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―― 第二章 ――
【二十八】開放感(★)
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「旅は人を開放的な気分にさせるから良くないな」
ロックグラスに、魔術で凍ったままの丸い氷を入れてから、卓上に用意されていた琥珀色のウイスキーを、クライヴ殿下が注いでいく。僕はもどかしさに震えたままで、その間もじっと僕を見据えているクライヴ殿下と視線を重ねていた。
獰猛に変わった紫色の瞳が、まじまじと僕の体を見ている。開けたガウンを纏っている僕は、膝を折り曲げたままで、小刻みに震えていた。寒さからではない。部屋は魔導具で一定の温度に保たれている。純粋に、クライヴ殿下が僕を求め――支配しようとしてくれているのを肌で感じ、期待に震えてしまっているだけだ。
「ルイス、《自分でして見せてほしい》」
「! っ、ぁ……は、はい」
僕はおずおずと己の陰茎に手を添える。そしてゆっくりと手を動かしてみる。
「俺の事をきちんと見たままで。《こちらを見ろ》、目を逸らしてはダメだ」
「ッッッ」
恥ずかしくなって、僕は真っ赤になった自信がある。それでも言われた通りに上目遣いでクライヴ殿下を見つめながら、僕は自慰をしてみせる。自分では数えるほどしかした事がないから、巧く出来ない。もどかしさだけが募っていく。何より、もう僕の体は中への快楽を教え込まれているから、これだけでは足りない。
「それで、足りるのか? 《言ってくれ》」
すると見透かされたものだから、僕はさらに赤くなった。
「足りない……っ、ぁ……早く、早く欲しい」
「俺はもう少し見ていたい。ルイスの綺麗な体を。どこもかしこも綺麗だな。それが今、色づいてる。ほら、手の動きが止まっているぞ?」
「ああ……っ……」
「足りないのならば、《中も弄ってみろ》――出来るな?」
「う、んっ……」
言われた通りに、僕はもう一方の指先を、恐る恐る後孔へと差し入れた。
「ほら、《きちんと俺を見たままで》」
「あ、あァ!」
見られていると、視線に体が焙られたようになっていく。僕は前と中を一人で弄りながら、視線に絡めとられていく。
「殿下、ぁ……」
「名前は? そうだったか? 《呼んでくれ》」
「クライヴ、ぅ……あ、クライヴ……っ」
「《いい子だ》」
その言葉を聞いた瞬間、僕の胸が満ち溢れた。幸せでたまらない。クライヴ殿下に褒められた時、僕の陰茎がさらに張り詰めた。もう出てしまいそうに、体が熱い。
「今一番欲しいものを、《言ってごらん》」
「クライヴが欲しい、欲しい……んぅ……あ、あ」
「《おいで》。自分で乗れるように、なっただろう? 今は、もう」
「ん」
僕は立ち上がり、クライヴ殿下に歩み寄る。そして涙で濡れた瞳は、《命令》の通りに向けたままで、クライヴ殿下の下衣を夢中で脱がせて、それから跨る。
「んン――!」
下から押し広げられる感覚がして、クライヴ殿下が僕の中に挿いってくる。硬い肉茎を受け入れた僕は、両腕をクライヴ殿下の体に回す。
「好きに動くといい。今夜は、好きなだけ」
「ああ、あァ――!!」
その言葉に僕は自分の体を抑制できなくなり、気づくと無我夢中で動いていた。そんな僕の腰を支えて、終始クライヴ殿下は獰猛な目をしたまま、乱れる僕を見つめていた。
この頃になると、僕の脳裏からは、壁の薄さや施錠されていない不安など霧散していた。
そして夜が白むまでの間、僕達は交わっていたのだった。
ロックグラスに、魔術で凍ったままの丸い氷を入れてから、卓上に用意されていた琥珀色のウイスキーを、クライヴ殿下が注いでいく。僕はもどかしさに震えたままで、その間もじっと僕を見据えているクライヴ殿下と視線を重ねていた。
獰猛に変わった紫色の瞳が、まじまじと僕の体を見ている。開けたガウンを纏っている僕は、膝を折り曲げたままで、小刻みに震えていた。寒さからではない。部屋は魔導具で一定の温度に保たれている。純粋に、クライヴ殿下が僕を求め――支配しようとしてくれているのを肌で感じ、期待に震えてしまっているだけだ。
「ルイス、《自分でして見せてほしい》」
「! っ、ぁ……は、はい」
僕はおずおずと己の陰茎に手を添える。そしてゆっくりと手を動かしてみる。
「俺の事をきちんと見たままで。《こちらを見ろ》、目を逸らしてはダメだ」
「ッッッ」
恥ずかしくなって、僕は真っ赤になった自信がある。それでも言われた通りに上目遣いでクライヴ殿下を見つめながら、僕は自慰をしてみせる。自分では数えるほどしかした事がないから、巧く出来ない。もどかしさだけが募っていく。何より、もう僕の体は中への快楽を教え込まれているから、これだけでは足りない。
「それで、足りるのか? 《言ってくれ》」
すると見透かされたものだから、僕はさらに赤くなった。
「足りない……っ、ぁ……早く、早く欲しい」
「俺はもう少し見ていたい。ルイスの綺麗な体を。どこもかしこも綺麗だな。それが今、色づいてる。ほら、手の動きが止まっているぞ?」
「ああ……っ……」
「足りないのならば、《中も弄ってみろ》――出来るな?」
「う、んっ……」
言われた通りに、僕はもう一方の指先を、恐る恐る後孔へと差し入れた。
「ほら、《きちんと俺を見たままで》」
「あ、あァ!」
見られていると、視線に体が焙られたようになっていく。僕は前と中を一人で弄りながら、視線に絡めとられていく。
「殿下、ぁ……」
「名前は? そうだったか? 《呼んでくれ》」
「クライヴ、ぅ……あ、クライヴ……っ」
「《いい子だ》」
その言葉を聞いた瞬間、僕の胸が満ち溢れた。幸せでたまらない。クライヴ殿下に褒められた時、僕の陰茎がさらに張り詰めた。もう出てしまいそうに、体が熱い。
「今一番欲しいものを、《言ってごらん》」
「クライヴが欲しい、欲しい……んぅ……あ、あ」
「《おいで》。自分で乗れるように、なっただろう? 今は、もう」
「ん」
僕は立ち上がり、クライヴ殿下に歩み寄る。そして涙で濡れた瞳は、《命令》の通りに向けたままで、クライヴ殿下の下衣を夢中で脱がせて、それから跨る。
「んン――!」
下から押し広げられる感覚がして、クライヴ殿下が僕の中に挿いってくる。硬い肉茎を受け入れた僕は、両腕をクライヴ殿下の体に回す。
「好きに動くといい。今夜は、好きなだけ」
「ああ、あァ――!!」
その言葉に僕は自分の体を抑制できなくなり、気づくと無我夢中で動いていた。そんな僕の腰を支えて、終始クライヴ殿下は獰猛な目をしたまま、乱れる僕を見つめていた。
この頃になると、僕の脳裏からは、壁の薄さや施錠されていない不安など霧散していた。
そして夜が白むまでの間、僕達は交わっていたのだった。
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