8 / 11
ホラー
落とし物
しおりを挟む
学校へ向かう途中、ハンカチを拾った。とても綺麗な色のハンカチ。
深紅色と言うのだろうか?
そこに黒く細い線が沢山引かれているハンカチだった。
何やら彼岸花をイメージさせるようなそんな柄のハンカチだったから、だれか大人の女性が落としたものなのかなと思った。
でもこの辺りに通るのは私たち学生ぐらいだから、落とすとしたら、うちらの誰かだろうか。
すごくおしゃれなハンカチだし、高そうだった。
とりあえずポケットへ入れておくか。
あまりにも綺麗でかっこいいから貰って帰ろうかとも思ったが、
私は学校の先生に渡そうと思い、そのまま持って行くことにした。
放課後
友達と教室で戯れる。
部活に入ってない私たちは、夢中で語り合っていたい。
彼女とは昔から中の良い友人だ。
教室には私たち二人しかいない。
「あ、もうこんな時間だよ」
「帰ろっか」
その時だった、
私が廊下の方を振り向くと、誰かがこちらを見ていたような気がしたのだけど、
気のせいだろうか。
廊下に出ると、すうっと強い風が吹いて行った。
「何、今の風?」
「びっくりしたー」
それは颯爽と廊下を吹き抜けた。私達は顔を見合わせた。
友達は、夕暮れの茜空の中語り歩く。 私はその後ろで話を聞いて笑う。
「ねぇ、最近この学校で流行ってる話知ってる?」
「あぁ、あれでしょ、人が消えるやつ。
特に何のひねりもなくて面白くないじゃん」
「そそ、」
私は笑いながら混ざった。
「えぇ~何それ?」
またありふれた都市伝説の類だ。
女子はこの手の話しが本当に好きだ。
「ただたんに神隠しに会っちゃうってだけの話しなんだけどね。
でも、巻き込まれると、あっという間に消えちゃうって言うじゃん。
誰も帰ってきてないって話だし。
でも、この話が怖いのが、ただ拾ってあげただけで神隠しに会っちゃうってとこなんだよね」
「もういいよ、知らないものを何でも拾うなって言う、子供に言い聞かせる為の躾話しでしょ、それ」
私は無言で聞いていた。
「うん。そうだといいんだけど、そのハンカチってのが、赤い綺麗なハンカチなんだって。
黒の細い線が入っていて、とてもおしゃれな女性が使うようなデザインだって聞いてる」
「その設定はいるの?」
「んー、設定なのかな。なんかね、ある女の人が自殺したらしくって。
その時に、黒い線が入ったハンカチを持っていたらしいんだけど。
よく見るとそれは線じゃなくって、恨みのある人の名前を、書き綴ったものだったんだって。
死んでた女性の死体は、青白くなっててとても不気味だったらしくってね。
恨みのこもったような形相で、相当、復讐したかったとかなんとか」
「それって自分を自殺に追い込んだ人間を、って事?」
「ううん。なんかその女の人も変わってて、精神がおかしい人だったんだって。
書かれていた名前の人達は、その人とは全く関わりもない人達の名前らしいの」
「えっ?」
「誰でも良かったみたい。被害妄想?的な?
自殺の原因と言う原因がわからない事件で。と言うか、この世界に恨みがあったみたいな話なの」
夢中になって話している姿がなんだか楽しそうだった。
そんな楽しそうに語る彼女の話しを、私はただ、聞き続けた。
彼女はさらに語り続けるが、私はすでに笑えなくなっていた。
「でね、その落ちてるハンカチの黒い線って言うのが、神隠しにあった人達の名前なんだって。小さすぎて黒い線に見えるっていう、あそこね」
「へぇ~、なんかそれは気味悪いね」
「でしょ。
そのハンカチの意味を知った時、後ろにその女の人が立ってるんだって。
で、すっとさらっていくらしいよ。
そんな限定されたハンカチだったら落ちてても誰も拾わないよね」
「私……拾った……」
初めて私は会話に参加した。
「え?なんて?」
振り返った瞬間だった。いつも笑って話を聞いてくれる親友の姿が無かった。
「あれ、どこ行っちゃったの…………?
え?なんで? 確か親友と帰ってなかったっけ? あれ、私一人で帰ってた?」
確か親友と帰ってた気がしたんだけど、
「先帰っちゃったのかな?
まぁ、いっか」
姿が見えないので私は一人で帰ることにした。
「うあっ、痛っ、」
その時急いで歩いて行く人とぶつかった。
その人は急いでいたのか、そのまますたすたと歩いて行った。
あれ?
ちょっと待ってぇー。
私は急いでその人を追いかけた。
「あのすいませーん。
ハンカチ落としましたよー」
深紅色と言うのだろうか?
