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第24部 宇宙へ向けて……
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ライル「無線? 仲間の通信じゃない」
ニフティ『敵の通信チャンネルを受信しました。 あなたとの対話を望んでいるようですね』
ライル「ニフティー、チャンネルを合わせてくれ!」
スラック「お前たちはそうやって戦争や、武力を行使して、力を見せつけようとするのか。 いつの時代も汚いやり方だといい加減気づかないのか」
ライル「何を言っている。 俺は戦争なんてしたくはない。 戦争を望んでいないのら、こんな無益な戦い、今すぐやめてくれ。 攻撃を中止してほしい」
スラック「なら、お前たちこそ、その危険な兵器を宇宙にあげようとするな。 それを何に使うか。 殺戮でしかない兵器を上げようとして、どうして黙認できようか」
ライル「関係のない星で、戦争をするなと言っているんだ。お前たちが兵器を持ち込んで来ているんだろう! 今この間にもたくさんの人が、その兵器の犠牲になっているんだぞ」
スラック「その兵器をもって、さらに宇宙で虐殺しようとしている者の言い分か! それに乗るお前こそ、戦争はしたくないと言うきれいごとが!」
ライル「違う!」
ライルの攻撃がスラックを襲う。
スラック「なぜ急所を外す。 あの時もそうだ。 お前はいったい何がしたいんだ。 いや、お前も兵士として、意志とは違う縛りにあるという事か」
銃口を向けるスラックにライルはただ立ちふさがる。 だがスラックは撃たない。
ライル「やっぱりあなたも。戦争なんてしたくない人なんですね。 だったらこれが違うことだってわかってるんでしょ」
まるで若い青年のような話し方。 それにこの声、 スラックはライルの事を思い出すと、今戦っているのはライルなのかと疑う。 あり得ない……。 だとしたらなぜ? スラックは疑問で頭がいっぱいになった。
銃を向けられてるライルにピンチだと見たグロスはすぐさま、スラックめがけて攻撃し、スラックを引き離した。
グロス「大丈夫か!ライル!?」
スラック「っち、 どういう事だ、 どういう事だ。 青年!!」
グロスの攻撃により再び、スラックとの戦いが始まる。 二対一の猛攻にも対応するスラック。 そこに割って入るようにジータが叫び声をあげて入ってくる。 狙っているのはグロスのアルバばかりだ。
グロス「なんだこいつ。 俺に執着ありすぎだろ!」
グロスとジータが戦う中、ライルが上手く援護。被弾したジータを守るようにスラックが庇った為、スラックは痛手の被弾をした。その被弾にすこぶる驚いたジータはまた、怒りに取りつかれたように、アルバを狙う。 だが、被弾した機体ではライルとグロスに及ばず、二人は叩きの召されて、停止する。
カールスは次々にエターを送り出してくる。 ライル達の方向に向けてスキャットマンと飛んでくるニルスの姿。
ニルス「全員、引くぞ。 もうこれ以上は機体のエネルギーが持たない。 それに発射の時間も迫っている。 ここが潮時だ」
グロス「ちとまずいが、後は地球軍の方々に任せるしかない。 俺の機体ももうエネルギーがない」
次々とシーキュウナ隊が去っていく中、ローイ達が敵の前に立ちふさがる。 追いかけようとするジータ達の前にローイとエリが立ちふさがる。
ジータ「なんだお前ら!! 邪魔なんだよ!!」
地球軍から次々に無線が飛んでくる。
ローイ「ここは俺たちが受け継ぐ 安心して引いてくれ」
ロドミニオ「いけぇ! 絶対に上がるんだ。 俺たちがここは何としても死守する」
ギャラン「お前たちと戦えた日々も楽しかったぜ! そんなお前たちをやらせはしねぇ!」
ローイ率いる地球防衛隊が、エター達を行かせはしなかった。 しかし多勢に無勢、彼らも無傷ではいられない。 そこへ駆けつけたのが、前衛にいた、シースやクルセル。
彼らはジータに押される、倒されそうなエリの機体を守ると、参戦していった。
