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第16部 力を見せるサーゲンレーゼ
しおりを挟むサフィー「キャーーー」
抜けて来たエターの攻撃に被弾するサーゲンレーゼ。 巨体の腹元に入られれば、狙いのつけようがない。
エールス「何とかして、エターをつぶせ」
サフィー「艦長! 後方から、急速接近してくる未確認の機体有! こちらに撃ってきます」
エールス「なんだと!?」
ギエンの乗るプレゼンテ。 装備してる大きなバズーカを何連発も発射させた。
その爆発は左のエンジンに大きな損傷を与え、サーゲンレーゼは傾いた。
ギエン「なんという武器だ。 素晴らしい。 戦艦落としには最適の武器か。
ここで終わらせるぞ。 新型戦艦」
その頃ニルスはカタパルトより急速発進していた。
ニルス「そこの機体!!」
ニルスは母艦にへばりついたエターを撃墜させると、ギエンの乗る新型機へと狙いを定めた。
ギエン「もうここに来るのか。 この武装では白兵戦は無理か。 いったん引くしかない」
ニルス「逃げるのか……あいつ」
自分の機体が気になっていたニルスは、グロスに繋ぐ。
挟まれたグロスは追い込まれていた。 すかさずニルスが助けに入る。
ニギュー「こいつ、 動きが早い」
マレー「もらいました」
マレーはじっとその癖を見ていた。グロスの隙をつくために。
グロス「おっと、あぶねぇ。 ここまで読まれるか。 これはまずいな」
マレーの攻撃が当たり、アルバは爆発していた。 ニルスが入らなければ。
ニルス「大丈夫ですか!? グロスさん」
グロス「おう、隊長じゃねぇか。 すまん助かった」
ニルス「すまんじゃないですよ。 何勝手に人の機体に乗っているんですか?」
グロス「あぁ? いや、お前、だって新型に乗ると思ったからよ、 これ空くだろ。 だったらぁ、使ってもいいかなーって。 なるだろ、 普通」
ニルス「なりませんよ!!
あなたは、いつもいつも。 何当たり前のように言ってるんですか。 使っていいわけないでしょ。 壊さないでください」
グロス「ハイハイ。 わかっているよ」
グロスの目に力が入る。 彼の表情にはまだ余裕があった。
マレー「一機増えたか。 こちらも二機。 さすがに簡単には落とさせてくれませんか」
ニルス「ここで追い払います。 おじさん行きますよ」
グロス「はいよ。 隊長」
シーキュウナ隊はラーデル部隊の攻撃を押し返した。
ニギュー「ちー、早く落ちやがれってんだ」
押されていたニギュー達に焦りが出る。
その時一流の光線が流れる。
ニルス「なんだこの砲撃は?」
その光線は一気に空気を変えた。
グロス「隊長さん、あれだよ。 新型のお出ましだ」
エールス達が苦戦を強いられている頃。ライル達のファクトリーでは。
ライル達が、子供たちと遊んでいる時、3機のジンクスが彼らを取り囲んでいた。
ダンク「なんだよ。 よく見たらてめぇらか?! 何かと縁があるな。俺たち。 とにかくわかんだろ。 命が欲しければ金目のもんを渡しな」
ライルは子供たちをかばう。
ライル「また、あいつらか」
クレイド「ライル!!」
車から降ろされたクレイドが心配そうに見つめる。
「てめぇか、 あの時はよくもやってくれたな! お前のせいで俺がどれだけ大変な目を見たか。 丁度いい。 さっさとあの時の金を返しやがれ」
声に聞き覚えがあった。 この声はジンクスファイトで戦った、 一位の男ナキートだ。
ライル「なぜ、あんたみたいな人がそいつらとつるんでるんだ? やっぱりあの時のあれも、お前らがグルで」
ナキート「うるせえ! 誰のせいでこうなったと思ってる! 反則
! 反則はお前だろうが!! 勝手に規格外のジンクス出しやがって、 何回も戦えるのがおかしいだろうが!!」
ライル「その条件を付けたのはお前だろ。 俺はそれに従っただけだ」
ナキート「うんぬぅぬぅぬ、 とにかく、てめーの一件のせいですべての責任を取らされて、降ろされたんだ。 てめぇだけ許さねぇぞ。 こっち側へ引き落としやがって」
