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第3章 王都騒乱編
第45話 ケガ
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王様に向かって飛んできた銃弾を防いだ俺に太郎さんの凶刃が迫る。
「や、やばっ」
とっさに避けようとしたけど少し間に合わない。いや、普段なら簡単に避けれるような攻撃なんだけど、眠くて頭がボーッとしている俺には間に合わない。
「リョーマさん!」
兵士たちまでは聞こえてなさそうだけど、俺の名前を叫んじゃダメだよ太郎さん。何て考える余裕くらいはあるらしい。
そして、避けるのは間に合わないと思ったけど、剣は俺の額を掠めていく。お? ギリギリ避け切れたのかな? 良かった。
そう思っていた時期が俺にもありました。
───ピュー!
助かったと思って太郎さんと顔を見合わせていると、そんな音が聞こえるような感じで俺の額から血が吹き出した。太郎さんの剣、調子に乗って切れ味良く作りすぎたかも!? 触れた感覚ないのに切れるとか、どこの名剣!
「りょ、リョーマさーん!」
だから、俺の名前を叫んじゃダメだって!
〈リョーマ! 大変なの! リョーマから血が吹き出してるの!〉
ミルクが【念話】で取り乱しているのを横目? に、俺の意識が遠のいていくのが分かる。
〈リョーマ! リョーマ! ん? ボスなの?〉
ミルクが意味不明な事を言ってるような気がする。耳までおかしくなってきたかな? ヤバいヤバい。早く回復魔法をかけないと!
そんな事を考えながら俺はパタリと倒れ込んだ。
☆
夢を見ていた。
そう、夢だと分かるような夢のような夢だ。つまり夢だ。
何で夢かって、ずっとポチの声が響いていたんだ。
夢の中のポチは前世で飼っていた時の姿のままだ。
〈ご主人! しっかりするのだ! キズは浅いのだ! もう大丈夫なのだ!
深かったけど、もうふさがってるらしいのだ! 深いのに浅いとか哲学なのだ〉
夢の中でポチは俺の事を心配して叫び続けてた。最後のは心配しているのか微妙な感じだけど。
〈ご主人とお話したかったけど、時間切れなのだ。
魔道具のエネルギー切れなの・・・だ〉
夢の中のポチの声はそんな感じで徐々に小さくなり消えて行った。
ごめんポチ。夢の中でまで心配をかけてしまって。
早く会いたいな・・・。
そんな事を考えながら、俺の意識はまた深い眠りに落ちて行ったのだった。
☆
「良かった! 目が覚めたのね!」
「うわーん! リョーマさん、斬ってしまってすみませんでした!」
目を開けると知ってる天井と共に、リーナさんと太郎さんの顔が視界に飛び込んで来た。
ああ、ここはゼムスさんの屋敷だ。あれ? 俺ってどうしたんだっけ?
「えっと・・・」
そうだ。思い出した。
作戦の途中で太郎さんの剣に斬られて倒れちゃったんだ。切れ味良く作りすぎたから自業自得なんだけど。
「すみませんでした。あの後、どうなりました?」
「大丈夫。ほぼほぼ作戦通りよ。
魔王様が倒れたから、その後は作戦通りアクモンも撤退したわ」
そうか、良かった。俺が倒れた事で作戦が台無しになってたらどうしようかと思ったよ。
「アクモンが倒れたリョーマを回収して、撤退したように見せかけて、その後すぐに合流したわ。
みんな心配してたんだけど、合流した時にはすでにキズはふさがってたわね」
そうか、一応人外の回復力だからあの程度? のケガなら放っておけば治るんだな。
「そして、貴方はどちらかと言うと寝不足で寝てた感じね!」
えええ、それはちょっとカッコ悪い。相当眠かったからなぁ。
「そう言えば、僕はどのくらいの時間寝てたんでしょうか?」
「半日ほどかしら? 倒れたのが朝で、今は昼過ぎよ」
何日も寝てたとか言われたらどうしようかと思ったけど、半日なら良かった。
「色々と聞きたいことがあるんですけど、その前に。
太郎さん心配をかけてすみませんでした。太郎さんは悪くないので気にしないで下さいね」
「リョーマさん。でも・・・」
「俺が寝不足だったのと、調子に乗って剣の切れ味を上げすぎたのが問題なんです」
今回の教訓として、体調管理はしっかりしないとね。
「そうね。太郎さんは何も気に病む必要はないわ」
「ありがとうございます。そう言ってもらえるだけで少し楽になりました」
「それで、何から聞きたいのかしら?」
聞きたい事は色々あるけど、まず何から聞こうか。
「じゃあ、まず勇者たちはどうなりました?」
「勇者たちは神殿よ。あの後、あの場を収めるためにゼムスさんとレミが登場したの。
女神様の名を語る不届き者を取り調べる。と言う名目で神殿に連行したわ。私と救助されたお父様が許可を出したから問題ないわ。
お父様も一緒に確認すると言う事で神殿ね。城に戻るとミーナ姉さんが何をするか分からないからね」
ほぼ作戦通りって事かな?
