もしも生まれ変わったら異世界へと思っていたら、転生先も俺でした。

猫宮乾

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【22】そろそろ覚えている限りの未来(処刑へ至るまで)の整理をしてみよう!①

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 そして19歳になった。この年は、印象的だった。
 新しい遺跡が見つかったのだ。中には柩があった。空っぽだったのだが。
 聖人の墓だろうとちょっとした騒ぎになったものである。刻まれていた紋章から、始祖王の墓石ではないかと騒がれた。さすがにこの件は俺の耳にも届いたものである。

 その後運命の、20歳。父王陛下が倒れたのだ。流行病だ。
 これに限っては、絶対に阻止するぞ!
 俺は継承権争いも嫌だが、今では父のありがたみを再確認している。
 絶対に失いたくない。

 決意を新たに羽ペンを走らせる。

 続いて21歳。この頃から爆発的に魔族の襲来が増えた。一説には、魔族の王が没し、魔族の統制が乱れたからだと言われている(賢者情報)。この頃から俺は、王都に帰る暇もなくなった。この時までは、それでもまだ良かったのだ。

 22歳――ここが転機だった。王位継承戦争に巻き込まれはじめた年だからだ。
 今世では絶対にこの歴史だけはなぞらない。
 それだけは何にも代え難い誓いだ。

 それに比べれば、23歳の頃は、少し余裕が出来た。お見合い結婚の話が来たがスルーしたな。俺は当時、自分が王位に近いところにいると自信満々で思っていたが、そこまでまだ継承戦争は激化していなかったのだ。

 激化したのは、24歳のあの年。父が没した時だ。激動の一年間だった。
 父の最後に、俺は立ち会うことが出来なかった。
 その日も魔族の大量討伐に出かけていたからだ。

 そうして運命の25歳。俺が幽閉された年だ。
 兵士に急襲された俺は、ライネルに時間を稼いでもらい、必死でラクラスを逃がしたものである。何があっても、”友”だと感じていたラクラスだけは、誰にも傷つけられたくなかったのだ。



 ここまでが目立って覚えていることで、出来事がフラグっぽい歴史なんじゃないのかなと思う。だけどこの裏にあった出来事はほとんど知らない。俺は目の前にあることに精一杯で、賢者と時に理想を語り合う以外は、ひたすら魔族を討伐していたのだ。

 振り返って思う。
 絶対に絶対に父を救おう。
 それはそれとして、その後医術塔にこもり、スローライフに移行しよう。

 まだ、そのチャンスはあると信じよう。

 ただ一つ、不思議なのは幽閉期間と処刑までには間があったことだ。
 かなりの年月があった。
 俺が知らない裏の出来事が色々あったんじゃないのか、だなんて冷静に考えてみる。

 思えば、何故俺はすぐには処刑されなかったのだろう?



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