【革命大戦紀 SLIVED EKURIPUSU/スリヴドゥエクリプス】

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第7部 宇宙からの偵察者

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 何やら辺りが騒がしい。 騒音に目を覚ましたライルはテントから出た。 そこに映ったのは一隻の空を浮遊している大きな戦艦だった。 

 地球の軍隊が飛ばした戦闘機が撃ち落とされていた。

「な、何だあれは!?」

 それはそこにいた一人の男が指さした時だった。 地球人は、空に船が浮く光景を目にしたこと等ない。 だから浮いている物体が地球外生命体なのだと理解した時、疑問が恐怖へと変わった。 地上は不安な声を上げる人々の叫びで埋め尽くされた。


 地球にある栄えた都市を経済都市と呼んでいるが、その経済都市から軍隊が出動するのは地球を守るためでもある。 彼らはジンクス等よりもはるかに高性能な機体、ネクストを出撃させた。


「お、おいあれ見ろ、ネクストだ。ネクストが飛んでいくぞ!」

 民衆はヘリのようなものでしっかりと固定され飛んでいく傭兵のネクスト6機の姿に鼓舞した。 ネクストが出れば大概の事件は片が付く。 それほどまでにこの選ばれた傭兵たちはすごい腕の持ち主だった。そしてネクストと言う機体は名のある専門の企業がスポンサーとしてついており、ジャンクや寄せ集めで作られたジンクスとは一風が違う。 地球の総技術がつぎ込まれた地球最強の機体であると言ってもいい。

 そもそも事件が起れば、彼ら一人が駆けつければ解決した。そのネクストが6機も向かったのだ。 これで助かったと、民衆の誰もがそう思った。 だが、それはすぐさま絶望へと転換する。


「ギエン隊長! 向こう側が、アームズドールのような機体を出してきました」

「いきなり攻撃してきたかと思えば、今度はドールか。 ……どうやら好戦的な種族なのか、L.S.E.E.Dとつながりがあるのか……。 構わん、ならば叩き落とせ。 私も出る。 エター2機とルネディ―の準備をしろ。 その間、艦の指揮はお前に回せる。 ジトー」

 ギエンはジトーの肩に力強く手を置いていた。

「わた、私がですか?! わ、わかりました。 お早いご帰還を」

 ジトーは緊張しながら、がちがちの敬礼をした。


 こうして戦艦から出た、ギエン率いるアームズドールは、あっという間に6機のネクストを撃ち落とした。

 それを風物していた国民たちは、恐怖を感じる事しかできなかった。一機、一機、爆発を起こしながら落ちていく機体はまるで打ち上げ花火の不発弾。 あの降りてきた戦艦一隻は、どれほどの力を備えて来たと言うのだろうか。 自分たちが最強と感じていたモノが一瞬に打ち砕かれていく様は絶望でしかなかった。


 それを目の当たりにしたが為に、国民は危険を感じ騒いだ。 不安と言う感情が渦巻き、感情に押しつぶされた人間は逃げ狂う。 ライルが目を覚ましたのは丁度のそんな時の事である。

 
「なんだ、この連中の機体は。 ダメージはおろか、まるで話にならない」

「隊長、我々はいったい何と戦っているのでしょうか、これではまるで、紙くず同然」

 ギエンは考えていた。 なんせ降りた事のない未知の惑星。何があるかはわからない、うかつさは戦場では命取りになる。

「これが、この惑星の技術力と言うのか?」

 ギエンはアームズドールから見える荒廃しきった地上を見つめる。

「ジトー! 見つけたぞ。 あそこだ。 対象物はあの地点に落ちた。 今座標を送る」

「隊長、こちらも確認しました」

 広い土地に荒廃しきった砂漠。 そして、その真ん中に、一つだけバカでかい建物が立っているのを見てギエンは悟った。 現状での大胆な行動は可能だと。


「あの建物、あそこにも機械がちらほら見えるが今は気にするな。 目標はあくまで対象物の確保。
 急ぎ落下地点に向かう」


 小さく光る3つの機体と、と大きな戦艦はライルから顔をそらし、大陸に消えていった。

 緊急警報のようなサイレン音に頭を痛めるライル。

「何だって言うんだ」

『この現場に居るジンクス乗りは至急、会場までお集まりください。 繰り返します。 この会場にいるジンクス乗りの皆様は至急会場へお集まりください』


 一体何が起こったと言うのか? 理解できないライルはとにかく指示に従って走る。
 途中格納庫の中を隙間からクレイドの姿を捉えた。 中では残されたジンクスたちが急ピッチで修理されていた。

