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三代 利助の章
第39話 現金掛値なし
しおりを挟む1674年(延宝2年) 春 江戸本町一丁目 三井越後屋
「取り急ぎ、伊勢で出資を募って当面の運転資金は当てが付いた。次は販売方法を工夫するぞ」
高利は次男の高富と徳右衛門・理右衛門を前に商売の構想を話し始めた
「まず、呉服は基本を店先売りとする。訪問販売はしない
そして、掛値を止めて正札(定価)を定めてその価格で販売する。掛値をしない代わりに値引きもしない
そうすれば、広く商いを知ってもらえるうえに価格を抑えることも出来る
そして、店先売りは現金販売を徹底する
そうすれば運転資金も抑えられ、安く呉服を提供できるはずだ」
現代で言う小売店そのものだが、当時の呉服商としては革新的な販売手法だった
今まで呉服の値を上げる原因になっていた掛値販売は、そもそも値切られることを前提とするからこそ必要だった
逆に言えば値切りに一切応じなければ掛値売をする必要もない
…というのは理論上は理解される
実際、店先売りは越後屋の専売特許ではなく、同じ伊勢商人の伊豆蔵では早いうちから屋敷売り(訪問販売)に加えて店先売りも行っていた
しかし、上級の武士にとって屋敷までわざわざやって来て頭を下げさせ、値を下げさせて買うというのは自らの力を実感できる瞬間であり、また二季払いのツケで買うことは一種のステータスでもあった
それだけ信用されているということでもあるからだ
しかし、店先売りが現金販売と合わさると事情が異なる
現金販売は小間物や食品、一杯飲み屋などのざっかけない庶民向けの店では常識だったが、武士は基本的に掛売で、伊豆蔵の店先売りも得意先への掛売を常としていた
つまり、高利の考案した商法は明らかに武士に向けてではなく近頃経済力を付けてきた町人・百姓へ向けての大衆販売だった
もちろん、店先売りで現金払いを受け入れてくれるなら武士といえどもお客様であるのは当然だ
「現金掛値なしですか…しかしそれでは、多売せねばどうにもなりませんね」
高富が不安げな顔で高利を見る
「その通りだ。私の商売は薄利多売だ。それこそが民の暮らしに役立つ商いというものだ」
「旦那様。それに加えて、江戸周辺の諸方へ売り歩く行商の者達にもこの考えを徹底させなければ呉服の値を下げることにはなりませんぞ」
「その通りだ、理右衛門。これは多くの追従者が出てこそ世の中を変える力になる。他の商人が真似することを厭うてはならんぞ。逆に真似をされれば我が越後屋の名が上がると思うのだ」
理右衛門と徳右衛門が顔を見合わせてニヤリと笑う
―――どうやら昔の八郎兵衛様が戻って来たようだな
そう思うと二人とも嬉しかった
思えば重俊の死によって伊勢に戻ってからすでに二十五年が経つ
すぐに戻ると言われて一心不乱に高利の居場所を守り続けた
その苦労がようやく報われたと思ったのだ
庄兵衛は釘抜越後屋を守らねばならないので三井越後屋に合流することができなかったことだけが悔やまれた
「ともかく、心がけることは民の暮らしに役立つ事だ。それだけを念じて奉公人からも意見を募り、工夫していくのだぞ」
「「「はい!」」」
本格的に営業を始めた越後屋の代名詞『現金掛値なし』は、俄かにカネを持ったはいいが良い物をどこで求めたらいいかわからない新興の中産町人達にたちまち認知された
今までは長屋や町家に麻や木綿の古着を持って行商人が売り歩いていたが、カネがあるなら新品を、それも買えるなら絹をと考えるのは人の常だ
折しも呉服の需要はうなぎ登りで、一部の武士だけが買える高級品と思っていた絹呉服が自分たちでも買える価格になったという現実は彼ら彼女らの購買意欲を強烈に刺激した
今まで大名や旗本の御用を務めていた大店の呉服商達もわずか間口九尺の小さな店が連日行列を為している事に驚きを持って見ていた
最も、それが即ち自分たちの商いに邪魔になるとは認識されてはおらず、所詮貧乏人や成金相手のケチな商売という認識が大半だった
中には由緒ある絹呉服を大衆品に貶めたとまったく筋違いな怒りを覚える者もいたが、大半の商人は越後屋を見る目は冷ややかだった
1674年(延宝2年) 冬 大坂高麗橋一丁目 枡屋
「『現金掛値なし』ですか?」
「そうだ。釘抜越後屋の本家の三井八郎兵衛という人が江戸でそういう呉服商いを始めたらしい」
岩城九郎右衛門は寛文七年に父が死んで家督を継ぎ、『枡屋』三代目岩城久右衛門を名乗っていた
彼は祖業であった大津の米屋が先細りとなることに見切りをつけ、米屋を畳んで本格的に呉服商として二年前の寛文十二年に大坂高麗橋一丁目に店を構えていた
