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第4章 魔界編(仮)
第4話 予言の子
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俺は鬼人の青年の案内で森を進む。何故、俺の名前を知っているのか教えて欲しいと言ったのだが、村の長が説明するのでついて来て欲しいとの事だったのだ。
多少警戒はしているものの、罠である感じもしないし、特に嫌な【予感】もしない。何より状況が進展するかもと言う期待感もあり、付いて行く事にした。
「いやぁ、まさか予言の日が今日だったとは思いませんでしたよ」
雑談しながら歩いていたら、そんな事を言っていた。軽くネタバレしてるけどいいのかな? この青年は天然なのか。とにかく、何かの予言で俺の事が筒抜けらしい。
しばらく歩くと、森の真ん中の何もないところに急に門が現れた。
「こちらが村の入口となります。許可証がないと入るどころか、入口を見つける事すら出来ません」
魔法だろうけど、すごいセキュリティだ。青年の見た目がボロい着物の様な感じだったから文明は低いのかと思ってたけど、少し過小評価してたみたいだ。コレなら魔物の脅威にも対応可能なんだろう。
「いいんですか? 僕みたいな余所者を許可もなく中に入れても」
「ええ、そろそろ来る頃だろうとの事で、もし発見したら連れて来いと言う事になってたんです」
なるほど、許可はもう出てた訳か。
青年に続いて門をくぐると、高床式住居の様な建物が現れた。・・・前言撤回、文明は低い様です。
「長のところに案内します。どうぞ、こちらに」
俺は青年に付いて行く。住居は20軒くらいだろうか? 200メートル四方くらいの広場に建物と畑が点在している。イメージだけど、この集落の人口は多くて100人ってところかな?
長の家は一番奥らしく、そこに辿り着くまでに畑仕事をしている農夫が俺たちを見つけて拝んでいた。いや、あれは俺たちをと言うか、俺をかな・・・。ちょっと恥ずかしいな。何で拝んでるの!?
と言うか、問題はそこじゃなくて作っている作物、コレはもしかして・・・。
「もしかして、ここでは稲を育てているんですか?」
「おや? リョーマ様は稲をご存知なのですか? いやーさすが予言の子は博識ですね」
あー、うん。やっぱり俺は予言の子なのね。生まれて直ぐに神託の子と呼ばれ、次は予言の子か。
しかし、転生して何年も経つけど稲を見たのは初めてだ。この世界には無いものとして諦めていたけど、まさか魔界に有ったとは。ここだけは自称神様に感謝してもいいかもね。
「さあ、ここが長の家です。ちょっと長に話をして来ますので、少しお待ち下さい」
村の奥まで行くと、鬼人の青年はそう言って家にかけられたハシゴを登り中に入って行った。長の家と言うだけあって、周りの住居よりは少し大く、少し高い。まあ、少しだけど。
ちょっと待っていると先程の青年ではなく10歳くらいの女の子が出てきた。もちろんツノが生えていて鬼人だと思うけど、この子は他の鬼人と比べて肌が白い。お手伝いの子か何かかな?
「お待たせ致しました。長がお待ちです。さあ、どうぞこちらへ」
俺は女の子に促されてハシゴを登る。女の子はハシゴの上で待っている訳だけど、ズボンではなく着物の原型のような服を着ている。そして丈はそんなに長くない。ちょっと目のやり場に困ったのは内緒だ。
「こちらです」
俺がそんな事を考えながらハシゴを登ると、家の中に案内された。入ると、そこは10畳くらいの広間になっていて、更に板が敷かれていた。部屋の奥には衝立があり、その奥に気配があるので長が居るんだろう。ここまで連れて来てくれた青年は入口近くに座っている。
「履き物はこちらでお脱ぎ下さい」
見た目で分かっていたけど、まさかの土禁文化だ。何か懐かしいな。
靴を脱いで居間に上がると、衝立の前に座るように促される。
「えっと、背中の食料は・・・」
何だろう。鬼人の人はポチが食料に見えるんだろうか?
「すみません。今は寝ていますが、大事な友、パートナーなのです。このままでよろしいですか?」
俺がそう言うと、女の子は慌てて謝ってきた。
「し、失礼しました。てっきり非常食か何かなのかと・・・。申し訳ございません」
「すまぬ。我らは動物それすなわち、食料と言う認識なのだ。大事なパートナーとは気付かず、我の妹が不快な思いをさせてしもうた。我からも詫びさせてくれ」
そして衝立の向こうから聞こえたのは、まさかの女の声だった。集落の長って言うくらいだから、勝手にヨボヨボのお爺ちゃんを想像してた。この子が妹って事はそこそこ若いんだろう。
「申し遅れた。我はこの村の長にして巫女のアンナと言う。このような形ですまぬ。巫女は身内以外に顔を晒す事が出来ぬ決まりなのだ」
なるほど、そう言う文化の村なのか。向こうは俺の名前も知ってると思うけど、一応自己紹介した方が良いのかな?
「はじめまして。リョーマ・グレイブです。この背中の犬はポチ。よろしくお願いします」
「うむ。まさに予言通りじゃな。予言の子よ、よく来てくれた。よろしく頼むぞ」
さて、その予言の内容と言うのが気になるところだけど、教えてくれるのかな?