そこに黒く細い線が沢山引かれているハンカチだった。
何やら彼岸花をイメージさせるようなそんな柄のハンカチだったから、だれか大人の女性が落としたものなのかなと思った。
でもこの辺りに通るのは私たち学生ぐらいだから、落とすとしたら、うちらの誰かだろうか。
すごくおしゃれなハンカチだし、高そうだった。
とりあえずポケットへ入れておくか。
あまりにも綺麗でかっこいいから貰って帰ろうかとも思ったが、
私は学校の先生に渡そうと思い、そのまま持って行くことにした。
放課後
友達と教室で戯れる。
部活に入ってない私たちは、夢中で語り合っていたい。
彼女とは昔から中の良い友人だ。
教室には私たち二人しかいない。
「あ、もうこんな時間だよ」
「帰ろっか」
その時だった、
私が廊下の方を振り向くと、誰かがこちらを見ていたような気がしたのだけど、
気のせいだろうか。
廊下に出ると、すうっと強い風が吹いて行った。
「何、今の風?」
「びっくりしたー」
それは颯爽と廊下を吹き抜けた。私達は顔を見合わせた。
友達は、夕暮れの茜空の中語り歩く。 私はその後ろで話を聞いて笑う。
「ねぇ、最近この学校で流行ってる話知ってる?」
「あぁ、あれでしょ、人が消えるやつ。
特に何のひねりもなくて面白くないじゃん」
「そそ、」
私は笑いながら混ざった。
「えぇ~何それ?」
またありふれた都市伝説の類だ。
女子はこの手の話しが本当に好きだ。
「ただたんに神隠しに会っちゃうってだけの話しなんだけどね。
でも、巻き込まれると、あっという間に消えちゃうって言うじゃん。
誰も帰ってきてないって話だし。
でも、この話が怖いのが、ただ拾ってあげただけで神隠しに会っちゃうってとこなんだよね」
「もういいよ、知らないものを何でも拾うなって言う、子供に言い聞かせる為の躾話しでしょ、それ」
私は無言で聞いていた。
「うん。そうだといいんだけど、そのハンカチってのが、赤い綺麗なハンカチなんだって。
黒の細い線が入っていて、とてもおしゃれな女性が使うようなデザインだって聞いてる」
「その設定はいるの?」
「んー、設定なのかな。なんかね、ある女の人が自殺したらしくって。
その時に、黒い線が入ったハンカチを持っていたらしいんだけど。
よく見るとそれは線じゃなくって、恨みのある人の名前を、書き綴ったものだったんだって。
死んでた女性の死体は、青白くなっててとても不気味だったらしくってね。
恨みのこもったような形相で、相当、復讐したかったとかなんとか」
「それって自分を自殺に追い込んだ人間を、って事?」
「ううん。なんかその女の人も変わってて、精神がおかしい人だったんだって。
書かれていた名前の人達は、その人とは全く関わりもない人達の名前らしいの」
「えっ?」
「誰でも良かったみたい。被害妄想?的な?
自殺の原因と言う原因がわからない事件で。と言うか、この世界に恨みがあったみたいな話なの」
夢中になって話している姿がなんだか楽しそうだった。
そんな楽しそうに語る彼女の話しを、私はただ、聞き続けた。
彼女はさらに語り続けるが、私はすでに笑えなくなっていた。
「でね、その落ちてるハンカチの黒い線って言うのが、神隠しにあった人達の名前なんだって。小さすぎて黒い線に見えるっていう、あそこね」
「へぇ~、なんかそれは気味悪いね」
「でしょ。
そのハンカチの意味を知った時、後ろにその女の人が立ってるんだって。
で、すっとさらっていくらしいよ。
そんな限定されたハンカチだったら落ちてても誰も拾わないよね」
「私……拾った……」
初めて私は会話に参加した。
「え?なんて?」
振り返った瞬間だった。いつも笑って話を聞いてくれる親友の姿が無かった。
「あれ、どこ行っちゃったの…………?
え?なんで? 確か親友と帰ってなかったっけ? あれ、私一人で帰ってた?」
確か親友と帰ってた気がしたんだけど、
「先帰っちゃったのかな?
まぁ、いっか」
姿が見えないので私は一人で帰ることにした。
「うあっ、痛っ、」
その時急いで歩いて行く人とぶつかった。
その人は急いでいたのか、そのまますたすたと歩いて行った。
あれ?
ちょっと待ってぇー。
私は急いでその人を追いかけた。
「あのすいませーん。
ハンカチ落としましたよー」
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。


赤毛の行商人
ひぐらしゆうき
大衆娯楽
赤茶の髪をした散切り頭、珍品を集めて回る行商人カミノマ。かつて父の持ち帰った幻の一品「虚空の器」を求めて国中を巡り回る。
現実とは少し異なる19世紀末の日本を舞台とした冒険物語。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる