図書室ピエロの噂

猫宮乾

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【SeasonⅢ】―― 序章:きさらぎ駅から ――

【087】叔母さん

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 日曜日になると、とうとう柚子叔母さんが家に来てくれる日になった。
 柚子叔母さんはやせていて背が高い。
 すごく明るい人で、優しい。ちょっと強気だ。

「瑛も来年は中学生かぁ。大きくなったわね」

 ぼくが挨拶すると、柚子叔母さんがぼくのカタをポンと叩いた。

「うん」

 ぼくがうなずくと、柚子叔母さんはうれしそうな顔になった。ぼくも会えてうれしい。
 もしお母さんが生きていたら、同じくらいのとしだと思う。
 そこでぼくは思い出した。

 ――ぼくの本当のお母さんは、もっと昔に死んでしまったらしい。
 透くんに聞いたお話だ。薺には話していないから、薺は知らないままだ。ぼくが知っていることを、多分お父さんも知らない。

 きっと叔母さんなら、ぼくの本当のお母さんのことを知っていると思う。
 だけど。
 ぼくは亮にいちゃんと笑顔で話している叔母さんを見て、一人で小さく首を振った。今、聞くことではない気がする。もっと大人になってから、聞いてみようと思う。

 その後は、叔母さんが作ってくれたチャーハンを食べた。
 亮にいちゃんの手料理以外を食べたのは、久しぶりだ。
 ぼくは、亮にいちゃんのほうが、料理が上手いと思った。



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