「早速で申し訳ありませんが、その予言とは一体・・・?」
「うむ。そこを話さねば話も進まぬな。
予言については先祖代々我が一族に伝わるものと、先日我が授かった神託の2つがある」
神託かぁ。十中八九、自称神様からですよねー。
多少警戒はしているものの、罠である感じもしないし、特に嫌な【予感】もしない。何より状況が進展するかもと言う期待感もあり、付いて行く事にした。
「いやぁ、まさか予言の日が今日だったとは思いませんでしたよ」
雑談しながら歩いていたら、そんな事を言っていた。軽くネタバレしてるけどいいのかな? この青年は天然なのか。とにかく、何かの予言で俺の事が筒抜けらしい。
しばらく歩くと、森の真ん中の何もないところに急に門が現れた。
「こちらが村の入口となります。許可証がないと入るどころか、入口を見つける事すら出来ません」
魔法だろうけど、すごいセキュリティだ。青年の見た目がボロい着物の様な感じだったから文明は低いのかと思ってたけど、少し過小評価してたみたいだ。コレなら魔物の脅威にも対応可能なんだろう。
「いいんですか? 僕みたいな余所者を許可もなく中に入れても」
「ええ、そろそろ来る頃だろうとの事で、もし発見したら連れて来いと言う事になってたんです」
なるほど、許可はもう出てた訳か。
青年に続いて門をくぐると、高床式住居の様な建物が現れた。・・・前言撤回、文明は低い様です。
「長のところに案内します。どうぞ、こちらに」
俺は青年に付いて行く。住居は20軒くらいだろうか? 200メートル四方くらいの広場に建物と畑が点在している。イメージだけど、この集落の人口は多くて100人ってところかな?
長の家は一番奥らしく、そこに辿り着くまでに畑仕事をしている農夫が俺たちを見つけて拝んでいた。いや、あれは俺たちをと言うか、俺をかな・・・。ちょっと恥ずかしいな。何で拝んでるの!?
と言うか、問題はそこじゃなくて作っている作物、コレはもしかして・・・。
「もしかして、ここでは稲を育てているんですか?」
「おや? リョーマ様は稲をご存知なのですか? いやーさすが予言の子は博識ですね」
あー、うん。やっぱり俺は予言の子なのね。生まれて直ぐに神託の子と呼ばれ、次は予言の子か。
しかし、転生して何年も経つけど稲を見たのは初めてだ。この世界には無いものとして諦めていたけど、まさか魔界に有ったとは。ここだけは自称神様に感謝してもいいかもね。
「さあ、ここが長の家です。ちょっと長に話をして来ますので、少しお待ち下さい」
村の奥まで行くと、鬼人の青年はそう言って家にかけられたハシゴを登り中に入って行った。長の家と言うだけあって、周りの住居よりは少し大く、少し高い。まあ、少しだけど。
ちょっと待っていると先程の青年ではなく10歳くらいの女の子が出てきた。もちろんツノが生えていて鬼人だと思うけど、この子は他の鬼人と比べて肌が白い。お手伝いの子か何かかな?
「お待たせ致しました。長がお待ちです。さあ、どうぞこちらへ」
俺は女の子に促されてハシゴを登る。女の子はハシゴの上で待っている訳だけど、ズボンではなく着物の原型のような服を着ている。そして丈はそんなに長くない。ちょっと目のやり場に困ったのは内緒だ。
「こちらです」
俺がそんな事を考えながらハシゴを登ると、家の中に案内された。入ると、そこは10畳くらいの広間になっていて、更に板が敷かれていた。部屋の奥には衝立があり、その奥に気配があるので長が居るんだろう。ここまで連れて来てくれた青年は入口近くに座っている。
「履き物はこちらでお脱ぎ下さい」
見た目で分かっていたけど、まさかの土禁文化だ。何か懐かしいな。
靴を脱いで居間に上がると、衝立の前に座るように促される。
「えっと、背中の食料は・・・」
何だろう。鬼人の人はポチが食料に見えるんだろうか?
「すみません。今は寝ていますが、大事な友、パートナーなのです。このままでよろしいですか?」
俺がそう言うと、女の子は慌てて謝ってきた。
「し、失礼しました。てっきり非常食か何かなのかと・・・。申し訳ございません」
「すまぬ。我らは動物それすなわち、食料と言う認識なのだ。大事なパートナーとは気付かず、我の妹が不快な思いをさせてしもうた。我からも詫びさせてくれ」
そして衝立の向こうから聞こえたのは、まさかの女の声だった。集落の長って言うくらいだから、勝手にヨボヨボのお爺ちゃんを想像してた。この子が妹って事はそこそこ若いんだろう。
「申し遅れた。我はこの村の長にして巫女のアンナと言う。このような形ですまぬ。巫女は身内以外に顔を晒す事が出来ぬ決まりなのだ」
なるほど、そう言う文化の村なのか。向こうは俺の名前も知ってると思うけど、一応自己紹介した方が良いのかな?
「はじめまして。リョーマ・グレイブです。この背中の犬はポチ。よろしくお願いします」
「うむ。まさに予言通りじゃな。予言の子よ、よく来てくれた。よろしく頼むぞ」
さて、その予言の内容と言うのが気になるところだけど、教えてくれるのかな?
「早速で申し訳ありませんが、その予言とは一体・・・?」
「うむ。そこを話さねば話も進まぬな。
予言については先祖代々我が一族に伝わるものと、先日我が授かった神託の2つがある」
神託かぁ。十中八九、自称神様からですよねー。
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