エリ「どうしてだ、 どうして私は、やつらに勝てない……私は!!」
シース「シーキュウナ隊、今までありがとう。 また会おう! だから間違っても落とされるな」
クルセル「今度はお土産でももって、また来てくれよな! 待ってるからよ」
クルセルはさらに、ライルにオープン回線をつなぐと、お前に無事と帰りを待っていると言って爆風の中に入って行った。
ライルは自身の機体のエネルギーゲージを見る。 まだまだ動けるエネルギーが有り余っていた。こんな敵の数を彼らだけで抑えるのは無理だ。 数が違いすぎる。 それに、さっき出てきた、赤い機体。 あれは異質に見えた。 敵の艦隊も無力化できていない。 今自分たちが引いたら確実に艦まで攻め込まれると思ったライルは、一人、戦場の嵐へと、突撃していった。
ニルス「おい! アイツ何している!!」
グロス「ほっとけ!! 俺たちは戻らないと発射に間に合わねぇ。 それですら、待機していた分エネルギーもないんだ」
ニルス「あの機体も上げなければ、意味がないだろう」
グロス「なんかあいつには考えがあるんだろ! 信じてやれ」
ニルス「ふざけるな。 あいつのどこを信じられる。 ただの考えなしの無鉄砲でしかない」
彼らは助けに行くことすらできない。 戻るしかないのだ。 彼らが帰ってすぐこのことはエールス達に伝えられてた。
エールス「何!? 突っ込んでいった!!? あいつ何をしているんだ。 私の命令を聞いていなかったのか。 発射に間に合わなかったら……」
クレイド「ライル……死ぬつもりじゃないよね……」
シースたちも死ぬ気で戦っていた為、この戦場で命を散らそうとしていた。 あの武力の前に、勝てない事も、生きていられる事も出来ない事はこの作戦を聞いていた時から皆感じていたことだ。 そしてその時はきたのだと、覚悟していた時、一機の機体。 ニフティーに助けられる。
シース「なっ、」
クルセル「お、おまえ、……なんで……?」
ライル「まだ、時間はある。みんなを殺させる訳にはいかない」
ライルはどんどんと敵の機体を無力化させながら、突き進む。 目的は、敵の鎮静化。 当然、それを赤い機体が止めた。
カールス「出たか! 新型! お前は、生きては返さない。 悪く思うな」
赤い機体とは激しい激戦を繰り広げた。パイロットの技術の差が歴然と感じる中、ニフティーの支援もあり、なんとか、撃ち合う事ができるライル。だがこのままでは、赤い機体に落とされる。 ライルは時間を見る。 そしてニフティーにお願いをした。
ライル「ニフティー。もう一度あれを頼む」
カールス「なんだ? 急に動きが……!!」
それからカールスの攻撃は当たらなくなった。 戦艦すべてをライルの機体に集中した攻撃を命令。 しかし、落とされるのは艦の武装ばかりで、一発も当たらない。 やがてそれは浮遊するだけの戦艦となってしまった。 カールスはライル機の足部スラスターを破壊したが、それでも動き回る新型に撃退の危機から一時退いた。
その結果、ライルを止められるものはおらず、攻撃は激化。艦隊の砲撃はみるみると落とされていく。
エールス「ライル!! 何をしている。 乗らないつもりか! 間に合わんぞ」
無我夢中で戦うライルはエールスの通信で目を覚ます。 時計を見たライルは急いでサーゲンレーゼへ帰還しようと飛ばす。
カールス「新型が退く……? いまだ、私に続け、突撃する! それにしても、何て速さで消えるんだ」
カールスは再び、進撃した。
ニフティ『これ以上は危険です。 運転モードへ移行します』
ライルがサーゲンレーゼを捉えた時、噴射が始まろうと煙を上げていた。 出発する。 ライルは渾身の思いで、サーゲンレーゼに急いだ。
そんな時バックパックが爆発して失速する。 どうしてこんな時に。 これじゃあ間に合わない。 サーゲンレーゼはもう目の前だと言うのに……
爆発したのは後ろからスラックがぼろぼろの機体で射撃を行って来たからだ。
スラック「逃がさん! 絶対に生かさんぞ。 この命に代えても」
