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重い愛
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「何を言ってる?俺に手作りの料理を作って渡してくれたじゃないか、俺のために苦手な料理を作ったのだろう…少し焦げていたが愛だと思えば美味しく食べられるさ」
そこら辺のストーリーはなかったが美味しく食べたの!?
…あぁ、そうか…ゼロを人間だと思っちゃいけないんだな…チートという名の化け物だし。
それに俺はレイチェルちゃんに手作り料理を作ったんだ…ちょっと失敗しちゃったけど…
まぁいい材料だったから苦味が多いだろうが、ちょっとは美味いかもな。
…全く食べたいとは思わないけど…レイチェルちゃんの手作りなら考える。
嫌がらせでゼロにあげただけだ、素直に言うと殺されそうだから言わないでおこう。
「いや、あれは…違う子に…」
「……違う子?」
「痛い痛い!」
太ももを撫でる手がギュッと強く揉むから怒るならまず揉むのを止めろ!と抗議する。
ゼロはよしよしと少し赤くなった太ももを撫でる。
…いや、まずは太ももを触るのを止めてくれ。
俺の太ももはゼロに翻弄されている、男の太ももなのに…
いちいち手つきがやらしいから嫌なんだよと頬を引きつらせる。
しかしゼロの顔は助平どころか、鋭い眼光で睨んでいて嫌なギャップにチビりそうなほどビビった。
「浮気は許さない、相手は誰だ」
「…そんな事言われて言うわけなっ…」
ゼロは不機嫌そうにムッとした顔をしていた。
何故そんな顔をするんだろう、事実だろうに…
…しばらく考えて、ハッと思いついた顔をする。
今までの行動からしてゼロの事だ、嫌な予感しかしない。
「まさか、記憶喪失か!?」
「なんでそうなるんだよ…」
予想外のゼロの妄想に呆れてため息が零れた。
はぁ…早く帰りたいと思いながら今現在、俺は椅子に座っている。
手に持つのは高そうなティーカップ。
…なんで俺、落ち着いてお茶とか楽しんでるわけ?
仕方ない、影がドアをがっちり固めているし…俺の猫耳フードはいつの間にか脱がされていた。
さっきまで気付かなかったなんて…よっぽどゼロが強烈だったんだな…うんうん。
ゼロはテーブルに乗った籠の中のクッキーを食べる俺をジッと眺めていた。
そんなに見られると怪しいんだけど…え、変なもの入れてないよね。
「…なにか?」
「いや、小さな口を一生懸命開けて俺のを咥えてるのを見ると…な」
「嫌な言い方しないで下さい」
俺のってなんだよ!俺のって!ちゃんと最後まで『俺の作ったクッキー』て言えよ!
自分で言っといてなんかそれもやだな、食べるのを止めた。
紅茶もどうせ俺の淹れた紅茶とか言わないで『俺のを飲んで』とかヤバイ発言しそうだからティーカップを置いた。
俺がもう飲まないのを確認して影が素早くティーカップを回収した。
…なんだあの瞬発力、ミュミュより早い…変態だしろくなのに使わないんじゃ…
まさかあのティーカップ、変な事に使わないよな…と顔を青くする。
「じゃあこれからどうしようか」
ティーカップを持っていった影を目で追いかけていたらゼロが話しかけてきた。
…これからどうする?帰るに決まってんだろ。
そんなキラキラ期待に満ちた顔されてもお前の要望は無理だからな!
これ以上ここにいたら危険だと俺の本能がそう言っている。
どうするか選択肢を与えてくれるなら帰らしてもらえないだろうか。
俺は呟くようにだが、はっきりとゼロに分かるように口にした。
「帰りたい」
「大丈夫、10分もあれば帰りたいなんて思わないから」
おい、その10分で何する気だ?怖いんだけど…
ゼロが俺の腕を掴みぐいぐいとベッドの近くに引きづられそうになるから踏ん張る。
ベッドだけは行ってはならぬ!馬鹿な俺にも分かる、絶対にだ!
ジリジリと近付いてくるゼロから暴れるようにして逃げる…くそっ、さすが最強の男…強い力だ。
しかし俺も己の身を守るために超必死で、狭い部屋の中で追いかけっこを繰り返す。
ゼロはほとんど動いていないのに、なんで離れないんだ!?
ゼロに手をがっしりと掴まれて、負けじと押し返す。
しばらく攻防戦が繰り広げられて、ドアをノックする音と共に終了した。
「おーいゼロー、いるかぁ?」
ドアの向こうから元気がいい明るい声がする。
ゼロの舌打ちが聞こえいきなり力を緩めたからその場で転けた。
なにか大事な話なのか嫌々ドアに近付き、ドアをガードしていた影がゼロの影に戻っていく。
ゼロは俺の方を見ていない、背中だけが見える。
あれ?これ、逃げる最後のチャンスじゃねぇか?
ガチャとドアを開けると金髪短髪の人懐っこい笑みを浮かべた男が立っていた。
えっと確かコイツ見た事あるな、あまり目立たないから名前は忘れたが結婚出来ない普通のNPCだったような…
ゼロと同じ騎士なのか騎士の服に身を包みゼロと会話している。
話の内容からして今度の騎士団の仕事の打ち合わせみたいだ。
そこら辺のストーリーはなかったが美味しく食べたの!?
