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ブラックベリーの霊能学
【四十六】待ち合わせ③
しおりを挟む翌週大学へと行き、バスターミナルの方を眺めながらベンチに座っていると、火朽の前に、時岡と宮永が立った。二人の姿に顔を上げて笑顔を浮かべると、二人も朝の挨拶をしながら微笑した。
「良かったな」
最初にそう言ったのは時岡だった。
すると宮永が大きく頷いてから続ける。
「玲瓏院と和解したっぽいな。最近、ずっと一緒に講義を受けてるし、いやぁ安心したよ。な、時岡?」
「うむ。一時はどうなる事かと――ま、火朽の人柄だな!」
そう言うと二人は笑ってから、別の講義へと向かっていった。
見送りながら、火朽も内心で、小さく頷いていた。
――様々な話ができる、人間の友人として、玲瓏院紬は貴重だ。
改めて、大学生活が楽しくなったように感じ、火朽は一人微笑する。
今回は、自然と浮かんできた笑みだった。
その時、バスが到着したらしく、紬が歩いてくる気配がした。
だから顔を上げて、今日も火朽は声をかける。
「おはようございます、紬くん」
すると立ち止まった紬は、小さく頷いてから、少しだけはにかむように笑った。
「おはよう」
そうして――今週も、二人は共に講義を受け、ゼミの時間には打ち合わせをし、それこそ自然な流れで学食へと向かい、休日には見学、あるいは遊びに出かけた。こんな、何気ない日常が、火朽にとっては、非常に面白くてならない。
あるいはそれは、人間の学問ではなく、人間という生き物に興味を持つ事になった、一つの契機だったのかもしれない。
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