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第3章 王都騒乱編
第39話 リョーマの盾
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俺の額に冷や汗が流れる。この悪魔は本気でヤバい。多分魔力と気力が十分でも勝てないかも知れない・・・。
そう思わせる程のプレッシャーを放っている。
「まさかほとんど魔力のないこのタイミングでこんな強そうな悪魔が出る・・・落ちてくる? なんて予想外です。
ですが、僕も守るものが沢山あるんです! そしてまだ会わなければならない者もいます。負ける訳には行きません!」
そう、何で悪魔が降ってきたのかは分からないけど、こんな所で負ける訳には行かない!
《あ、マスター・・・》
だけど、大丈夫! こんな事もあろうかと念には念を入れて、準備はして来てる。
「良かった、2個だけでも持って来ていて」
そう言うと、俺は【収納】からガルムのボールを取り出す。パートナーがまだ居ない、キガルムとケガルムをボールにして持って来ていたのだ。因みに、同じくパートナーの居ないクガルムは王様の護衛に着けている。
「ガルム! 出てこい!」
ボールを投げると、キガルムとケガルムが飛び出してきました。よし、さすがに強力な悪魔でもレベル150相当で、更に従魔扱いとなりステータスが上がったガルム2匹を同時に相手にできるとは思えない。これで大丈夫だろう。
「あ・・・。あ・・・」
あれ? 悪魔の様子がおかしい・・・。どうしたんだろう? あ、あ、って言いながら動かないぞ?
「あ・・・。&○%×■※&%$#!?」
え? 何て言った? 悪魔語?
《いえ、今のは全く翻訳不能です。意味のない言葉の羅列と思われます》
【サポーター】さんがそう言った瞬間、目の前の悪魔が消えた。いや、正確には消えたような速さで動いたんだ。
次に視覚した時には、俺は悪魔に抱き着かれていた。ヤバい! 速過ぎて全く見えなかった! 完全にホールドされた! 折角呼び出したガルムたちはなぜか見てるだけだし!
「は、離して下さいっ!」
「&▲○%×※&%◆$#! うわぁぁーん」
え? え?? 何を言ってるか分からないけど、優しく抱きしめられ、そして泣き出してしまった。・・・悪魔だよね? え?
《すみません。やはり翻訳不能です。興奮しているだけじゃないでしょうか?》
「うおおおーーん」
めっちゃ泣いてるし。うわっ! 鼻! 鼻水付くって!
「え、えっと、急にどうしたの? 何か悲しい事でもあったんですか!? 頼むから泣き止んで下さいっ」
急に泣き出した悪魔を何とか宥めようとするけど、全く泣き止む気配がない。ど、どうしよう。何でこんな事に?
「ぐわわーーん。わ、わ、わ、わ、わ」
お、聞き取れた。わ? わ? でも、何が言いたいんだろう?
「わ、私は・・・」
お、やっと理解できる言葉が聞こえてきた。私は?
「私はアクモンです!」
ん? 今何て? 私はアクモンです? アクモン? 悪魔のアクモン? 聞いた事あるような、無いような・・・。いや、あるぞ!?
「え! アクモン!? 僕の従魔のアクモン? ポチの配下のアクモン!?」
「はい! そのアクモンです。貴方の従魔のアクモンです。
ずっとお会いしたかったです。会えて嬉しいです! うわぁぁーん」
あ、また泣き出しちゃった。どうしよう。けど、まさか従魔のアクモンだったなんて。・・・どうしてすぐに気付かなかったんだろう?
《魔力が減っていた事と、【テイマー】スキルを【魔物支配】スキルに進化させていた事が原因ではないでしょうか?
スキルが変化した事で従魔との絆が感じ取りにくくなっていたものと推測されます》
ああ、なるほど。俺の従魔はあくまでも【テイマー】スキルで従魔にしてるから、【そして伝説を】でスキルが変わってしまって繋がりが感じにくくなってたんだね。まあ、それ以上に魔力の消費と疲労が溜まってるってのもあるんだろうけど。
「えっと、アクモン? 僕に会えて嬉しいのは分かったけど、そろそろ泣き止んでくれるかな?