「ありがとうございます。
因みに、あの場にいた魔物は僕が次の命令を出してないからそのままですよね?
どうなってますか?」
「それはレミに頑張って貰ってるわ」
レミに? 作戦にはなかったけど、どう言う事だろ?
「ホントは何もしなくても魔物たちは攻めて来ないんだけど、聖女様の力で食い止めてる事にしてるの。
だから、レミは城門の外でそれっぽい祈りを捧げているわ」
「あー・・・それは早めに魔物たちに次の命令をした方がいいですね」
これは冗談で言っていた「森へお帰り」を本気でやって貰うべきかな。
「じゃあ、早速行きましょう! レミも大変だと思いますので」
「リョーマはもう大丈夫なの?」
「ええ、リーナさんも言ってた通り、ほぼ寝不足ですから!
半日ほど寝かせて貰って体調は万全です」
この後、俺は透明になって城門の外まで行き、レミの「森へお帰り」に合わせて魔物に命令をしたのだった。
────────────
楽しみにして下さっている方には大変申し訳ないですが、 10月はちょっと忙しくなりそうなので、更新は3日に1回にさせて頂きます。更新できる時は早めにしたいと思います!
「や、やばっ」
とっさに避けようとしたけど少し間に合わない。いや、普段なら簡単に避けれるような攻撃なんだけど、眠くて頭がボーッとしている俺には間に合わない。
「リョーマさん!」
兵士たちまでは聞こえてなさそうだけど、俺の名前を叫んじゃダメだよ太郎さん。何て考える余裕くらいはあるらしい。
そして、避けるのは間に合わないと思ったけど、剣は俺の額を掠めていく。お? ギリギリ避け切れたのかな? 良かった。
そう思っていた時期が俺にもありました。
───ピュー!
助かったと思って太郎さんと顔を見合わせていると、そんな音が聞こえるような感じで俺の額から血が吹き出した。太郎さんの剣、調子に乗って切れ味良く作りすぎたかも!? 触れた感覚ないのに切れるとか、どこの名剣!
「りょ、リョーマさーん!」
だから、俺の名前を叫んじゃダメだって!
〈リョーマ! 大変なの! リョーマから血が吹き出してるの!〉
ミルクが【念話】で取り乱しているのを横目? に、俺の意識が遠のいていくのが分かる。
〈リョーマ! リョーマ! ん? ボスなの?〉
ミルクが意味不明な事を言ってるような気がする。耳までおかしくなってきたかな? ヤバいヤバい。早く回復魔法をかけないと!
そんな事を考えながら俺はパタリと倒れ込んだ。
☆
夢を見ていた。
そう、夢だと分かるような夢のような夢だ。つまり夢だ。
何で夢かって、ずっとポチの声が響いていたんだ。
夢の中のポチは前世で飼っていた時の姿のままだ。
〈ご主人! しっかりするのだ! キズは浅いのだ! もう大丈夫なのだ!
