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【SeasonⅡ】―― 序章:学校の噂 ――
【057】活動内容
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「だけど、困ってる人を助けるって、具体的にはナニ?」
道家くんの言葉に、ぼくはうでを組んだ。実はこれは、ひとつ考えてきた。
「まずは学校の都市伝説のお化けに困ってる人がいたら助けようよ」
「学校の七不思議とか?」
哀名がぼくの言葉を聞いて、首を小さく動かしてカタに近づけた。
「うん、そういうの!」
ぼくの考えを哀名は分かってくれたみたいだ。道家くんもなっとくした顔になった。
「危険な怪異がいたら、ボクが倒せばいいんだね」
「まずは〝せっとく〟してみようよ」
「瑛はやさしいよね」
しぶしぶといった様子で、道家くんがうなずいた。
この日はそのあとは、三人でだらだらとおしゃべりをしていた。ぼくは何度か哀名を見ながら思った。
――まだ、ぼくは告白できていない。
どうしてもその勇気がでない。
ぼくはおくびょうだ。ためいきが出てしまう。
この日はかいさんして、ぼくはバスに乗って帰った。哀名はお家の人が迎えにきてくれるそうだった。
次の日、月曜日。
ぼくが学校に行き、教室のとびらをあけると、泣き叫ぶ声が聞こえてきた。
「本当に見たのよ!!」
顔を向けると、七海さんが泣きじゃくっていた。
「前にも一回嘘をついたし、嘘じゃないの?」
「うーん、信じられないよねぇ」
「いるわけなくない?」
周囲はひそひそとそんなことを言っている。どうしたのかと思うと、正面にいる西くんに向かって、七海さんが泣きながら続ける。
「首のない男の子がいたの! サッカーのドリブルの練習をしてて……私が通りかかったら、『一緒にあそぼう!』っていって、ボールを持ち上げたと思ったら、それが頭だったの! 自分の頭でドリブルをしてたの! 怖くなって私、逃げたの昨日!」
ぼくは自分のいすに座り、ランドセルを置いてから、隣に座っている道家くんを見た。
「七海さんの話、どう思う?」
「ああ、『生首ドリブル』じゃない?」
なんだかめんどうくさそうに、あんまりきょうみがなさそうに、静かに道家くんが言った。
「生首ドリブル……都市伝説?」
「まぁそうなるね」
「解決しよう!」
これは、ローレルの初の事件になるかもしれない!
ぼくはいきごんで、七海さんと西くんのところに近づいた。
「ぼく、調べてみるよ!」
するときょとんとして泣き止み、七海さんがぼくを見た。するとほっぺが赤くなった。
「ありがとう……」
「ううん」
ぼくが笑顔で答えてからまた自分の席にもどると、ほおづえをついていた道家くんがあきれたような顔をしていた。
「あーあ」
「ん?」
「女タラシ」
「そういう都市伝説もいるの?」
「違うよ。ボク、哀名がフビンだな」
「どうして?」
「別に」
よくわからなくてぼくは不思議に思って哀名を見た。哀名はまっすぐ前を向いているから、どんな顔をしているかは分からなかった。
道家くんの言葉に、ぼくはうでを組んだ。実はこれは、ひとつ考えてきた。
「まずは学校の都市伝説のお化けに困ってる人がいたら助けようよ」
「学校の七不思議とか?」
哀名がぼくの言葉を聞いて、首を小さく動かしてカタに近づけた。
「うん、そういうの!」
ぼくの考えを哀名は分かってくれたみたいだ。道家くんもなっとくした顔になった。
「危険な怪異がいたら、ボクが倒せばいいんだね」
「まずは〝せっとく〟してみようよ」
「瑛はやさしいよね」
しぶしぶといった様子で、道家くんがうなずいた。
この日はそのあとは、三人でだらだらとおしゃべりをしていた。ぼくは何度か哀名を見ながら思った。
――まだ、ぼくは告白できていない。
どうしてもその勇気がでない。
ぼくはおくびょうだ。ためいきが出てしまう。
この日はかいさんして、ぼくはバスに乗って帰った。哀名はお家の人が迎えにきてくれるそうだった。
次の日、月曜日。
ぼくが学校に行き、教室のとびらをあけると、泣き叫ぶ声が聞こえてきた。
「本当に見たのよ!!」
顔を向けると、七海さんが泣きじゃくっていた。
「前にも一回嘘をついたし、嘘じゃないの?」
「うーん、信じられないよねぇ」
「いるわけなくない?」
周囲はひそひそとそんなことを言っている。どうしたのかと思うと、正面にいる西くんに向かって、七海さんが泣きながら続ける。
「首のない男の子がいたの! サッカーのドリブルの練習をしてて……私が通りかかったら、『一緒にあそぼう!』っていって、ボールを持ち上げたと思ったら、それが頭だったの! 自分の頭でドリブルをしてたの! 怖くなって私、逃げたの昨日!」
ぼくは自分のいすに座り、ランドセルを置いてから、隣に座っている道家くんを見た。
「七海さんの話、どう思う?」
「ああ、『生首ドリブル』じゃない?」
なんだかめんどうくさそうに、あんまりきょうみがなさそうに、静かに道家くんが言った。
「生首ドリブル……都市伝説?」
「まぁそうなるね」
「解決しよう!」
これは、ローレルの初の事件になるかもしれない!
ぼくはいきごんで、七海さんと西くんのところに近づいた。
「ぼく、調べてみるよ!」
するときょとんとして泣き止み、七海さんがぼくを見た。するとほっぺが赤くなった。
「ありがとう……」
「ううん」
ぼくが笑顔で答えてからまた自分の席にもどると、ほおづえをついていた道家くんがあきれたような顔をしていた。
「あーあ」
「ん?」
「女タラシ」
「そういう都市伝説もいるの?」
「違うよ。ボク、哀名がフビンだな」
「どうして?」
「別に」
よくわからなくてぼくは不思議に思って哀名を見た。哀名はまっすぐ前を向いているから、どんな顔をしているかは分からなかった。
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