何故君がここに居るのかとか、色々気になるんだけど・・・」
そう言いながら、しばらくポンポンしていると何とか泣き止んで、状況を少しずつ説明してくれた。
「・・・と言う事で、ゴブ・リーン殿とポチ殿が作っていた魔道具の暴発で私は急に転移した訳です」
さっきまで泣いていた事を無かった事にするように『私はクールです』みたいな、キリっとした感じで説明をしてくれる。今更取り繕っても、さっき泣いてた事実は変わらないからね。
「なるほどね。何となく分かったよ。そうしたら、同じ現象を起こしたらポチ達もダンジョンから出る事ができるのかな?」
「どうなのでしょうか? 生憎と私には専門外でして・・・」
《それは難しいかも知れません。話を聞く限りでは偶然の産物と思われます。
狙って同じ現象を起こすことは難しいでしょう。1歩間違えば、次元のはざまに落ちてしまいます》
こわっ。え? アクモンも1歩間違ったら次元のはざまに落っこちてたの?
《その可能性は否定できません。非常に運が良かったとしか。アクモンのマスターへの愛が、アクモンをここに呼び寄せたのかも知れませんね》
なんか良い話っぽくまとめようとしてるけど、つまりはとにかく偶然ってことだね。でも良かった。封印されたダンジョンならまだしも、次元のはざまに落ちたら助ける方法なんて分からないからね。
しかし封印を解かなくてもダンジョンから出られる可能性が見えただけでも、大収穫だよね。万が一、異邦人7人が最終的に揃わなくて、封印の解除ができなかったとしても、ポチに会える可能性が出て来たんだ。
「リョーマ様。ポチ殿には大変申し訳ありませんが、私はリョーマ様に出会ってしまいました。出会えてしまいました。ですので今この時よりこのアクモン、リョーマ様の盾となります。リョーマ様がどんな状況に陥ろうと、この身に代えてもリョーマ様をお守り致します!」
な、何てカッコいいナイト様なんだ。悪魔だし、実は泣き虫だけど。けど、そこまで想ってくれるのは素直に嬉しい。
「ありがとうアクモン。でも僕は従魔のみんなも大切なんだ。自分の身が危ないと思ったら、しっかりと逃げてくれ。僕のために死のう何て考えないでね」
「ううっ、私の為にそのようなお言葉・・・勿体ないです。何てお優しい・・・。うわぁぁーん」
また泣いてしまった・・・。さっきのクールなキャラはどこにいったの! キャラがブレブレだよ!
と言うか初対面なのに、俺に対する愛が半端ない!
《従魔になって約2年、逢えない間に想いも積もり積もったのではないでしょうか?》
そ、そう言うのものかな?
こうして、俺に1人お供ができた。紫の悪魔アクモン。自称、リョーマの盾である。
そう思わせる程のプレッシャーを放っている。
「まさかほとんど魔力のないこのタイミングでこんな強そうな悪魔が出る・・・落ちてくる? なんて予想外です。
ですが、僕も守るものが沢山あるんです! そしてまだ会わなければならない者もいます。負ける訳には行きません!」
そう、何で悪魔が降ってきたのかは分からないけど、こんな所で負ける訳には行かない!
《あ、マスター・・・》
だけど、大丈夫! こんな事もあろうかと念には念を入れて、準備はして来てる。
「良かった、2個だけでも持って来ていて」
そう言うと、俺は【収納】からガルムのボールを取り出す。パートナーがまだ居ない、キガルムとケガルムをボールにして持って来ていたのだ。因みに、同じくパートナーの居ないクガルムは王様の護衛に着けている。
「ガルム! 出てこい!」
ボールを投げると、キガルムとケガルムが飛び出してきました。よし、さすがに強力な悪魔でもレベル150相当で、更に従魔扱いとなりステータスが上がったガルム2匹を同時に相手にできるとは思えない。これで大丈夫だろう。
「あ・・・。あ・・・」
あれ? 悪魔の様子がおかしい・・・。どうしたんだろう? あ、あ、って言いながら動かないぞ?
「あ・・・。&○%×■※&%$#!?」
え? 何て言った? 悪魔語?
《いえ、今のは全く翻訳不能です。意味のない言葉の羅列と思われます》
【サポーター】さんがそう言った瞬間、目の前の悪魔が消えた。いや、正確には消えたような速さで動いたんだ。
次に視覚した時には、俺は悪魔に抱き着かれていた。ヤバい! 速過ぎて全く見えなかった! 完全にホールドされた! 折角呼び出したガルムたちはなぜか見てるだけだし!
「は、離して下さいっ!」
「&▲○%×※&%◆$#! うわぁぁーん」
え? え?? 何を言ってるか分からないけど、優しく抱きしめられ、そして泣き出してしまった。・・・悪魔だよね? え?
《すみません。やはり翻訳不能です。興奮しているだけじゃないでしょうか?》
「うおおおーーん」
めっちゃ泣いてるし。うわっ! 鼻! 鼻水付くって!
