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15話 おつかい完了しました

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 俺とラッシャーさんはレクリオ村へと帰ってきた、なんだかほっとする。村の門番をしているギダユウさんに声を掛けられた。

「おう、二人共御帰り、ラッシャー、薬草の件はどうだった? 」

「へい、駄目でやした・・・、今回も品質の良いのがあまり無かったそうでさあ」

「・・・そうか、今回もか・・・、とにかくご苦労だったな、夜の見回りはしなくていいからゆっくり休んでくれ」

「へい、それじゃああっしは村長さんの所に行って報告してきやす」

「おう、」

俺はラッシャーさんに町まで付き合ってくれたお礼をする。

「ラッシャーさん、今日は有難う御座いました、お陰でクノックスの町までの道がわかりました、モンスターからも守って頂き感謝致します」

「ああ、いいんですよ、そんな事、それじゃああっしは行きやす、これにて御免」

ラッシャーさんは村の奥にある村長さん家に行ってしまった、俺もミランダさん家に帰ろう。

「それではギダユウさん、俺も失礼します」

「ああ、ヨシダさんも今日はお疲れ」

俺はミランダさんの家へ向けて歩く、辺りはもうすっかり夕方頃だ、夕日が村の中の草原や畑、家々をやさしく照らしている。ゆっくりと歩きながら村の様子を見る。やっぱり長閑な村はいいなあ。時間がゆっくりと流れている。

ミランダさん家に着いて玄関の扉を開ける。

「只今戻りました、」

ミランダさんが出迎えてくれた、カチュアちゃんはまだ帰って来ていない様だ。

「お帰りなさい、ヨシダさん、お使いご苦労様です」

俺はナップサックをテーブルの上に置き、中の物を取り出す。

「お塩と食用油を買ってきました、あと、図々しいとは思いましたが、お釣りを幾らか使わせて頂きました、俺の肌着と、あと煙草を買って来ました」

「まあ、そんな事気にしなくていいんですよ、そうですか、肌着は必要ですものね、煙草はウチの主人の物を使い切ってしまっても良かったのですが、ヨシダさんの好みもありますし、自分の物が買えて良かったですね」

「ありがとうございます、ミランダさん、お陰でいい煙草が買えましたよ、火を付ける道具はご主人の物をまたお借りする事になりますが・・・」

「いいですよ、ヨシダさんに差し上げても、ウチには煙草を吸う人がいませんから、良ければ貰って下さい」

「よ、よろしいのですか? 確か火を付ける道具は魔道具で銀貨3枚の価値があるとお聞きしましたが・・・」

ミランダさんは火を付ける魔道具を持って、こちらに近づき俺にぽんっと渡してきた。

「ヨシダさん、貰って下さい、ヨシダさんに必要な物ですよ、特に煙草をお吸いになるなら」

「・・・ミランダさん、・・・ありがとうございます、大切に使わせて貰います」

俺はミランダさんから魔道具を受け取る、有り難い、大切に使おう。

しかし、いつまでもミランダさん家にお世話になりっぱなしというのも肩身が狭い、何か手伝える事はないものかな。

「流石にお世話になりっぱなしというのは気が引けますよ、何かお手伝い出来る事ってないですか? 畑仕事でも何でもやりますんで」

「うーん、そう仰られてもウチの畑はそんなに広くないですし、私とカチュアの二人だけで賄えますので、そうですわねえ、作物の収穫の時に少し手伝って頂ければ十分ですので」

「そ、そうですか、なんだか申し訳ないです」

うーむ、あまり期待されていないようだな、なんだか申し訳ない感じだ。

俺がそう思っていると、ミランダさんから提案された。

「そうですわ、そう言えばギダユウさんが自警団に人手が欲しいといつも言っていましたわ、ヨシダさん、この村の自警団のお手伝いをされては如何でしょうか」

「じ、自警団ですか、実は俺はあまりモンスターの相手をするのは苦手なのですが・・・」

「大丈夫ですよヨシダさん、自警団といってもいつもモンスターに遭遇して村から追い払う訳ではありませんから、基本的に自警団は村の中の見回りをすればいいんです、それにもし、モンスターが村の中に入って来ても一人で対処しなくてもいいんですよ、ギダユウさんやラッシャーさん達と協力してモンスターを追い払えばいいんですよ、難しく考える事はありません、どうですか? ヨシダさん」

ふうむ、そうか、俺にはモンスターと戦うなんて出来そうに無いけど、お手伝い程度ならば出来るかもしれない、・・・そうだな、この村の自警団のお手伝いならやってみるか。この村に暫くの間世話になる訳だし、よーし、明日ギダユウさんに頼んでみるか。

「そうですね、わかりました、俺は自警団のお手伝いをします、明日、ギダユウさんに言ってみます」

「それがいいですわ、村に早く馴染んで貰いたいですからね、ヨシダさんが自警団のお手伝いをして貰えるなら、ギダユウさん達もきっと喜びますわ」

「俺なんかが何の役に立つかはわかりませんが、出来るだけやってみます」

自警団か、俺に務まるかな、だけどこのまま世話になり続けるのなら、何か人の役に立つ事の一つでもしないとな、肩身が狭い。俺に何が出来るのかな。

その時、玄関の扉が開いてカチュアちゃんが帰ってきた。

「ただいま~、あ~、お腹空いた~、お母さん、ご飯まだ? 」

「まあ、この子ってば、今まで一体パールさんのところで何をしているの? 村長さんの所で何かご迷惑を掛けてないでしょうね、」

「そんな事してないわよ、ただちょっと、練習しているだけよ」

「一体何の練習なんだか、さあ、ご飯にしましょう、カチュア、食器を出して」

「はーい」

「あ、俺も何か手伝います」

こうして俺は、レクリオ村の自警団に入る事を決めた。自分に何が出来るのか今一わからないが、まあ、何とかやってみますか。

今夜の夕食も美味しそうな夕飯だった、ミランダさんの料理はとても美味しい。

「「「 ご馳走様でした 」」」

夕食を終え、外に出て、今日買った煙草を一本取り出し、火を付ける。

「ふう~~、うまい、この苦味がいい、香りも豊かな感じだ、ホント、いい煙草が買えたな」

煙草の煙を燻らしながら、クノックスの町での事を思い出した、俺にはスキルがある、これを使ってうまいことやっていけるかどうか、自信は無いが、何とかやっていくしかない。この世界にはスキルや魔法といったものがあるし、俺が居た世界とは明らかに違う訳だ、今後も無理せず、慎重にやっていこう。

「煙草はうまいんだがなあ、」

煙草を吹かし、明日、自警団に入る事に、些《いささ》かの不安を覚えながら、俺は就寝に就くのであった。














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