 会場にはルビデを筆頭に試合に出た9人のジンクス乗りが集まっていた。 内容はこうだ。 今、ここに残ったジンクス乗りの機体を急ピッチで修理、改装している。 ここにあるありったけの資源やパーツを、余すことなく使い切って良いとの事。 修理が終わった者から、急ぎ前線に向かってほしいと言うお願い事だった。

「つまりは俺たちに、あの訳の分からないものと戦えって言うのか?」

 一人のジンクス乗りが声を上げた。 ルビデはそうだと頷いた。 ここに居る皆がジンクス乗りだと言うのなら、その姿を今こそ示す時だと。

 ジンクス乗り達のほとんどは参加を意思表示した。 流石ジンクス乗りと言ったところか、戦うのが好きな者たちばかり。 俺がやってやると意気込む姿勢が見えた。
 それはルビデが多額の懸賞金を提示したからでもある。
 勿論、冷静な者もいる。 そう言ったジンクス乗りは、出陣する事をためらった。 ネクストが出てもわずか秒でやられてしまっている所を見ているからだ。 あれほど恐ろしいものはない。 彼らは別にジンクスに乗りたくて乗っている訳ではない。 生きる為に乗らざるを負えなかった者も中には居る。


 しかしジンクス乗り達は地球と言う住処を守る為出撃する事を決める。 ライルは格納庫に向かうケイの姿を見た。

「ケイ! お前も出るのか」

「あぁ。 俺には守らなければならない者たちがいる。 そいつらの為にも、この星を守らなければならない。 それにこんな状況。 俺だけ逃げる訳にはいかない」

「なら、一緒だな。 死ぬなよ」

 ライルも格納庫に一緒に入った。 きっとクレイドも中にまだ居るから。

「ライル!」

 クレイドがライルを見つけて呼ぶ。 ペンチを持った手でライルに手を振っていた。

「クレイド! なんかすごいことになってるな?」

「そうだよね。 外が大変なんだって。 皆驚いていたよ。 ラークスも今整備はしてるけど、これじゃあ、あまり戦力にはならないかも」

「あぁ、わかってる。 技術師のみんな頑張ってんだろう。ここに居る皆すげぇよ。 
 それに、この短時間で整備なんて無理がある」

 クレイドは難しい顔をしていた。 この格納庫にあるほとんどのジンクスは万全ではない。 それは、先ほどまで激しい死闘を来る広げていたジンクスばかりなのだから。

「じゃあ、どうするのさ? うちらも逃げる? ラークスなら動かせるよ」

「俺も皆と一緒に前線に出る。 俺らだけ逃げる訳にもいかない」

「それなら、もう少し待って。 これじゃあいくら何でも……」 

「大丈夫。ラークスはここで待っててもらう」

「……それって、あれに乗るって事? 確かに、あれの方がまだ幾分もましか」

 クレイドは深く考え状況分析をしていた。 それでも顔を見上げて心配そうに語った。

「ライル、気を付けて。 行くって言うなら仕方がないけど、 死なないでね。 危なくなったら絶対逃げてきて」


 会場のスタッフが慌てながら、声を駆け回る。

「動ける人は急いできてください。 こちらに早く!」



「ありがとう。 クレイドも、急いで遠くに離れろ。 なるべく遠くに。 ファクトリーの皆も頼む。 その為にもラークスは置いて行くから。
 それと、血迷っても絶対に戦場来るなよ」


 ライルは走りながらクレイドに言うと、呼びかけるスタッフを追いかけて行った。

 