ライル「それは、あんたの自業自得だろ」
ナキートは怒りに任せ言ってはいけない事を言う。
ナキート「あいつら全員散りやがったんだろ。 良い様だ。 俺から一位を奪おうとしやがるかだ! 雑魚いくせによ」
ライルはケイを含め地球を守るために、 雲泥の差のジンクスで勇猛に戦った、彼らをバカにされたことが許せなかった。
ライル「なんだと。 お前、いい加減にしろよ。 あいつらは、命を懸けて立ち向かったんだぞ。 あんたみたいに、逃げずに。 参加すらしなかったお前が語るな」
ダンク「もうおしゃべりは終わりだ。 今はそんなこたぁどうでもいい。 さっさと金目のもんもってこい。 お前ら全員殺すぞ」
キム「どうせまだ、大金を残してるんだろ。さっさと持ってこい」
ライルは状況を分析するとラークスを出す為にそのすきを窺う。
ライル「クレイド、子供たちを頼む。 金を取りに行くふりをして、ラークスでこいつらと応戦する 」
クレイド「何言ってんの! まだちゃんと直ってないよ」
ライル「動くんだろ。 だったら十分だ。 シルフィーでファクシミリオンの相手は分が悪い。 ラークスが飛びしたら、すぐに子供たちと車に」
クレイド「、……わかったわ。 気を付けてね、ライル」
ライルはダンク達に大声で話す。
ライル「わかった。 渡す。 渡すから攻撃するな。 今取ってくるから」
ライルが手を下ろし、ファクトリー目指しで走り出した時、ダンクの機体がライルを撃つ
ライル「うっ、うわぁぁ」
ダンク「どこへ行く? お前が取りに行けと言った。 てめぇはここにいるんだよ」
ライル「……」
ダンク「知ってんだぜ。 ファクトリーの中にいるだろが、お前の友達が。
これで持ってこさせろ。 馬鹿な真似するんじゃねぇ。 ほんとに殺すぞ」
ダンクの投げるインカムを拾うライル。 しぶしぶ、ライルはファクトリーのロデルに繋ぐ。
ロデル「どうするよ? ライル。 これは……」
ライル「仕方がない。 持っているもの全部差し出すしかない」
ロデル「くそ、ふざけるなよ。 俺たちが頑張って貯めたもんもあるってのに」
ライル「すまない、ロデル。 俺が、羽目を外しすぎた。 俺の気のゆるみのせいだ」
ロデル「お前のせいじゃねぇ! すまねぇ。 とにかくかき集める」
ライルがインカムをはずす
ライル「伝えたぞ。 これでいいか」
ダンク「おう。上出来だ。 だが、わすれてねぇか? おめぇらのジンクス、二機ともも持ってこいよ」
ライル「くっ、!」
ライル達は従うしかなかった。 弱肉強食の世界。 やられれば、従うしかないのでだ。 それがこの地球。 ライル達が生きる世界なのである。
ナキート「ここは上級都市じゃねぇ。 なんて恐ろしい、そして、搾取する側はたまらんな」
ナキートは現状を大いに楽しんでいた。
一方でエールス達シーキュウナ隊は、落ちかける艦に乗りながら、ラーデル隊スラックの猛攻から命からがら逃げていた。
エールス「急げ、! 何とか振り切るんだ」
サフィー「さらにミサイル来ます」
エールス「艦に当てるな! すべて打ち落とせ」
サフィー「全弾破壊。 さらにミサイル、砲撃来ます。 」
エールス「回避しろ!」
多数の砲弾の何発かがサーゲンレーゼに当たる
ジャン「艦長!!今のですべての残弾を撃ち尽くしました 」
スキャットマン「こちらの砲台も残弾ゼロです」
シノ「打つ手がなくなりましたね、艦長」
艦の皆が行末を心配した。
エールス「あそこの降下に入る」
エールスがさしたのは渓谷の隙間。 岩が無造作にむき出しになり、それは屋根にもなった。
シノ「艦長! あんなところに入れば、格好の的です!!」
エールス「あぁ、追いつかれなければな、 あの岩が盾になる。 いいか、君の操縦にかかってる、頼むぞシノ!」
シノは唇をかみしめる。 これがどれほど難しい操縦か。 片方のエンジンは被弾し、ただでさえ浮力を失っている。 安定を取る羽も壊れ、舵が重い中、あの狭い渓谷の中に入らなければならい。 ごつごつと飛び出した岩は、盾にもなるが、当たれば、サーゲンレーゼは着艦してしまう