ライル「またアイツ……。 くそ。 しつこい。 今はお前の相手をしている暇はないんだ!」
ライルはおぼつかないバーニアを吹かせて、必死にサーゲンレーゼを目指す。 だが後ろからの攻撃に幾度と態勢を崩される。
まだサーゲンレーゼは発射していない。 ロケットが噴射すれば、置いて行かれる。 ライルは無我夢中だった。だけどスラックが邪魔をする。
サーゲンレーゼ内でもブリッジでライルを映像で見ていた。
サフィ「大変ライル君が!」
シノ「急いでビーム砲準備! 味方に当てないように。 通過後!煙幕弾!」
エールス「駄目だ!! そんなことしたらライルまで見失ってしまうかもしれない。 煙幕は中止。 砲撃のみで対処。発射するまでだ!味方にだけは当てるなよ!」
ニルス「寄りにもよってにスラックなんて。 あいつ、最後にとんでもないやつを連れてきてくれたな」
スキャット「俺たち落とされなきゃいいけど」
皆はスラックが短期で防衛線を抜けてきたことに恐怖していた。
ライル「くそ、やめろ!! やめてくれ!」
ライルは必死にサーゲンレーゼを目指す。
スラック「ライル!! 止まれ! ライル!!」
砲撃しながら無線を飛ばすスラック。
スラック「何故お前が、その人殺しの兵器に乗っている! 今すぐ止めろ」
ライル「なぜ俺の名を!? その声、もしかしてスラックさんか!?」
ライルは信じられなかった。 今まで戦っていたのがスラックだったという事が受け入れられない。
ライル「駄目だ! 止まれない。 どうしても、俺はあの艦に乗らなきゃいけないんだ!」
スラック「どういうことだ! お前は戦争を嫌っていただろう! 人を殺したくないと。 あれはすべて嘘か!!!」
スラックの猛攻撃が、その心境を表していた。
ライル「止めてください! スラックさん! どうして撃つんです!? あなたこそどうして、地球をめちゃくちゃにした軍隊にいるんですか!? あなたは戦争をやめさせようとしたジンクス乗りじゃなかったんですか!? こんなにも地球をめちゃくちゃにして」
スラック「戦争を止めたいさ! だから、その機体を上げさせないようにしようとしているんだろうが! その悪魔のような機体から降りろ!ライル!
私はなるべくこの星でも戦争が起らないように立ち振る舞って来たさ。 だが、お前たちが、武力を巻き散らかしていったんだろうが。
だから今すぐその機体を破壊する。 それですべてが終わるんだ」
ライル「破壊!? なんであなたが空から来た人たちの手を貸すのかわからにけど、今こいつを破壊される訳には行かないんだ!」
ライルは必死で逃げようとしたが、向かってくるスラックに追いつかれる。 仕方なくライルはスラック機と向き合いブレードを交える。
スラック「俺はお前を信じてた。お前の言葉も、想いも。 だがそれは違ったのか?」
ライル「違わない。! 俺は人を殺したりはしたくない。 殺すつもりもない」
スラック「ふん。 だからあの時も。 戦場で堂々と。 ほんと変わったやつだとは思ったが、甘ちゃん野郎だな、お前は! 戦場で本気でそんな事してたら、お前か大事なものが本当になくなるぞ! その機体がいかに危険かわかるだろう。そんな武力を人が持っていい訳がない。 それはまた新たな戦争を生む火種だ」
ライル「あなたが力を貸すそっちは。この星に訳の分からない兵器を持ち込んで戦争をしだして! この惨劇を見ろ。どっちが戦争を起こしてる! どれだけの人を巻き込んだ! あの時、こいつがなければ、この星は太刀打ちできなかった。 死ななくていい人が沢山死んだんだぞ! そんな空の人たちに尚更こいつは渡せない」
スラック「頭が固いな! 渡さなくていい! 破壊するんだ。 だから今すぐそこを降りろ! ライル!」
ライル「だから! 今破壊されたら困るんだよ! 発射してしまうだろ! いい加減にしろ!」
ライルはスラックをパワーではねのけると、そのまま全速力でサーゲンレーゼを目指す。