 その頃、ギエン達は落下した場所で焼けたコンテナを調べていた。

「隊長、これはどういう事でしょう? 中身がないという事は……動いている?」


「そう言う事だな。 つまり、L.S.E.E.Dのパイロットが│この惑星《ここ》に居るって事だ」


「│L.S.E.E.D《ルシード》のパイロットが一緒だったと……」


 ギエンは特段顔色を変えてはいなかったが、後の2人は冷や汗をかいていた。 もしL.S.E.E.Dのパイロットが乗っていてここに降りてきたのだとしたら、考えられない事だからだ。

「動いてるって事はそう言う事だろ?」

「そ、そんな……」

「そんな事、あり得ません! 我々は大気圏を抜けてここまで来たんですよ。 このコンテナは輸送用だ。確かに、落ちても多少頑丈には作られているコンテナは燃え切る事はないかもしれませんが、見ての通りこのざまです。 なのにこの中の機体が無事なはずがない」


 彼が言いたいのは、大気圏突入用ではない箱に入った荷物が、中身無事で動ける状態には無いと言ったのである。

「だが、現状は見ての通りだろ。 そしてここにはない」

「この星の誰かがもって行ったという事も……」

「考えられなくもないが、機体だぞ。 相当に重い。 それこそ機体を運ぶレッカートラック車でもそこを通ったか? それなら運のいい連中だ」

 ギエンはとても楽しそうに話していた。

「我々は、敵軍を蹴散らしてこれをすぐに追ってきたんだ。 つまりは、タイムロスはさほどないはず。 そして追ってきたL.S.E.E.D艦隊もなかった。 つまり、まだ宇宙政府軍はこの惑星には来てはいないとみる」

「じゃあ……」

「そうだ。 俺もその考えだ。 つまり、この新型は独りでに動いてやがる、って線が固いだろう。もしくは、薄いだろうが、宇宙連合政府がこの惑星とつながっていたっていう話だ。 それは無いと思うがな。 敵艦隊の姿も見えない。 つまりは、この箱にL.S.E.E.Dパイロットが乗っていたって説が一番高い訳だが」

「そんな……。大気圏を乗り越えられるって言うのか……この新型は」

「理屈はどうか、俺も知らねぇ。 とにかく、俺たちの任務はその新型を奪取ないしは、破壊する事だ。 それだけに注力を集中しろ」

 ギエンは母艦に通信を飛ばした。

「これから辺り一帯を散策する。 そう遠くには行けないはずだ。何か形跡があるだろう。 母艦はこの辺りを上空から見下ろせ。 何かあれば連絡だ。 ややこしいハエは何を言っているかわからん。 攻撃して来たら構わず撃ち落とせ。 こちらからは手を出すなよ」


 ギエンは降下途中町があったことを思い出し、後ろにつくエターの一体を町の方へと向かわせた。



 ギエンは左を、もう一体のエターは前を探させた。



「ヤン姉ちゃん! 外が、外が大変な事になってる」


 モニター画面がある家もネクストが落とされる映像が放送されていた事で知らない人は少ない。

「ケイ、一体どこへ行ったの? 」

 ヤンは脅える子どもたちを抱えながらケイの帰りを待った。



「あの町か。 なんだ荒廃しきってやがる。 これで住んでるなんて、酷いもんだ」

 住民の一人が銃を持って出て来ると、エターに向かって発砲した。 

「何だこいつ。 俺たちと同じ人じゃねぇか!? やっっパリ連合軍が?」

 住民の撃つマシンガンライフルは、エターに当たって辺りにはじけ飛んだ。小さな攻撃にかまわず探し歩くエター。

「お父さん怖いよ」

 一つの家では一家が脅えていた。その父は何を思ったのか、家族を置き去りにすると一人、大筒を抱えて外へと出て行った。 この街にもロボット乗り達はやってきた。 ジンクス乗りのほとんどは街の物を搾取していく事が多い。 その為、ジンクスを破壊するような武装は誰もがしていた。 そうしなければ自分たちが飢えて死ぬからだ。


