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【38】前世での師匠は、今世でも師匠かもしれなくて遺跡の発見者だった。①

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 ――前世で剣の師匠だったガイルがやって来たのは、秋も間近な頃だった。
 だいぶ暑さが消えたが、まだ寒いとは言えない。
 過ごしやすい季節のその日、ガイルは俺を訪ねてきた。

 王宮に、彼が所属する冒険者パーティが発見した、新しい遺跡の報告に来た帰りである。そう、これは、前世でも記憶がある、新しい遺跡の発見という事件だ。何らかのフラグである気がする事柄である。俺はここに来てようやく、遺跡の発見者がガイルだったのだと思い出した。

「よく来てくれたな」
「おう。フェル殿下に会えるなんて、大幸運だ。遺跡さまさまだな」
「いつでも顔を出してくれ」
「ありがとうございます」

 頷いて満面の笑みを浮かべながら、軽くガイルが会釈した。
 冒険者の彼は、非常にたくましい体つきをしている。精悍な表情で、頼りがいがありそうだ。さらに明るい性格で、見ているものの心を開かせる。前世と全く変わらない。その姿に、俺も自然と笑顔が浮かんでくるのを感じた。

「逆にフェル殿下を連れて、俺は一緒に大陸を回ってみたいけどな。旅も良いぞ?」

 俺はその言葉に、短く息を飲んだ。
 それは、考えたことがなかった。だが、旅に出るというのは、ドロップアウトには最適な選択肢ではないのか!? 開眼した気分だった。ゆったりと穏やかに旅をするのもまたスローライフの一形態であるとも考えられる。

「考えてみる、真面目に」
「嬉しいなぁ。旅に行く時は、声をかけてくれ」
「勿論だ」

 大きく頷いてから、俺は木に背をあずけた。現在は、王宮の裏手にある鍛錬場にいるのだ。前世では、ここでいつも剣を教わった。その思い出が懐かしくて、俺はガイルが来ると、散歩と称してここへと誘っているのだ。ガイルが何も言わずについてくるのは、最近では雑談後に、手合わせをしているからである。今日もその予定だ。

「今回みたいに新しい遺跡を発見したり、毎日が新鮮だぞ」
「――遺跡か。どんな遺跡なんだ?」
「俺達の予測だと、始祖王の墓だ」

 俺の前世の知識と同じだった。
 だがここ最近、始祖王という存在は不死らしいと耳にしているため、『墓』というのが不可思議でもある。ただ、始祖王の墓は、あまり興味がない俺でさえも、五つは知っていた。以前出かけた始祖王廟の庭にも、墓だとされる石碑があった。



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