82 / 101
【SeasonⅡ】―― 終章:学校の七不思議 ――
【081】裏学校
しおりを挟む
そうして、教室からぼく達三人以外誰もいなくなった。
「行こうか」
立ち上がった道家くんが、扉にむかう。ぼくと哀名はその後ろについていった。
道家くんが教室に出て、壁ぎわによる。ぼく達もその横にならぶと、道家くんが扉を閉めた。教室の後ろ側の扉だ。扉の正面に、道家くんが立つ。
「ここで、『裏学校』って三回言うと、扉の向こうが裏学校になるんだ。誰もいない放課後に。言ってみて」
「わ、わかった。『裏学校』『裏学校』『裏学校』『裏学校』『裏学校』『裏学校』『裏学校』」
ぼくが言うと、うなずいた道家くんが、扉をあけた。
中を見て、ぼくは目を丸くした。さっきまでぼく達以外誰もいなかった教室が、ざわざわしていて、全部の机の前に、男子や女子が座っている。ぼくと哀名は顔を見合わせてから、また中を見た。ぼうぜんとしてしまう。だれも見たことがない子だ。
「入るよ」
しかし道家くんに気にした様子はなく、中に入っていく。哀名がぼくの腕をそっと掴んだので、ぼくはそのまま二人で中に入った。哀名も怖いんだと思うから、ぼくは大丈夫なふりをした。なにかあったら、哀名を守ってあげたい。
「ここは幽霊の学校なんだ。人の呪い方、 取り憑いて殺す方法とかを教えてる」
道家くんの説明に、ぼくはゾクっとした。
「今はボクが気づかれないようにしてるけど、一人で来て気づかれると、呪い殺されるんだよ。だから七番目を知ると死ぬのは本当だよ」
ぼくは息をのんだ。ぶわりと冷やあせが出てくる。
すると教室の前のほうの扉が開いて、先生らしき人が入ってきた。
「えー、みんなそろってるな? 今日は人間を事故に遭わせる方法を教える!」
怖くて、ぼくはこおりつきそうになった。哀名も、ぼくのうでをギュッとだきしめている。ふだんだったらうれしくてよろこんだかもしれないけど、今はそんな場合じゃない。
「道家くん、帰ろう」
ぼくは小さな声で言った。すると道家くんがうなずき、外に向かって歩きはじめた。ぼも哀名を連れて、急いで教室から出る。ぼく達が出てから扉をしめた道家くんが、今度は小さく笑って言った。
「あとは、『学校』って三回いえば、元の世界に戻るよ」
「『学校』『学校』『学校』!!」
ぼくが言うと、道家くんが扉を開けた。そこにはだれもいない、無人の教室が広がっている。力が抜けた僕は、ほっとした。哀名もほっとしたみたいで、手の力がゆるんだ。そちらを見るとハッとした顔をして、照れるような顔をしてから、哀名が手をはなした。ぼくまで照れてしまった。
「まぁ、学校にかぎらず、きさらぎ市には、違う世界に繋がっているところがたくさんあるんだよ。鏡の中もその一つだけどね」
道家くんがそう言った。実際に見たから、なっとくして、ぼくはうなずいた。
こうしてぼく達は、三人で生徒玄関まで向かい、一緒に帰った。
「行こうか」
立ち上がった道家くんが、扉にむかう。ぼくと哀名はその後ろについていった。
道家くんが教室に出て、壁ぎわによる。ぼく達もその横にならぶと、道家くんが扉を閉めた。教室の後ろ側の扉だ。扉の正面に、道家くんが立つ。
「ここで、『裏学校』って三回言うと、扉の向こうが裏学校になるんだ。誰もいない放課後に。言ってみて」
「わ、わかった。『裏学校』『裏学校』『裏学校』『裏学校』『裏学校』『裏学校』『裏学校』」
ぼくが言うと、うなずいた道家くんが、扉をあけた。
中を見て、ぼくは目を丸くした。さっきまでぼく達以外誰もいなかった教室が、ざわざわしていて、全部の机の前に、男子や女子が座っている。ぼくと哀名は顔を見合わせてから、また中を見た。ぼうぜんとしてしまう。だれも見たことがない子だ。
「入るよ」
しかし道家くんに気にした様子はなく、中に入っていく。哀名がぼくの腕をそっと掴んだので、ぼくはそのまま二人で中に入った。哀名も怖いんだと思うから、ぼくは大丈夫なふりをした。なにかあったら、哀名を守ってあげたい。
「ここは幽霊の学校なんだ。人の呪い方、 取り憑いて殺す方法とかを教えてる」
道家くんの説明に、ぼくはゾクっとした。
「今はボクが気づかれないようにしてるけど、一人で来て気づかれると、呪い殺されるんだよ。だから七番目を知ると死ぬのは本当だよ」
ぼくは息をのんだ。ぶわりと冷やあせが出てくる。
すると教室の前のほうの扉が開いて、先生らしき人が入ってきた。
「えー、みんなそろってるな? 今日は人間を事故に遭わせる方法を教える!」
怖くて、ぼくはこおりつきそうになった。哀名も、ぼくのうでをギュッとだきしめている。ふだんだったらうれしくてよろこんだかもしれないけど、今はそんな場合じゃない。
「道家くん、帰ろう」
ぼくは小さな声で言った。すると道家くんがうなずき、外に向かって歩きはじめた。ぼも哀名を連れて、急いで教室から出る。ぼく達が出てから扉をしめた道家くんが、今度は小さく笑って言った。
「あとは、『学校』って三回いえば、元の世界に戻るよ」
「『学校』『学校』『学校』!!」
ぼくが言うと、道家くんが扉を開けた。そこにはだれもいない、無人の教室が広がっている。力が抜けた僕は、ほっとした。哀名もほっとしたみたいで、手の力がゆるんだ。そちらを見るとハッとした顔をして、照れるような顔をしてから、哀名が手をはなした。ぼくまで照れてしまった。
「まぁ、学校にかぎらず、きさらぎ市には、違う世界に繋がっているところがたくさんあるんだよ。鏡の中もその一つだけどね」
道家くんがそう言った。実際に見たから、なっとくして、ぼくはうなずいた。
こうしてぼく達は、三人で生徒玄関まで向かい、一緒に帰った。
0
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ずっと女の子になりたかった 男の娘の私
ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。
ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。
そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる