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【34】苦手な下ネタは自分から突っ込めば、こちら側には深入りされないかもしれない。④
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「冗談だ。いつ本当にしてもいいけどな」
「……」
「ヤってない。潔白だ。俺は酔った相手を襲うほど、人間を捨ててない。好きな相手に、きちんと同意をとってから、押し倒すくらいの度量はあるつもりだ」
「……」
「ということで、押し倒していいか?」
「ふざけるな!」
俺が叫んで押し返すと、冗談めかしてハロルドが笑った。
一気に体の力が抜けた。ホッとしてしまった。
ハロルドがベッドから降りたので、俺はシーツにくるまった。
全く、心臓に悪い。
「なんで俺たちは裸なんだ?」
「フェルが裸なのは、俺が背中の不可視魔法円の確認をさせてもらったからで、俺が裸なのは、その時にお前が酔っ払ってグラスの中身を俺にかけたからだな」
「不可視魔法円?」
「人体に刻む形態の、召喚魔法円だ。ラクラスの出現方法が気になっていたから見せてもらったんだ。俺のエクエスの場合も、不可視魔法円が俺の体に現れたから、フェルはどうなのかと思ってな。害はない。契約時に自然と据付されるらしい」
「そうなのか……それで、どうして同じベッドに?」
「俺の腕を掴んでお前が寝たからだ。放してくれないから、俺も一緒に寝た」
「……」
「責任転嫁じゃなく、事実だ。なんならエクエスの記録魔術映像を見せるか?」
「いや、いい、信じる。そうか、それは悪かったな」
「まったくだ。心臓に悪かった」
シャツを着ながらそう言って笑い、ハロルドはこちらを見た。
「また来いよ、いつでも」
「ありがとう」
「いっそずっといてくれても構わない」
俺はハッとした。なんと、亡命OKフラグが、向こうからやってきたのである!
しかし、続いて響いた声に、目を瞠った。
「始祖王から身を守るにもそのほうがいいかも知れないしな」
「始祖王?」
「――不死の始祖王を殺したものは、呪われるというからな」
「どういう意味だ? 不死なのに殺す?」
「ラクラスに聞いてみろ」
ハロルドは、それ以上は何も言わなかった。
その後朝食だったので、ハロルドとは別れた。ハロルドが先に出たのだ。
俺は着替えてから部屋の外に出た。
「お楽しみだったみたいですね」
「!」
すると、背後から気配なく、ユーリスに声をかけられた。
「な、ち、違!」
「真っ赤ですよ」
「違うって言ってるだろうが!」
俺が声を上げると、ユーリスが吹き出していた。
――何とも言えない気分である。思いっきり動揺してしまった自分が情けない。
その日の午後、俺は帰路に着いた。
賢者はしばらく、帝国に滞在するとのことで、ここで別れた。
――なお、俺はラクラスに話を聞きたかったのだが、人目がある移動中は避けた。
結果……国に戻ったのだが、その途端に、ラクラスは姿を消してしまった。
ずっと一緒にいると言っていたのだが、元が気まぐれなのだからと、俺は気にしないことにした。
こうして、俺の十八の年は過ぎていった。
「……」
「ヤってない。潔白だ。俺は酔った相手を襲うほど、人間を捨ててない。好きな相手に、きちんと同意をとってから、押し倒すくらいの度量はあるつもりだ」
「……」
「ということで、押し倒していいか?」
「ふざけるな!」
俺が叫んで押し返すと、冗談めかしてハロルドが笑った。
一気に体の力が抜けた。ホッとしてしまった。
ハロルドがベッドから降りたので、俺はシーツにくるまった。
全く、心臓に悪い。
「なんで俺たちは裸なんだ?」
「フェルが裸なのは、俺が背中の不可視魔法円の確認をさせてもらったからで、俺が裸なのは、その時にお前が酔っ払ってグラスの中身を俺にかけたからだな」
「不可視魔法円?」
「人体に刻む形態の、召喚魔法円だ。ラクラスの出現方法が気になっていたから見せてもらったんだ。俺のエクエスの場合も、不可視魔法円が俺の体に現れたから、フェルはどうなのかと思ってな。害はない。契約時に自然と据付されるらしい」
「そうなのか……それで、どうして同じベッドに?」
「俺の腕を掴んでお前が寝たからだ。放してくれないから、俺も一緒に寝た」
「……」
「責任転嫁じゃなく、事実だ。なんならエクエスの記録魔術映像を見せるか?」
「いや、いい、信じる。そうか、それは悪かったな」
「まったくだ。心臓に悪かった」
シャツを着ながらそう言って笑い、ハロルドはこちらを見た。
「また来いよ、いつでも」
「ありがとう」
「いっそずっといてくれても構わない」
俺はハッとした。なんと、亡命OKフラグが、向こうからやってきたのである!
しかし、続いて響いた声に、目を瞠った。
「始祖王から身を守るにもそのほうがいいかも知れないしな」
「始祖王?」
「――不死の始祖王を殺したものは、呪われるというからな」
「どういう意味だ? 不死なのに殺す?」
「ラクラスに聞いてみろ」
ハロルドは、それ以上は何も言わなかった。
その後朝食だったので、ハロルドとは別れた。ハロルドが先に出たのだ。
俺は着替えてから部屋の外に出た。
「お楽しみだったみたいですね」
「!」
すると、背後から気配なく、ユーリスに声をかけられた。
「な、ち、違!」
「真っ赤ですよ」
「違うって言ってるだろうが!」
俺が声を上げると、ユーリスが吹き出していた。
――何とも言えない気分である。思いっきり動揺してしまった自分が情けない。
その日の午後、俺は帰路に着いた。
賢者はしばらく、帝国に滞在するとのことで、ここで別れた。
――なお、俺はラクラスに話を聞きたかったのだが、人目がある移動中は避けた。
結果……国に戻ったのだが、その途端に、ラクラスは姿を消してしまった。
ずっと一緒にいると言っていたのだが、元が気まぐれなのだからと、俺は気にしないことにした。
こうして、俺の十八の年は過ぎていった。
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