上 下
36 / 84
―― 第二章 ――

【三十六】僕の希望(★)

しおりを挟む


 そのまま僕達は長い間抱き合っていた。僕の涙が止まった頃、クライヴ殿下が僕を寝台へと誘った。

「しかし、支配して、か。その希望、叶えるとしようかな。今日はいつもよりも沢山甘やかさせてくれ。《お座りニール》」

 クライヴ殿下の声に、僕は寝台の上でぺたんと座った。

「《いい子だ》。自分で、脱いで――《見せてくれプレゼント》」
「はい……」

 僕は首元の布に手をかける。装飾具を外してからベスト、シャツと脱いでいき、《命令》の通りに一糸まとわぬ姿になった。

「本当に、《いい子》だ。もう一度、《お座りニール》」

 言われた通りにすると、クライヴ殿下が僕の頭を撫でてから、そっと僕の頬に触れる。指先の感触と、心地の良い《命令コマンド》に、次第に僕の体からは本格的に緊張感が消失し始めた。心をどんどんクライヴ殿下が占めはじめる。それが無性に幸せだ。

「《いい子》」

 クライヴ殿下は、何度も何度も僕を褒めながら、髪と頬を同時に撫でてくれる。

「ルイス、《仰向けにロール》」

 その声に、僕は頭を枕に預けた。すると僕の両手首をぎゅっと握って、クライヴ殿下が僕を寝台に縫い付けた。そのままじっと僕の目を見てから、一度唇を舐め、そして深々と僕の唇を貪る。

「ぁ……」

 濃厚なキスの感覚にくらくらしていると、首筋に口づけを落とされ、左手では胸の突起を弾かれた。右手首は握られたままだ。力強い指の感触が、僕は嫌いではない。

 クライヴ殿下の左手が、僕の体を撫でていき、それから陰茎を握りこまれた。そうしてゆるゆると手を動かされる内に、僕の体は熱を帯びる。

「ぁ、ァ……ああ!」

 そのまま僕は果てさせられた。呆気なく射精した僕を見てから、クライヴ殿下が右手を放して香油の瓶を手繰り寄せる。それを指に塗りつけて、僕の後孔を解し始めた。香油の冷たさは、すぐに僕の内側の熱と同化して、温かく変化する。くちゅくちゅと水音が室内に響いている。

 丹念に解された僕が熱い吐息をしていると、クライヴ殿下が言った。

「《脚を折り曲げて》」
「ぁ、あ……」

 僕が膝を折ると、僕の腰を掴み、ぐっと一気にクライヴ殿下が挿入してきた。押し広げられる感覚に、僕はギュッと目を閉じる。そして根元まで入ると、クライヴ殿下が少し掠れた声を放った。

「少しだけ、《背を浮かせてくれ》」
「はい……ぁァ」

 すると僕の腰の後ろに、クライヴ殿下の両腕が回る。こうして抱きしめられる形で、僕は最奥を押し上げるように穿たれた。

「あ、あ、あ」

 その状態でクライヴ殿下が激しく腰を揺さぶる。すると僕の陰茎が、殿下の腹部に擦れた。

「ああ、ぁ……! あ!」

 いつもより荒々しい動きで、クライヴ殿下が僕を貫く。クライヴ殿下の陰茎は巨大で硬く、この体勢になると、僕はずっと結腸を刺激されている形になり、いつもすぐに頭が真っ白になる。

「あああ――!」

 収縮した僕の肉壁が、露骨に殿下の形を感じる。ほぼ毎日交わっているせいなのか、僕の菊門も内側も、クライヴ殿下の形を覚えこまされ、その形に変わりつつある。

「あ、ああ!」

 クライヴ殿下の肉茎が脈動した直後、僕の中に大量の白液が注がれた。

「んン――!!」

 長々と射精され、香油と交じり合った殿下の出したものが、結合箇所から垂れていく。

「ああああ、ン!」

 しかし殿下の動きは止まらず、僕の中ですぐに硬度を取り戻すと、再び激しく動き始めた。ぎゅっと目を閉じ、僕は抱きしめられたままで、何度も中を染め上げられた。強く抱きしめられているせいで、僕は身動きできない。内部だけで何度もドライオルガズムに導かれ、僕は泣きながら震えたが、余韻に浸ることは許されず、何度も連続で絶頂を促される。

「ひゃ、ぁァ――!」
「ルイス、《何も考えるな》。《俺だけを見ていろ》、《俺以外の事はすべて忘れていい》、《快楽に浸れ》」
「あああああああ!」

 達している状況で飛んできた《命令》、その甘い声に、僕の理性はプツンと途切れた。



しおりを挟む
感想 25

あなたにおすすめの小説

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

あなたが愛してくれたから

水無瀬 蒼
BL
溺愛α×β(→Ω) 独自設定あり ◇◇◇◇◇◇ Ωの名門・加賀美に産まれたβの優斗。 Ωに産まれなかったため、出来損ない、役立たずと言われて育ってきた。 そんな優斗に告白してきたのは、Kコーポレーションの御曹司・αの如月樹。 Ωに産まれなかった優斗は、幼い頃から母にΩになるようにホルモン剤を投与されてきた。 しかし、優斗はΩになることはなかったし、出来損ないでもβで良いと思っていた。 だが、樹と付き合うようになり、愛情を注がれるようになってからΩになりたいと思うようになった。 そしてダメ元で試した結果、βから後天性Ωに。 これで、樹と幸せに暮らせると思っていたが…… ◇◇◇◇◇◇

見ぃつけた。

茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは… 他サイトにも公開しています

あまく、とろけて、開くオメガ

藍沢真啓/庚あき
BL
オメガの市居憂璃は同じオメガの実母に売られた。 北関東圏を支配するアルファの男、玉之浦椿に。 ガリガリに痩せた子は売れないと、男の眼で商品として価値があがるように教育される。 出会ってから三年。その流れゆく時間の中で、男の態度が商品と管理する関係とは違うと感じるようになる憂璃。 優しく、大切に扱ってくれるのは、自分が商品だから。 勘違いしてはいけないと律する憂璃の前に、自分を売った母が現れ── はぴまり~薄幸オメガは溺愛アルファ~等のオメガバースシリーズと同じ世界線。 秘密のあるスパダリ若頭アルファ×不憫アルビノオメガの両片想いラブ。

最強で美人なお飾り嫁(♂)は無自覚に無双する

竜鳴躍
BL
ミリオン=フィッシュ(旧姓:バード)はフィッシュ伯爵家のお飾り嫁で、オメガだけど冴えない男の子。と、いうことになっている。だが実家の義母さえ知らない。夫も知らない。彼が陛下から信頼も厚い美貌の勇者であることを。 幼い頃に死別した両親。乗っ取られた家。幼馴染の王子様と彼を狙う従妹。 白い結婚で離縁を狙いながら、実は転生者の主人公は今日も勇者稼業で自分のお財布を豊かにしています。

隣人、イケメン俳優につき

タタミ
BL
イラストレーターの清永一太はある日、隣部屋の怒鳴り合いに気付く。清永が隣部屋を訪ねると、そこでは人気俳優の杉崎久遠が男に暴行されていて──?

処理中です...