エールス「ニルス、スキャットマン、グロスは、アームズドールにて甲板へ。 てきの砲撃を打ち落とせ」
「了解!!」
三人は急いで出撃する。
グロス「しかし、あの新型機、 本当に動かないのか?」
ニルス「本当に腹が立つ。 戦うための機械がただのお荷物とは」
グロス「不思議なもんだねぇ」
ニルス「信じないのか!?」
グロス「いやいや、そういう訳じゃねぇけどよ、 最新のシステムなんだろ? AIとかみたいなの積んでるって。 お前嫌われてんじゃねぇか? その性格」
ニルス「あなたはいちいち鼻につく事を」
そんな一悶着を重ね、上がるグロスたち。
ジトー「少尉! 着弾が確認できません。 奴ら、あの渓谷に入っていきます。
どうやら、ADを出したようです」
ギエン「ならこちらも出撃するぞ!だから、速度を上げたのか。 しかしバカな奴らだ! あんなところに入れば後ろを確実に取れる。 ジトー全速力で後ろにつけ! AD隊! 出るぞ」
ジトー「かしこまりました」
もう一艦のサイジロス。 スラックは考えていた。
スラック「ほう、考えたな新型艦の艦長。 ギエン少尉は気づいておられなさそうだかな」
兵士「スラック少尉! この惑星にでいてたAD隊がこちらに戻ってくるそうです」
スラック「そうか、帰ってくるか。 なら好機だ。 このまま渓谷からあぶりだしてやろう。 通信をつなげ」
兵士「はっ」
スラック「いいか、このまま奴らの作戦に乗る。 ギエン隊のサイジロスに続け! だが、渓谷ギリギリ上の方を飛べ。 合図したら、確実に上昇できるようにしておけよ。 じゃないと死ぬぞ」
全速力で走るサーゲンレーゼに追いつこうとするギエンのサイジロス。 だが、なかなか距離を詰める事ができない。 しかし、後につく事をは成功した
ジトー「なんて出力だ! エンジンを痛めてるってのに。 まさか本気でスピードを上げて、このまま走り切れるとでも思っているのか!」
ギエン「追い詰められら艦は、はどうにかして我々を引き離さなければならない
。その為にスピードを出したというのならそれはいいが、これではただの消耗でしかない。 まあ仕方がない、 最後のあがきだろう。 こうするしか手段がない」
グロス「新型のADもろども来るぞ! 気をつけろ」
ギエン達のADによる猛威が三人に降り注ぐ。
ニルス「耐えろ! 絶対に艦を落とさせるな」
暫く激戦が続いた。 負傷するスキャットマンは足をやられ、動けない。 二人はスキャットマンをかばいながら、戦う。
エールスはある地点で声をかけた。 彼は上空から渓谷のもっと先を見ていたのである。 それはどこで艦体を180度反転させるかである。
エールス「今だ! 艦隊を反転させる。 振り落されるなよ」
ニルス「しがみつけ」
反転するまでには時間がかかる。 それまでに追いつかれては、狙いの的になってしまう。 だからエールスは全速力で距離を離そうとしたのだ。 決して逃げ切るためのスピード勝負に出た訳ではない。
スラック「ギエン少尉。 早く艦を上昇させる。そうでなければ、みんな死ぬぞ」
マレー「艦長! 敵艦が反転して、後ろを向いています。」
ギエン「なんという、操縦技術だ……。
これはまずい。 そういう事か、全体上へあがれ、 上昇しろ!!」
ジャン「充電完了!」
兵士「スラック様! シー・ファースから連絡が。 こちら合流してきています」
スラック「何!? シー・ファースが! なぜこちらに来た!」
シー・ファース「スラック様。 こちらで新型艦と交戦していると伺い」
アルカーナ軍が持つ小型強襲艦 シー・ファース 輸送にも使われるこれは、機動力の良さで重宝されている戦艦だ。
スラック「いいから、すぐに離れろ、死ぬぞ!」
サフィー「艦長!! 敵が上空へ急速に移動してきます。 気づかれたようです」
エールス「くそ、逃がすな! 両部電磁砲、撃てぇぇぃ!」
サーゲンレーゼから一直線に放たれた熱線は、渓谷の中をまっすぐ駆け抜け、焼きとかした。
ジトー「うわぁぁぁあぁぁ」
ジトーのサイジロスは、渓谷下を走るサーゲンレーゼにぴったりと標高を合わせていた為、逃げきれなかった。 無傷で上がったのは、アームズドールと、スラッグ隊だった。