ライル「俺はあんたを尊敬していたのに……、本気であんたと親友になりたいって……。 なのに、そっち側にいるなんて、がっかりだよ!」
スラック「ライル待て! 何故話を聞いていくれない。 俺だってお前を心の底から信じていた。 仲間になれると思った。 戦争のない世界で楽しくお前と……
だが、お前はそうではないんだな。 それを上げる訳には絶対に行かない。 お前がそうまでしても上げると言うなら! 俺も絶対にお前たちを上げさせない」
スラックの目の色がわかる。
ライル「そうやって攻撃ばかりして、力でしか解決しようとしない。 結局戦いがしたいんじゃないか! あんたたちは」
スラック「お前たちこそ、リラルドや、ギエン、ジトーたちを殺してきただろう! 銃を向けたのはお前たちも一緒だろ!」
ニフティ『注意、高速で後ろから近づいてくる機体がもう一機。 気を付けてください』
スラック「畜生! 戦艦前まで来ちまった。 絶対に乗せる訳にはいかない」
着々と発射しようとする戦艦に近づくライル。 スラックは覚悟を決めて、ライルのバックパックに狙いを定めた。 出力は最大で集中する。
スラック「悪く思うな、ライル。 お前がそれを決めたなら、俺は、撃たねばならない、家族の為にも。 惜しい人を亡くしたよ」
ニフティ『危険です、高エネルギを感知。 被弾中のこの機体では、バックパックを狙われれば損傷は回避できません。 回避してください』
それでもライルはただまっすぐサーゲンレーゼを目指した。 どうしても乗らなければならないから。
スラック「さらばだ! ライル」
グロス「させるかよ!」
その時、ライルの先からグロスの乗るアルバが火を噴いた。 直撃したスラックの機体の頭が飛ぶ。 しかし高速で飛んでくるスラックはそのスピードを緩めはしない。
スラック「まさか、 メインカメラをつぶされた。 あの男、これを狙って。 だが、私の操縦スキルを甘く見るなよ!」
スラックは当てようと何とかおぼつかないライフルで照準を合わせて発射する。 それた弾が発射台に当たって艦内が揺れる。
グロスも狙いを絞って、スラックを射抜いていく。 被弾し、左肩が落ち、次いで、スタピライザーが落ち、どんどんと、装甲がはがされていくスラック機。 それでもライルの機体をつぶそうと、そして戦艦に当たればと。追いかけ、攻撃する。
グロスも落とす為、何発もライフルを当てていく!
グロスの援護もあり、無事、艦にへばりつくことができたライル。 ニフティーが映すモニター越しにボロボロになりながらも迫りくるスラックの姿を見る。
ライル「止めろ! やめてくれ! グロスさん。 もうその人をそれ以上攻撃しないでくれ! 彼が死んでしまう」
グロスはさいごの攻撃を放った。スラック止まろうとしなかったからだ。 あのまま直撃されては、艦は打ち上がらない。
スラック「ライ―――――、ライ、ル。 聞こえ―――――か 」
スラックの無線がライルに届く。スラックの無線はノイズが酷かった。
スラック「ライル…… お前に一度、俺の息子を合わせたかった。 本当にかわいい子なんだ――――― この星に来た時は好戦的でやばい場所だと思っていた。 だけど、ここの人々と関わるうちに。 ここに住むのも良いのかもしれないと思っちまった。 俺の奥さんと、息子も連れて、なぁ? 本当に争いは無くなるのかな―― ライル」
スラックはそう一人つぶやいた。
ライル「スラックさん! 聞こえる。 聞こえますよ。 もうこっちに来ないでください。 早く退いてください。あなたが!」
スラック「お…は、お前の、…葉を、…信じ、…る。 だ…ら、お前…、その信念を貫き、……せ。 俺―――――に……えの言う、平…な世界…、見せて…れ、」
スラック機に一発のライフル弾が直撃する。 そうして、大きな大爆発を起こした。
ライル「スラックさぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ―――――ん」
スラックの黒煙から一機の赤い機体が飛び出してくる。