釘抜越後屋の京仕入れ店とは付き合いがあってちょくちょく顔を出していたのだが、越後屋の本家三井高利が『現金掛値なし』という商法を始めたことを聞きつけ、内容を聞くとこれは当たるかもしれないと思い、越後屋を真似て大坂で『現金掛値なし』で町人向けの商いをしようと考えていた
「なんというか…本当にそんな商法が当たるのでしょうか?」
手代が心配そうに聞いてくる
「当たるだろう。武士がバラまいたカネは今江戸や大坂の町人の懐にある。次に顧客の中心になるのはその町人達だと私は思う
まして、大坂は町人の町だ。目新しく安い売値であれば必ず飛びつくはずだ」
―――問題は当面の仕入れ銀だな…
店先売りならば品数を豊富に揃えなければ話にならん
しかし、この商いは確実に当たるだろう
九右衛門は確信していた
将軍家や大名・武士は基本的にカネを使うだけの存在だが、それは言い換えれば大幅な財政出動によって景気浮揚策を実行しているとも言える
あくまでも結果論ではあるが…
大規模な財政出動はアベノミクスでも行われている通り、実に有効な景気対策となる
問題は、バラまいたカネが商家の蔵にただ積み上がっているだけであり、市場に循環していないということだった
商家が蓄えたカネを投資に回すためには、銀行の役割を果たす金融機関が必要だった
その金融機関の役割を担ったのが両替商であり、大坂では十人両替と呼ばれる本両替仲間だった
両替商は本来は金・銀・銅の各貨幣を時々の相場に合わせて両替することで手数料収入を得ていたが、この頃の両替商はすでに預金・貸付・為替といった現代の銀行業務そのものを業とするようになっていた
預けたカネには僅かながら利息が付いたが、利息云々よりも火事によって焼けることがなく安全に保管してもらえるということが好評を得て、関西圏では両替商に預金をする者が多かった
また金貨と違って銀貨は秤量貨幣であったので、預けて削り取られた物と交換されるリスクがなかったことも大坂での金融業の発達を後押しした
十人両替の筆頭は天王寺屋五兵衛という商家で、寛文二年に天王寺屋と小橋屋・鍵屋の三家に幕府御用を仰せつけたことで始まったが、寛文十年には『鴻池屋』鴻池善右衛門も十人両替に参加していた
鴻池善右衛門は『大文字屋』初代西川利右衛門と親交のあった酒蔵兼廻船問屋・鴻池新六の八男だ
岩城久右衛門は鴻池屋から当面必要な仕入れ銀を借入して京に呉服仕入れ店を新たに設けた
大坂の店は
『げんきん・かけねなし いわき・ますや・ごふく物』
と店頭に看板を掲げて絹呉服の正札大衆販売を本格的に始めた
当初は仕入れの運転資金に苦労したが、現金販売であるため掛売に比べて資金効率が格段に良くなり、また商人の町である大坂では江戸以上に『安い』ということに敏感な顧客が次々に暖簾をくぐった
半年を経る頃には商売はたちまち軌道に乗り始めた
1675年(延宝3年) 春 江戸日本橋一丁目 山形屋日本橋店
西川利助は江戸日本橋店に視察に訪れていた
「先ほど本町一丁目の越後屋さんを見てきたのだが、大層な人気だな」
「ええ、一昨年の夏から呉服商いを始められたそうなのですが、町人向けに『現金掛値なし』といううたい文句で、お客の方も値段がわかりやすいと江戸では大層な評判です」
江戸支配人の長兵衛が応じる
「町人向けか… 最近では江戸でも町人が色々と物を買ったり歌舞伎を見に行ったりということをし始めているそうだな」
「はい。昨年には市川海老蔵と名乗る若者が金平浄瑠璃の荒事を歌舞伎に取り入れ、派手な大立ち回りを演じて評判を取っておりました」
「ふむ…我が山形屋も今はお大名方や旗本衆・大店の旦那衆にばかり出入りをしているが、もう少し町人向けの品ぞろえを増やし始めてもいいかもしれんな」
「というと、大文字屋さんから琉球表の買付けを増やされますか?」
「うむ。店先売りは越後屋の専売というわけでもあるまい。畳表や蚊帳を店先売りしてはいかんという法度もないのだ」
「確かに、左様でございますな」
『大文字屋』西川利右衛門もこの時は既に三代目になっており、先代二代目利右衛門の子供が分家して西川庄六家を興すなど、その商勢は盛んになっていた
山形屋や扇屋の協力もあって江戸城西の丸の畳替えを任されるなど、今や江戸でも押しも押されもせぬ大店の一人に名を連ねている
大文字屋は大坂に店を構えている関係上、西国の商品の買付に伝手が多かった
琉球表は琉球と名が付いているが、その産地は現在の大分県や熊本県周辺で、青莚とも言われた
先述のように、どちらかと言えば大衆向けの表地だった
夕刻、利助は日ごろの慰安を兼ねて一杯飲み屋に繰り出していた
ざっかけない庶民の店だったが、煮魚が美味いと評判だとは長兵衛の言だ
普段は質素倹約を旨とする利助だったが、今日は重要でかつあまり他の奉公人に聞かれたくない話があった
