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―― 第三章:異能と親子 ――
【二十九】斬新な光景
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「坂崎さん、その手、どうしたんだ?」
「――ん?」
唐突に梓藤に問いかけられ、顔が強ばりかけた坂崎は、知らんぷりで首を傾げる。
「絆創膏だらけじゃないか……ガーゼと包帯もしてるし……」
「ああ、これか」
やっと気づいたという顔で、坂崎は苦笑した。
「ほら、家内が亡くなってから、料理に必死なんだよ。これまでの人生で料理なんて一度もした事が無かったからな。いやぁ初体験で傷だらけだ。ただ、少しずつ上達してるんだぞ?」
「へぇ。得意料理は?」
静間が尋ねると、坂崎が瞬時に答える。
「ミネストローネだ。昨日も作ったんだ。息子のリクエストで!」
すると西園寺が派手に首を捻った。
「どうかしたの?」
静間が声をかけると、西園寺が困ったように坂崎を一瞥する。
「ミネストローネって、包丁……使いますか?」
その素朴すぎる疑問に、しかしながら坂崎は心臓が凍り付いたような思いをした。
「そ、の、他の料理に使ったんだ」
「え? ミネストローネという事は、イタリアンですよね? パスタとかでは? 包丁……? ああ、ミートソースですか」
納得したように西園寺が一人で頷いてくれたため、心底安堵して坂崎は話を合わせる。
「そうなんだよ、必死で作ってたら、親指をグサっていっちゃって」
「は?」
すると今度は梓藤が怪訝そうな声を出した。
「俺の記憶力はいい方だぞ? 坂崎さんは、少なくとも五日前から親指にその目立つ包帯をしていたと思うぞ? 上から付け根まで」
「あ……いやぁ、水仕事の最中だけ外してたら、また同じところをだなぁ……」
「それはない。その包帯は、昨日と同じものだ。昨日俺が渡した朱肉がついたままだ」
梓藤の声に、坂崎は声を失う。
「え? なになに、坂崎さんに事件の予感?」
静間の朗らかな声に、少しだけその場の空気が和む。
――第一報が入ったのは、その時の事だった。全員が仕事をする顔に変わる。受話器を取ったのは梓藤だ。
「分かった、急行する」
そう言って受話器を置いた梓藤が、真っ先に坂崎を見た。
「やはり坂崎さんの家のそばで発生している連続殺人は、マスクが絡んでいた。人間の協力者が見つかって、そちらが今、逮捕された。一般の警察官が捕まえたそうがだ、すぐに移送されてくる。対応は二係がするそうだ。問題は、マスクの方だ。一緒にはいなかったらしい」
それを聞いて、坂崎は青ざめた。
チラリと本部の壁の丸時計を見る。今の時間帯は、透は学校に行っているはずだ。そう必死で自分の胸を落ち着かせるのだが、嫌な予感がする。同じ場所に高等知能を持つマスクはそれほどいないというのは、以前西園寺にも伝えたことがある。それも理由の一つであったし、人間らしき共犯者がいた点、それからあまりにも高頻度で外に食事に行く事実……全てを合わせて考えれば、嫌な予感がしない方が無理だ。
「分かった。行く」
「ああ。坂崎さんがいてくれれば、地の利はこちらにあるかもしれない。西園寺も念のため来てくれ。相手は相当数を喰い殺しているからな」
「はい」
と、こうして三人で現場に向かうこととなった。正確には、人間の共犯者が捕まった付近を捜索する事になった。その間中ずっと坂崎の胸には、『相当数』という言葉がのしかかっていた。自分が見過ごしたばかりに、果たして何人が餌とされたのだろう。だがそうしなければ、今頃己はとっくに喰われていて、今のように幸せな生活を享受してはいられなかったはずだ。今ほど、誰かの幸福には、誰かの犠牲がつきものだという言葉を、実感したことがない。
「この辺りだな」
梓藤が車を停めたので、西園寺と坂崎がそれぞれ降りた。
透がいない事を祈りながら、酷い動悸に襲われつつ、坂崎は歩く。
