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第五節
第12話 入院
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ユウカ君! ユウカ君!
女の子が名前を呼んでいた。
優しい声…誰だろう?
ユウカはそれに誘われるように目を開けた。
手を強く握って、必死に呼び続ける、星の姿がそこにあった。
ユウカは死んだのだと悟ったが、エリィーの事が頭に浮かぶとばねの様に体を起こす。
手を握ってくれている星にドキドキしながら、話掛ける。彼女はきっと、夜もずっと手を握り続けてくれていたに違いない。
それだけ思ってくれている彼女は、間違いなくユウカの事が気になっている証拠である。
「星……」
「あら、目が覚めたのね」
手を握っているのは星ではなく、女性の格好をした、ごつい男だった。
「ぎぃやぁぁぁっぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ」
ユウカは急いで手を振り払った。
「あら、元気じゃない。
良かった」
「だ、誰なんだ、お前は?! 」
そのゴツイ体に、角張の強い顔。
こんな男知り合いにいたはずはないのだが、ユウカはどこか初対面とは思えなかった。
どこで会っていたのかは分からないにしろ、一度見たら忘れられないぐらい濃いと言うのに。
「あら、私を覚えていないの? 以外に冷たいのね。
まぁ、それならそれで好都合だけど。
そんな事より、アナタ、大変な事になっちゃってるみたいじゃない」
目覚めると病院。
外を走っていたのに、急に室内にいるのだと認識すると酷く不思議な感覚に陥る。
まるで記憶を失ったような感覚だ。
「そうだ。 えっと、俺は何でここに……?
それと、あなたは誰? 」
「私の事はもういいわ、
それよりあなたの今の状況でしょ」
状況?
ユウカは頭をフル回転させる。
何故ここに来たのかの経緯は分からないが、エリィーの顔が頭に浮かぶ
「そうだ、!?
今、何時です?今日はいつです?
俺はここに来て、何にち寝てましたか?
あと、何故、あなたはここにいるんですか? 」
急に必死になって、ユウカは問い詰める。
それはそうだ。一刻も早く見つけなければならないのに、ユウカは寝ていたのだ。
それに外は明るくなってる。どう見ても一日は経過している事は分かる。
もし数日寝ていたなら、エリィーはもう……。
彼はそんな緊迫する状況下の中で冷静さを失っていた。
「ったく、落ち着きなさい。
冷静で可愛い子かと思ったら、いきなりべらべら喋りだして。
やかましい。
話すから、黙ってなさい」
ユウカは、前にいる男に圧倒された。
何故ここまで男らしい考えと、声をした人が、女性になりたがるのだろうと、また違う思考がユウカの頭をめぐっていた。
「まず、あんたが起きたのは、倒れてから一日日付が変わってるわ。
倒れたのは昨日の事よ」
ひとまずその言葉を聞いて安心した。 何日もたっていないくてよかった。
そしてきっと、この人が俺が倒れているのを見て病院に運んでくれた人なんだろうと察しがついた。
だから、尚更こんなところでゆっくりしている訳にはいかない訳でもあるが。
この間にも死へのカウントダウンは、近づいているかもしれないのだから。
エリィーは人間ではない。きっとだが。
悪魔のような羽が生えていて、それは見せかけではなく、本当に飛べるし。
尋常ではない力をもってはいそうだが、だからと言って、彼女が常人よりも強いのかと言うと、そんな風には見えない。 というより、一緒に居てそんな日は無かった。
逆にどう見ても非力でしかない。太陽には弱いは、重たい物は持てないし、こければ普通にすりむく。 なして、普通の女の子と変わらない。 女の子だった。
だからこそ、より心配で仕方がない。 何をされているかと思うとひやひやする。
「ちょっとアンタ、何してるの?
頭までおかしくなっちゃた訳?! 」
ユウカは体についていた医療器具を取外し、ベッドを飛び出す。
「待ちなさい」
女装した男性がユウカの手を取る。
「あんた、どこへ行くつもり?
死ぬわよ」
体は普通に動く。
自分が逆に、なぜ包帯を巻かれて、病院のベッドに入れさせられていたのか不思議なくらいだった。
「それでも行かなきゃならない。
こんなところで寝ている暇は無いんだ。
ありがとう、助けてくれて」
「何がそこまでさせるの」
ユウカには質問の意味が分からなかった。
そもそもこの男性は、なぜそのような事を聞くのか? 自分たちと何の接点があったのか。
そしてこの人は、何を知っていると言うのか。
一番思うのは、この人は誰何だという事だった。疑問だらけの存在。だけど、今はそんな事はどうでもよい。
「大切だからだ」
「黒い鳥を追いかけなさい。
それが必ず貴方を導いてくれるわ」
黒い鳥?どういう事なのか意味が分からない。
ユウカは颯爽と病院を飛びだしていった。
「大切ね……」
女装した男は病室の窓から走り去っていくユウカを見つめていた。
女の子が名前を呼んでいた。
優しい声…誰だろう?