…あぁ、そうか…ゼロを人間だと思っちゃいけないんだな…チートという名の化け物だし。
それに俺はレイチェルちゃんに手作り料理を作ったんだ…ちょっと失敗しちゃったけど…
まぁいい材料だったから苦味が多いだろうが、ちょっとは美味いかもな。
…全く食べたいとは思わないけど…レイチェルちゃんの手作りなら考える。
嫌がらせでゼロにあげただけだ、素直に言うと殺されそうだから言わないでおこう。
「いや、あれは…違う子に…」
「……違う子?」
「痛い痛い!」
太ももを撫でる手がギュッと強く揉むから怒るならまず揉むのを止めろ!と抗議する。
ゼロはよしよしと少し赤くなった太ももを撫でる。
…いや、まずは太ももを触るのを止めてくれ。
俺の太ももはゼロに翻弄されている、男の太ももなのに…
いちいち手つきがやらしいから嫌なんだよと頬を引きつらせる。
しかしゼロの顔は助平どころか、鋭い眼光で睨んでいて嫌なギャップにチビりそうなほどビビった。
「浮気は許さない、相手は誰だ」
「…そんな事言われて言うわけなっ…」
ゼロは不機嫌そうにムッとした顔をしていた。
何故そんな顔をするんだろう、事実だろうに…
…しばらく考えて、ハッと思いついた顔をする。
今までの行動からしてゼロの事だ、嫌な予感しかしない。
「まさか、記憶喪失か!?」
「なんでそうなるんだよ…」
予想外のゼロの妄想に呆れてため息が零れた。
はぁ…早く帰りたいと思いながら今現在、俺は椅子に座っている。
手に持つのは高そうなティーカップ。
…なんで俺、落ち着いてお茶とか楽しんでるわけ?
仕方ない、影がドアをがっちり固めているし…俺の猫耳フードはいつの間にか脱がされていた。
さっきまで気付かなかったなんて…よっぽどゼロが強烈だったんだな…うんうん。
ゼロはテーブルに乗った籠の中のクッキーを食べる俺をジッと眺めていた。
そんなに見られると怪しいんだけど…え、変なもの入れてないよね。
「…なにか?」
「いや、小さな口を一生懸命開けて俺のを咥えてるのを見ると…な」
「嫌な言い方しないで下さい」
俺のってなんだよ!俺のって!ちゃんと最後まで『俺の作ったクッキー』て言えよ!
自分で言っといてなんかそれもやだな、食べるのを止めた。
紅茶もどうせ俺の淹れた紅茶とか言わないで『俺のを飲んで』とかヤバイ発言しそうだからティーカップを置いた。
俺がもう飲まないのを確認して影が素早くティーカップを回収した。
…なんだあの瞬発力、ミュミュより早い…変態だしろくなのに使わないんじゃ…
まさかあのティーカップ、変な事に使わないよな…と顔を青くする。
「じゃあこれからどうしようか」
ティーカップを持っていった影を目で追いかけていたらゼロが話しかけてきた。
…これからどうする?帰るに決まってんだろ。
そんなキラキラ期待に満ちた顔されてもお前の要望は無理だからな!
これ以上ここにいたら危険だと俺の本能がそう言っている。
どうするか選択肢を与えてくれるなら帰らしてもらえないだろうか。
俺は呟くようにだが、はっきりとゼロに分かるように口にした。
「帰りたい」
「大丈夫、10分もあれば帰りたいなんて思わないから」
おい、その10分で何する気だ?怖いんだけど…
ゼロが俺の腕を掴みぐいぐいとベッドの近くに引きづられそうになるから踏ん張る。
ベッドだけは行ってはならぬ!馬鹿な俺にも分かる、絶対にだ!
ジリジリと近付いてくるゼロから暴れるようにして逃げる…くそっ、さすが最強の男…強い力だ。
しかし俺も己の身を守るために超必死で、狭い部屋の中で追いかけっこを繰り返す。
ゼロはほとんど動いていないのに、なんで離れないんだ!?
ゼロに手をがっしりと掴まれて、負けじと押し返す。
しばらく攻防戦が繰り広げられて、ドアをノックする音と共に終了した。
「おーいゼロー、いるかぁ?」
ドアの向こうから元気がいい明るい声がする。
ゼロの舌打ちが聞こえいきなり力を緩めたからその場で転けた。
なにか大事な話なのか嫌々ドアに近付き、ドアをガードしていた影がゼロの影に戻っていく。
ゼロは俺の方を見ていない、背中だけが見える。
あれ?これ、逃げる最後のチャンスじゃねぇか?
ガチャとドアを開けると金髪短髪の人懐っこい笑みを浮かべた男が立っていた。
えっと確かコイツ見た事あるな、あまり目立たないから名前は忘れたが結婚出来ない普通のNPCだったような…
ゼロと同じ騎士なのか騎士の服に身を包みゼロと会話している。
話の内容からして今度の騎士団の仕事の打ち合わせみたいだ。
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