左手を西園寺が歩き、右手を梓藤が歩いてくる。
中央の一歩先を、道に詳しい坂崎が進んでいく。そして、いないようにと願いながら、角を曲がった時の事だった。そこには、小腸をくわえている透が立っていたのである。坂崎は立ち尽くす。誤魔化しようが無い光景だったからだ。現に、直後左右から息を呑む気配がした。その時だった。
「父さん……?」
口から残飯を投げ捨てるように、不要物を手で地面に放り投げて、透が言った。
「坂崎さん? どういう事だ?」
「――ミネストローネではなく、血をリクエストされていたと判断して構いませんか?」
険しい梓藤の声のあと、事態を悟ったように西園寺が平坦な声でいった。
西園寺の排除銃は、ぴたりと透を捉えている。
「違う! 俺が自発的に――」
「聞き捨てならないな、坂崎さん。それは、自発的に協力していたと言うことか?」
「……っ、とにかく、透は悪くない」
梓藤の追求に対し、必死で坂崎が首を振る。すると西園寺が無感情の声で告げる。
「あれは貴方のご子息ではなく、マスクです」
「西園寺の言う通りだ。坂崎さん、分かっていると思うが、マスクを庇う人間もまた排除対象だ」
梓藤の排除銃の銃口は、ぴたりと坂崎の側頭部に当たっている。
「父さん……怖い……助けて……」
そこに、泣きそうな声が響き渡った。
迷わず西園寺が撃とうと構える。
坂崎が地に崩れ落ち、膝をついて号泣しはじめたのはその時だ。梓藤が銃口を当て直す。
「頼む、見逃してくれ、息子の記憶を持ってるんだ、息子の顔をしてるんだ、息子だ、息子と何が違うっていうんだ」
しかしその震える声に、振り返る事すらせず、西園寺は構えた通りに引き金を引いた。
砕け散った透の顔――を、したマスクの頭部に、坂崎が目を見開き、脳に手を伸ばそうとした瞬間、こちらも迷う事なく、梓藤が引き金を引いた。銃声が谺し、坂崎の頭部が吹き飛ぶ。破壊された頭部がちぎれそうになりながら、坂崎の体が傾く。梓藤はそれを抱き留めた。すると血飛沫が、どんどん梓藤の顔を濡らした。
「西園寺、よく撃てたな」
「……ありがとうございます」
そう答えた西園寺は、それは自分のセリフだと感じた。もし自分が坂崎に銃口を向ける側だったならば、撃てない自信があった。そのような自信は不要なのだが、マスクを撃つ方でよかったと思ってしまう。
「っ、遺体の処理……は……その……」
普段であれば、放置して、回収班か第二係に任せる。
だが梓藤は、坂崎の頭部が無くなった体を抱き留めたままだ。頭部を破壊したのも、梓藤であるが。西園寺が言葉を探す。その時梓藤が言った。
「いつも通り。ただし俺は、ここに残って遺体の回収に立ち会う」
「そうですか」
「ああ」
「俺も残りましょうか?」
「いいや、西園寺は先に本部に戻って、静間に報告をしてくれ」
「なにをどのように報告すればいいでしょうか?」
「自分で考えろ、いつもはそうするだろう?」
梓藤の言葉に、西園寺が腕を組む。
「……涙を、濡れている頬を、飛び散る鮮血で隠す主任という斬新な光景について原稿用紙で百枚くらいにまとめてもいいですか?」
「もうちょっとマシな慰め方は無いのか?」
「冗談は苦手なんです。では、俺の判断で書かせて頂けるのであれば、息子の姿に情がわいたため、意図せず共犯者となってしまった坂崎警視を銃殺した、と、書いてよいでしょうか?」
「駄目に決まってるだろうが。『坂崎警視は、マスクを意図的に匿っていた、死刑囚と同等の最悪の犯罪者だから、射殺した』と書けばいい」
「ではそのように静間さんに報告し、静間さんのご判断を仰ぎます」
「それで頼む」
こうして西園寺が、車の方向へと歩き出したのを、首だけで振り返り梓藤は暫しの間見送っていた。その間にも、どんどん抱きかかえている坂崎の体は冷たくなっていった。
「斬新で悪かったな……なぁ? 坂崎さん? 坂崎さんなら、もうちょっとはマシな冗談が言えたと俺は思います」