「え、えっと、急にどうしたの? 何か悲しい事でもあったんですか!? 頼むから泣き止んで下さいっ」
急に泣き出した悪魔を何とか宥めようとするけど、全く泣き止む気配がない。ど、どうしよう。何でこんな事に?
「ぐわわーーん。わ、わ、わ、わ、わ」
お、聞き取れた。わ? わ? でも、何が言いたいんだろう?
「わ、私は・・・」
お、やっと理解できる言葉が聞こえてきた。私は?
「私はアクモンです!」
ん? 今何て? 私はアクモンです? アクモン? 悪魔のアクモン? 聞いた事あるような、無いような・・・。いや、あるぞ!?
「え! アクモン!? 僕の従魔のアクモン? ポチの配下のアクモン!?」
「はい! そのアクモンです。貴方の従魔のアクモンです。
ずっとお会いしたかったです。会えて嬉しいです! うわぁぁーん」
あ、また泣き出しちゃった。どうしよう。けど、まさか従魔のアクモンだったなんて。・・・どうしてすぐに気付かなかったんだろう?
《魔力が減っていた事と、【テイマー】スキルを【魔物支配】スキルに進化させていた事が原因ではないでしょうか?
スキルが変化した事で従魔との絆が感じ取りにくくなっていたものと推測されます》
ああ、なるほど。俺の従魔はあくまでも【テイマー】スキルで従魔にしてるから、【そして伝説を】でスキルが変わってしまって繋がりが感じにくくなってたんだね。まあ、それ以上に魔力の消費と疲労が溜まってるってのもあるんだろうけど。
「えっと、アクモン? 僕に会えて嬉しいのは分かったけど、そろそろ泣き止んでくれるかな?
何故君がここに居るのかとか、色々気になるんだけど・・・」
そう言いながら、しばらくポンポンしていると何とか泣き止んで、状況を少しずつ説明してくれた。
「・・・と言う事で、ゴブ・リーン殿とポチ殿が作っていた魔道具の暴発で私は急に転移した訳です」
さっきまで泣いていた事を無かった事にするように『私はクールです』みたいな、キリっとした感じで説明をしてくれる。今更取り繕っても、さっき泣いてた事実は変わらないからね。
「なるほどね。何となく分かったよ。そうしたら、同じ現象を起こしたらポチ達もダンジョンから出る事ができるのかな?」
「どうなのでしょうか? 生憎と私には専門外でして・・・」
《それは難しいかも知れません。話を聞く限りでは偶然の産物と思われます。
狙って同じ現象を起こすことは難しいでしょう。1歩間違えば、次元のはざまに落ちてしまいます》
こわっ。え? アクモンも1歩間違ったら次元のはざまに落っこちてたの?
《その可能性は否定できません。非常に運が良かったとしか。アクモンのマスターへの愛が、アクモンをここに呼び寄せたのかも知れませんね》
なんか良い話っぽくまとめようとしてるけど、つまりはとにかく偶然ってことだね。でも良かった。封印されたダンジョンならまだしも、次元のはざまに落ちたら助ける方法なんて分からないからね。
しかし封印を解かなくてもダンジョンから出られる可能性が見えただけでも、大収穫だよね。万が一、異邦人7人が最終的に揃わなくて、封印の解除ができなかったとしても、ポチに会える可能性が出て来たんだ。
「リョーマ様。ポチ殿には大変申し訳ありませんが、私はリョーマ様に出会ってしまいました。出会えてしまいました。ですので今この時よりこのアクモン、リョーマ様の盾となります。リョーマ様がどんな状況に陥ろうと、この身に代えてもリョーマ様をお守り致します!」
な、何てカッコいいナイト様なんだ。悪魔だし、実は泣き虫だけど。けど、そこまで想ってくれるのは素直に嬉しい。
「ありがとうアクモン。でも僕は従魔のみんなも大切なんだ。自分の身が危ないと思ったら、しっかりと逃げてくれ。僕のために死のう何て考えないでね」
「ううっ、私の為にそのようなお言葉・・・勿体ないです。何てお優しい・・・。うわぁぁーん」
また泣いてしまった・・・。さっきのクールなキャラはどこにいったの! キャラがブレブレだよ!
と言うか初対面なのに、俺に対する愛が半端ない!
《従魔になって約2年、逢えない間に想いも積もり積もったのではないでしょうか?》
そ、そう言うのものかな?
こうして、俺に1人お供ができた。紫の悪魔アクモン。自称、リョーマの盾である。
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