 エターが歩くたびに、銃弾を打つ人々が増えて行った。 エターが爆撃を食らう。

「うわあぁぁ。 なんだ、ミサイル? 対人用じゃねぇ」

 驚いたエターはこの場所は危険だと察知した。 彼らの住む場所では住宅区の者が武装していることはあり得ないからだ。 

 危険を感じたエターは交戦体制を取った。 話の分かる人間がいれば降りて話したかったが、そうもいかないらしい。 ライフルが効かないとわかった住人は手榴弾をいくつも投げ込んで、街全体でエターの足を止めていた。


「こ、こいつら! まさか、連合軍の? だから攻撃してきたのか?! 隊長のあり得ない話が、当たっていた?」

 エターは交戦をして脅しをかけた。 攻撃したレーザーが家に当たり、家につないだガス管を直撃した。 それは大きな爆発を起こし、家々に置いてあった火薬武器に連鎖した。 こんな結果になるとエターのパイロットはは予想していなかったが、燃え盛る町を後に、探索を続けた。
 さらに奥へと探索範囲を広げると、点々と町や集落のようなのモノが孤立していた。 通信が入る。


「聞こえるか、 20分だ。 20分後には母艦に帰還しろ」
「了解」
「了解です。 隊長いいですか? もしかしたら、連合軍とつながりが。 ここの奴ら、全武装で攻撃してきやがる」

「構わん。 お前がやられないようにしろ。 だが、お前から仕掛ける事だけはするなよ」


 エターが下りる先では必ず火ぶたが上がっていった。 

 もう一機のエターは大きな建物に向かっていた。明りがついているので、人がいると思ったのだ。
 
 一方ライル達も、出撃できるモノはジンクスに乗って空に浮く母艦を目座した。 そうして格納庫内に残ったジンクスはラークスを残して一つもない。




「ライル! 死なないで。 無理したら承知しないから」

「ありがとう。 クレイドも早くここから離れて安全なところへ」


 ライルはコックピットを閉める。 

『出撃ですか』

「あぁ、頼む、起動してくれ」

『かしこまりました。 長時間私が起動していた為、機体内のエネルギー量が低下しています。 このままの長期戦闘は危険と推測』

「え、これ止まるのか?」

『可動戦闘時間は約30分かと思われます』

「30分もあれば十分だ」

『停止した場合、集中放火は免れません。貯蓄残量を消費しエネルギーに回される事を提案します。それと、受信できる通信があります』

 ライルは言っている意味を理解することができない。

「何を言ってるのかわからないけど、頼む。 それで、動かせるならやってくれ」

『かしこまりました。 一度疎通モードに移行します』



「隊長!」

「どうしたロスラン」

「でかい建物に向けて進行していたのですが、前から、またあのオンボロ機械が7機以上こちらに進軍してきます。 この辺りは何かあるのかもしれません」

「そうか、一人でやれそうか?」

「舐めないでください、隊長。 こんな紙切れ何枚来たところで傷一つ尽きませんよ」

「ぬかるなよ。 何かあったらすぐに連絡しろ、 こちらももう少し行ったらそちらに向かう」

「隊長の手をわずらせる程でもないですよ」

 通信が切れるとロスランの乗るエターは真直ぐ向かってくるジンクス隊に衝突する。


「なんだ、おい! 1機前方から向かってくるぞ」

「あれが、降りてきた奴の機械か」

「俺たちのと全然違う。 あれはまるで、ネクストみたいだ」

 ジンクスたちは無線で交信を続ける。突っ込んでくる機体はとても速く、ジンクスでは出すことのできないスピードだった。
「皆、来るぞ。一機だけだが、気を付けろ」

「言われなくてもやるよ。青いの」

「お前も、気をつけろよ」

 ケイよりも先に、3機のジンクスが飛び出す。皆も後に続いた。

「ほう、3機出しゃばったのがいるか。 余程好戦的なのかこの星は」

 エターの持つライフルの威力を目の当たりにしたのは現場に居た者だけだ。 その威力は、ただの一発でジンクスを完全に行動不能にした。

「な、何だあの武器は」

 前に出た、3機は何もできず大破した。
 あれはレーザ銃。ケイはそれを知っていた。 あの銃を使うのは、ネクストだけ。 地球の武器? なら、戦ってるのは地球人なのか? ケイは疑問を抱きながら無線で他のジンクスに注意を促す。