そう呟きつつ、鮮血の勢いがなくなり、次第にそれが消失しても、ずっと梓藤の眼窩からは、涙が筋を作って零れ落ちていたのだった。
「――ん?」
唐突に梓藤に問いかけられ、顔が強ばりかけた坂崎は、知らんぷりで首を傾げる。
「絆創膏だらけじゃないか……ガーゼと包帯もしてるし……」
「ああ、これか」
やっと気づいたという顔で、坂崎は苦笑した。
「ほら、家内が亡くなってから、料理に必死なんだよ。これまでの人生で料理なんて一度もした事が無かったからな。いやぁ初体験で傷だらけだ。ただ、少しずつ上達してるんだぞ?」
「へぇ。得意料理は?」
静間が尋ねると、坂崎が瞬時に答える。
「ミネストローネだ。昨日も作ったんだ。息子のリクエストで!」
すると西園寺が派手に首を捻った。
「どうかしたの?」
静間が声をかけると、西園寺が困ったように坂崎を一瞥する。
「ミネストローネって、包丁……使いますか?」
その素朴すぎる疑問に、しかしながら坂崎は心臓が凍り付いたような思いをした。
「そ、の、他の料理に使ったんだ」
「え? ミネストローネという事は、イタリアンですよね? パスタとかでは? 包丁……? ああ、ミートソースですか」
納得したように西園寺が一人で頷いてくれたため、心底安堵して坂崎は話を合わせる。
「そうなんだよ、必死で作ってたら、親指をグサっていっちゃって」
「は?」
すると今度は梓藤が怪訝そうな声を出した。
「俺の記憶力はいい方だぞ? 坂崎さんは、少なくとも五日前から親指にその目立つ包帯をしていたと思うぞ? 上から付け根まで」
「あ……いやぁ、水仕事の最中だけ外してたら、また同じところをだなぁ……」
「それはない。その包帯は、昨日と同じものだ。昨日俺が渡した朱肉がついたままだ」
梓藤の声に、坂崎は声を失う。
「え? なになに、坂崎さんに事件の予感?」
静間の朗らかな声に、少しだけその場の空気が和む。
――第一報が入ったのは、その時の事だった。全員が仕事をする顔に変わる。受話器を取ったのは梓藤だ。
「分かった、急行する」
そう言って受話器を置いた梓藤が、真っ先に坂崎を見た。
「やはり坂崎さんの家のそばで発生している連続殺人は、マスクが絡んでいた。人間の協力者が見つかって、そちらが今、逮捕された。一般の警察官が捕まえたそうがだ、すぐに移送されてくる。対応は二係がするそうだ。問題は、マスクの方だ。一緒にはいなかったらしい」
それを聞いて、坂崎は青ざめた。
チラリと本部の壁の丸時計を見る。今の時間帯は、透は学校に行っているはずだ。そう必死で自分の胸を落ち着かせるのだが、嫌な予感がする。同じ場所に高等知能を持つマスクはそれほどいないというのは、以前西園寺にも伝えたことがある。それも理由の一つであったし、人間らしき共犯者がいた点、それからあまりにも高頻度で外に食事に行く事実……全てを合わせて考えれば、嫌な予感がしない方が無理だ。
「分かった。行く」
「ああ。坂崎さんがいてくれれば、地の利はこちらにあるかもしれない。西園寺も念のため来てくれ。相手は相当数を喰い殺しているからな」
「はい」
と、こうして三人で現場に向かうこととなった。正確には、人間の共犯者が捕まった付近を捜索する事になった。その間中ずっと坂崎の胸には、『相当数』という言葉がのしかかっていた。自分が見過ごしたばかりに、果たして何人が餌とされたのだろう。だがそうしなければ、今頃己はとっくに喰われていて、今のように幸せな生活を享受してはいられなかったはずだ。今ほど、誰かの幸福には、誰かの犠牲がつきものだという言葉を、実感したことがない。
「この辺りだな」
梓藤が車を停めたので、西園寺と坂崎がそれぞれ降りた。
透がいない事を祈りながら、酷い動悸に襲われつつ、坂崎は歩く。
左手を西園寺が歩き、右手を梓藤が歩いてくる。
中央の一歩先を、道に詳しい坂崎が進んでいく。そして、いないようにと願いながら、角を曲がった時の事だった。そこには、小腸をくわえている透が立っていたのである。坂崎は立ち尽くす。誤魔化しようが無い光景だったからだ。現に、直後左右から息を呑む気配がした。その時だった。
