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―― 序章 ――
【一】二つ目の性別とオメガの存在価値
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世界にはアルファとベータ、そしてオメガという二つ目の性が存在すると言うが、この区画に限っては、オメガの中にもさらに特権階級と被特権階級が存在する。オメガという存在は、優秀なアルファの子孫を残すことができるという一点でのみ、この区画では価値があるとされているのだが、大部分のオメガは、発情期が来た段階で〝牧場〟に放り込まれる。そうなれば、生涯――体がボロボロになって死ぬまでの間、戯れに訪れては精を捨てていくアルファに体を暴かれては、子供を産み続けることとなる。
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