「ま、一杯やろう」
「はい。ありがとうございます」
二人で杯を傾ける
「しかし、店の者には申し訳ないかな。日ごろ質素倹約をと口うるさく言っている二人がこうして飲みに来ていては」
ははっと笑いながら利助は杯を傾けた
「なに、小うるさいのが出かけて皆せいせいしているところでしょう」
「口が悪いな」
二人で笑いあう
「長兵衛、山形屋に奉公に来て何年になる?」
「そうですな…私が十五の時からですからもう三十年にはなりますか…」
長兵衛も既に四十五
利助は五十三になっていた
「そうか… どうだ長兵衛。そろそろ一人で立ってみては」
「旦那様…」
「お前はよく山形屋に尽くしてくれた。そろそろ山形屋の暖簾を分けてもいいと思っていたんだ」
長兵衛の目に見る見る涙がにじむ
「あ…ありがとうございます。これからも旦那様にはより一層忠勤を励みます」
「頼むぞ…思えば色々あった… 明暦の頃は店が焼けてしまって一から立て直してくれたのは長兵衛だったな」
「あの時は旦那様とご隠居様になんと顔向けしていいかとそればかり考えておりました」
「そこからここまでの商いに発展したのも、ひとえに長兵衛の力あってのものだ。今までご苦労だったな。礼を言う
そしてこれからも頼むぞ」
「…」
長兵衛の鼻をすする音だけが聞こえた
しばしの沈黙の後、二人で再び杯を傾ける
長兵衛は山形屋で最初の別家として以後山形屋長兵衛を名乗り、江戸に店を構えることになった
「しかし、近江の奴らはまるで泥棒だな!」
「ああ、まったくだ!天井のない蚊帳を売りつけてさも当然のように商人面してるんだからな!
盗人猛々しいとはこのことだ!」
向こうの席から酔客の大声が聞こえてきた
思わず利助は声のした方を振り返った
「天井のない蚊帳?どういうことだ?」
長兵衛が言いにくそうに口ごもる
「実は、最近近江の蚊帳は不良品で天井を切り取って売っているなどとあらぬ噂が流れておりまして…」
「何?聞き捨てならんな」
「あ、旦那様…」
長兵衛の制止も聞かず、利助は酔客の方へ歩み寄ると持っていた銚子を差し出した
「楽しそうですな。一つ私もお話に混ぜていただけませんか?」
「お!兄さん気が利くじゃねぇか」
おろおろする長兵衛をよそに、利助はあっという間に卓に座り込んで一緒に話をし出した
「さっきの、天井のない蚊帳を売ってるっていうのは本当ですか?」
「ああ、俺たちも直接聞いたわけじゃないんだが、江戸じゃあそこら中で評判よ
買った蚊帳に天井がなかったってな。そんな不良品売りつけてのうのうと商いでございって顔してるんだから、まるで泥棒みたいなやつらじゃねぇか」
「ほぅ… 失礼ですがあなた方も商いを?」
「おおよ!俺らは麻の古着を扱ってるんだがよ、話していた奴らは蚊帳も売ってるんだが、お客からそんな話があったって怒ってやがってよ」
「まったく、ひでぇもんだよなぁ!」
「…」
「ところで、兄さんも商人さんかい?」
「ええ、江州の蚊帳商いで山形屋と申します」
「え… するってぇと…」
二人の男が気まずそうに顔を見合わせる
気分よく酔っていたのがみるみる酔いが冷めていくようだった
「いや、気にせんでください。もし仮に我らの仲間や手代が本当にそんなことをしているのなら、これは由々しき事と思って話を聞きにきたんです」
「そ… そうかい。まあ、俺らも他の奴に聞いただけだから詳しくは知らねぇんだがよ…」
「いえ、貴重なお話をありがとうございます。これは私からのおごりです」
そういうと利助はお詫びにと銚子を二本付けて卓を後にした
「旦那様… あたしゃ心の臓が止まるかと…」
「ああ、心配させて済まない。それよりも、さっきの話本当にただの噂なのかな…」
「まあ、我々近江の商人をひがんで言っているんでしょう。天井のない蚊帳なんて売る馬鹿者が居るとも思えません」
「そうか…」
利助はそのまま浮かない顔で杯を重ねた
―――もし仮に本当だとしたら、これは由々しき問題だ
一度ゑびす講で話をしてみよう
場合によっては、そんなことをする者には蚊帳を卸さないという強い姿勢で臨む必要もある
近郷の者が丹精込めて織り、我らが真心込めて売っている大事な商品を穢す者がいるならば、決して許せんことだ
義父上には…伝えないでおくか
心配をかけさせてもいかぬからな
甚五郎は年のせいか最近では寝込むことが多くなっていた
そしてこの年の九月
二代甚五郎はこの世を去る
享年九十三歳の長命だった
父親から受け継いだ祖業を大きく飛躍させた彼の業績は、子孫のみならず八幡町でも高く評価され、以後山形屋の当主家は西川甚五郎家と呼ばれることになった
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