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―― 第二章 ――
【014(SIDE:神様)】創造神達の会話
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「おい、ショタ。覚悟は出来てるんだろうな? ん?」
長い脚を組んで、椅子に深々と座り、ブーツのつま先を青年――に見える容姿の、創造神連合理事の一人であるルカスが動かした。正面には両手を床につき、頭を深々と下げているショタ神様いた。真っ青になって震えている。一見少年が恐怖で怯えているという構図だが、彼もまた悠久の時を生きているので合法ショタである。
「も、申し訳ありません……つ、つい、出来心で……」
「そんなんだから、創造神進級試験にいつまでたっても受からないんだ」
「うっ……」
ショタ神が目に涙を浮かべ、顔を上げてちらっとルカスを窺うように見た。
二十代後半くらいに見える長身のルカスは、長い赤髪をしている。目の色も同色だ。
「よりにもよって、人間の生み出した世界を盗作するって、お前は何を考えてるんだ?」
「ごめんなさい……ど、どうしても、神様学校の課題が間に合いそうにもなくて……」
「あのな。素直にそう言えばいいんだ。まったくこれだから、近頃の若い奴らは」
腕を組み頬杖を突くようにして、ルカスは目を眇める。
「おいショタ。お前が模倣した世界を探知した結果、大変な事が明らかになったぞ」
「……へ? 僕、何かしちゃいました?」
「【神様モード】とやらを持つ人間がいる。あの世界において、その者は、お前はおろか、干渉可能な俺達理事と同等かそれ以上の力を持っている」
「あっ! そ、それ、《異世界クリエイター》の機能だ……」
「お前な。人間ごとコピーして、証拠を隠滅したのも最低だが、なんてことをしてくれたんだ?」
「すみません!」
「世の中には、謝ってもどうしようもない過失も存在する――が、そうだな。仕方が無い。はぁ……なんで俺はよりにもよってお前の尻拭いをしなきゃならんのだ」
「そんなこといわないでよ、ルー兄ちゃん!」
「その呼び方はやめろって言ってるだろ! もう俺達はそんな年齢じゃないだろうが!」
怒鳴り返したルカスは、それから疲れた顔をした。
そしてショタである弟が構築した新世界を閲覧することが可能な鏡を出現させる。掌の上に浮かんだ、菌の縁取りの鏡の中には、黒い髪と目をした、一見平凡そうだがよく見ると整った顔立ちの青年が映っている。
「ナツノ・ヒザシか。あちらはどう出てくるやら。まぁ、気づかれる前に先手を打つのが無難だな。器に魂が定着してしまった以上、【神様モード】を消失・削除することは不可能だが、封印結界に閉じ込めることは可能だ。大人しくこちらに従わないようならば、封印するにこしたことはない」
つらつらと独り言のように語ってから、ニッと口角を持ち上げて、切れ長の目を細めてルカスが笑う。どこか獰猛で、肉食獣じみた目だ。獲物を見つけたように鏡の中を見て笑っている。
「少し遊んでやるか。様子を見るにも丁度いい」
そう言うと組んでいた脚を正し、ルカスは立ち上がった。掌を握ると、鏡が消失し、今度はその指を鳴らすと、黒い外套が落ちてきた。それを纏いながら、ルカスは後ろで髪を結う。そしてフードを深く被る。それでも神々しい美貌は隠しようがない。誰の目から見ても、野性的な魅力ある整った顔立ちのルカスは、美形に映る。これは、神だからではない。生まれつきだ。
「おい、ショタ」
「僕、ショタって名前じゃないんだけど……」
「誰もがお前をショタと呼んでるだから、もう渾名でいいだろう。じゃあな、俺は暫く空ける。調査と、それ次第で対処するまで戻らないから、くれぐれもこれ以上問題を起こすな」
「はい!」
元気よくショタ神が頷いたのを見て、ふっとルカスが笑った。
その直後、彼の姿が消失した。これは床に刻まれている魔法陣の効果だ。好きな世界に移動可能な品であり、創造神のみが使用できる。
ルカスは数多の世界を生み出してきた神である。
人は彼を、創造神中の創造神と呼ぶ。
「俺の創造力には、さすがに匹敵しないだろうが」
天地を生みだし、人を含めた動植物を地に広めることに長けているルカスは、実を言えば《異世界クリエイター》というゲームに少し興味がある。それが元になった世界というのも楽しみだった。
降り立ったのは、ナツノ・ヒザシの居場所である、【原初都市メア】である。夜風がフードを奪い取ろうとしたので、ルカスは手で押さえた。そしてフードの奥で眼光を鋭くし、真っ直ぐに街へと続く道を見据え、闇夜に紛れるように歩き出したのだった。
長い脚を組んで、椅子に深々と座り、ブーツのつま先を青年――に見える容姿の、創造神連合理事の一人であるルカスが動かした。正面には両手を床につき、頭を深々と下げているショタ神様いた。真っ青になって震えている。一見少年が恐怖で怯えているという構図だが、彼もまた悠久の時を生きているので合法ショタである。
「も、申し訳ありません……つ、つい、出来心で……」
「そんなんだから、創造神進級試験にいつまでたっても受からないんだ」
「うっ……」
ショタ神が目に涙を浮かべ、顔を上げてちらっとルカスを窺うように見た。
二十代後半くらいに見える長身のルカスは、長い赤髪をしている。目の色も同色だ。
「よりにもよって、人間の生み出した世界を盗作するって、お前は何を考えてるんだ?」
「ごめんなさい……ど、どうしても、神様学校の課題が間に合いそうにもなくて……」
「あのな。素直にそう言えばいいんだ。まったくこれだから、近頃の若い奴らは」
腕を組み頬杖を突くようにして、ルカスは目を眇める。
「おいショタ。お前が模倣した世界を探知した結果、大変な事が明らかになったぞ」
「……へ? 僕、何かしちゃいました?」
「【神様モード】とやらを持つ人間がいる。あの世界において、その者は、お前はおろか、干渉可能な俺達理事と同等かそれ以上の力を持っている」
「あっ! そ、それ、《異世界クリエイター》の機能だ……」
「お前な。人間ごとコピーして、証拠を隠滅したのも最低だが、なんてことをしてくれたんだ?」
「すみません!」
「世の中には、謝ってもどうしようもない過失も存在する――が、そうだな。仕方が無い。はぁ……なんで俺はよりにもよってお前の尻拭いをしなきゃならんのだ」
「そんなこといわないでよ、ルー兄ちゃん!」
「その呼び方はやめろって言ってるだろ! もう俺達はそんな年齢じゃないだろうが!」
怒鳴り返したルカスは、それから疲れた顔をした。
そしてショタである弟が構築した新世界を閲覧することが可能な鏡を出現させる。掌の上に浮かんだ、菌の縁取りの鏡の中には、黒い髪と目をした、一見平凡そうだがよく見ると整った顔立ちの青年が映っている。
「ナツノ・ヒザシか。あちらはどう出てくるやら。まぁ、気づかれる前に先手を打つのが無難だな。器に魂が定着してしまった以上、【神様モード】を消失・削除することは不可能だが、封印結界に閉じ込めることは可能だ。大人しくこちらに従わないようならば、封印するにこしたことはない」
つらつらと独り言のように語ってから、ニッと口角を持ち上げて、切れ長の目を細めてルカスが笑う。どこか獰猛で、肉食獣じみた目だ。獲物を見つけたように鏡の中を見て笑っている。
「少し遊んでやるか。様子を見るにも丁度いい」
そう言うと組んでいた脚を正し、ルカスは立ち上がった。掌を握ると、鏡が消失し、今度はその指を鳴らすと、黒い外套が落ちてきた。それを纏いながら、ルカスは後ろで髪を結う。そしてフードを深く被る。それでも神々しい美貌は隠しようがない。誰の目から見ても、野性的な魅力ある整った顔立ちのルカスは、美形に映る。これは、神だからではない。生まれつきだ。
「おい、ショタ」
「僕、ショタって名前じゃないんだけど……」
「誰もがお前をショタと呼んでるだから、もう渾名でいいだろう。じゃあな、俺は暫く空ける。調査と、それ次第で対処するまで戻らないから、くれぐれもこれ以上問題を起こすな」
「はい!」
元気よくショタ神が頷いたのを見て、ふっとルカスが笑った。
その直後、彼の姿が消失した。これは床に刻まれている魔法陣の効果だ。好きな世界に移動可能な品であり、創造神のみが使用できる。
ルカスは数多の世界を生み出してきた神である。
人は彼を、創造神中の創造神と呼ぶ。
「俺の創造力には、さすがに匹敵しないだろうが」
天地を生みだし、人を含めた動植物を地に広めることに長けているルカスは、実を言えば《異世界クリエイター》というゲームに少し興味がある。それが元になった世界というのも楽しみだった。
降り立ったのは、ナツノ・ヒザシの居場所である、【原初都市メア】である。夜風がフードを奪い取ろうとしたので、ルカスは手で押さえた。そしてフードの奥で眼光を鋭くし、真っ直ぐに街へと続く道を見据え、闇夜に紛れるように歩き出したのだった。
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