カールス「スラック隊長をやった? あり得ない ありえないだろぉぉぉぉ!!」
カールスがライフルを構える。
ニフティ『敵の通信チャンネルを受信しました。 あなたとの対話を望んでいるようですね』
ライル「ニフティー、チャンネルを合わせてくれ!」
スラック「お前たちはそうやって戦争や、武力を行使して、力を見せつけようとするのか。 いつの時代も汚いやり方だといい加減気づかないのか」
ライル「何を言っている。 俺は戦争なんてしたくはない。 戦争を望んでいないのら、こんな無益な戦い、今すぐやめてくれ。 攻撃を中止してほしい」
スラック「なら、お前たちこそ、その危険な兵器を宇宙にあげようとするな。 それを何に使うか。 殺戮でしかない兵器を上げようとして、どうして黙認できようか」
ライル「関係のない星で、戦争をするなと言っているんだ。お前たちが兵器を持ち込んで来ているんだろう! 今この間にもたくさんの人が、その兵器の犠牲になっているんだぞ」
スラック「その兵器をもって、さらに宇宙で虐殺しようとしている者の言い分か! それに乗るお前こそ、戦争はしたくないと言うきれいごとが!」
ライル「違う!」
ライルの攻撃がスラックを襲う。
スラック「なぜ急所を外す。 あの時もそうだ。 お前はいったい何がしたいんだ。 いや、お前も兵士として、意志とは違う縛りにあるという事か」
銃口を向けるスラックにライルはただ立ちふさがる。 だがスラックは撃たない。
ライル「やっぱりあなたも。戦争なんてしたくない人なんですね。 だったらこれが違うことだってわかってるんでしょ」
まるで若い青年のような話し方。 それにこの声、 スラックはライルの事を思い出すと、今戦っているのはライルなのかと疑う。 あり得ない……。 だとしたらなぜ? スラックは疑問で頭がいっぱいになった。
銃を向けられてるライルにピンチだと見たグロスはすぐさま、スラックめがけて攻撃し、スラックを引き離した。
グロス「大丈夫か!ライル!?」
スラック「っち、 どういう事だ、 どういう事だ。 青年!!」
グロスの攻撃により再び、スラックとの戦いが始まる。 二対一の猛攻にも対応するスラック。 そこに割って入るようにジータが叫び声をあげて入ってくる。 狙っているのはグロスのアルバばかりだ。
グロス「なんだこいつ。 俺に執着ありすぎだろ!」
グロスとジータが戦う中、ライルが上手く援護。被弾したジータを守るようにスラックが庇った為、スラックは痛手の被弾をした。その被弾にすこぶる驚いたジータはまた、怒りに取りつかれたように、アルバを狙う。 だが、被弾した機体ではライルとグロスに及ばず、二人は叩きの召されて、停止する。
カールスは次々にエターを送り出してくる。 ライル達の方向に向けてスキャットマンと飛んでくるニルスの姿。
ニルス「全員、引くぞ。 もうこれ以上は機体のエネルギーが持たない。 それに発射の時間も迫っている。 ここが潮時だ」
グロス「ちとまずいが、後は地球軍の方々に任せるしかない。 俺の機体ももうエネルギーがない」
次々とシーキュウナ隊が去っていく中、ローイ達が敵の前に立ちふさがる。 追いかけようとするジータ達の前にローイとエリが立ちふさがる。
ジータ「なんだお前ら!! 邪魔なんだよ!!」
地球軍から次々に無線が飛んでくる。
ローイ「ここは俺たちが受け継ぐ 安心して引いてくれ」
ロドミニオ「いけぇ! 絶対に上がるんだ。 俺たちがここは何としても死守する」
ギャラン「お前たちと戦えた日々も楽しかったぜ! そんなお前たちをやらせはしねぇ!」
ローイ率いる地球防衛隊が、エター達を行かせはしなかった。 しかし多勢に無勢、彼らも無傷ではいられない。 そこへ駆けつけたのが、前衛にいた、シースやクルセル。
彼らはジータに押される、倒されそうなエリの機体を守ると、参戦していった。
エリ「どうしてだ、 どうして私は、やつらに勝てない……私は!!」
シース「シーキュウナ隊、今までありがとう。 また会おう! だから間違っても落とされるな」
