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13話 ユニークスキルを試してみよう
しおりを挟む噴水広場でラッシャーさんを待つ間、この世界でやっていく為に、自分には何が出来るヤツなのかを確かめる必要がある。まず、俺にはユニークスキル「スキル付け替え」というのがある、この固有スキルが自分自身に作用する事はわかった。あとはこの固有スキルが他の人に作用するかどうかを確かめてみよう。
何気に周りを見る、俺から少し離れた所で、子供達が何やら鬼ごっこをして遊んでいる。
「まってよ~」
「あはは、おまえおにだろ、ちゃんとつかまえにこいよ」
「だって、みんなあしがはやいんだもん、もうつかれたよ~」
ふむ、あの女の子が鬼役をやっているみたいだな、ちょっと鑑定してみるか。俺は女の子に「鑑定」をしてみる。
名前 カティ
職業 平民
スキル
・なし
スキルポイント 1P
おお、なんと、あのカティという子はスキルポイントが1ポイントあるぞ。よし、あの子に何かスキルを付けてあげよう。何がいいかな、・・・あ! そうだ、「スピード」なんてのはどうだろう、素早さが上昇するスキルだったよな。
女の子との距離は大体20メートルくらい離れている、ここからでは俺の固有スキル「スキル付け替え」の反応が無い、もう少し近づく。・・・10メートル、まだ反応が無い、更に近づく。
女の子との距離が大体5メートルぐらいまで近づいた時、俺の頭の中に変化があった。何故だかわからないが、あのカティという女の子のスキルに干渉できるイメージが湧いて来た、よし、これならいける。
俺は女の子にスキル「スピード」を習得させて、スキルスロットに「スピード」のスキルを装備させてあげた。
「はやくこいよ~、おにさんこちら~」
「もう、わかったわよ~」
女の子は動き出した、次の瞬間、女の子の後ろから土煙が上がり、物凄い速さで女の子が勢いよく走り出した。
「うわっ! なにこれ! はやいはや~い」
「うわあ、なんだこいつ! いきなりあしがはやくなったぞ! みんなにげろ~! 」
「「「 わああ~~~ 」」」
物凄い勢いで走る女の子は、次々と逃げる役の男の子達をあっと言う間に捕まえていった。きっとあの子は鬼ごっこで無双するに違いない。
その後、カティという女の子は鬼ごっこの女王として君臨するのであった。・・・とかなったりして。
・・・まさかな・・・。
それにしても、大体わかってきたぞ。俺の固有スキル「スキル付け替え」の有効射程は大体5メートルくらいか。もう少し試してみよう、そうだな、今度はあの如何にもモテなさそうな男の人に何かスキルを付けてあげよう。
俺は男の人にまずは鑑定をする。
名前 ボブ
職業 平民
スキル
・なし
スキルポイント 2P
なるほど、この男の人はスキルポイントが2ポイントもあるのか。だったら一つスキルを習得させてみるか、何がいいかな。
ふと、ボブさんの前を歩くイケメンと猫耳獣人の女性のカップルが目に入った、よし、試してみますか。俺はボブさんとの距離を5メートルまで近づき、スキルポイントを1ポイント使って「マタタビの香り」というスキルを習得させ、スロットに装備させる。・・・すると・・・・・・
「ふ、ふにゃ~ん」
突然、ボブさんの前を歩いていたカップルに変化が起きた。猫耳の女性がイケメンから離れてボブさんに体を密着させてきた。
「ど、どうしたんだい? ハニー」
「ふにゃ~ん、もうこの人じゃなきゃ嫌にゃ、お前なんかお呼びじゃないにゃ」
「な、何を言っているんだい!? おい! 」
「な、何ですか貴女は、俺に何か用ですか? 」
「あたしと付き合うにゃ、今夜は寝かせないにゃ」
「え!? ちょっと待って、一体何が・・・」
ふむ、どうやらうまくいった様だ、しかし、他人の人生に干渉してしまった。こんな事はもうやめよう。良くない、もっと為になる事にこのスキルを使おう。
その後、ボブは猫耳マイスターと呼ばれるようになった。・・・とかなっては困る。
・・・まさかな・・・。
一応、念の為に「スキル付け替え」を使ってボブさんの「マタタビの香り」のスキルを取り外しておこう。・・・よし、これでいい筈だ。
その時、ボブさんのステータスに変化が起きた。「マタタビの香り」を習得させた時にスキルポイントを1ポイント使ったのだが、そのスキルを解除した瞬間、スキルポイントがまた2ポイントに戻っていた。
なるほど、スキルを解除するとその分のスキルポイントが元に戻るのか。なるほどな。
「くんかくんか、なんにゃ? お前気に入らないにゃ、あっちに行くにゃ」
「は、はあ? 」
「ちょ、ちょっと待っておくれよ、ハニー」
ふう~、どうやら元に戻ったみたいだな、いかんいかん、他人の人生に干渉するのはよくない。気を付けよう。
もう少し試してみるか、今度は誰かの役に立つスキルにしよう。
・・・おや? あれは何かな、なんか武装した人達がこちらに向かって歩いて来ている、同じ様な鎧じゃないところをみると衛兵や兵士といった感じではない、どうやらあれが冒険者という奴なのかもしれない。その最後尾に荷物を沢山抱えた人がゆっくりと冒険者達の後を付いて来ている。
「おい、何ちんたら歩いていやがる、さっさと来い」
「は、はい」
ふむ、どうやら冒険者ご一行と荷物持ちの人のようだ。荷物を沢山抱えて大変そうだな。よーし、あの人に何かスキルを習得させてあげよう。何がいいかな。おっと、その前に「鑑定」っと。
名前 ギム
職業 戦士
クラス ファイター
スキル
・なし
・なし
スキルポイント 1P
ふむ、平民の時とは少し違うな、職業の下にクラスというのが増えている。戦士だからなのかな? まあいいや、ポイントは1ポイントあるから何か使えるスキルを習得させてあげよう。ふーむ、そうだな、荷物持ちだから体力があった方がいいよな。よし、「タフネス」のスキルにしよう。これなら体力が上昇する筈だ。
俺はギムさんに近づきスキルを習得させ、スロットに装備させる。これでギムさんの体力は常人以上になった筈だ。
「おや? なんだか体が軽い? おまけに荷物も軽くなった気がする? なぜだ? 」
「おいギム、何やってやがる、置いてくぞ」
「はいはい、ただいま」
ギムさんの足取りは軽やかだった、うむ、こんなもんか。大体わかった。俺のユニークスキル「スキル付け替え」の射程は5メートルぐらいで、他人にも有効だと。それと、スキルをスロットから外して解除するとスキルポイントがその分、元に戻る事もわかった。これは収穫だ、他にも人によってステータスの内容が少し違うという事もわかった。
大体こんな感じかな。俺の固有スキルの事もわかった気がする。これはあれだな、あまり他人に使うのは感心せんな。気を付けてやっていこう。
後、俺のスキルは「ストレングス」のスキルに「タフネス」だろ、これは肉体強化系のスキルだから問題は無い。常に発動するタイプのパッシブスキルだ、後はやはり「回復魔法」だろうか、うーん、折角あるから回復魔法を使ってみたい。賢者様が言うには、レクリオ村にも魔法使いが一人居るみたいな事を言っていたが、その人に教えて貰う事ってできないかな、帰ったら村長さんに聞いてみよう。
それにしてもラッシャーさん、遅いな、確か商人ギルドに行くって言っていたよな、話が長引いているのかな。もう少し待っていよう。
俺は噴水広場のベンチに座り、町中を歩き回り疲れた足を休める。
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