スラック「あわてるな! 被害を報告」
エールスはただ攻撃を回避するために渓谷を使ったわけではない、その狭さを利用して、すべてを一掃しようとしていたのだった。 普通であれば、そこに逃げるのは自分を追い込むことになる。 だが、エールスは一歩先を見ていた。 その為の渓谷だったのである。
兵士「当艦並びにAD隊はダメージ無! ギエン隊のサイジロスは負傷、煙を上げています。 致命傷かはわかりません。 シー・ファース艦消滅」
スラック「だから、来るなというに。 シー・ファースを失うのは痛いな。 やってくれる、あの新型艦の艦長」
サフィー「艦長、敵艦隊の一つにダメージを与えられましたが、ほとんどが浮上
まだ、残っています」
エールス「ちー、上手くいかないか! 急いで反転。 この脅しが効いているうちに、距離を離せ」
ジャン「畜生! やれたのは1艦だけかよ! これより電磁砲冷却に入ります。 再度充電まで3分」
兵士「どうしますか? スラック隊長!?」
スラック「面白いものを見せてもらった。 次はこちらが救い上げて見せよう。
ギエン隊に連絡しろ」
スラックは前もって地球上を制圧していた、AD隊に命令をしていた。
サフィー「艦長!! 前方に敵ADが4機!! 待機しています。 この識別個体は、これは、あの影のスラック隊ではありませんか!?」
エールス「何!? スラック隊だと? ここに来るのか、彼らが! だかしかし、無傷のあの戦艦。 あらかじめ予想ができていなければ、これを避けれるとは思えん。 もう一つのサイジロスは当たっていたところを見ると」
エールスは考えた。 そしてすぐに機転がひらめく。とても危険な予感を察知した。
エールス「まずい!! 急いで、この渓谷からあがれ!!」
艦員「????」
スラックが合図をしたとき、一斉に渓谷の岩がなだれ落ちてくる。
スキャットマン「まずいぞ、渓谷の岩がすべ崩れ落ちてきている。 早く上がらないと、埋もれちまうぞ」
エールス「全速上昇!!」
皆に重たい重力がかかる。
上がったのもつかの間。サーゲンレーゼは完全に包囲されていた。
スラック「お疲れ様 新型艦!」
ここにきてエールス達は、スラックの作戦に負けた。
サーゲンレーゼは追撃される中なんとか飛んでいた。
サフィー「艦長! あれ、ライル君じゃないですか?」
丁度逃げてきた先はライルのファクトリーがある場所だった。
エールス「なんだ? 何やらもめごとか? サフィー! スピーカーを使って呼び掛けてくれ 彼が必要だ」
サフィー「はい!」
エールス「格納班! 新型機体を下に落とす」
揉めあっている戦艦が使づいてくるもんだから、ダンク達もまた、視界を奪われていた。
ナキート「なんだよ、…… ありゃ、いったい……」
キム「ボス! こっちに近づいてきやすぜ!!」
ダンク「こいつにかかわると、次から次へとなんなんだ」
サフィー「ライル君聞こえる?! 今からそっちに新型機を落とすわ。 使って頂戴」
ライル「一体どういうことだよ??」
有無をいわずカタパルトが開くのが分かった。ライルは、クレイドにいまだと合図を送る。 クレイドは約束通り、車へと子供たちを積めた。
ダンクとナキートが気づいて子供たちを狙撃したが、落ちてきたエクリプス2号機によって防がれる。
ナキート「こ、こいつ。あの時の!!!」
ナキートはエクリプスの事をよく知っている。 恐れる機体でもある。なら、起動する前にたたく。 ナキートはエクリプスに突撃する。
ナキート「こんちきしょうがぁぁあぁぁぁ」
ライルはすぐさまエクリプスに乗り込むと、起動させる。
ニフティ「認証、照合完了。 お帰りなさい。 どちら言っていらしたんですか?」
ライル「今はそんなことどうでもいいから早く起動してくれ!」
ニフティ「かしこまりました」
操縦席内が水色に光、たくさんのモニターが表示される。 前からはナキートが走ってくる。
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