もしも生まれ変わったら異世界へと思っていたら、転生先も俺でした。

猫宮乾

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【54】第一王子殿下を幽閉した罪で投獄される!?①

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 目が覚めると、俺は暗い牢屋にいた。

 白い寝台は固くて、目の前には通路に面した鉄格子がある。
 ここは、王宮の地下にある、今ではほとんど使われていない牢獄だとわかった。
 前世でも、最初の頃は、ここに入れられたのである。
 古い魔力で満ちているから、ここには召喚獣は入れない。

 両手を動かしてみると、黒い手枷がはまっていて、左右から伸びた鎖は寝台のそばの金具に固定されていた。手枷は黒い横長の板なのだが、これがはまっているだけで、手首がひとつになったような感覚で、全く動かせなくなっている。狭い室内には、ベッドしかない。降りると、そこは朦朧の鉄格子である。

 まだ麻酔薬が残っているらしく、鈍く痛む頭で考えた。
 ――国王陛下を殺害したのは、確かに俺と言われても仕方がない。
 ライネルの隠蔽をどのようにして誰が見破ったのかはわからないが。

 問題は、『第一王子殿下を幽閉した罪』である。
 俺にはそんな記憶はない。それをやったのは俺ではない。
 前世ですらありえない。一体何の話だ?
 困惑していると、コツコツと靴の音が響いてきた。視線を向けると、誰かが牢の前で立ち止まった。

「兄上……」
「久しぶりだな、フェル」

 驚いてつぶやいた俺を、兄がまじまじと見た。

「兄上がご無事で何よりです――が、一体どう言うことなんだ?」

 本心からそう尋ねると、扉に鍵を差し込みながら、兄が苦笑していた。
 扉が開く音を聞きながら、兄の表情の意味を考えていた。

「フェル、お前は、始祖王を倒そうとしていたんだろう?」
「っ」

 続いた声に、俺は驚いて目を見開いた。思わずつばを飲む。
 なぜ兄上が知っているのだろう?

「俺は覚えてる。ユーリスのことも、きちんと」
「兄上……」
「ユーリスのことは、本当に残念だ。とても有能だったからな」

 どうして覚えているのか聞きたかったが、その言葉に、胸が痛くなって息が詰まった。

「――もっとも、二十年間をやりなおさせてようやく、お前不在でも回る状態の王宮を作ったことを考えれば、宰相の仕事は他の人間にもできるのだから楽でいい」

 続いた言葉に、俺は目を見開いた。


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