24 / 101
【SeasonⅠ】―― 第三章:トイレの花子さんとババサレ ――
【024】トイレの花子さんからの情報
しおりを挟むぼくは恐怖も忘れて、前に身を乗り出した。
「そう、それ! そのピエロだよ! どこにいるか知ってる?」
「最近見ないわねぇ。学校の鏡の中は、全部繋がってるんだけど……うーん」
「じゃ、じゃあ! 十二年前にいなくなった男の子のことは知らない? 図書室ピエロにひっぱりこまれたらしいんだ。步夢くんって名前の男の子!」
ぼくが〝むがむちゅう〟でいうと、哀名までおどろいた顔をした。ぼくは、哀名にその話をしていなかったことを思い出したが、今は花子さんへの質問が大切だ!
「鏡の中には、時間はないわ。私にはそれしか分からない」
花子さんはそう言ってから、あらためてぼく達を見て、にっこりと笑った。
「そんなことより、あーそびーましょー!」
そして両手をぼく達にのばした。
その時、哀名がポケットから紙を取り出した。そこには星のマークが書かれていた。
「ひっ」
すると花子さんが飛び退いた。
「それ、嫌い!」
「また今度遊びましょう。今日は帰るわ。行きましょう、楠谷くん」
「う、うん」
こうしてぼくは、哀名に連れられて外に出た。
「先に外に出てしまいましょう」
「分かった」
二人で〝もくもく〟と歩いて、旧校舎から外に出る。そこでぼくは大きく息を吐いた。
「ねぇ、哀名。さっきの紙はなに?」
「魔術で使う護符よ。魔除けの効果があるの」
「へぇ……」
「楠谷くん、なにも対処しないで、お化けに立ち向かうのは危険。一枚あげる」
「ありがとう」
ぼくは哀名に、五芒星が描かれた紙を一枚もらった。
「これ、おっても、だいじょうぶ?」
「ええ。持っているだけでいいの」
うなずきながら、ぼくはそれをポケットに入れた。
「また明日」
哀名がそういうと歩きはじめたので、ぼくは手を振り、少しの間その場に立っていた。そして旧校舎に振り返り、七不思議が本当だったのだとあらためて思う。
七不思議は、七番目を知ると死んでしまうという。
花子さんが本当にいたのだから、それも本当なんだろう。
「絶対に知らないように気をつけなきゃ」
ぼくは大きく頷いてから、帰ることにした。
0
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる