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―― 第二章 ――
【三十六】僕の希望(★)
しおりを挟むそのまま僕達は長い間抱き合っていた。僕の涙が止まった頃、クライヴ殿下が僕を寝台へと誘った。
「しかし、支配して、か。その希望、叶えるとしようかな。今日はいつもよりも沢山甘やかさせてくれ。《お座り》」
クライヴ殿下の声に、僕は寝台の上でぺたんと座った。
「《いい子だ》。自分で、脱いで――《見せてくれ》」
「はい……」
僕は首元の布に手をかける。装飾具を外してからベスト、シャツと脱いでいき、《命令》の通りに一糸まとわぬ姿になった。
「本当に、《いい子》だ。もう一度、《お座り》」
言われた通りにすると、クライヴ殿下が僕の頭を撫でてから、そっと僕の頬に触れる。指先の感触と、心地の良い《命令》に、次第に僕の体からは本格的に緊張感が消失し始めた。心をどんどんクライヴ殿下が占めはじめる。それが無性に幸せだ。
「《いい子》」
クライヴ殿下は、何度も何度も僕を褒めながら、髪と頬を同時に撫でてくれる。
「ルイス、《仰向けに》」
その声に、僕は頭を枕に預けた。すると僕の両手首をぎゅっと握って、クライヴ殿下が僕を寝台に縫い付けた。そのままじっと僕の目を見てから、一度唇を舐め、そして深々と僕の唇を貪る。
「ぁ……」
濃厚なキスの感覚にくらくらしていると、首筋に口づけを落とされ、左手では胸の突起を弾かれた。右手首は握られたままだ。力強い指の感触が、僕は嫌いではない。
クライヴ殿下の左手が、僕の体を撫でていき、それから陰茎を握りこまれた。そうしてゆるゆると手を動かされる内に、僕の体は熱を帯びる。
「ぁ、ァ……ああ!」
そのまま僕は果てさせられた。呆気なく射精した僕を見てから、クライヴ殿下が右手を放して香油の瓶を手繰り寄せる。それを指に塗りつけて、僕の後孔を解し始めた。香油の冷たさは、すぐに僕の内側の熱と同化して、温かく変化する。くちゅくちゅと水音が室内に響いている。
丹念に解された僕が熱い吐息をしていると、クライヴ殿下が言った。
「《脚を折り曲げて》」
「ぁ、あ……」
僕が膝を折ると、僕の腰を掴み、ぐっと一気にクライヴ殿下が挿入してきた。押し広げられる感覚に、僕はギュッと目を閉じる。そして根元まで入ると、クライヴ殿下が少し掠れた声を放った。
「少しだけ、《背を浮かせてくれ》」
「はい……ぁァ」
すると僕の腰の後ろに、クライヴ殿下の両腕が回る。こうして抱きしめられる形で、僕は最奥を押し上げるように穿たれた。
「あ、あ、あ」
その状態でクライヴ殿下が激しく腰を揺さぶる。すると僕の陰茎が、殿下の腹部に擦れた。
「ああ、ぁ……! あ!」
いつもより荒々しい動きで、クライヴ殿下が僕を貫く。クライヴ殿下の陰茎は巨大で硬く、この体勢になると、僕はずっと結腸を刺激されている形になり、いつもすぐに頭が真っ白になる。
「あああ――!」
収縮した僕の肉壁が、露骨に殿下の形を感じる。ほぼ毎日交わっているせいなのか、僕の菊門も内側も、クライヴ殿下の形を覚えこまされ、その形に変わりつつある。
「あ、ああ!」
クライヴ殿下の肉茎が脈動した直後、僕の中に大量の白液が注がれた。
「んン――!!」
長々と射精され、香油と交じり合った殿下の出したものが、結合箇所から垂れていく。
「ああああ、ン!」
しかし殿下の動きは止まらず、僕の中ですぐに硬度を取り戻すと、再び激しく動き始めた。ぎゅっと目を閉じ、僕は抱きしめられたままで、何度も中を染め上げられた。強く抱きしめられているせいで、僕は身動きできない。内部だけで何度もドライオルガズムに導かれ、僕は泣きながら震えたが、余韻に浸ることは許されず、何度も連続で絶頂を促される。
「ひゃ、ぁァ――!」
「ルイス、《何も考えるな》。《俺だけを見ていろ》、《俺以外の事はすべて忘れていい》、《快楽に浸れ》」
「あああああああ!」
達している状況で飛んできた《命令》、その甘い声に、僕の理性はプツンと途切れた。
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