流月は知っていた。楢咲陽子はもう既にこの世にいない事を。
誰が何故こんなものを送ってきたのか。ただの悪戯か、それとも自分の他に陽子の身に何が起きたのかを知っている者がいるのか。
流月は一抹の不安を抱えながら無人島に行く決意をする。
館に集められた人々は一見接点がないように見えたが、流月だけは招待主の思惑に気づく。理由は全員に人には知られてはならない秘密があったからだ。
不安と焦りが混在して眠れぬ夜を過ごす流月。しかしそんな流月を嘲笑うかのように事件は起こってしまった。
招待主の思惑とは一体何なのか?死んだはずの陽子の名を騙ったのは誰か?
そして招待客の秘密とは――?
物語はタロットカードのように反転しながら進んでいく。
.
パラダイス・ロスト
真波馨
ミステリー
架空都市K県でスーツケースに詰められた男の遺体が発見される。殺された男は、県警公安課のエスだった――K県警公安第三課に所属する公安警察官・新宮時也を主人公とした警察小説の第一作目。
※旧作『パラダイス・ロスト』を加筆修正した作品です。大幅な内容の変更はなく、一部設定が変更されています。旧作版は〈小説家になろう〉〈カクヨム〉にのみ掲載しています。
神暴き
黒幕横丁
ミステリー
――この祭りは、全員死ぬまで終われない。
神託を受けた”狩り手”が一日毎に一人の生贄を神に捧げる奇祭『神暴き』。そんな狂気の祭りへと招かれた弐沙(つぐさ)と怜。閉じ込められた廃村の中で、彼らはこの奇祭の真の姿を目撃することとなる……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる