異世界クリエイター ~ゲームをしていたら、神様に剽窃されました~

猫宮乾

文字の大きさ
上 下
2 / 22
―― 第一章 ――

【002】《異世界クリエイター》

しおりを挟む

 夕食を終え、入浴後、俺は自室に向かった。現在俺達は、一軒家に住んでいる。それだけ兄は高給取りだ。賃貸だが。

 俺は早速ベッドに横になり、VR接続システムを両耳に嵌めて、目を閉じた。既にバーコードを読み取らせて、《異世界クリエイター》はインストール済みである。瞼の裏が白くなっていき、ゲーム選択画面が出たので、俺は視線操作で、《異世界クリエイター》を選んだ。王冠に重なるように長剣が描かれた角丸のロゴだ。色は赤い。

 するとそのロゴが大きくなって俺を突き抜けるように動き、次の瞬間俺は宇宙空間のように星が散らばる暗い場所に浮かんでいた。

『ご自由に世界を創造してください。【チュートリアル】を行いますか?』

 機械音声が響いてくる。
 一応、俺は初めてプレイするので、頷いた。俺の頷くという動作と脳からの刺激を読み取ったVRシステムが、正面に【チュートリアル】という金色の文字を浮かび上がらせた。そちらに視線を向けると、【チュートリアル】が開始した。

 次の瞬間、俺は草原に立っていた。空は現実よりリアリティがある水色の青空で、白い雲が浮かんでいる。目の前には、羊がいる牧場が見えた。風が通り抜けていき、俺の頬に触れる。俺の短い黒髪も揺れた。どこからどう見ても、現実にしか思えない世界である。まぁVRゲームの売りは、その部分だが。

『さぁ《神様》! 自由に世界を創るとしよう!』

 いきなり、目の前の羊が喋った。俺は首を動かして、顔を前に出し、思わず羊を凝視した。もこもこの白い毛皮をしている。

『左下に視線を向けると、【神様モード】【PLAY】【シェア】【ログアウト】の各ボタンが出現するよ!』

 言われた通りに視線操作をすると、金色の文字で、四つの活字が浮かび上がった。

『【神様モード】で、きみは自由に世界を創造可能だ! それを確認したり、自分で遊ぶ時は、【PLAY】を選択してね! この世界を誰かに見せたり、一緒に遊びたくなったら、【シェア】しよう。《異世界クリエイター》が入っているVR端末を持っている仲間となら、自由に共有可能なんだ! さて、現実に帰還する時は、【ログアウト】を選択しよう。くれぐれも、そちらでまで《神様》だと思い込むのはやめようね?』

 羊が説明をつらつらと語った。俺は頷きながら、各マークを見る。

『次に【神様モード】の説明だよ! 【神様モード】では、〝世界観〟と〝Object〟と〝NPC〟が生成可能だよ! それぞれに項目があるから、設定していこう! たとえば〝NPC〟なら“レベル”とかね!』

 あ、これは魔王を創った時に使えそうだ。瞬きをしながら、俺は小さく一人頷く。

『ちなみに《神様》は、【神様モード】で世界を見ている場合、全ての値が最強だから、なんでも可能だし、実際に見ながら生成することもできるよ! 何か分からないことはあるかな?』

 人工知能の羊が、つぶらな瞳で俺を見ている。まぁ、やってみないことには質問も出てはこない。

「無い」
『了解だよ! これで【チュートリアル】は終了だよ! 頑張ってね、《神様》!!』

 羊の声が消えると、俺は再び宇宙のような空間に戻っていた。


しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

ちょっと待ってもらっていいですか?とりあえず、10年ぐらい。

15
BL
頭、普通。顔、まぁまぁ(当社比)。性格、普通(?)。 毎日毎日普通の生活を送っていた俺。 朝目が覚めたら、そこは森でした。…は…? 気づいたらイケメンに囲まれ、求愛され…俺もうついていけねぇよ!! ちょっと待ってくれ!お願いだから!あと10年ぐらい!!! とっても普通(顔は普通ではない)な青年が突然トリップする話。 ここは、ゲームの世界。でも現実。強くてニューゲーム、不可。 総愛され。 いつになるかはわかりませんが、こっちはささっと物語を進めたい。です。

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

第二王子の僕は総受けってやつらしい

もずく
BL
ファンタジーな世界で第二王子が総受けな話。 ボーイズラブ BL 趣味詰め込みました。 苦手な方はブラウザバックでお願いします。

婚約破棄されたショックで前世の記憶&猫集めの能力をゲットしたモブ顔の僕!

ミクリ21 (新)
BL
婚約者シルベスター・モンローに婚約破棄されたら、そのショックで前世の記憶を思い出したモブ顔の主人公エレン・ニャンゴローの話。

処理中です...