「父さん……?」
口から残飯を投げ捨てるように、不要物を手で地面に放り投げて、透が言った。
「坂崎さん? どういう事だ?」
「――ミネストローネではなく、血をリクエストされていたと判断して構いませんか?」
険しい梓藤の声のあと、事態を悟ったように西園寺が平坦な声でいった。
西園寺の排除銃は、ぴたりと透を捉えている。
「違う! 俺が自発的に――」
「聞き捨てならないな、坂崎さん。それは、自発的に協力していたと言うことか?」
「……っ、とにかく、透は悪くない」
梓藤の追求に対し、必死で坂崎が首を振る。すると西園寺が無感情の声で告げる。
「あれは貴方のご子息ではなく、マスクです」
「西園寺の言う通りだ。坂崎さん、分かっていると思うが、マスクを庇う人間もまた排除対象だ」
梓藤の排除銃の銃口は、ぴたりと坂崎の側頭部に当たっている。
「父さん……怖い……助けて……」
そこに、泣きそうな声が響き渡った。
迷わず西園寺が撃とうと構える。
坂崎が地に崩れ落ち、膝をついて号泣しはじめたのはその時だ。梓藤が銃口を当て直す。
「頼む、見逃してくれ、息子の記憶を持ってるんだ、息子の顔をしてるんだ、息子だ、息子と何が違うっていうんだ」
しかしその震える声に、振り返る事すらせず、西園寺は構えた通りに引き金を引いた。
砕け散った透の顔――を、したマスクの頭部に、坂崎が目を見開き、脳に手を伸ばそうとした瞬間、こちらも迷う事なく、梓藤が引き金を引いた。銃声が谺し、坂崎の頭部が吹き飛ぶ。破壊された頭部がちぎれそうになりながら、坂崎の体が傾く。梓藤はそれを抱き留めた。すると血飛沫が、どんどん梓藤の顔を濡らした。
「西園寺、よく撃てたな」
「……ありがとうございます」
そう答えた西園寺は、それは自分のセリフだと感じた。もし自分が坂崎に銃口を向ける側だったならば、撃てない自信があった。そのような自信は不要なのだが、マスクを撃つ方でよかったと思ってしまう。
「っ、遺体の処理……は……その……」
普段であれば、放置して、回収班か第二係に任せる。
だが梓藤は、坂崎の頭部が無くなった体を抱き留めたままだ。頭部を破壊したのも、梓藤であるが。西園寺が言葉を探す。その時梓藤が言った。
「いつも通り。ただし俺は、ここに残って遺体の回収に立ち会う」
「そうですか」
「ああ」
「俺も残りましょうか?」
「いいや、西園寺は先に本部に戻って、静間に報告をしてくれ」
「なにをどのように報告すればいいでしょうか?」
「自分で考えろ、いつもはそうするだろう?」
梓藤の言葉に、西園寺が腕を組む。
「……涙を、濡れている頬を、飛び散る鮮血で隠す主任という斬新な光景について原稿用紙で百枚くらいにまとめてもいいですか?」
「もうちょっとマシな慰め方は無いのか?」
「冗談は苦手なんです。では、俺の判断で書かせて頂けるのであれば、息子の姿に情がわいたため、意図せず共犯者となってしまった坂崎警視を銃殺した、と、書いてよいでしょうか?」
「駄目に決まってるだろうが。『坂崎警視は、マスクを意図的に匿っていた、死刑囚と同等の最悪の犯罪者だから、射殺した』と書けばいい」
「ではそのように静間さんに報告し、静間さんのご判断を仰ぎます」
「それで頼む」
こうして西園寺が、車の方向へと歩き出したのを、首だけで振り返り梓藤は暫しの間見送っていた。その間にも、どんどん抱きかかえている坂崎の体は冷たくなっていった。
「斬新で悪かったな……なぁ? 坂崎さん? 坂崎さんなら、もうちょっとはマシな冗談が言えたと俺は思います」
そう呟きつつ、鮮血の勢いがなくなり、次第にそれが消失しても、ずっと梓藤の眼窩からは、涙が筋を作って零れ落ちていたのだった。
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