クルセル「今度はお土産でももって、また来てくれよな! 待ってるからよ」
クルセルはさらに、ライルにオープン回線をつなぐと、お前に無事と帰りを待っていると言って爆風の中に入って行った。
ライルは自身の機体のエネルギーゲージを見る。 まだまだ動けるエネルギーが有り余っていた。こんな敵の数を彼らだけで抑えるのは無理だ。 数が違いすぎる。 それに、さっき出てきた、赤い機体。 あれは異質に見えた。 敵の艦隊も無力化できていない。 今自分たちが引いたら確実に艦まで攻め込まれると思ったライルは、一人、戦場の嵐へと、突撃していった。
ニルス「おい! アイツ何している!!」
グロス「ほっとけ!! 俺たちは戻らないと発射に間に合わねぇ。 それですら、待機していた分エネルギーもないんだ」
ニルス「あの機体も上げなければ、意味がないだろう」
グロス「なんかあいつには考えがあるんだろ! 信じてやれ」
ニルス「ふざけるな。 あいつのどこを信じられる。 ただの考えなしの無鉄砲でしかない」
彼らは助けに行くことすらできない。 戻るしかないのだ。 彼らが帰ってすぐこのことはエールス達に伝えられてた。
エールス「何!? 突っ込んでいった!!? あいつ何をしているんだ。 私の命令を聞いていなかったのか。 発射に間に合わなかったら……」
クレイド「ライル……死ぬつもりじゃないよね……」
シースたちも死ぬ気で戦っていた為、この戦場で命を散らそうとしていた。 あの武力の前に、勝てない事も、生きていられる事も出来ない事はこの作戦を聞いていた時から皆感じていたことだ。 そしてその時はきたのだと、覚悟していた時、一機の機体。 ニフティーに助けられる。
シース「なっ、」
クルセル「お、おまえ、……なんで……?」
ライル「まだ、時間はある。みんなを殺させる訳にはいかない」
ライルはどんどんと敵の機体を無力化させながら、突き進む。 目的は、敵の鎮静化。 当然、それを赤い機体が止めた。
カールス「出たか! 新型! お前は、生きては返さない。 悪く思うな」
赤い機体とは激しい激戦を繰り広げた。パイロットの技術の差が歴然と感じる中、ニフティーの支援もあり、なんとか、撃ち合う事ができるライル。だがこのままでは、赤い機体に落とされる。 ライルは時間を見る。 そしてニフティーにお願いをした。
ライル「ニフティー。もう一度あれを頼む」
カールス「なんだ? 急に動きが……!!」
それからカールスの攻撃は当たらなくなった。 戦艦すべてをライルの機体に集中した攻撃を命令。 しかし、落とされるのは艦の武装ばかりで、一発も当たらない。 やがてそれは浮遊するだけの戦艦となってしまった。 カールスはライル機の足部スラスターを破壊したが、それでも動き回る新型に撃退の危機から一時退いた。
その結果、ライルを止められるものはおらず、攻撃は激化。艦隊の砲撃はみるみると落とされていく。
エールス「ライル!! 何をしている。 乗らないつもりか! 間に合わんぞ」
無我夢中で戦うライルはエールスの通信で目を覚ます。 時計を見たライルは急いでサーゲンレーゼへ帰還しようと飛ばす。
カールス「新型が退く……? いまだ、私に続け、突撃する! それにしても、何て速さで消えるんだ」
カールスは再び、進撃した。
ニフティ『これ以上は危険です。 運転モードへ移行します』
ライルがサーゲンレーゼを捉えた時、噴射が始まろうと煙を上げていた。 出発する。 ライルは渾身の思いで、サーゲンレーゼに急いだ。
そんな時バックパックが爆発して失速する。 どうしてこんな時に。 これじゃあ間に合わない。 サーゲンレーゼはもう目の前だと言うのに……
爆発したのは後ろからスラックがぼろぼろの機体で射撃を行って来たからだ。
スラック「逃がさん! 絶対に生かさんぞ。 この命に代えても」
ライル「またアイツ……。 くそ。 しつこい。 今はお前の相手をしている暇はないんだ!」
ライルはおぼつかないバーニアを吹かせて、必死にサーゲンレーゼを目指す。 だが後ろからの攻撃に幾度と態勢を崩される。
