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【SeasonⅡ】―― 第二章:黒板じじい ――
【069】学校のお化け図鑑
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次の土曜日は、ローレルの本部――すなわち道家くんの家で、これまでや今後の活動について、話し合うことになった。ぼくは今日は、亮にいちゃんが買ってきてくれたポテトチップスを持ってきた。
「うーん。学校の七不思議の、黒板じじいに、生首ドリブルかぁ」
「けっこういろいろ調べたし、そうぐうしたのね」
哀名の声にぼくはうなずいたけど、これではまだ、足りないとおもう。
「黒板じじいと生首ドリブルは、〝対処法〟を伝えたりしたけど、もっとみんなにそれが伝わるように、ほかの七不思議や都市伝説についても助かる方法を書いたり、そういうのを作って配ったら、困っている人の役に立つんじゃないかな?」
ぼくの言葉に、哀名がほほに手を当ててうなずいた。
「すてきだと思う」
「ありがとう」
哀名にそう言われると、ぼくはうれしくなる。
「じゃあ授業で使うクラスのアプリに、ファイルを送るのはどうかな? PDFにまとめて」
「いいと思う。でも私、PDFの作り方が分からない」
「ボクも機械はさっぱりだよ」
「ぼくがお家のみんなで使ってるノートパソコンで作るよ」
困ったら亮にいちゃんに手伝ってもらおうと考えた。
「お願い」
「うん。瑛、頑張って」
「題名はどうしよう? 学校の都市伝説のお化け……の……ええと……」
「学校のお化け図鑑は?」
哀名が言った。分かりやすい。
「それにしよう!」
ぼくは大きくうなずいた。
それで決まり、さっそく家に帰って作ることにした。哀名もぼくと一緒に立ち上がる。道家くんに見送られて、ぼく達は外に出た。哀名も今日はバスで帰るらしい。時刻表のとおりに来たバスに乗りこんで、一緒に座る。ぼくはちらっと哀名を見た。聞きたいことがあったからだ。
「ね、ねぇ、哀名」
「なに?」
「哀名ってさ……その……好きな人、いる?」
ドキドキしながらぼくは尋ねた。すると哀名が小さくうなずいた。
「いるよ」
ぼくはしょうげきを受けた。胸がグサッとさされてえぐられた気持ちだ。泣きそうだ。
……失恋してしまった。落ち込まないほうがむりだ。
だけど、べつにぼくが〝一方的〟に哀名を好きでいるのは、自由だと、すぐに考え直した。
「どうして?」
「ううん、ちょっと聞いてみただけだよ」
ぼくはそう答えて、正面を見た。
今日も、いつも会うおばあちゃんが座っていた。
「うーん。学校の七不思議の、黒板じじいに、生首ドリブルかぁ」
「けっこういろいろ調べたし、そうぐうしたのね」
哀名の声にぼくはうなずいたけど、これではまだ、足りないとおもう。
「黒板じじいと生首ドリブルは、〝対処法〟を伝えたりしたけど、もっとみんなにそれが伝わるように、ほかの七不思議や都市伝説についても助かる方法を書いたり、そういうのを作って配ったら、困っている人の役に立つんじゃないかな?」
ぼくの言葉に、哀名がほほに手を当ててうなずいた。
「すてきだと思う」
「ありがとう」
哀名にそう言われると、ぼくはうれしくなる。
「じゃあ授業で使うクラスのアプリに、ファイルを送るのはどうかな? PDFにまとめて」
「いいと思う。でも私、PDFの作り方が分からない」
「ボクも機械はさっぱりだよ」
「ぼくがお家のみんなで使ってるノートパソコンで作るよ」
困ったら亮にいちゃんに手伝ってもらおうと考えた。
「お願い」
「うん。瑛、頑張って」
「題名はどうしよう? 学校の都市伝説のお化け……の……ええと……」
「学校のお化け図鑑は?」
哀名が言った。分かりやすい。
「それにしよう!」
ぼくは大きくうなずいた。
それで決まり、さっそく家に帰って作ることにした。哀名もぼくと一緒に立ち上がる。道家くんに見送られて、ぼく達は外に出た。哀名も今日はバスで帰るらしい。時刻表のとおりに来たバスに乗りこんで、一緒に座る。ぼくはちらっと哀名を見た。聞きたいことがあったからだ。
「ね、ねぇ、哀名」
「なに?」
「哀名ってさ……その……好きな人、いる?」
ドキドキしながらぼくは尋ねた。すると哀名が小さくうなずいた。
「いるよ」
ぼくはしょうげきを受けた。胸がグサッとさされてえぐられた気持ちだ。泣きそうだ。
……失恋してしまった。落ち込まないほうがむりだ。
だけど、べつにぼくが〝一方的〟に哀名を好きでいるのは、自由だと、すぐに考え直した。
「どうして?」
「ううん、ちょっと聞いてみただけだよ」
ぼくはそう答えて、正面を見た。
今日も、いつも会うおばあちゃんが座っていた。
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