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第3章 王都騒乱編
従話 紫の悪魔
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私の名はアクモン。まだ会えぬリョーマ様に付けて頂いた尊い名です。最初はどうかと思っていた名前も、今では結構気に入っています。因みに悪魔です。アークデーモンのアクモンです。
私は2年ほど前にポチ殿の配下として、リョーマ様の従魔にして頂きました。
それまではパープルと言う名前なのか色なのか分からないコードネームで、今は私の配下となった4人の悪魔と共に面白みも何もないダンジョンの階層主をやっていました。まあ、コードネームと言うか、正式名がパープルだったんですけどね。
今は多くの仲間たちとのやり取りが毎日とても楽しく、そしてまだ見ぬリョーマ様に会える事を日々楽しみに過ごしています。
私は防御に特化していて、仲間たちを敵の攻撃から守るのが仕事です。常にそのような動きを心掛けていたらポチ殿に、
「アクモンは前世でご主人がやっていたゲームに出てきた聖騎士みたいなのだ。
ん? 悪魔なのに聖騎士とは相反してるのだ・・・。哲学なのだ」
なんて言われた事もあります。でも、ホントは痛いのが好きなので率先して攻撃を受けているのです。尊い気持ちがあるわけではありません。あくまで悪魔ですので。
と、まあそんなカミングアウトは置いておいて、私は今ダンジョンの外に居ます。そう、ポチ殿がリョーマ様に会うために必死に出ようとしているダンジョンの外の世界にいるのです! ポチ殿、先を越してごめんなさい。
そして今、目の前には人間の子供がいます。【鑑定】をしてきたと言う事は、それなりに強い子なんだと思います。
「さっきから私に【鑑定】をかけているのは貴方ですか? 残念ですが、私は【鑑定】できませんよ。なぜなら私は・・・悪魔ですから」
でもどうしたものか。ポチ殿に基本的に人間は攻撃しちゃダメと言われています。
この子は臨戦態勢のようですし、さて困りました。
そもそも、どうしてこんな状況になっているのかと言えば、時間は少し遡ります。
☆
私たちは丸1日ほど真っ暗な階層を進んで居ました。全然先が見通せない階層でいつまで経っても同じ景色(と言ってもそもそも真っ暗ですが)が続きます。
さすがにおかしいなと思っていたところで、先日仲間になったばかりの悪魔王がこんな事を言い出しました。
「どうやら、この空間は歪みが発生しているようです。
多分ですが、我々は同じ場所を行ったり来たりしているのではないでしょうか?」
それは早く言って欲しかったですね。少なくとも1日歩き続けてから言う事ではないでしょう。もしかして悪魔王はまだ敵なのでしょうか? とも思いましたが、どうやら確証が無い為に言い出せなかったようです。
まあ、そう言う事なら仕方がありませんね。新参者は肩身が狭いのです。しかしこの状況、我らが頭脳ゴブ・リーンなら打破出来るようです。
【並列思考】スキルのレベルが上がったゴブ・リーンは明日には何とかなるとの事でしたので、とりあえず私たちはのんびりする事にしました。
ポチ殿はゴブ・リーンに手伝わされているようなので、残りのメンバーでお茶会です。のんびりお茶を飲みながら2人の作業を見学です。
1~2時間くらい経った頃でしょうか? 私たちが談笑をしているとポチ殿の叫び声が聞こえてきました。
「や、やばいのだ! 間違えたのだ!」
「これは危険じゃ! さがるのだ!」
ゴブ・リーンも叫んでいます。よく見ると、2人が作っていた何かがとても光り輝いています。
「みんな! 衝撃に備えるのだ! 爆発するのだ!」
どうやら、作っていた魔道具か何かがポチ殿のミスで爆発するようです。ここは私の出番ですね!
私はすぐに盾を構えて駆け出します。
「お二人とも私の後ろへ! さあ、早く!」
最近痛い思いが出来ていなかった事もあり、嬉々として前に出ます。
「アクモン! 危ないのだ。何が起きるか分からないのだ。お前も下がるのだ!」
「大丈夫。こういう時の為に私が居るのです。みなさんをお守りします!」
そんな会話をしている間にも、光はどんどんと強くなって行きます。私は構わずポチ殿の前に回り込みます。
「アクモン殿! これが爆発したら物理的なダメージではなく、何が起こるか分からんのじゃ! みんなで出来るだけ遠くに離れるのじゃ!」
え!? 痛くないのですか! それは困りました。今からでもみんなで逃げ・・・。
そこまで考えた所で一気に光を増した魔道具は私の視界を真っ白に染めました。思わず目を瞑ります。あっ、確かに痛くないですね。
・・・ですが何でしょう、この浮遊感は。
しばらく目が見えない中で浮遊感が続いた後、私にとても大きな衝撃が襲って来ました。あっ、痛い! さっきの浮遊感はどうやら落下していたようです。
ようやく光の衝撃で見えなかった目を開けましたが、落下の衝撃で土埃が上がっているのか、周りの様子が良く分かりません。
「あいたたた。まさか落下するとは・・・、完全に予想外です」
そう独り言を言いながら立ち上がります。そしてしばらく待ったら土埃も晴れて来ました。ですが、これは・・・。
「あれ? 明るい? 太陽ですか? ん? もしかしてここは地上ですか?」
そして、冒頭に戻る訳です。
しかし、何でしょう。不思議な感じのする少年ですね。まるで初めて会った気がしません。ですが、長年ダンジョンで階層主をやっていた私には生憎と人間の知り合いなんて居ないので気のせいでしょう。
少年は私が悪魔と名乗ると、どこからか武器を取り出して構えます。どうやら【鑑定】だけでなく【収納】も使えるようです。優秀な子ですね。
「まさかほとんど魔力のないこのタイミングでこんな強そうな悪魔が出る・・・落ちてくる? なんて予想外です。
ですが、僕も守るものが沢山あるんです! そしてまだ会わなければならない者もいます。負ける訳には行きません!」
うーん。とてもやる気ですね。
私はポチ殿の方針もあって、戦う気は無いのですが、どうしましょう。なんて、考えていたら少年に動きがありました。
「でも良かった、2個だけでも持って来ていて」
そう言って少年が出したのは、何やら見覚えのあるボールでした。あれ? これって・・・
「ガルム! 出てこい!」
そう、見間違える訳もありません。ゴブ・リーンが作ったガルムのボールです。そしてボールからはガルムが出てきました。
ああ、この少年は・・・いえ、このお方は・・・もしかして・・・!
私は2年ほど前にポチ殿の配下として、リョーマ様の従魔にして頂きました。
それまではパープルと言う名前なのか色なのか分からないコードネームで、今は私の配下となった4人の悪魔と共に面白みも何もないダンジョンの階層主をやっていました。まあ、コードネームと言うか、正式名がパープルだったんですけどね。
今は多くの仲間たちとのやり取りが毎日とても楽しく、そしてまだ見ぬリョーマ様に会える事を日々楽しみに過ごしています。
私は防御に特化していて、仲間たちを敵の攻撃から守るのが仕事です。常にそのような動きを心掛けていたらポチ殿に、
「アクモンは前世でご主人がやっていたゲームに出てきた聖騎士みたいなのだ。
ん? 悪魔なのに聖騎士とは相反してるのだ・・・。哲学なのだ」
なんて言われた事もあります。でも、ホントは痛いのが好きなので率先して攻撃を受けているのです。尊い気持ちがあるわけではありません。あくまで悪魔ですので。
と、まあそんなカミングアウトは置いておいて、私は今ダンジョンの外に居ます。そう、ポチ殿がリョーマ様に会うために必死に出ようとしているダンジョンの外の世界にいるのです! ポチ殿、先を越してごめんなさい。
そして今、目の前には人間の子供がいます。【鑑定】をしてきたと言う事は、それなりに強い子なんだと思います。
「さっきから私に【鑑定】をかけているのは貴方ですか? 残念ですが、私は【鑑定】できませんよ。なぜなら私は・・・悪魔ですから」
でもどうしたものか。ポチ殿に基本的に人間は攻撃しちゃダメと言われています。
この子は臨戦態勢のようですし、さて困りました。
そもそも、どうしてこんな状況になっているのかと言えば、時間は少し遡ります。
☆
