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第3章 王都騒乱編
第3章 エピローグ
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作り物のような無機質な空。どこまでも続く荒原。目を開けると、俺はそんな場所に転がっていた。ここはどこだろう。体がとても重い。
俺の記憶が間違っていなければ、ここに飛ばされるまでダンジョンに居た筈だ。ポチと念願の再会を果たし、喜び合っていた。
その後、変な氷の塊が現れて・・・、実はその中に自称神様が居て・・・。
そうだ! それで自称神様が俺に何かしようとして、ポチに体当たりされたんだ。
「ポチ! ポチ!!」
立ち上がり辺りを見渡す。スキルを使えば見なくても分かるはずなのに、気が動転した俺はキョロキョロと辺りを確認する。
居た! 少し離れたところにポチも転がって居た。気を失っているんだろうか? 呼びかけても反応がない。
「ポチ! 大丈夫!?」
近寄ると、子犬の姿のままスースーと寝息を立てていた。良かった。寝てるだけみたいだ。うん、寝てる姿もかわいい。
とりあえず一安心して、更に辺りを見渡したけど、他には誰も居ないみたいだ。
〈ミルク! 聞こえる? リョーマだよ!〉
〈リーナさん、応答願います!〉
【念話】を送るが、誰からも反応がない。一体ここは何処なんだろう? ちょっとだけ予想はしてるけど、そうではない事を祈りたい。
そう思いながらも、収納から小さめのベッドを取り出してポチを寝かせる。さすがに硬い地面にそのまま寝かせてるのはかわいそうだからね。
ポチを置くと改めて辺りを見渡す。
荒れ果てた大地がどこまでも続いていて、遠くには赤茶色の山が見えている。
俺とポチは多分だけど自称神様に飛ばされたんだ。それも【念話】が通じないほど遠くに、だ。そもそも、繋がっていないのかも知れない。
【マップ】を確認するが、当然ここが何処かは分からない。困ったな・・・。
確か自称神様は俺と新しい遊びをするみたいな事を言っていた。単純に何もない所に嫌がらせで飛ばした訳ではないと思う。ないと思いたい。
そうなると、これはどんな遊びなのか、と言う事になるけど、そもそも自称神様の考える遊びが人間の考える遊びと同じとは限らないよね。
結局、あちらからアクションがあるまで分からない・・・か。なんて思っていたら、急に声が響いてきた。
〈ようこそ! ボクの箱庭へ。ボクは遊戯の女神だよ〉
この声は・・・、自称神様だ!
〈そうそう、このメッセージは一方通行だから質問は受け付けないよ〉
聞きたい事は色々あるけど、答えてくれないみたいだ。
〈さて、ボクの箱庭。つまり魔界に来てもらったみんなにはゲームに参加してもらいます〉
予想はしてたけど、やっぱりここは魔界なのか。
〈そして勝った一組だけが、もとの世界に帰ることができるんだ。わー、パチパチ〉
勝った一組って事は、俺とポチ以外にも連れて来られた人が居るって事か・・・。見える範囲には居ないけど。
しかし何だろう。この、今から皆さんには殺し合いをして頂きます的なノリは。
〈何をして貰うのかは・・・〉
ゴクリ。
〈内緒だよー〉
おいっ! 今この瞬間、絶対にこのメッセージを聞いてる全員がツッコミを入れたと思う。
〈なので、まずみんなにやって貰う事はただ一つ。
この環境で生き残ること。そしてこのゲームの内容を調べる事だよ!
あ、ごめん2つだったね〉
その後も何かぐだぐだと自称神様改め遊戯の女神の話は続いたけど、特に実りは無かった。
いや、1つだけ判明した事がある。ゲームの公平性を期すために全参加者のレベルが1になっているそうだ。幸い、スキルレベルまでは弄れないらしく、スキルはそのままなのが救いだ。
このレベルだと、雑魚の魔物に出会しただけで窮地に立たさせるんじゃないだろうか・・・。
《従魔アドランが取得した経験値の一部を獲得しました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
以下略。
レベルが13になりました》
と思ったけど、杞憂に終わりそうです。さすがポチの右腕だね!
