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全ては姫のために
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※?視点
いつも日が当たらない学院の敷地内だが、夜になるとさらに周りが闇に覆われる。
もうこの時間滅多に誰も外を彷徨かないだろう。
彷徨いたら最後、血肉に飢えた魔物に殺される……此処はそんな学院。
俺は少し早いが暇だから寝ようとしていたら、学院で支給される便利な通信機の機能がある携帯道具が無機質に鳴った。
面倒だけど、出ないともっと面倒かもしれない。
ベッドの枕元に放置していた携帯道具を取り、発信者を見てため息を吐いた。
通話ボタンをタッチして耳に当てる。
5分くらい電話の相手と話して、電話を切った。
会って話がしたいと言われたから寝る気だった身体
身体を無理矢理起こして、ちゃんとした服に着替えるのが面倒くさくてTシャツにジーパンというラフな格好で部屋を出た。
寝癖は、まぁ気にする奴もいないから別にいいか。
外には出ないが寮内にはこれから飯を食う奴や風呂とかいろいろな生徒で溢れていた。
俺を見た生徒は憧れや驚き、恐怖する奴もいた。
そのねちっこい視線はいつもだから、いつも思っている事をまた思う。
……どいつもこいつも面倒くさい。
俺は基本無関心だ。
誰が死んだとか、誰が殺したとか…たとえそれが友人であってもきっと俺は「ふーん」と一言で終わるだろう。
俺の人生に何の関わりもない、居ようがいまいがどうでもいい。
……あの人を除いて…
あの人は俺の太陽であり心臓であり、俺の全てだ。
どうやら俺は、あの人の事になると面倒な事がそうじゃなくなり、喜怒哀楽の感情が芽生えるのもあの人関連だけ。
だからこうして無視する事も出来たが、あの男が俺を呼ぶのはあの人の事だから動いた。
じゃなかったら今頃夢の中だ。
ふと、足を止めて自分の手のひらを眺める。
いつも遠くから眺めるだけだった…でも、そんなのじゃ…足りない…触れたい触られたい。
あの人の白くすべすべの肌に牙を突き立て残さず血を体内に取り込みたい。
誰も知らないあの人のいろんな顔を見てみたい。
欲望はどんどんと膨れていく、あの人に会えない気持ちが俺を高鳴らせる。
自然と熱いため息が溢れる。
それを見た周りは顔が赤くなったり興奮してる奴が居たがどうでもいい。
「…あ、あの」
俺の部屋が二階にあるから一階に降りるエレベーターを待っていたら、自分と同じくらいの背丈の男が恐る恐る声を掛けてきた。
コイツは確かマギカクラスの…一度血を吸ったような…そうでないような…
血を吸った相手なんて腐るほどいたし、どうでもいいただの飯の事なんでいちいち覚えてられるか。
男は大きな目を潤ませて頬を赤くしてこちらを見ていた。
一度血を吸っただけで自分に好意があると勘違いする奴が多過ぎて困る。
……気持ちわりぃ
「あ、あの…また僕の血を…」
「鬱陶しいから面見せんなよ、今度声を掛けたらその喉…斬るぞ」
殺気立つ瞳で男を見ると男は恐怖で後退るように走ってどっかに行った。
もう俺にはあの人がいる…お前らはいらないんだよ。
到着の音と共に開くエレベーターに乗り、緩む頬を抑えられずにいた。
一階に着き、声を掛けてきた奴を総無視して寮を離れて誰もいない並木道を抜けて学院に向かう。
いつも日が当たらない学院の敷地内だが、夜になるとさらに周りが闇に覆われる。
もうこの時間滅多に誰も外を彷徨かないだろう。
彷徨いたら最後、血肉に飢えた魔物に殺される……此処はそんな学院。
俺は少し早いが暇だから寝ようとしていたら、学院で支給される便利な通信機の機能がある携帯道具が無機質に鳴った。
面倒だけど、出ないともっと面倒かもしれない。
ベッドの枕元に放置していた携帯道具を取り、発信者を見てため息を吐いた。
通話ボタンをタッチして耳に当てる。
5分くらい電話の相手と話して、電話を切った。
会って話がしたいと言われたから寝る気だった身体
身体を無理矢理起こして、ちゃんとした服に着替えるのが面倒くさくてTシャツにジーパンというラフな格好で部屋を出た。
寝癖は、まぁ気にする奴もいないから別にいいか。
外には出ないが寮内にはこれから飯を食う奴や風呂とかいろいろな生徒で溢れていた。
俺を見た生徒は憧れや驚き、恐怖する奴もいた。
そのねちっこい視線はいつもだから、いつも思っている事をまた思う。
……どいつもこいつも面倒くさい。
俺は基本無関心だ。
誰が死んだとか、誰が殺したとか…たとえそれが友人であってもきっと俺は「ふーん」と一言で終わるだろう。
俺の人生に何の関わりもない、居ようがいまいがどうでもいい。
……あの人を除いて…
あの人は俺の太陽であり心臓であり、俺の全てだ。
どうやら俺は、あの人の事になると面倒な事がそうじゃなくなり、喜怒哀楽の感情が芽生えるのもあの人関連だけ。
だからこうして無視する事も出来たが、あの男が俺を呼ぶのはあの人の事だから動いた。
じゃなかったら今頃夢の中だ。
ふと、足を止めて自分の手のひらを眺める。
いつも遠くから眺めるだけだった…でも、そんなのじゃ…足りない…触れたい触られたい。
あの人の白くすべすべの肌に牙を突き立て残さず血を体内に取り込みたい。
誰も知らないあの人のいろんな顔を見てみたい。
欲望はどんどんと膨れていく、あの人に会えない気持ちが俺を高鳴らせる。
自然と熱いため息が溢れる。
それを見た周りは顔が赤くなったり興奮してる奴が居たがどうでもいい。
「…あ、あの」
俺の部屋が二階にあるから一階に降りるエレベーターを待っていたら、自分と同じくらいの背丈の男が恐る恐る声を掛けてきた。
コイツは確かマギカクラスの…一度血を吸ったような…そうでないような…
血を吸った相手なんて腐るほどいたし、どうでもいいただの飯の事なんでいちいち覚えてられるか。
男は大きな目を潤ませて頬を赤くしてこちらを見ていた。
一度血を吸っただけで自分に好意があると勘違いする奴が多過ぎて困る。
……気持ちわりぃ
「あ、あの…また僕の血を…」
「鬱陶しいから面見せんなよ、今度声を掛けたらその喉…斬るぞ」
殺気立つ瞳で男を見ると男は恐怖で後退るように走ってどっかに行った。
もう俺にはあの人がいる…お前らはいらないんだよ。
到着の音と共に開くエレベーターに乗り、緩む頬を抑えられずにいた。
一階に着き、声を掛けてきた奴を総無視して寮を離れて誰もいない並木道を抜けて学院に向かう。
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