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【四十七】黄泉の国Ⅱ
しおりを挟む「あ、あ――っ、気持ち良い、やぁあああ」
これまでのいずれの快楽よりも、俺の体にその熱は馴染み、全身を蕩かしていく。
俺がずっと求めていたのはこれだったのだと気づかされた。
「う、ぁ……」
「たっぷり可愛がってやろうな。何年が経ったんだ? 人の世では。黄泉の国は退屈でな。自慰も出来ない光の形は苦痛だったんだ。ずっとお前が欲しかったんだ。くっ、良い体に育ったな。俺好みの淫乱になって」
「あ、あ……ああ……ア――!!」
ギュッと目を閉じると涙が溢れた。もう快楽しか考えられない。体が熱い。だが――全身が歓喜している。繋がっている。
「ここが好きなんだったな。覚えているぞ」
「は、ァ……ああ……そこは、あ……そこ、そこ、もっとしてくれ、ああああ!」
「素直に育ったらしい。少しは可愛げが生まれたか?」
激しく俺に打ち付けながら、ベリアス将軍が残忍な顔で笑っている。
俺の体勢を起こし、繋がったままで角度を変え、下からベリアス将軍が俺を貫く。膝の上にのせられた俺は、最奥を穿たれ、夢中で首を振った。
「あ、ああ……あ、ア」
「腰使いが上達したじゃ無いか。俺以外の主人はどうだった?」
「う、う……あ、あ……ダメだ、俺、俺は……ベリアス将軍のじゃないと、ダメだ」
「だろうな。誰かが刻印を封じていたようだが、今、俺の力を注ぎ直した。黄泉の国では体は無いが、魔力がたまる。今度こそ逃さない。人には過ぎた力だが、一度人の形を失った俺は、既に不死となり、今となってはこの大陸で一番力を持つだろう」
「あああ……あ、あ、う、ぅ……うあ、あ、動いて」
「もっと可愛く頼んでみろ」
「ぁ……あ……」
「年を経てますます俺好みになったな。艶がある。淫靡だ」
正面から俺を抱きしめ、ベリアス将軍が俺の頬を舐める。涙を舐められただけで、俺の全身に快楽が走る。久方ぶりに与えられた黒薔薇の刻印のもたらす本当の熱に、俺は我を失った。
「ひ、ぁ……あ、ああ」
「腰が止まったぞ?」
「だめ、も、もう力が入らな――っ、ぁ」
「お前が動かないのならば、今日はずっとこのままだ」
「嫌だぁあああ」
乳首を吸われ、黒薔薇の上に手を置かれる。すると強い快楽が全身を走り抜けた。俺はいくつもの悦楽を体に叩き込まれてきたはずなのだが、これほどの純然たる気持ちよさを覚えたのは、あの日この人物を殺めて以来なのだと、体で理解させられていた。
「俺を失えばどうなるか、もう分かっただろう?」
「う……うあ……吸わないでくれ、あ、あ、おかしくなる、やぁ、嫌だ」
「安心しろ。もうお前は狂ってる」
「ひ、ひゃ、ひあぁ……ああああ」
泣き叫ぶ俺の乳首を、将軍が舌で転がす。俺は思わず自分の陰茎を、引き締まっているベリアス将軍の腹部に擦りつけた。
「人の体で自慰をするな。本当に堕ちたな」
「あ、あ」
「――黄泉の国では、全て見える。人の世の事が。俺はずっと見ていたぞ。お前が誰にどのように抱かれ、どんな風に啼き、兵器や子を孕んできたのか。実に愉快だった」
「うああ、あ」
下から突き上げるように、ベリアス将軍の陰茎が動いた。俺の内側が、将軍の形を思い出していく。そうだ、俺にはこの剛直が必要だったのだ。これがなければ、俺は生きていけないのだ。
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