まだサーゲンレーゼは発射していない。 ロケットが噴射すれば、置いて行かれる。 ライルは無我夢中だった。だけどスラックが邪魔をする。
サーゲンレーゼ内でもブリッジでライルを映像で見ていた。
サフィ「大変ライル君が!」
シノ「急いでビーム砲準備! 味方に当てないように。 通過後!煙幕弾!」
エールス「駄目だ!! そんなことしたらライルまで見失ってしまうかもしれない。 煙幕は中止。 砲撃のみで対処。発射するまでだ!味方にだけは当てるなよ!」
ニルス「寄りにもよってにスラックなんて。 あいつ、最後にとんでもないやつを連れてきてくれたな」
スキャット「俺たち落とされなきゃいいけど」
皆はスラックが短期で防衛線を抜けてきたことに恐怖していた。
ライル「くそ、やめろ!! やめてくれ!」
ライルは必死にサーゲンレーゼを目指す。
スラック「ライル!! 止まれ! ライル!!」
砲撃しながら無線を飛ばすスラック。
スラック「何故お前が、その人殺しの兵器に乗っている! 今すぐ止めろ」
ライル「なぜ俺の名を!? その声、もしかしてスラックさんか!?」
ライルは信じられなかった。 今まで戦っていたのがスラックだったという事が受け入れられない。
ライル「駄目だ! 止まれない。 どうしても、俺はあの艦に乗らなきゃいけないんだ!」
スラック「どういうことだ! お前は戦争を嫌っていただろう! 人を殺したくないと。 あれはすべて嘘か!!!」
スラックの猛攻撃が、その心境を表していた。
ライル「止めてください! スラックさん! どうして撃つんです!? あなたこそどうして、地球をめちゃくちゃにした軍隊にいるんですか!? あなたは戦争をやめさせようとしたジンクス乗りじゃなかったんですか!? こんなにも地球をめちゃくちゃにして」
スラック「戦争を止めたいさ! だから、その機体を上げさせないようにしようとしているんだろうが! その悪魔のような機体から降りろ!ライル!
私はなるべくこの星でも戦争が起らないように立ち振る舞って来たさ。 だが、お前たちが、武力を巻き散らかしていったんだろうが。
だから今すぐその機体を破壊する。 それですべてが終わるんだ」
ライル「破壊!? なんであなたが空から来た人たちの手を貸すのかわからにけど、今こいつを破壊される訳には行かないんだ!」
ライルは必死で逃げようとしたが、向かってくるスラックに追いつかれる。 仕方なくライルはスラック機と向き合いブレードを交える。
スラック「俺はお前を信じてた。お前の言葉も、想いも。 だがそれは違ったのか?」
ライル「違わない。! 俺は人を殺したりはしたくない。 殺すつもりもない」
スラック「ふん。 だからあの時も。 戦場で堂々と。 ほんと変わったやつだとは思ったが、甘ちゃん野郎だな、お前は! 戦場で本気でそんな事してたら、お前か大事なものが本当になくなるぞ! その機体がいかに危険かわかるだろう。そんな武力を人が持っていい訳がない。 それはまた新たな戦争を生む火種だ」
ライル「あなたが力を貸すそっちは。この星に訳の分からない兵器を持ち込んで戦争をしだして! この惨劇を見ろ。どっちが戦争を起こしてる! どれだけの人を巻き込んだ! あの時、こいつがなければ、この星は太刀打ちできなかった。 死ななくていい人が沢山死んだんだぞ! そんな空の人たちに尚更こいつは渡せない」
スラック「頭が固いな! 渡さなくていい! 破壊するんだ。 だから今すぐそこを降りろ! ライル!」
ライル「だから! 今破壊されたら困るんだよ! 発射してしまうだろ! いい加減にしろ!」
ライルはスラックをパワーではねのけると、そのまま全速力でサーゲンレーゼを目指す。
ライル「俺はあんたを尊敬していたのに……、本気であんたと親友になりたいって……。 なのに、そっち側にいるなんて、がっかりだよ!」
スラック「ライル待て! 何故話を聞いていくれない。 俺だってお前を心の底から信じていた。 仲間になれると思った。 戦争のない世界で楽しくお前と……
