NPCのストーカーの件について

草薙翼

文字の大きさ
上 下
47 / 67

しおりを挟む
※ゼロ視点

ツカサのいる場所は分からない、ただ地面に擦れた跡がある。
なにかが移動した跡だろう。
ツカサがなにかに追われているというなら早く助けなくてはいけない。

早くツカサに会いたくて走り、リーフリードも木に飛び乗り付いて来る。
エルフは一番速さに自信がある種族だからこういう事は得意なのだろう。
引きずる跡を目印に進んでいたら、目の前に蠢くなにかが見えた。

「デスウッドか」

「……なんだそれは」

リーフリードが降りてきて弓を構えたから俺も影に手を乗せて影から剣が現れて引き抜いた。
モンスターの名前なんていちいち覚えていない。
何でも倒せば弱点とかそんなものどうでもいいしな。

頭に花を付けた木は何処かに行こうとしているが行けず、分かれ道の前でうろうろしていた。
目的があってなにかを追いかけてきたみたいに見えるな。

もしかしたらツカサはあの向こう側にいるのか?

「デスウッドはこの森を棲みかにしている魔物だ、最近凶暴化していて困っていたところだ」

「…倒せば問題ない」

「デスウッドの花を斬ると花粉を撒き散らす、痺れと毒状態になるぞ」

「俺に状態異常は効かない、怖いならそこで待っていろ」

「冗談、コイツのせいでアズサが怖い思いをしたなら償ってもらわなくてはな」

俺がデスウッドに近付き、剣を思いっきり横に振った。
木の高さが半分に小さくなりこれならジャンプで届く距離となりリーフリードが飛び花目掛けて矢を射た。
斬ると花粉で状態異常になるから射すのだろう。

矢は狙い通りど真ん中に命中して粉々に粉砕した。

デスウッドの花から生み出された花粉がキラキラと空を輝かせていた。
リーフリードが音もなく綺麗に着地して弓を消した。

「デスウッドはレベル30だ、それほど強くはない…この先に厄介な森の主がいる」

「………」

ツカサがこの先にいる、泣いてるかもしれない。
俺を呼んでるかもしれない、早く会いに行かなくては…
俺の気持ちに連動するように影が激しく動いている。

左右別れている、甘い匂いがする道と変な匂いがする道…二分の一だ。
ここは土地勘がある奴に従った方がいいだろう。
けどちょうど俺達も二人だし、確実に見つけられる方法を取った方が良さそうだ。

「どちらも危険な道だ、右の道は凶暴な魔獣がいる…左は沼があったな…魚の主がいるが沼の中に入らなければ安全だろう」

「なら手分けした方が確実だ、俺は魔獣のところに行く」

「…そうだな、お前なら多少危険な道でも死なないだろう…分かれ道の先は繋がってる、また後で会おう」

俺とリーフリードはそれぞれの道を目指す事にした。
リーフリードは恋人の事で頭がいっぱいで気付いていないのだろう。

俺の影は今リーフリードにくっついている、これで何処の道にツカサが居ても安心だ。
もしこの道をツカサが選んだなら無傷ではいられないだろう。

自分で選んでおいて、ここにツカサはいないでくれと願いながら甘い匂いが充満する道を駆け出す。

甘ったるいにおいが花を麻痺させて長時間居たくない空間だ。
少し開けた場所までやってきて、足を止めて剣を構える。

色鮮やかな珍しい花などが咲き誇っているがさっきのまばらな光がなくなり普通の人では夜見えないほど光がない場所だった。
俺は夜行でも見える目だから昼のようにはっきりと見える。
花畑というやつか、どれも匂いがキツい…ツカサにプレゼント出来ないな…こんな花じゃ…

少し歩くとピリピリ空気が重くなる気配を感じる。
地を這うような大きないびきをかいている黒い物体がそこにいた。
周りを軽く見渡してもツカサが来た痕跡はない、一先ず安心した。

犬の形をした巨大な魔獣が寝ていて花畑の奥の道を塞いでいた。

ツカサは沼の方にいる……邪魔だ、早々に片付けよう。

起きると面倒だから寝ているところを一撃で仕留めよう。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

ヤンデレBL作品集

みるきぃ
BL
主にヤンデレ攻めを中心としたBL作品集となっています。

堕とされた悪役令息

SEKISUI
BL
 転生したら恋い焦がれたあの人がいるゲームの世界だった  王子ルートのシナリオを成立させてあの人を確実手に入れる  それまであの人との関係を楽しむ主人公  

平凡な俺、何故かイケメンヤンキーのお気に入りです?!

彩ノ華
BL
ある事がきっかけでヤンキー(イケメン)に目をつけられた俺。 何をしても平凡な俺は、きっとパシリとして使われるのだろうと思っていたけど…!? 俺どうなっちゃうの~~ッ?! イケメンヤンキー×平凡

ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました

ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。 「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」 ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m ・洸sideも投稿させて頂く予定です

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

ヤンデレ蠱毒

まいど
BL
王道学園の生徒会が全員ヤンデレ。四面楚歌ならぬ四面ヤンデレの今頼れるのは幼馴染しかいない!幼馴染は普通に見えるが…………?

不良高校に転校したら溺愛されて思ってたのと違う

らる
BL
幸せな家庭ですくすくと育ち普通の高校に通い楽しく毎日を過ごしている七瀬透。 唯一普通じゃない所は人たらしなふわふわ天然男子である。 そんな透は本で見た不良に憧れ、勢いで日本一と言われる不良学園に転校。 いったいどうなる!? [強くて怖い生徒会長]×[天然ふわふわボーイ]固定です。 ※更新頻度遅め。一日一話を目標にしてます。 ※誤字脱字は見つけ次第時間のある時修正します。それまではご了承ください。

処理中です...