「気をつけろ。 あれはレーザ銃だ。 当たったら終わりだぞ」

「当たったら終わりって、どうするんだよ。 スピードも違う。俺たちとは戦い方が違う」


 そうこう言ううちに、また2機のジンクスが撃ち落される。

「くそ、あんなの反則だ」

「俺たちただの的だぞ」

「焦るな、俺が引き付ける。 お前らは射程に入らないように隙を狙って攻撃を入れてくれ」

 青いケイの機体単機で向かっていく。 向けられた銃口からレーザーが射出されると、それを交わした。 

「ほう、かわすか」

 ケイはそのまま詰め寄ると、エターの脇腹に入った。 驚いていたのはエターのパイロットだ。 今までの戦いで死界に入られた事は無かった。 これではエターは完全に沈黙する。この間合いはまともにケイのブレイドに両断されるからだ。 それが、アームズドールでなく、ジンクスであれば叩き切る事が出来たのかもしれない。

「何、刃が止まった。 キレないだと」

 驚かされたのはケイも同じだった。


「しょ、所詮紙切れは紙切れか。 助かったぜ、 死ね」

 ケイの機体は体当たりを食らって投げ飛ばされる。 距離を話したエター機は銃口を青へと向ける。 

「させるかよ」

 ケイの前に一機のジンクス、エターの横から一機のジンクスが突っ込んできた。

「何体来ても一緒なんだよぉ! 」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 横から突っ込んだジンクスはレーザーの放出でコックピット事消し飛んだ。

「ちくしょうぅぅうぅぅぅぅ」

「まて、止めろ、お前ら!」

 前と後ろから、ジンクスが突っ込んだ。 挟み撃ちとは言えど、捨て身のような攻撃はあっけなく終わった。 レーザーライフルに、もう一方の手にはレーザーのようなブレイド。 ケイはその武装にますますネクストを重ねた。

「残ったのはお前一機だけだぞ青いの」

 立った一機のジンクスを残して、全てのジンクスが大破した。 それは通信をつないでいたバビルの元にも音声が届いていた。 彼は急ぎ、その場を離れる準備をしていた。

 ケイはつき尽きられた銃口のレーザーをかわす。 一人だけ違う。 ロスランは目の前に居るパイロットがただ者では無い事を理解していた。 だが、機体が悪すぎる。 
 ロスランの死界に入ったことも、レーザーライフルを何度も避けるのは、このジンクスが初めてだ。 不調そうにも見えるケイの機体は、レーザーライフルをかわすと、そのまま横の脇腹を攻める。 

「無駄だ」

 至近距離に入れば、確かにあの最強のレーザーライフルは使えない。だけど、そう来ることはロスランも予測済み。エネルギーを伸ばす剣のようなモノを出すと、それでケイの剣を焼ききろうとした。 彼らエターの持つ、もう一つの武器にフォトンソードと言うものがある。 これもまた粒子のエネルギーでブレイド化したもので、これでアームズドールの機体を焼き切る。 ケイの持つ刀のようなもの等、触れたただけで焼き切れるだろう。

 そのままケイに目掛けて振り下ろすと、ケイの刀はそれを受けとめた。

「どういう事だ。 焼けきれないだと」

 見ると、ケイの刀は刃先に光を帯びて輝いていた。

「バカな、受け切れるのか この機体は」

 そのままケイはエターを蹴ると、光る刀で一太刀浴びせた。 

「ぐううっ、」

 エターのコックピットに大きな切傷の跡が残る。 何だこの機体は?だが、それでもエターの敵ではない。距離を取られてしまえばレーザ銃の餌食になる。 ケイもそれは分かっていたが、どれだけ追いかけようとエターの速さには敵わない、一瞬で距離があき、ケイの機体はレーザーを食らう。

「うわぁぁぁぁ」


「ケイにぃちゃん!!」

「どうしたんだ!? エリ!!」

 エリは家を飛び出していった。

「シュン! 待ちなさい」

 ヤンはエリを追いかけようとするシュンを止めた。 
 ケイ、何処にいるの。お願い無事でいて。 ヤンは涙を流して子どもたちを抱きしめた。









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