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第3章 王都騒乱編

従話 ポチの冒険(18)

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 我輩は全ての配下を連れて最も浅い階層に来ているのだ。ん? 前回と同じ始まり方なのだ?

 自称神様に言われてここに来て、が来るのを待っているのだ。

「ポチ殿、その時がいつ来るのかはまだわからないのじゃ。ゆっくり休みながら待つとしよう」

 ゴブはそんな事を言ってるが、我輩の【予感】ではもうすぐなのだ。間違いないのだ。

「ゴブ。心配してくれてありがとうなのだ。でも大丈夫、そろそろな気がするのだ
 我輩はこのままここで待つのだ」

「殿! それでは拙者も一緒に待つでござる。殿の右腕としては当然でござる」

「アドランはまだ諦めてなかったのかにゃ? 正直右腕なんてだれでもいいにゃ!」

 そんな感じのいつものやり取りを横目に、我輩は待っていたのだ。全裸待機なのだ。・・・我輩そもそも服を着てなかったのだ。

「あ! ボスぅ。ついにマスターに会うのに、そんな普通の恰好だと面白くないわぁ。
 是非とも1年前の誕生日の時みたいに着飾りましょう! さあ、こちらに!」

 グリモンが何か言い始めたのだ。でもそれはダメなのだ。我輩トラウマなのだ。

「おお! あの芸術を再び見れるのじゃな! よし、ポチ殿着飾るのじゃ」

 丁重にお断りするのだ。あ、マルフ。我輩を押さえつけるのはやめるのだ。

 配下のみんなとそんなコントをしていたら、遂にその時が来たのだ。

 目の前の深淵にヒビが入り、空間が割れていく。そしてその割れ目から眩い光が漏れてくる。

「まっ、眩しい!」

「目がー!」

 配下の何人かが叫んでるけど、我輩それどころじゃないのだ。【予感】はしてたけど、本当にこの時が来たらまだ心の準備ができていないのだ。心臓がドキドキバクバクなのだ。

───パリーーン!

 光が強くなった後、ついに目のまえの空間が割れ、その先に階段が現れたのだ。

「・・・封印が、解けたのだ?」

 物凄く厳重な封印だったけど、解ける時はアッサリしたものだったのだ。凄く眩しかったけど、それだけだったのだ。

「どうやら、そのようじゃな。さあ、行こうかの?」

 我輩を先頭に、直属の仲間達が続く。最初に仲間になったアドラン。次に仲間になったジン。その後はマルフ、タマ、そしてゴブとグルモール。ここに居ないアクモンを含めて7人の配下には本当に助けられたのだ。

「アドラン。アドに会わなければ、最初の罠から抜け出せなくて詰んでたかもなのだ。本当にありがとうなのだ。
 ジン。我輩の母を助けてくれた事。今でも感謝しているのだ。
 マルフ。我輩に沢山いたずらした事。忘れないのだ。
 タマ。どんな時もみんなの癒しになってくれてありがとうなのだ。
 ゴブ・リーン。ゴブには本当に助けられたのだ。ゴブが居なかったら間違いなく、今日この瞬間は訪れなかったのだ。どれだけ感謝してもし足りないのだ。
 そしてグルモール。グリモールはこれから一緒に歴史を積み重ねていくのだ。よろしくなのだ」

 そして、この日が来ることを夢見て共に頑張ってきた仲間達。約300匹の配下達も我輩たちに続くのだ。

「ちょ、ちょっと待って!? 僕だけ悪戯したことを忘れないとかおかしくない!? 感謝の言葉じゃなくない?」

「気のせいなのだ。ほら、上の階が見えて来たのだ」



 階段を上りきると、当然だけど、上の階層のボス部屋だったのだ。

 そしてそこには8人の人間、それとアクモン、ミルク、シルクが居たのだ。

 その中で、一際目を引く少年が居るのだ。我輩、何故か目が離せないのだ。いや、何故かじゃないのだ。理由は分かっているのだ。

「ポチ? ポチなの?」

 そう問いかけられる。この声、とても落ち着く声なのだ。

「そうなのだ。我輩がポチなのだ」

 我輩が名乗ると、少年は1歩前に出る。少年・・・いや、ご主人なのだ!!

「ポチ!」

「ご主人!」

 ご主人が走り出す。我輩もそれに合わせて走り出したのだ。そして、近づいたところでご主人の腕の中に飛び込んだのだ。

 ご主人は我輩をガッチリと受け止め、そして抱きしめてくれたのだ。ちょっと本気で体当たりしてしまったので、ご主人を吹き飛ばしてしまいそうになったのはご愛敬なのだ。

「ポチ! 会いたかった!」

「我輩もなのだ! ついに会えたのだ! 長かったのだ!!」

「良かった・・・。元気そうで、本当に良かった」

 そう言い、泣きながらながらギュッと抱きしめられたのだ。我輩も涙が出て来たのだ。配下のみんなや、一緒に居た人間たちも泣いて喜んでるのだ。

「・・・でも、どうして子犬の恰好をしているの? 前世の小さい頃の恰好だよね? 懐かしいな・・・」

 ふと思い出したようにご主人に言われたのだ。そうだったのだ。最近ずっとこの格好をしてたからすっかり忘れていたのだ。

「あ、これはダンジョンは狭いところもあるから、子犬の恰好をしていたのだ。
 我輩の本当の姿をみたら、カッコよすぎてご主人も腰を抜かすのだ!」

 そう言いながら、元の姿に戻ろうと思ったところで、目のまえの空間が急に歪みだしたのだ。これはアレなのだ。

「ご主人、下がるのだ! 何かが転移してくるのだ!」

 ご主人の元から飛び降り、注意を促す。

「えっ! わ、分かった」

 ご主人も下がった所で、目のまえには大きな氷の塊が現れたのだ。うん。これは、どうみても最下層にあった氷の塊なのだ。

〈ふふふ。みなさん、ボクを解放してくれてありがとう。お礼を言いに来たよ〉

 やっぱり自称神様の氷なのだ。気にしなくて大丈夫とか言ってたのに、やっぱり嘘だったのだ!

〈ボクは嘘を言ってないよ? 氷漬けだから動けないって言ったでしょ? ほらこの通り、氷の中から動いてないから〉

 確かに動いてないけど、氷ごと動いてるのだ。それはちょっと卑怯なのだ。

〈ダンジョンの封印は解けても、この氷は融けなくてね。ん? ボクいま上手い事言った?
 まあ、とにかくお礼も言いたかったし、氷ごと【転移】してきた訳だよ。
 そこの7人。ありがとう。お陰でダンジョンから出る事ができたよ〉

「・・・それで、どうする気なのだ? 世界を滅ぼしたりするのだ!?」

〈まさか! ボクは遊戯の女神だよ。遊ぶことはあっても滅ぼしたりはしないさ。
 これでもちょっとやり過ぎたと思って、少しだけ反省してるんだ。
 でも、長い間ボクをここに閉じ込めてくれた女神たちには何か仕返しをしたいな。
 うーん。どうしようかな?〉

 何か、とてもイヤな【予感】がするのだ。

〈そうだ、そこのキミ! 女神たちの寵愛を受けているキミ!
 キミと新しい遊びを始める事にしよう!〉

 自称神様がそう言った瞬間、ご主人が光に包まれたのだ。

「ご主人! 危ないのだ! 何か分からないけど危ないのだ!」

 光始めたご主人に我輩は再度体当たりをする。何が起こるか分からないけど、間に合えなのだ!

 ご主人に体当たりをした瞬間、我輩の視界は光に包まれたのだ。
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