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【十六】
しおりを挟む快楽だけではなく、感動した様子でうるうるしている礼を見ていたら――スイッチが入ってしまい、気づくとねちっこく意地悪にこっぴどく二回戦に望んでいて、礼が泣き叫んでいたけど、僕は知ってる。僕はSっ気があるかもしれないけど、礼はMっ気がある。確実に、快楽を覚えている様子で、あるいは僕のせいで覚えちゃった体が、震えていた。いかせてといって泣く彼女を優しく撫でながら、好きな子ほどいじめたくなるんだよねと言ったら、彼女が少しの間僕をじっと見てから、小さく頷いたのを見逃さなかった。お許しが出たと思うことにして、その後彼女の意識が飛ぶまでクリ責めして最後は挿入しながら指でいじって絶頂を促し僕も出した。
こうして僕たちは、恋人になったというか婚約者になったというか夫婦になると決まった。両親は大喜びだ。そんな後日、友人達と集まることになった。今回は、待ち合わせ場所が男女別で、その後、合流だ。
「いやぁ、速報を見て、どこの誰と結婚するのかと思ったら、礼か」
「礼ちゃんのこと、女の子だと思ってたんだね、やっぱり!」
「ずっと言いたかったんだけどさ、ミレイユと春香より、よくない?」
「「……」」
「礼だけはありえないっていうけど、まぁそれは逆にありがたいことだけど、事実、礼の方が良くない?」
「俺にはもうミレイユがいる。なのでミレイユ一筋という意味で、礼は俺にはありえない選択肢だ。そもそも昔から礼はお前の事が好きそうだったしな」
「なんで教えてくれなかったの?」
「だってお前、全く礼純に興味なかったじゃないか」
「まぁね……ちなみに、アシェッドの見解は?」
「――っていうかさ、僕と春香が付き合うずっと前から、柾仁さぁ、礼の周囲のガード固めすぎだったよね。礼に告白しようとした自信家の男達を、全部蹴散らしたよね。僕と春香にも一部押し付けてたけど、あれもう、完全に嫉妬じゃんって、僕らは当時から話してた。だから大学一年生一ヶ月目くらいで、もう礼は、柾仁の恋人なんじゃないのか、手を出したらやばいって話が大学中を駆け巡ってたよ」
「え」
「それでも手を出してくる強者は、やっぱり柾仁が撃退。なのに二人共、恋人いないって言うから、柾仁の立場的に隠してるんだろうかとみんながヒソヒソしてたよ。結果、隠してる説と柾仁の片思い説で、大学は二分化されたんだよね。そのうちに、単純に親しいだけかなってなったけど、近寄ると柾仁が怖いから、礼には単独で男子は近づかないような暗黙の了解が出来てた。そういう空気の中で、僕が恋愛対象として礼を見たら、奇跡じゃないかな。僕は、危ない橋を渡るのは好きじゃない。あと、個人的な好みとして、礼は、頭が良すぎてたまについていけない」
「……そうだったの? どうして教えてくれなかったの?」
「話聞いてると、当時から好きでわざとやってたんじゃないのか。え? いつ好きになったんだ? なにかあったのか?」
「僕もそれ、すっごく知りたい。どうして急に、うまくいったの? 僕と春香は、礼は恋愛興味なし、柾仁は恋愛してるのに気づいてないと思ってた」
「アシェッドと春香の見解が正解。紺が来て、ある日礼が紺の家の方に行くって言って、行ってないと気づいて、そこでね、ちょっとね。ま、ある意味紺のおかげかな。それより、スイスのころから、本当に僕のこと好きだったの? ちょっと詳しく教えて」
「「……」」
「恋っていいね。やっと君たちの気持ちがわかったよ」
なおその後、僕達は、体位について話し合ったのだが、一番経験が少ないと思われていた僕が圧倒的に豊富で、生温かい目を向けられたような気がしないでもない。
そして一年後、無事に僕と礼は結婚した。
このようにして、後で振り返ると紺がこの国にいた貴重な二年だったんだけど、僕の記憶は、ほとんど礼のことで占められているという結果になった。どうでもいいが、戦後はじめて「子」がつかない王太子妃が、礼である。
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