NPCのストーカーの件について

草薙翼

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※ゼロ視点

ツカサのいる場所は分からない、ただ地面に擦れた跡がある。
なにかが移動した跡だろう。
ツカサがなにかに追われているというなら早く助けなくてはいけない。

早くツカサに会いたくて走り、リーフリードも木に飛び乗り付いて来る。
エルフは一番速さに自信がある種族だからこういう事は得意なのだろう。
引きずる跡を目印に進んでいたら、目の前に蠢くなにかが見えた。

「デスウッドか」

「……なんだそれは」

リーフリードが降りてきて弓を構えたから俺も影に手を乗せて影から剣が現れて引き抜いた。
モンスターの名前なんていちいち覚えていない。
何でも倒せば弱点とかそんなものどうでもいいしな。

頭に花を付けた木は何処かに行こうとしているが行けず、分かれ道の前でうろうろしていた。
目的があってなにかを追いかけてきたみたいに見えるな。

もしかしたらツカサはあの向こう側にいるのか?

「デスウッドはこの森を棲みかにしている魔物だ、最近凶暴化していて困っていたところだ」

「…倒せば問題ない」

「デスウッドの花を斬ると花粉を撒き散らす、痺れと毒状態になるぞ」

「俺に状態異常は効かない、怖いならそこで待っていろ」

「冗談、コイツのせいでアズサが怖い思いをしたなら償ってもらわなくてはな」

俺がデスウッドに近付き、剣を思いっきり横に振った。
木の高さが半分に小さくなりこれならジャンプで届く距離となりリーフリードが飛び花目掛けて矢を射た。
斬ると花粉で状態異常になるから射すのだろう。

矢は狙い通りど真ん中に命中して粉々に粉砕した。

デスウッドの花から生み出された花粉がキラキラと空を輝かせていた。
リーフリードが音もなく綺麗に着地して弓を消した。

「デスウッドはレベル30だ、それほど強くはない…この先に厄介な森の主がいる」

「………」

ツカサがこの先にいる、泣いてるかもしれない。
俺を呼んでるかもしれない、早く会いに行かなくては…
俺の気持ちに連動するように影が激しく動いている。

左右別れている、甘い匂いがする道と変な匂いがする道…二分の一だ。
ここは土地勘がある奴に従った方がいいだろう。
けどちょうど俺達も二人だし、確実に見つけられる方法を取った方が良さそうだ。

「どちらも危険な道だ、右の道は凶暴な魔獣がいる…左は沼があったな…魚の主がいるが沼の中に入らなければ安全だろう」

「なら手分けした方が確実だ、俺は魔獣のところに行く」

「…そうだな、お前なら多少危険な道でも死なないだろう…分かれ道の先は繋がってる、また後で会おう」

俺とリーフリードはそれぞれの道を目指す事にした。
リーフリードは恋人の事で頭がいっぱいで気付いていないのだろう。

俺の影は今リーフリードにくっついている、これで何処の道にツカサが居ても安心だ。
もしこの道をツカサが選んだなら無傷ではいられないだろう。

自分で選んでおいて、ここにツカサはいないでくれと願いながら甘い匂いが充満する道を駆け出す。

甘ったるいにおいが花を麻痺させて長時間居たくない空間だ。
少し開けた場所までやってきて、足を止めて剣を構える。

色鮮やかな珍しい花などが咲き誇っているがさっきのまばらな光がなくなり普通の人では夜見えないほど光がない場所だった。
俺は夜行でも見える目だから昼のようにはっきりと見える。
花畑というやつか、どれも匂いがキツい…ツカサにプレゼント出来ないな…こんな花じゃ…

少し歩くとピリピリ空気が重くなる気配を感じる。
地を這うような大きないびきをかいている黒い物体がそこにいた。
周りを軽く見渡してもツカサが来た痕跡はない、一先ず安心した。

犬の形をした巨大な魔獣が寝ていて花畑の奥の道を塞いでいた。

ツカサは沼の方にいる……邪魔だ、早々に片付けよう。

起きると面倒だから寝ているところを一撃で仕留めよう。
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