こんな感じで、俺は遊戯の女神の遊びに強制参加する事になってしまったのだった。
─── 第3章 完
明日には3章の登場人物を投稿予定です。
その後はいつものように幕間が何話か入ります。
俺の記憶が間違っていなければ、ここに飛ばされるまでダンジョンに居た筈だ。ポチと念願の再会を果たし、喜び合っていた。
その後、変な氷の塊が現れて・・・、実はその中に自称神様が居て・・・。
そうだ! それで自称神様が俺に何かしようとして、ポチに体当たりされたんだ。
「ポチ! ポチ!!」
立ち上がり辺りを見渡す。スキルを使えば見なくても分かるはずなのに、気が動転した俺はキョロキョロと辺りを確認する。
居た! 少し離れたところにポチも転がって居た。気を失っているんだろうか? 呼びかけても反応がない。
「ポチ! 大丈夫!?」
近寄ると、子犬の姿のままスースーと寝息を立てていた。良かった。寝てるだけみたいだ。うん、寝てる姿もかわいい。
とりあえず一安心して、更に辺りを見渡したけど、他には誰も居ないみたいだ。
〈ミルク! 聞こえる? リョーマだよ!〉
〈リーナさん、応答願います!〉
【念話】を送るが、誰からも反応がない。一体ここは何処なんだろう? ちょっとだけ予想はしてるけど、そうではない事を祈りたい。
そう思いながらも、収納から小さめのベッドを取り出してポチを寝かせる。さすがに硬い地面にそのまま寝かせてるのはかわいそうだからね。
ポチを置くと改めて辺りを見渡す。
荒れ果てた大地がどこまでも続いていて、遠くには赤茶色の山が見えている。
俺とポチは多分だけど自称神様に飛ばされたんだ。それも【念話】が通じないほど遠くに、だ。そもそも、繋がっていないのかも知れない。
【マップ】を確認するが、当然ここが何処かは分からない。困ったな・・・。
確か自称神様は俺と新しい遊びをするみたいな事を言っていた。単純に何もない所に嫌がらせで飛ばした訳ではないと思う。ないと思いたい。
そうなると、これはどんな遊びなのか、と言う事になるけど、そもそも自称神様の考える遊びが人間の考える遊びと同じとは限らないよね。
結局、あちらからアクションがあるまで分からない・・・か。なんて思っていたら、急に声が響いてきた。
〈ようこそ! ボクの箱庭へ。ボクは遊戯の女神だよ〉
この声は・・・、自称神様だ!
〈そうそう、このメッセージは一方通行だから質問は受け付けないよ〉
聞きたい事は色々あるけど、答えてくれないみたいだ。
〈さて、ボクの箱庭。つまり魔界に来てもらったみんなにはゲームに参加してもらいます〉
予想はしてたけど、やっぱりここは魔界なのか。
〈そして勝った一組だけが、もとの世界に帰ることができるんだ。わー、パチパチ〉
勝った一組って事は、俺とポチ以外にも連れて来られた人が居るって事か・・・。見える範囲には居ないけど。
しかし何だろう。この、今から皆さんには殺し合いをして頂きます的なノリは。
〈何をして貰うのかは・・・〉
ゴクリ。
〈内緒だよー〉
おいっ! 今この瞬間、絶対にこのメッセージを聞いてる全員がツッコミを入れたと思う。
〈なので、まずみんなにやって貰う事はただ一つ。
この環境で生き残ること。そしてこのゲームの内容を調べる事だよ!
あ、ごめん2つだったね〉
その後も何かぐだぐだと自称神様改め遊戯の女神の話は続いたけど、特に実りは無かった。
いや、1つだけ判明した事がある。ゲームの公平性を期すために全参加者のレベルが1になっているそうだ。幸い、スキルレベルまでは弄れないらしく、スキルはそのままなのが救いだ。
このレベルだと、雑魚の魔物に出会しただけで窮地に立たさせるんじゃないだろうか・・・。
《従魔アドランが取得した経験値の一部を獲得しました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
以下略。
レベルが13になりました》
と思ったけど、杞憂に終わりそうです。さすがポチの右腕だね!
こんな感じで、俺は遊戯の女神の遊びに強制参加する事になってしまったのだった。
─── 第3章 完
明日には3章の登場人物を投稿予定です。
その後はいつものように幕間が何話か入ります。
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