ユウカはそれに誘われるように目を開けた。
手を強く握って、必死に呼び続ける、星の姿がそこにあった。
ユウカは死んだのだと悟ったが、エリィーの事が頭に浮かぶとばねの様に体を起こす。
手を握ってくれている星にドキドキしながら、話掛ける。彼女はきっと、夜もずっと手を握り続けてくれていたに違いない。
それだけ思ってくれている彼女は、間違いなくユウカの事が気になっている証拠である。
「星……」
「あら、目が覚めたのね」
手を握っているのは星ではなく、女性の格好をした、ごつい男だった。
「ぎぃやぁぁぁっぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ」
ユウカは急いで手を振り払った。
「あら、元気じゃない。
良かった」
「だ、誰なんだ、お前は?! 」
そのゴツイ体に、角張の強い顔。
こんな男知り合いにいたはずはないのだが、ユウカはどこか初対面とは思えなかった。
どこで会っていたのかは分からないにしろ、一度見たら忘れられないぐらい濃いと言うのに。
「あら、私を覚えていないの? 以外に冷たいのね。
まぁ、それならそれで好都合だけど。
そんな事より、アナタ、大変な事になっちゃってるみたいじゃない」
目覚めると病院。
外を走っていたのに、急に室内にいるのだと認識すると酷く不思議な感覚に陥る。
まるで記憶を失ったような感覚だ。
「そうだ。 えっと、俺は何でここに……?
それと、あなたは誰? 」
「私の事はもういいわ、
それよりあなたの今の状況でしょ」
状況?
ユウカは頭をフル回転させる。
何故ここに来たのかの経緯は分からないが、エリィーの顔が頭に浮かぶ
「そうだ、!?
今、何時です?今日はいつです?
俺はここに来て、何にち寝てましたか?
あと、何故、あなたはここにいるんですか? 」
急に必死になって、ユウカは問い詰める。
それはそうだ。一刻も早く見つけなければならないのに、ユウカは寝ていたのだ。
それに外は明るくなってる。どう見ても一日は経過している事は分かる。
もし数日寝ていたなら、エリィーはもう……。
彼はそんな緊迫する状況下の中で冷静さを失っていた。
「ったく、落ち着きなさい。
冷静で可愛い子かと思ったら、いきなりべらべら喋りだして。
やかましい。
話すから、黙ってなさい」
ユウカは、前にいる男に圧倒された。
何故ここまで男らしい考えと、声をした人が、女性になりたがるのだろうと、また違う思考がユウカの頭をめぐっていた。
「まず、あんたが起きたのは、倒れてから一日日付が変わってるわ。
倒れたのは昨日の事よ」
ひとまずその言葉を聞いて安心した。 何日もたっていないくてよかった。
そしてきっと、この人が俺が倒れているのを見て病院に運んでくれた人なんだろうと察しがついた。
だから、尚更こんなところでゆっくりしている訳にはいかない訳でもあるが。
この間にも死へのカウントダウンは、近づいているかもしれないのだから。
エリィーは人間ではない。きっとだが。
悪魔のような羽が生えていて、それは見せかけではなく、本当に飛べるし。
尋常ではない力をもってはいそうだが、だからと言って、彼女が常人よりも強いのかと言うと、そんな風には見えない。 というより、一緒に居てそんな日は無かった。
逆にどう見ても非力でしかない。太陽には弱いは、重たい物は持てないし、こければ普通にすりむく。 なして、普通の女の子と変わらない。 女の子だった。
だからこそ、より心配で仕方がない。 何をされているかと思うとひやひやする。
「ちょっとアンタ、何してるの?
頭までおかしくなっちゃた訳?! 」
ユウカは体についていた医療器具を取外し、ベッドを飛び出す。
「待ちなさい」
女装した男性がユウカの手を取る。
「あんた、どこへ行くつもり?
死ぬわよ」
体は普通に動く。
自分が逆に、なぜ包帯を巻かれて、病院のベッドに入れさせられていたのか不思議なくらいだった。
「それでも行かなきゃならない。
こんなところで寝ている暇は無いんだ。
ありがとう、助けてくれて」
「何がそこまでさせるの」
ユウカには質問の意味が分からなかった。
そもそもこの男性は、なぜそのような事を聞くのか? 自分たちと何の接点があったのか。
そしてこの人は、何を知っていると言うのか。
一番思うのは、この人は誰何だという事だった。疑問だらけの存在。だけど、今はそんな事はどうでもよい。
「大切だからだ」
「黒い鳥を追いかけなさい。
それが必ず貴方を導いてくれるわ」
黒い鳥?どういう事なのか意味が分からない。
ユウカは颯爽と病院を飛びだしていった。
「大切ね……」
女装した男は病室の窓から走り去っていくユウカを見つめていた。
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