私たちは丸1日ほど真っ暗な階層を進んで居ました。全然先が見通せない階層でいつまで経っても同じ景色(と言ってもそもそも真っ暗ですが)が続きます。
さすがにおかしいなと思っていたところで、先日仲間になったばかりの悪魔王がこんな事を言い出しました。
「どうやら、この空間は歪みが発生しているようです。
多分ですが、我々は同じ場所を行ったり来たりしているのではないでしょうか?」
それは早く言って欲しかったですね。少なくとも1日歩き続けてから言う事ではないでしょう。もしかして悪魔王はまだ敵なのでしょうか? とも思いましたが、どうやら確証が無い為に言い出せなかったようです。
まあ、そう言う事なら仕方がありませんね。新参者は肩身が狭いのです。しかしこの状況、我らが頭脳ゴブ・リーンなら打破出来るようです。
【並列思考】スキルのレベルが上がったゴブ・リーンは明日には何とかなるとの事でしたので、とりあえず私たちはのんびりする事にしました。
ポチ殿はゴブ・リーンに手伝わされているようなので、残りのメンバーでお茶会です。のんびりお茶を飲みながら2人の作業を見学です。
1~2時間くらい経った頃でしょうか? 私たちが談笑をしているとポチ殿の叫び声が聞こえてきました。
「や、やばいのだ! 間違えたのだ!」
「これは危険じゃ! さがるのだ!」
ゴブ・リーンも叫んでいます。よく見ると、2人が作っていた何かがとても光り輝いています。
「みんな! 衝撃に備えるのだ! 爆発するのだ!」
どうやら、作っていた魔道具か何かがポチ殿のミスで爆発するようです。ここは私の出番ですね!
私はすぐに盾を構えて駆け出します。
「お二人とも私の後ろへ! さあ、早く!」
最近痛い思いが出来ていなかった事もあり、嬉々として前に出ます。
「アクモン! 危ないのだ。何が起きるか分からないのだ。お前も下がるのだ!」
「大丈夫。こういう時の為に私が居るのです。みなさんをお守りします!」
そんな会話をしている間にも、光はどんどんと強くなって行きます。私は構わずポチ殿の前に回り込みます。
「アクモン殿! これが爆発したら物理的なダメージではなく、何が起こるか分からんのじゃ! みんなで出来るだけ遠くに離れるのじゃ!」
え!? 痛くないのですか! それは困りました。今からでもみんなで逃げ・・・。
そこまで考えた所で一気に光を増した魔道具は私の視界を真っ白に染めました。思わず目を瞑ります。あっ、確かに痛くないですね。
・・・ですが何でしょう、この浮遊感は。
しばらく目が見えない中で浮遊感が続いた後、私にとても大きな衝撃が襲って来ました。あっ、痛い! さっきの浮遊感はどうやら落下していたようです。
ようやく光の衝撃で見えなかった目を開けましたが、落下の衝撃で土埃が上がっているのか、周りの様子が良く分かりません。
「あいたたた。まさか落下するとは・・・、完全に予想外です」
そう独り言を言いながら立ち上がります。そしてしばらく待ったら土埃も晴れて来ました。ですが、これは・・・。
「あれ? 明るい? 太陽ですか? ん? もしかしてここは地上ですか?」
そして、冒頭に戻る訳です。
しかし、何でしょう。不思議な感じのする少年ですね。まるで初めて会った気がしません。ですが、長年ダンジョンで階層主をやっていた私には生憎と人間の知り合いなんて居ないので気のせいでしょう。
少年は私が悪魔と名乗ると、どこからか武器を取り出して構えます。どうやら【鑑定】だけでなく【収納】も使えるようです。優秀な子ですね。
「まさかほとんど魔力のないこのタイミングでこんな強そうな悪魔が出る・・・落ちてくる? なんて予想外です。
ですが、僕も守るものが沢山あるんです! そしてまだ会わなければならない者もいます。負ける訳には行きません!」
うーん。とてもやる気ですね。
私はポチ殿の方針もあって、戦う気は無いのですが、どうしましょう。なんて、考えていたら少年に動きがありました。
「でも良かった、2個だけでも持って来ていて」
そう言って少年が出したのは、何やら見覚えのあるボールでした。あれ? これって・・・
「ガルム! 出てこい!」
そう、見間違える訳もありません。ゴブ・リーンが作ったガルムのボールです。そしてボールからはガルムが出てきました。
ああ、この少年は・・・いえ、このお方は・・・もしかして・・・!
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