だが、お前はそうではないんだな。 それを上げる訳には絶対に行かない。 お前がそうまでしても上げると言うなら! 俺も絶対にお前たちを上げさせない」
スラックの目の色がわかる。
ライル「そうやって攻撃ばかりして、力でしか解決しようとしない。 結局戦いがしたいんじゃないか! あんたたちは」
スラック「お前たちこそ、リラルドや、ギエン、ジトーたちを殺してきただろう! 銃を向けたのはお前たちも一緒だろ!」
ニフティ『注意、高速で後ろから近づいてくる機体がもう一機。 気を付けてください』
スラック「畜生! 戦艦前まで来ちまった。 絶対に乗せる訳にはいかない」
着々と発射しようとする戦艦に近づくライル。 スラックは覚悟を決めて、ライルのバックパックに狙いを定めた。 出力は最大で集中する。
スラック「悪く思うな、ライル。 お前がそれを決めたなら、俺は、撃たねばならない、家族の為にも。 惜しい人を亡くしたよ」
ニフティ『危険です、高エネルギを感知。 被弾中のこの機体では、バックパックを狙われれば損傷は回避できません。 回避してください』
それでもライルはただまっすぐサーゲンレーゼを目指した。 どうしても乗らなければならないから。
スラック「さらばだ! ライル」
グロス「させるかよ!」
その時、ライルの先からグロスの乗るアルバが火を噴いた。 直撃したスラックの機体の頭が飛ぶ。 しかし高速で飛んでくるスラックはそのスピードを緩めはしない。
スラック「まさか、 メインカメラをつぶされた。 あの男、これを狙って。 だが、私の操縦スキルを甘く見るなよ!」
スラックは当てようと何とかおぼつかないライフルで照準を合わせて発射する。 それた弾が発射台に当たって艦内が揺れる。
グロスも狙いを絞って、スラックを射抜いていく。 被弾し、左肩が落ち、次いで、スタピライザーが落ち、どんどんと、装甲がはがされていくスラック機。 それでもライルの機体をつぶそうと、そして戦艦に当たればと。追いかけ、攻撃する。
グロスも落とす為、何発もライフルを当てていく!
グロスの援護もあり、無事、艦にへばりつくことができたライル。 ニフティーが映すモニター越しにボロボロになりながらも迫りくるスラックの姿を見る。
ライル「止めろ! やめてくれ! グロスさん。 もうその人をそれ以上攻撃しないでくれ! 彼が死んでしまう」
グロスはさいごの攻撃を放った。スラック止まろうとしなかったからだ。 あのまま直撃されては、艦は打ち上がらない。
スラック「ライ―――――、ライ、ル。 聞こえ―――――か 」
スラックの無線がライルに届く。スラックの無線はノイズが酷かった。
スラック「ライル…… お前に一度、俺の息子を合わせたかった。 本当にかわいい子なんだ――――― この星に来た時は好戦的でやばい場所だと思っていた。 だけど、ここの人々と関わるうちに。 ここに住むのも良いのかもしれないと思っちまった。 俺の奥さんと、息子も連れて、なぁ? 本当に争いは無くなるのかな―― ライル」
スラックはそう一人つぶやいた。
ライル「スラックさん! 聞こえる。 聞こえますよ。 もうこっちに来ないでください。 早く退いてください。あなたが!」
スラック「お…は、お前の、…葉を、…信じ、…る。 だ…ら、お前…、その信念を貫き、……せ。 俺―――――に……えの言う、平…な世界…、見せて…れ、」
スラック機に一発のライフル弾が直撃する。 そうして、大きな大爆発を起こした。
ライル「スラックさぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ―――――ん」
スラックの黒煙から一機の赤い機体が飛び出してくる。
カールス「スラック隊長をやった? あり得ない ありえないだろぉぉぉぉ!!」
カールスがライフルを構える。
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