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―― 第二章 ――
【二十七】宿の壁(☆)
しおりを挟む滞在する宿につくと、僕とクライヴ殿下は貴賓室へと通された。そこで支配人から挨拶を受けた後、僕は久しぶりにソファに座って、足を絨毯の上についていた。この日の夕食も特別に用意された品だったのだけれど、一風変わったパエリアが美味だった。
食後は入浴し、僕はガウンを羽織って室内へと戻った。
すると出かけてきた様子のクライヴ殿下が丁度戻ってきて、客室の扉の前に立った。そして鍵をちらりと見てから、改めて僕を見た。
「やはり王都へ行く貴族が多いそうで、何人かと顔を合わせた」
頷きながら僕はそれを聞き、テーブルの上にあった水差しからグラスに飲み物を注いで、喉を癒した。するとクライヴ殿下が、まじまじと僕を見てから、口角を持ち上げる。
「この宿は最高に素晴らしいが、壁が薄いのだけが難点だという噂を聞いた」
「そうなんですか」
グラスを置いた僕が改めて視線を向けると、小さく頷いたクライヴ殿下が楽しそうに告げた。
「《こちらへおいで》」
「っ、は、はい……」
僕はもうその甘い言葉には、抗う事なんて出来ない。ふらふらと立ち上がった僕は、扉の前にいるクライヴ殿下のもとへと向い、背の高い殿下を見上げる。
「《脱いでくれ》――下着だけだ」
「! ……はい」
僕は頬が熱くなった気がしたが、その《命令》に従う。ガウンは羽織ったままで、下腹部から下着を取り去った。床に落ちた下着を見ると、クライヴ殿下が僕の頬に触れて、微笑した。
「《いい子だ》――……ルイス、《扉に手をついて》。出来るか?」
「ッ、はい」
おずおずと頷いた僕を見ると、クライヴ殿下が扉の前から中へと進んだ。そして二本の指を口に含んだ。入れ違いに、僕は扉に手をつく。鍵が開いたままだと気づいた僕は、思わず体を固くした。
そんな僕のガウンの紐をほどきながら、クライヴ殿下が吐息に笑みを載せる。
「壁が薄いらしいのだから、《声を出さないように》」
「!」
「ルイスの可愛い声を、俺は誰にも聞かせたくないんだ。だが――すぐにでも欲しい」
そういうと、クライヴ殿下が僕のガウンをまくり上げ、後ろの双丘に触れた。左手で僕の肌を掴むようにし、右手の指先を一気に二本挿入する。唾液で濡れた二本の指は、まっすぐに僕の前立腺を刺激した。
「あああっ」
いつも焦らすことが多い殿下に、唐突に強い刺激を与えられ、僕は臀部を突き出す形で、扉につく手に力をこめる。しかし木の扉はすべすべしていて、掴む場所もない。
「声が出たな。これは《お仕置き》だな」
「ひ、ひぁ、あ、あ、ああ……そ、そこ、そこは……ああああ!」
前立腺ばかり強く指先で刺激され、僕は体を震わせて涙を浮かべる。
「ルイス、《静かに》」
「っ、!」
僕は改めて放たれた《命令》に、必死で声を飲み込む。けれど呼吸をする度に、嬌声が零れそうになった。縦横無尽に動くクライヴ殿下の指が、僕の後孔を解す。スムーズに動くようになった頃には、僕は睫毛を涙で濡らしていた。
「さて、《お仕置き》だ。ソファに《お座り》」
その言葉に、僕は力のない体を叱咤して、ソファへと向かう。そして横長のソファの上で、ペタンと座った。
「ルイス、《見せてくれ》。今、どんな風になっているか」
僕は羞恥に震えながら、膝を折り曲げる。そして反り返った陰茎が見えるようにした。先端からは、既にトロトロと先走りの液が零れ始めている。対面する席に座し、クライヴ殿下がじっと僕の体に視線を注ぎ始める。僕はその眼差しにもゾクリとしてしまい、思わず唾液を嚥下した。
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