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【SeasonⅠ】―― 序章:図書室のマスク男の噂 ――
【009】図書室のマスク男⑨
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お父さんは、顔を下に向けしょう油皿を見た。
「今年でもう十二年か。瑛が生まれた年だものなぁ」
「お父さん何か知ってるの?」
「うん? ああ、昔の話だけどな……そう、丁度十二年前に、今瑛が通ってるきさらぎ学園小学校で失そう事件があったんだ」
きさらぎ学園は、市立の一貫校だ。幼稚園から大学院までがあり、この土地を学園としたら占めている。ただその中には他の市立校などもあり、たとえば亮が通うきさらぎ市立山都未来高校は県立だ。
「図書室の鏡からピエロが出てきて、児童を引きずり込むという噂で、当時は持ちきりだったよ。今も、行方不明のままみたいだな」
お父さんの声に、亮にいちゃんが不思議そうな顔をした。
「俺の学校の図書室にも鏡はあるけど、そんな話があるんなら、取り去った方がよくないか?」
「それがな、本当に鏡の中に連れ去られたとするのならば、鏡がなかったら帰ってこられないかもしれないという話になって、それで撤去されなかったんだと聞いてる。新たな被害者が出るのも怖いが、だからといっていなくなった子を見捨てるのもな」
お父さんが答えると、納得したように亮にいちゃんがうなずいた。
「一応寺生まれのTさんが封印してくれたという噂だけどな」
続けたお父さんの声に、ぼくは首をかたむけた。
「Tさん?」
「ほら、十焔寺の」
「泰我先生?」
「ああ、それは次男な。まぁあそこの寺の人だ。って――どうせただの都市伝説だぞ? 瑛。オカルトばっかり信じていると、頭が悪くなっちゃうからな?」
お父さんの声に餃子を食べながら、ぼくは笑った。
このようにして餃子パーティーの時は流れていった。
「今年でもう十二年か。瑛が生まれた年だものなぁ」
「お父さん何か知ってるの?」
「うん? ああ、昔の話だけどな……そう、丁度十二年前に、今瑛が通ってるきさらぎ学園小学校で失そう事件があったんだ」
きさらぎ学園は、市立の一貫校だ。幼稚園から大学院までがあり、この土地を学園としたら占めている。ただその中には他の市立校などもあり、たとえば亮が通うきさらぎ市立山都未来高校は県立だ。
「図書室の鏡からピエロが出てきて、児童を引きずり込むという噂で、当時は持ちきりだったよ。今も、行方不明のままみたいだな」
お父さんの声に、亮にいちゃんが不思議そうな顔をした。
「俺の学校の図書室にも鏡はあるけど、そんな話があるんなら、取り去った方がよくないか?」
「それがな、本当に鏡の中に連れ去られたとするのならば、鏡がなかったら帰ってこられないかもしれないという話になって、それで撤去されなかったんだと聞いてる。新たな被害者が出るのも怖いが、だからといっていなくなった子を見捨てるのもな」
お父さんが答えると、納得したように亮にいちゃんがうなずいた。
「一応寺生まれのTさんが封印してくれたという噂だけどな」
続けたお父さんの声に、ぼくは首をかたむけた。
「Tさん?」
「ほら、十焔寺の」
「泰我先生?」
「ああ、それは次男な。まぁあそこの寺の人だ。って――どうせただの都市伝説だぞ? 瑛。オカルトばっかり信じていると、頭が悪くなっちゃうからな?」
お父さんの声に餃子を食べながら、ぼくは笑った。
このようにして餃子パーティーの時は流れていった。
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