暗に死ねって言ってます?

猫宮乾

文字の大きさ
上 下
27 / 27

【二十七】奇跡(SIDE:セギ)

しおりを挟む



 結婚が叶ったと思ったら――奇蹟が発生した。
 なんと、推しが神様だったのだ。え、どういう事であろうか? これは、現実なのか?

 リアスの死については事実は伏せて伝えた俺だが(公的に処理された内容を伝えたのだが)――……そこまでは、心優しいシノンへの配慮だった。だが、待て。

 シノンがギュート氏だと?
 俺は、神様まで手に入れたのか? 恋している気さえした神様と、推しであるシノン。やはり空想上のギュート氏とはかけ離れていたが、どちらも何度も脳内で汚した俺だ。いいや、現実でもとっくに二人――同一人物なので一名を汚していたわけではあるが。

 こんな幸福、あって良いのか?
 しかし、俺は、手に入るものは、貰っていく主義だ。

「――書くと言ったな?」
「ん? ああ」
「全力で続きを待っている。とにかく大至急書いてくれ! 待っていて良かった。この七年、どんなに長く、先の一章だけの納品物にどれほど希望を見出し、そしてまた止まったものだから嘆いたかしれない。頼む、俺のために書いてくれ!」

 俺が力説すると、虚を突かれた顔をした後、シノンが優しく微笑した。


 このようにして、俺はシノンと結婚する事になった。
 ――もう、シノンをおびやかすものは、何もないと祈る。仮にそんなものが出てきたら、全力で俺が排除する。俺としての最大限のハッピーエンド、それを俺は、シノンに保証したいと考えている。




【完】




しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

【完結】元ヤクザの俺が推しの家政夫になってしまった件

深淵歩く猫
BL
元ヤクザの黛 慎矢(まゆずみ しんや)はハウスキーパーとして働く36歳。 ある日黛が務める家政婦事務所に、とある芸能事務所から依頼が来たのだが―― その内容がとても信じられないもので… bloveさんにも投稿しております。 完結しました。

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 全8話。1日1話更新(20時)。 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。

忍ぶれど… 兄は俺の光――息が届くほど近くにいるのに、けっして触れてはならぬ想い人

志生帆 海
BL
忍ぶれど…(翠・流編 完全版) 兄は俺の光――息が届くほど近くにいるのに、けっして触れてはならぬ想い人 あらすじ 以前投稿した『忍ぶれど』と『色は匂へど』を1本にまとめ『完全版』として、加筆しながら再連載していきます。(旧バージョンの『忍ぶれど』と『色は匂へど』は掲載を終了しています) **** 俺には二つ年上の兄がいる。 実の兄なのに、憧れを通り越した愛を秘かに抱いている。 俺だけの兄だ。 どこにも誰にもやりたくなかったのに どうして行ってしまうんだ? 明日から更に報われない切なる想いを抱いて、生きていく。 一体いつまで待てばいいのか… 「俺の翠」 そう呼べる日が果たして来るのだろうか。 **** しっとりと実の兄弟のもどかしい恋心を描いています。 幼少期から始まるので、かなり焦れったい展開です。 ※『重なる月』https://www.alphapolis.co.jp/novel/492454226/179205590のスピンオフ小説になります。 こちらは『重なる月』の攻、張矢丈の兄達の物語になります。 単独でも読めます。

フルチン魔王と雄っぱい勇者

ミクリ21
BL
フルチンの魔王と、雄っぱいが素晴らしい勇者の話。

「今夜は、ずっと繋がっていたい」というから頷いた結果。

猫宮乾
BL
 異世界転移(転生)したワタルが現地の魔術師ユーグと恋人になって、致しているお話です。9割性描写です。※自サイトからの転載です。サイトにこの二人が付き合うまでが置いてありますが、こちら単独でご覧頂けます。

悩める文官のひとりごと

きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。 そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。 エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。 ムーンライト様にも掲載しております。 

乙女ゲームが俺のせいでバグだらけになった件について

はかまる
BL
異世界転生配属係の神様に間違えて何の関係もない乙女ゲームの悪役令状ポジションに転生させられた元男子高校生が、世界がバグだらけになった世界で頑張る話。

処理中です...