深かったけど、もうふさがってるらしいのだ! 深いのに浅いとか哲学なのだ〉
夢の中でポチは俺の事を心配して叫び続けてた。最後のは心配しているのか微妙な感じだけど。
〈ご主人とお話したかったけど、時間切れなのだ。
魔道具のエネルギー切れなの・・・だ〉
夢の中のポチの声はそんな感じで徐々に小さくなり消えて行った。
ごめんポチ。夢の中でまで心配をかけてしまって。
早く会いたいな・・・。
そんな事を考えながら、俺の意識はまた深い眠りに落ちて行ったのだった。
☆
「良かった! 目が覚めたのね!」
「うわーん! リョーマさん、斬ってしまってすみませんでした!」
目を開けると知ってる天井と共に、リーナさんと太郎さんの顔が視界に飛び込んで来た。
ああ、ここはゼムスさんの屋敷だ。あれ? 俺ってどうしたんだっけ?
「えっと・・・」
そうだ。思い出した。
作戦の途中で太郎さんの剣に斬られて倒れちゃったんだ。切れ味良く作りすぎたから自業自得なんだけど。
「すみませんでした。あの後、どうなりました?」
「大丈夫。ほぼほぼ作戦通りよ。
魔王様が倒れたから、その後は作戦通りアクモンも撤退したわ」
そうか、良かった。俺が倒れた事で作戦が台無しになってたらどうしようかと思ったよ。
「アクモンが倒れたリョーマを回収して、撤退したように見せかけて、その後すぐに合流したわ。
みんな心配してたんだけど、合流した時にはすでにキズはふさがってたわね」
そうか、一応人外の回復力だからあの程度? のケガなら放っておけば治るんだな。
「そして、貴方はどちらかと言うと寝不足で寝てた感じね!」
えええ、それはちょっとカッコ悪い。相当眠かったからなぁ。
「そう言えば、僕はどのくらいの時間寝てたんでしょうか?」
「半日ほどかしら? 倒れたのが朝で、今は昼過ぎよ」
何日も寝てたとか言われたらどうしようかと思ったけど、半日なら良かった。
「色々と聞きたいことがあるんですけど、その前に。
太郎さん心配をかけてすみませんでした。太郎さんは悪くないので気にしないで下さいね」
「リョーマさん。でも・・・」
「俺が寝不足だったのと、調子に乗って剣の切れ味を上げすぎたのが問題なんです」
今回の教訓として、体調管理はしっかりしないとね。
「そうね。太郎さんは何も気に病む必要はないわ」
「ありがとうございます。そう言ってもらえるだけで少し楽になりました」
「それで、何から聞きたいのかしら?」
聞きたい事は色々あるけど、まず何から聞こうか。
「じゃあ、まず勇者たちはどうなりました?」
「勇者たちは神殿よ。あの後、あの場を収めるためにゼムスさんとレミが登場したの。
女神様の名を語る不届き者を取り調べる。と言う名目で神殿に連行したわ。私と救助されたお父様が許可を出したから問題ないわ。
お父様も一緒に確認すると言う事で神殿ね。城に戻るとミーナ姉さんが何をするか分からないからね」
ほぼ作戦通りって事かな?
「ありがとうございます。
因みに、あの場にいた魔物は僕が次の命令を出してないからそのままですよね?
どうなってますか?」
「それはレミに頑張って貰ってるわ」
レミに? 作戦にはなかったけど、どう言う事だろ?
「ホントは何もしなくても魔物たちは攻めて来ないんだけど、聖女様の力で食い止めてる事にしてるの。
だから、レミは城門の外でそれっぽい祈りを捧げているわ」
「あー・・・それは早めに魔物たちに次の命令をした方がいいですね」
これは冗談で言っていた「森へお帰り」を本気でやって貰うべきかな。
「じゃあ、早速行きましょう! レミも大変だと思いますので」
「リョーマはもう大丈夫なの?」
「ええ、リーナさんも言ってた通り、ほぼ寝不足ですから!
半日ほど寝かせて貰って体調は万全です」
この後、俺は透明になって城門の外まで行き、レミの「森へお帰り」に合わせて魔物に命令をしたのだった。
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楽しみにして下さっている方には大変申し訳ないですが、 10月はちょっと忙しくなりそうなので、更新は3日に1回にさせて頂きます。更新できる時は早めにしたいと思います!
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