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【七】

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 ――このような流れから、結局僕とジャック様は、王立学院でも寝るようになってしまった。月に一・二度ふらっとジャック様は、僕の部屋にやってくる。そして僕を押し倒して、ヤる事をヤると帰っていく。その際、特に会話はない。

 ……完全に、性欲解消のはけ口にされている。
 僕はそう確信している。ただ、僕の方も気持ちがいいので、それは別にいい。
 ただ完全に自分が都合のいい相手にされている点だけが、嫌だなぁと思わせてくる。口の堅いセフレ状態になってしまったのだ。

 こうして学院生活も半年ほどが過ぎていった。
 そろそろジャック様は、妹と婚約していないと、破棄事件が発生しない状態になるなと、僕は思った。このまま事件は発生しないのだろうか? そう考えていたら、ある日父から手紙が届いた。

『王家からジャックロフト王太子殿下との婚約の打診があった。一度話がしたいので、次の休暇に戻るように』

 ……やはり、婚約破棄は起こるのか。
 まず思ったのがそれだった。僕は陰鬱な気持ちで、その手紙を見ていた。

「フェルナ?」

 すると本日も部屋に当然のようにやってきたジャック様が、後ろから僕に腕を回してきた。ソファに座っていた僕は、ちらっとジャック様を見た。

 ジャック様が婚約したら、今度こそ僕達の関係も終わるのだろうなぁ。
 なんだか最近では、それが少し寂しくもある。だが僕は公爵家を継がなければならないし、ジャック様は次のお世継ぎを期待されているし、どのみち長続きはしないだろう。

 こうしてみると、意外と優しいところもある。外見は男前だ。

「どんな手紙だったんだ? 顔が曇ったぞ」
「……ジャックロフト王太子殿下のご婚約をお祝い申し上げます」
「ああ。その知らせなら、もっと喜んでくれ」
「そういう気分じゃないんです」
「嫌か?」
「別に」
「――そうか、嫌でないのなら、よかった」

 ジャック様が微笑した。それを見たら、胸がズキリと痛んだ。僕はもしかしたら、ジャック様の事が好きなのかもしれない。


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