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【SeasonⅠ】―― 序章:図書室のマスク男の噂 ――
【003】図書室のマスク男③
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翌日の土曜日。
ぼくは朝からリビングで宿題をしていた。勉強は好きじゃないけど、宿題をいやがるなんて子どもみたいだから、ぼくは必ずていしゅつする。りっぱな大人になるためには、このていど、しっかりとこなさなければならないとぼくは思う。何度か麦茶をおかわりしながら、算数の問題をとき、たまに時計を見た。天井のそばにかかっている丸い時計だ。
亮にいちゃんはもうアルバイトに出かけた。
朝早くに帰ってきたお父さんは、今もねむっている。
お昼ご飯は、ぼく一人で、昨日の残りのカレーを、レンジで温めて食べた。
そうしていると夕方の四時が迫っていた。
玄関へむかい、スニーカーを履いていると、お父さんがねる部屋から出てきた。
「出かけるのか?」
「うん、ちょっと学校の図書室に行ってくる」
「勉強熱心でえらいなぁ」
お父さんはぼくが本を借りに行くと信じてるみたいだ。〝ウワサ〟をたしかめに行くなんてわざわざ伝えることはない。ぼくは大きく二度頷く。お父さんに手を振り、マンションの外へと出て、ぼくはは自転車置き場に行く。
小学校までは自転車で五分ほどだ。ふだんの通学は徒歩だけど。小学生は歩いて学校に行くと決まっている。中学生になれば自転車で学校に行ってもいいそうだ。。
第二校舎の三階にある図書室は、土曜日と日曜日も開いている。自転車置き場に自転車をとめて、校舎の中に入ると、廊下にはだれもいなかった。みんなあんまり図書室にいかないし、先生も鍵の開け閉めをするだけだから、三階までのぼる間、ぼくは誰ともすれ違わなかった。
静かに図書室の扉を開ける。
最初は首だけで中をのぞいたけど、ほと気はない。
どうせ馬鹿馬鹿しいウワサだったんだ、やっぱり。そう思いながら、向かいの校舎や校庭から見える位置を目指して進んでみる。夏荻くんが見た場所だ。理科の図鑑の棚のそばで、壁には大きな鏡があるところだと思う。
「ひっ!」
ぼくは声を上げて硬直した。
鏡の前に、くすんだ緑の上着をはおり、白いマスクを口につけた、黒いフレームのメガネをかけた男が立っていたからだ。鏡を睨みつけている。黒い短髪の男の服は学校の先生達には見えなかった。
ウワサは本当だった。
ぼくは、ふるえた。
ぼくは朝からリビングで宿題をしていた。勉強は好きじゃないけど、宿題をいやがるなんて子どもみたいだから、ぼくは必ずていしゅつする。りっぱな大人になるためには、このていど、しっかりとこなさなければならないとぼくは思う。何度か麦茶をおかわりしながら、算数の問題をとき、たまに時計を見た。天井のそばにかかっている丸い時計だ。
亮にいちゃんはもうアルバイトに出かけた。
朝早くに帰ってきたお父さんは、今もねむっている。
お昼ご飯は、ぼく一人で、昨日の残りのカレーを、レンジで温めて食べた。
そうしていると夕方の四時が迫っていた。
玄関へむかい、スニーカーを履いていると、お父さんがねる部屋から出てきた。
「出かけるのか?」
「うん、ちょっと学校の図書室に行ってくる」
「勉強熱心でえらいなぁ」
お父さんはぼくが本を借りに行くと信じてるみたいだ。〝ウワサ〟をたしかめに行くなんてわざわざ伝えることはない。ぼくは大きく二度頷く。お父さんに手を振り、マンションの外へと出て、ぼくはは自転車置き場に行く。
小学校までは自転車で五分ほどだ。ふだんの通学は徒歩だけど。小学生は歩いて学校に行くと決まっている。中学生になれば自転車で学校に行ってもいいそうだ。。
第二校舎の三階にある図書室は、土曜日と日曜日も開いている。自転車置き場に自転車をとめて、校舎の中に入ると、廊下にはだれもいなかった。みんなあんまり図書室にいかないし、先生も鍵の開け閉めをするだけだから、三階までのぼる間、ぼくは誰ともすれ違わなかった。
静かに図書室の扉を開ける。
最初は首だけで中をのぞいたけど、ほと気はない。
どうせ馬鹿馬鹿しいウワサだったんだ、やっぱり。そう思いながら、向かいの校舎や校庭から見える位置を目指して進んでみる。夏荻くんが見た場所だ。理科の図鑑の棚のそばで、壁には大きな鏡があるところだと思う。
「ひっ!」
ぼくは声を上げて硬直した。
鏡の前に、くすんだ緑の上着をはおり、白いマスクを口につけた、黒いフレームのメガネをかけた男が立っていたからだ。鏡を睨みつけている。黒い短髪の男の服は学校の先生達には見えなかった。
ウワサは本当だった。
ぼくは、ふるえた。
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